原発問題

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科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」 ※6回目の紹介

2014-10-01 21:00:00 | 【原子力ムラの陰謀】

*『原子力ムラの陰謀』著者:今西憲之
第4章 科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」」を数回に分け紹介します。6回目の紹介

原子力ムラの暗部を刻銘に記録に遺し、その男は逝った-

1995年12月8日、「夢の原子炉」と言われた

高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生。

事故をめぐる”隠蔽”が次々と発覚する中、

一人の「国策会社」幹部が突如、命を落とした。

死の謎を解く鍵は、遺された膨大な資料のみ。

そこには原子力ムラが行ってきた”裏工作”の歴史が、

あまりにも生々しく記録されていた。

(P3「まえがき」から)

「『もんじゅ事故』で謎の死を遂げた西村成生さんが残した内部資料があるらしい」

 2012年冬、はじめにその話を聞いた時は、ここまで深くその資料と付き合うことになるとは想像もしていなかった。

  「西村ファイル」と名づけた資料の山を読み進めるうち、取材班は何度も我が目を疑った。国の特殊法人であるはずの動力炉・核燃料開発事業団(動燃=当時) が地域住民や職員の思想・行動を徹底的に調べ上げ、「洗脳」「工作」といった言葉が頻繁に飛び交う。そして、あまりに不自然な西村氏の死-。「原子力ム ラ」の異常な体質が、次々と浮かび上がってきたのである。

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**『原子力ムラの陰謀』著書 「第4章 科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」」の紹介 

前回の話:科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」 ※5回目の紹介

 資料集の冒頭にあるのは、

<最近の反原子力の動きとその対応について>

と題された文書。88年5月26日に科学技術庁が作成したものだ。そこには、霞が関の官僚たちが、2年前のチェルノブイリ原発事故を受けて盛り上がる反原発運動とどう対峙するのか、露骨なまでに直接的な言葉で表現されていた。現在に至るまで変わっていない方針も多いと思われるので、詳しく紹介していこう。

 まず、最近の反原子力の動きの特徴として、次の五つのポイントを挙げる。

<1.感情的・情緒的反対>

<2.素人にわかりやすく、かつ単純明快な論旨>

<3.大衆紙などのマスメディアを通じ、一般大衆を対象>

<4.反対運動の横のつながり>

<5.運動の担い手は都市部などの若年層、主婦層などが中心>

こうした傾向に対する<有機的な対策の展開>として、次のような方針が書かれていた。

<今回の反原子力運動は幅広い論点に立って行われており、一般層へ深く浸透していると考えられるので、国、電力、メーカー、関係法人で分担して、緊密な連携をとりつつ対処する>

 国、電力、メーカー、関係法人・・・後に「原子力ムラ」と呼ばれる組織の総力を結集して対抗せよ、という号令を科技庁がかけているのだ。すなわち、それは国の意思である。

 だが、本当に反原子力の考えが「一般層へ深く浸透している」のだとしたら、それはもはや立派な「世論」であり「民意」だ。それも政策に反映させていくのが、科技庁の役目ではないのか。だが、この文面から、彼らに民意を尊重するなどという発想は、これっぽっちもないのがよくわかる。

 資料ではさらに具体的に、反原発派への対抗策が語られていく。

<反原子力運動の情報を統一的に収集し、それを分析する機能を抜本的に強化する。また、これら反原子力運動への反論については、現在、関係者で行われている作業を支援するとともに、必要に応じてこれを強化充実する>

<反対側のアジテーターに対抗するため、原子力推進側のスピーカーを多数養成するとともに、反対側からの個人攻撃を受けないよう、関係者でサポートする>

 国の役所がこんな謀略めいた内容の文書を作成していたこと自体に驚かされるが、いろいろと意味深な内容である。

「反原子力運動の情報を統一的に収集し、それを分析する機能」とは、いったい何のことであろうか。反対派の監視を専門に行う組織が存在するということなのか。また、関係者で行われているという反論の「作業」というのも気になる。前述のNHKの番組への「やらせ抗議」も、こうした「作業」の一環だったのではないか。

「推進側スピーカー」については、残念ながら具体的にどんな人々を指し、どのような方法で養成するのかまでは書かれていない。現在も声高に原発の必要性を訴え続ける専門家の中に、ひょっとすると「原子力ムラ」が養成した「推進側スピーカー」も含まれているのかもしれないー。

 資料の最後は、こんな言葉で締められていた。

<上記施策に必要な人員、予算の確保>

 露骨な「反対派つぶし」の工作に、国民の税金を使おうというのである。はたして、これまでにどれほどの額が費やされたのか。それらの金額もちゃんと原発のコストに加えなければ、「エネルギーのベストミックス」など見いだせないはずだ。

※続き「科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」 」の紹介は、10/2(木)21:00予定です。

<第4章 科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」 紹介予定>

 ◎投稿、電話によるNHKへの「対抗手段」を指示

 ◎「料金不払いも」 やらせ例文の過激な中身

 ◎あまりに露骨な科技庁の「反対派つぶし」文書 ※現在、紹介中です

 ◎反原発作家の広瀬隆氏を「徹底監視」

 ◎謎の組織「電事連」の脅威の情報収集能力

 ◎広報チャート図でわかった「世論操作」の手法

 ◎「未萌会」の由来に見える「エリート意識」

 ◎見学者が反原発派とわかり”大パニック”に


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