大分地裁が、強盗殺人の疑いの被告に「自白調書は信用できない」と無罪判決
相川哲弥ブログ。 http://blog.goo.ne.jp/jp280 2010年2月24日
1節。事件のあらすじ。
『大分県・旧清川村(現・豊後大野市清川町)で
2005年3月19日、無職山口範子さん(当時61)の遺体が見つかった事件で、
強盗殺人罪と窃盗罪、住居侵入罪に問われた刑事裁判で、無職・伊東順一・被告(58)に対する判決公判が2月23日、大分地裁であり、
宮本孝文裁判長は「犯人だと認定するには合理的な疑いが残る」として無罪(求刑無期懲役)を言い渡した。
伊東・被告は同日、釈放された。』
(朝日新聞)
2節。警察・検察の主張。被告・弁護側の主張。
大分県警は、
大分県警は2007年2月、
山口さんと顔見知りで別の窃盗罪で服役中だった伊東被告を強盗殺人容疑で逮捕。
当初は容疑を否認していたが、数日後に犯行を認めたという。
大分地検は
伊東被告が
2005年3月8日に山口さん方に侵入して現金13万円を盗み、
2005年3月14日に山口さんの頭をコンクリート塊で何度も殴り、ビニールひもで首を絞めるなどして殺害、
山口さんが所有する乗用車や商品券を奪った
と主張して、 起訴した。
凶器のヒモの結び方に「犯人しか知り得ない秘密の暴露がある」としていた。
無期懲役を求刑した。
被告は、
警察の取り調べの段階では、当初は『犯人で無い』と主張したが、数日後には認めた。
刑事裁判では、被告は、一貫して『犯人で無い』と主張した。
刑事裁判の争点。
伊東被告と犯行を直接結びつける物的証拠はなく、
自白したとされる供述調書の証拠能力(信用できるか?)が最大の争点となった。
弁護士は、 無罪判決後の記者会見で、
『犯人であるとを認めた』自白調書について「取り調べの際に死刑の可能性を示され、罪を認めるよう誘導された」と任意性や信用性を否定。
公判前整理手続きで警察官の取り調べメモが弁護側に開示され、
被告に対し、『罪を認めなければ死刑もあり得る』と警察官が迫って、「罪を認めるよう誘導された」ことが明らかになった経緯を説明。
こうしたメモを元に、弁護側は警察官に尋問し、警察官も取り調べの問答を認めたという。
「被告と事件を結ぶ直接証拠は存在しない」と反論していた。
(殺された)被害者の兄は、
『判決を傍聴していた山口範子さんの兄の克彦さん(68)は、「確かに証拠が足りないのではないか、と思ってはいた。』
3節。無罪判決の理由。
[ ] は、アイカワの説明加筆です。
『[被告の供述の]内容に不自然ないし不合理な部分があり、信用性に疑問が残る」「供述には不合理な変遷がある」
殺害現場にあった血痕の付着状況が供述した殺害態様と食い違うなどを挙げ、「自白に不自然な部分がある」と述べた。
伊東被告が奪ったとされた車と、被告本人が事件後に映っていたとされる現場近くの防犯カメラについて「似ているという域を出ない」と述べた。』
(毎日新聞)
『宮本裁判長は、
〈1〉犯人は大量の返り血を浴びた可能性が高いのに、山口さんの車内からほとんど血痕が検出されていない
〈2〉盗んだ車のエンジンキーについて「川に捨てた」「林に隠した」などと供述が不合理に変遷し、未発見である――点などを指摘。
捜査側が「死刑より無期がいいだろう」と迫ったことなども認定したうえで、
「質問に迎合し、その場を取り繕う傾向が見られる被告は、取り調べの苦痛から逃れるために自白した可能性がある」とした。』
(読売新聞)
『さらに、別件の窃盗事件の起訴後の拘置を利用して、強盗殺人事件を取り調べたことについて「令状主義を逸脱する違法なものであった可能性を否定できない」と、捜査手法を批判した。』(毎日新聞)
『判決理由で宮本裁判長は
「自白調書の内容は[犯行現場の]殺害態様と食い違う」など矛盾点を指摘。
「自白したのに(奪った)車の鍵の投棄場所について真実を語らないのは不自然」とし、
凶器のひもの態様など検察側が主張した犯人しか知り得ない「秘密の暴露」も「暴露には当たらない」と退けた。
