イナゴ投資家

一気に集中し、あっという間に離散する投資行動から昆虫のイナゴに例えて
「イナゴ投資家」と呼ばれているそうです。あっという間に人気になり突飛高
する相場はアベノミクス相場がスタートした3年前より目立つようになりました。
サイバーダインなどIPO銘柄の活況にもイナゴ投資家の影響が少なからずあ
りそうです。紙電池という材料で急騰した古河電池もイナゴ銘柄と言っても良
いでしょう。

信用取引を利用して売買する個人投資家は大きく分けて二分されます。株価が
下がったら買いを入れる投資家です。多くの人気銘柄は上昇局面よりも株価が
高値を付けて下落する局面で信用買い残高が増加する傾向があります。背景に
逆張りで下げた局面で信用買いを入れる投資家が多いからです。下げたら買い
を入れ上げたら売るというのは投資の常道です。もっともどこまで下げれば反発
するのかの見極めが難しいので勿論投資が成功に終わる場合もあれば失敗ケ
ースになる場合もあります。

かたやディトレーダーに代表されるように短期間で売買を繰り返す投資家の行動
は多くの場合上昇している銘柄に追随買いを入れる順張り投資です。短期売買
で結果を出すためには人気銘柄を追いかけることが必要です。突然急騰するよ
うな銘柄には短期間に値幅を取りたい投資家が殺到して買いが買いを呼び値動
きの良さにマネーが集まりいっそう人気に拍車がかかって大幅上昇します。

もっともイナゴ投資家の集まるような銘柄は小型材料株が多く短期間に大幅高
する反面いったん人気に陰りが出るとさっさとマネーは逃げ出します。値ごろ感
からの押し目買いは大怪我の元ともなります。そこには主力優良銘柄とは違う
投資戦略が必要です。

今月の日本株急騰を演出したヘッジファンドなどの短期志向の海外投資家も
見方によればイナゴ投資家です。彼らは個別企業の将来性よりも注目のイベ
ントでマーケットがどう動くか自分達なりにシナリオを描き順張りで投資します。
しばしば上昇局面で値嵩株が集中的に物色されるのも業績好調だけが理由
ではありません。少ない資金で大きな値動きになる値嵩株を買い上げれば
指数の上がりやすくなります。

もっともイベントが終わり用済みとなったマーケットや個別銘柄には彼らのポジ
ション調整売りが出やすくなります。そんな状況でも年金等の長期投資家が確
実に買ってくるような銘柄はその後も堅調に推移する傾向が強いようです。さて
東京市場も気まぐれなイナゴ投資家だけではなく長期マネーがこれからどれだ
け入ってきてくれるかで状況も変わりそうです。海外株安で先週の上昇が本物
かどうか試される一日になるかもしれません。