ジョルジュ・ミンヌ
原題不明
彫刻作品からいこう。ベルギーの彫刻家らしい。
これはきれいに見えるが汚らしい愚行の結果である。実に整っているかに見えるだろう。しかしこれは、罪に染まって壊れた自分の顔を、修正しつくした結果なのである。
歪みをなんとかして直し、欠点をしらみつぶしに消していき、汚いものをくっつけて顔を修正していくと、人間はこんな顔になるのだ。
整ってはいるが、まるで無個性だという感じの、虫よりも単純なのっぺりした顔になるのである。
自分の影というものを、徹底的に消したからだ。
人間は、自分が嫌で、自分から逃げようともがいてばかりいると、こういうものになるのである。
あさはかなことをして、無理矢理自分を美化した結果、これはもろに、人間には見えない妙なものになったのだ。
整ってはいるが、ぞっとする。とても愛せない。
男がこんな顔になれば、女はみんな逃げるのだ。