また「犯人は多量の返り血を浴びた可能性が高いが(殺害後に奪ったとされる)車の中からは微量の血痕しか見つかっていない。
金券はいつ奪われたか明らかではない」とし
「殺害犯が車や金券を奪ったかは疑問。殺害後、何者かが車を盗んだ可能性もある」とまで言及した。』
(大分合同新聞)
4節。アイカワの意見。
裁判官の無罪判決理由で、
問題点1。「被告は、質問に迎合し、その場を取り繕う傾向が見られる。被告は、取り調べの苦痛から逃れるために自白した可能性がある」旨を述べた。
問題点2。捜査側が「死刑より無期がいいだろう」と迫ったことなども認定した。
大部分の犯罪事件では、警察や検察は、犯罪事件が起きた時に犯行現場に居なかったのだから、
『被告(被疑者)が真犯人であるかどうか?』を注意して、取り調べに当たらなければ成らない。
判決に寄れば、この被告は、相手(警官や刑事なども)の質問に迎合し、その場を取り繕う傾向が見られる。
だから、誘導質問をすれば、被疑者が相手の話に合わせて、
犯人で無いのに『自分が犯人だ』という可能性が有るので、
誘導質問しないように注意しなければならない。
ところが、実際には、取り調べ警官が、むしろ積極的に、誘導して、
『犯人であると認めなければ死刑に成る可能性がある』
(言い換えれば、犯人であると認めれば、死刑に成る可能性は無い)
と脅かして、
被告に、『そんなら、犯人だと言おう』と言う気にさせた旨、判決で裁判長は述べた。
『相手の質問に迎合する(話をあわせる)』性格の人は、世の中に、沢山居る。
そのような性格の人は、『犯人で無いのに犯人だと認める』冤罪(犯罪ヌレギヌ)被害者予備軍と、言える。
足利事件の、警官取り調べ状況録音テープに寄れば、
足利事件で、幼女を殺した犯人とされた、菅谷さんも『相手の質問に迎合する』性格だった。
「菅谷さんも『相手の質問に迎合する』性格だったこと」に気が付いたと、取り調べた検事も、再審裁判で証人尋問で述べた。
しかし、足利事件で、警官も検事も、誘導質問など、相手の性格の心理の弱点を突いて、自供させて調書を作った。
大分県の事件で、
「相手が犯人であるかどうか」の判定を誤らないために、取り調べの警官と検事は
『誘導質問しないように注意しなければならない』のに、
逆に、積極的に誘導質問した。
この点は、足利事件と、大分県の事件は共通です。
『犯人であると認めなければ死刑に成る可能性がある』式の利益誘導式・脅迫式・取り調べ・手口は、マスコミでいくつも報道された。
福岡県警が、無実の会社役員に『麻薬を使ったと裁判で認めれば、絶対、執行猶予だ』と言ったので、裁判で認めたら実刑判決になって、警察が白紙調書で逮捕状を裁判所に発酵させたことを弁護士が発見して、裁判所は、すぐに釈放して無罪判決を出した。
有る県警は、麻薬を使った被告に、警察が、『ピストルを出せば刑が軽くなる』と言ったので、組み関係者に何十万円か払って手に入れて警察に出したら、刑が重くなったというニュースもある。
警官や検事が、刑事裁判結果予想を言って、被疑者をだますのは、全国の警官・検事の冤罪犯罪手口として普及しているらしい。
全国の警官や検事から、足利事件のニュースを読んで、『このままでは、自分たちは、まともな捜査が出来ない!再発予防策を取れ!』
と言う声が、全然上がらないことが、その証拠のひとつです。
5節。資料出典(ニュースなど)。
別の記事『インターネット版のニュース記事を、記憶容量が最小のファイルに保存・整理』(2010年02月19日) クリック
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(記事がインターネットから削除されないうちに)ファイル保存・整理してください。
朝日新聞 『強盗殺人事件の被告に無罪判決 大分地裁』 (2010年2月23日) クリック
朝日新聞・大分県版 『旧清川村・強盗殺人 無罪判決』 (2010年02月24日) クリック "> クリック
