世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

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2017-02-07 04:18:36 | 黄昏美術館


アレクサンドル・シゴフ

原題不明。


ロシアのシュルレアリストであるらしい。経歴はわからないが、存命中であるので知っている者もいるだろう。

ロシアは法則違反の天国だ。これは、自分で描いている絵ではない。画家はほとんど何もしていない。本人は自己活動を停止され、すべては他の霊魂がやっている。

美しすぎる世界だ。これには明らかに天使の影響がある。霊的世界から、この世にありえない美しい存在を見たのだ。だからそれを真似して表現しようとしているのである。本霊は何も知らないうちに、馬鹿に操られている。

20世紀の芸術は、美を破壊することから始まった。そこから、あらゆる淫らな表現があふれ出た。だがその痛い表現の海を泳いで疲れ切った人間の魂は、今度は淫らな欲望を、天使のような美に求め始めたのである。

美しい色と形と清らかな光を濃く重ねて世界を紡ぎだそうとしている。だがそれは、自分が知らないことにしてしまいたい真実を塗りこめようとしているうちに、かすかな背徳をにおわせるのである。

天使を描いてはいるが、描いている者が、嘘なのだと。ゆえにこの絵の中の天使は死んだような顔をしている。生きていたら、画家が困るからだ。

この矛盾の坂を超え切ったとき、人間は本当の自分の表現をつかむことができるだろう。






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