昨日の武蔵野音大サックス科卒業生によるコンサートにご来場いただきましたみなさまに心からお礼申しあげます。
演奏した「バイヴァランスV」は、日本を代表する作曲家、池辺晋一郎によるデュオのための連作「Bivalence(バイヴァランス)」シリーズの5作目で、もともとはオーボエ2本のために書かれた作品です(2007年12月14日初演/出版 全音楽譜)。オーボエとサクソフォーンは、2オクターブ半というほぼ同じ音域の幅を持っており、そこにこの作品の演奏の可能性を見いだしました。ですから、何も引かず、何も足さず。楽譜通りに演奏しました。
この作品のタイトルの "Bi" は「2、双、複」の意味。それに続く "valence" は、化学の分野では「原子価」「化学的結合」、生物の分野では「数価」、免疫学では「結合価(抗原が抗体と結合できる数)」、心理学の分野では「誘意性、誘発性(人を引きつけたり、回避させたりする性質)」などがあり、ほかに「結びつける力、相互に作用する力」の意味があります。2つの楽器が織りなす音風景は正しくこれらの意味を表現しているのでしょう。
正直、この作品のアナリーゼを試みましたが、数値を基準した音の長さや、音の配列が見られることを発見したものの、そのほかはわかりませんでした。ですから、あとは感じるままに演奏しました。
演奏のあとの、サックス奏者からの評価が嬉しく思いました。その中の一人が「サックスのために書かれた作品のようだ」と言ってくれましたが、本当にこの作品がサックスのレパートリーに入ってくれることを願っています。
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