毎日新聞・東京朝刊 『大分・旧清川村の女性強殺:被告に無罪判決』(2010年2月24日) クリック
毎日新聞・東京朝刊 『大分・旧清川村の女性強殺:被告に無罪 供述調書、信用性を否定−−大分地裁判決』(2010年2月24日) クリック
読売新聞・全国 『大分の強盗殺人、無罪「自白の信用性に疑問」』(2010年2月24日01時13分) クリック
読売新聞・大分県版 『遺族や住民に戸惑い 弁護団は安堵の表情 旧清川村の強盗殺人無罪』(2010年2月24日) クリック
大分合同新聞 『清川強殺で無罪判決 「自白の信用性疑問」』(2010年02月24日) クリック
相川哲弥ブログ。 http://blog.goo.ne.jp/jp280 2010年2月24日
1節。事件のあらすじ。
『大分県・旧清川村(現・豊後大野市清川町)で
2005年3月19日、無職山口範子さん(当時61)の遺体が見つかった事件で、
強盗殺人罪と窃盗罪、住居侵入罪に問われた刑事裁判で、無職・伊東順一・被告(58)に対する判決公判が2月23日、大分地裁であり、
宮本孝文裁判長は「犯人だと認定するには合理的な疑いが残る」として無罪(求刑無期懲役)を言い渡した。
伊東・被告は同日、釈放された。』
(朝日新聞)
2節。警察・検察の主張。被告・弁護側の主張。
大分県警は、
大分県警は2007年2月、
山口さんと顔見知りで別の窃盗罪で服役中だった伊東被告を強盗殺人容疑で逮捕。
当初は容疑を否認していたが、数日後に犯行を認めたという。
大分地検は
伊東被告が
2005年3月8日に山口さん方に侵入して現金13万円を盗み、
2005年3月14日に山口さんの頭をコンクリート塊で何度も殴り、ビニールひもで首を絞めるなどして殺害、
山口さんが所有する乗用車や商品券を奪った
と主張して、 起訴した。
凶器のヒモの結び方に「犯人しか知り得ない秘密の暴露がある」としていた。
無期懲役を求刑した。
被告は、
警察の取り調べの段階では、当初は『犯人で無い』と主張したが、数日後には認めた。
刑事裁判では、被告は、一貫して『犯人で無い』と主張した。
刑事裁判の争点。
伊東被告と犯行を直接結びつける物的証拠はなく、
自白したとされる供述調書の証拠能力(信用できるか?)が最大の争点となった。
弁護士は、 無罪判決後の記者会見で、
『犯人であるとを認めた』自白調書について「取り調べの際に死刑の可能性を示され、罪を認めるよう誘導された」と任意性や信用性を否定。
公判前整理手続きで警察官の取り調べメモが弁護側に開示され、
被告に対し、『罪を認めなければ死刑もあり得る』と警察官が迫って、「罪を認めるよう誘導された」ことが明らかになった経緯を説明。
こうしたメモを元に、弁護側は警察官に尋問し、警察官も取り調べの問答を認めたという。
「被告と事件を結ぶ直接証拠は存在しない」と反論していた。
(殺された)被害者の兄は、
『判決を傍聴していた山口範子さんの兄の克彦さん(68)は、「確かに証拠が足りないのではないか、と思ってはいた。』
3節。無罪判決の理由。
[ ] は、アイカワの説明加筆です。
『[被告の供述の]内容に不自然ないし不合理な部分があり、信用性に疑問が残る」「供述には不合理な変遷がある」
殺害現場にあった血痕の付着状況が供述した殺害態様と食い違うなどを挙げ、「自白に不自然な部分がある」と述べた。
伊東被告が奪ったとされた車と、被告本人が事件後に映っていたとされる現場近くの防犯カメラについて「似ているという域を出ない」と述べた。』
(毎日新聞)
『宮本裁判長は、
〈1〉犯人は大量の返り血を浴びた可能性が高いのに、山口さんの車内からほとんど血痕が検出されていない
〈2〉盗んだ車のエンジンキーについて「川に捨てた」「林に隠した」などと供述が不合理に変遷し、未発見である――点などを指摘。
捜査側が「死刑より無期がいいだろう」と迫ったことなども認定したうえで、
「質問に迎合し、その場を取り繕う傾向が見られる被告は、取り調べの苦痛から逃れるために自白した可能性がある」とした。』
(読売新聞)
