原発問題

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【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(49) ※13回目の紹介

2014-06-22 21:00:00 | 【原発ホワイトアウト】

*『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽  から何度かに分けて紹介します。13回目の紹介  

 現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!

 「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」

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カスタマーレビュー)から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。

  「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。

  こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。

  私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。

  さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)

読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。

そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。

  「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。

この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。

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【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(49)  ※13回目の紹介

-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「終章 爆弾低気圧」 (49)を分けて紹介

前回の話【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(49) ※12回目の紹介

 午後3時の段階で6号機のベントには成功したが、フィルター付きベントへの配管のつなぎ目の継手の固定が甘く、放射性物質を含む格納容器からの排気が、継手と配管の間から吹き出ていた。周辺の放射線量の値は急速に上昇した。7号機のベントはまだ成功していなかった。

 「7号機、なんでベントできないの!?」

 と、社長がイライラしながら尋ねる。

 「わかってたら苦労しませんっ、て」

 所長代理は腹が据わっている、というよりも、自分の不運を呪っているように見える。所長がここにいさえすれば、自分が日本国民1億2000万人の矢面に立つこともなかった。なぜ所長は自分だけ正月休みなどとっているのだ・・・。

 「所長はどうしたんだ?」

 その所長について、原子力事業本部長が問いただす。

 所長は、朝一番の新幹線で新崎に向かっているはずだった。しかし、道路網の麻痺で原発には辿り着けていない。このとき所長も外部電源車も、新崎原発から50キロ離れた場所で立ち往生していたのだ。

 「7号機のベントのフィルター用の外部タンクは、陽の当たらないところにあるので、貯めていた水が凍り付いているのかもしれません」

 と施設課長。

 「とにかく、ホッカイロ貼ったり、小便でもかけたりして、温めてみようよー」

 原子力事業本部長は相変わらず落語のような口調だ。危機に直面して究極のジョークを吐く、007のジェームズ・ボンドでも気取っているのか。しかし、団子鼻に鼻毛を伸ばしたその風貌では、まるでバカ殿にしか見えない。

 しかしこの会社はどうなっているのか?実はこの時点で、実際に、現場の所員の小便が大量に、タンクを温めるため放出されていたのだ・・・。

 「もう出る小便がありません!」

 と、末端の所員がキレ気味に叫んだ。

 「バカヤロー、雪でも何でも食って小便出すんだぞ!あと、タンクに毛布でも巻いてみろっ」

 と原子力事業本部長。

 一基110万キロワットの出力を誇る世界最高水準の原子力発電所ではあるが、一度トラブルに陥ると、人間の小便や毛布という原始的な手法に頼らざるを得ないのが皮肉であった。

続き>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(49) ※14回目の紹介

 


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