世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

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肉体の崩壊

2017-02-04 04:18:26 | 黄昏美術館


ルシアン・フロイド

原題「レイ・ボーリー」


一旦終わったが、また20世紀以降の芸術でおもしろいものが見つかれば語ることにしよう。

ルシアン・フロイドは人間の肉体の虚偽に、それとなく気付いていたらしい。それをきつい感じでまじめに描いている。

これは偽物の人間の一例だが、大きな人間の姿を、もっと小さい人間がかぶるとこうなるという例である。まさに、ぬいぐるみの中身が薄くなるという感じで、肉体が崩れてくるのだ。

昔から、他人から姿を盗み、嘘の自分になるということを人間は繰り返してきたのだが、近現代においては、その中身と外見の差が大きくなりすぎ、肉体にぼろが出て来はじめた。

人間の肉体そのものが、むごたらしい嘘になってきたのだ。どんなによく見ようとしても、美しいと感じることができない。何か得体のしれないものが、肉襦袢を着て人間になりすましているかのようにも見える。

中にいる人間も人間なのだが、他人の姿を盗んで着ているということをやっている限り、タヌキに等しいと思われても、反論することはできない。

まさにこれは、タヌキの類が化けている、嘘の人間なのである。いやなことばかりする。嘘で立派なことをしているように見せかけているが、言い訳にもならない痛いことばかりしている。

何もわからないのに、立派な人間の姿をしているからだ。






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