『さらに、別件の窃盗事件の起訴後の拘置を利用して、強盗殺人事件を取り調べたことについて「令状主義を逸脱する違法なものであった可能性を否定できない」と、捜査手法を批判した。』(毎日新聞)
『判決理由で宮本裁判長は
「自白調書の内容は[犯行現場の]殺害態様と食い違う」など矛盾点を指摘。
「自白したのに(奪った)車の鍵の投棄場所について真実を語らないのは不自然」とし、
凶器のひもの態様など検察側が主張した犯人しか知り得ない「秘密の暴露」も「暴露には当たらない」と退けた。
また「犯人は多量の返り血を浴びた可能性が高いが(殺害後に奪ったとされる)車の中からは微量の血痕しか見つかっていない。
金券はいつ奪われたか明らかではない」とし
「殺害犯が車や金券を奪ったかは疑問。殺害後、何者かが車を盗んだ可能性もある」とまで言及した。』
(大分合同新聞)
4節。アイカワの意見。
裁判官の無罪判決理由で、
問題点1。「被告は、質問に迎合し、その場を取り繕う傾向が見られる。被告は、取り調べの苦痛から逃れるために自白した可能性がある」旨を述べた。
問題点2。捜査側が「死刑より無期がいいだろう」と迫ったことなども認定した。
大部分の犯罪事件では、警察や検察は、犯罪事件が起きた時に犯行現場に居なかったのだから、
『被告(被疑者)が真犯人であるかどうか?』を注意して、取り調べに当たらなければ成らない。
判決に寄れば、この被告は、相手(警官や刑事なども)の質問に迎合し、その場を取り繕う傾向が見られる。
だから、誘導質問をすれば、被疑者が相手の話に合わせて、
犯人で無いのに『自分が犯人だ』という可能性が有るので、
誘導質問しないように注意しなければならない。
ところが、実際には、取り調べ警官が、むしろ積極的に、誘導して、
『犯人であると認めなければ死刑に成る可能性がある』
(言い換えれば、犯人であると認めれば、死刑に成る可能性は無い)
と脅かして、
被告に、『そんなら、犯人だと言おう』と言う気にさせた旨、判決で裁判長は述べた。
『相手の質問に迎合する(話をあわせる)』性格の人は、世の中に、沢山居る。
そのような性格の人は、『犯人で無いのに犯人だと認める』冤罪(犯罪ヌレギヌ)被害者予備軍と、言える。
足利事件の、警官取り調べ状況録音テープに寄れば、
足利事件で、幼女を殺した犯人とされた、菅谷さんも『相手の質問に迎合する』性格だった。
「菅谷さんも『相手の質問に迎合する』性格だったこと」に気が付いたと、取り調べた検事も、再審裁判で証人尋問で述べた。
しかし、足利事件で、警官も検事も、誘導質問など、相手の性格の心理の弱点を突いて、自供させて調書を作った。
大分県の事件で、
「相手が犯人であるかどうか」の判定を誤らないために、取り調べの警官と検事は
『誘導質問しないように注意しなければならない』のに、
逆に、積極的に誘導質問した。
この点は、足利事件と、大分県の事件は共通です。
『犯人であると認めなければ死刑に成る可能性がある』式の利益誘導式・脅迫式・取り調べ・手口は、マスコミでいくつも報道された。
福岡県警が、無実の会社役員に『麻薬を使ったと裁判で認めれば、絶対、執行猶予だ』と言ったので、裁判で認めたら実刑判決になって、警察が白紙調書で逮捕状を裁判所に発酵させたことを弁護士が発見して、裁判所は、すぐに釈放して無罪判決を出した。
有る県警は、麻薬を使った被告に、警察が、『ピストルを出せば刑が軽くなる』と言ったので、組み関係者に何十万円か払って手に入れて警察に出したら、刑が重くなったというニュースもある。
警官や検事が、刑事裁判結果予想を言って、被疑者をだますのは、全国の警官・検事の冤罪犯罪手口として普及しているらしい。
全国の警官や検事から、足利事件のニュースを読んで、『このままでは、自分たちは、まともな捜査が出来ない!再発予防策を取れ!』
と言う声が、全然上がらないことが、その証拠のひとつです。
5節。資料出典(ニュースなど)。
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