●フリアン・イエドラス vs 田中恒成○
WBOミニマム王座決定戦。同級1位のイエドラスと2位の田中の決定戦で、田中が勝利すれば日本人最速の5戦目での世界チャンピオンとなる。
序盤から田中にとってはオーバーペースでの打ち合いを演じる。相手の得意な展開にも有効打を当てたのは田中で、何度もイエドラスをぐらつかせた。またボディ攻撃も有効で、イエドラスは嫌な表情を見せるが、さすがは高地のメキシコ選手、スタミナが全く落ちない。中盤はイエドラスのプレッシャーに押し潰されそうになるが、田中は終盤にフットワークでイエドラスをいなし、ポイントと勝利を手繰り寄せた。
田中は華奢な体型で、パンチをよくもらう。フットワークやディフェンス技術もどこかぎこちない。しかし意外とパンチ力があり、そしてスタミナもある。一番の魅力はパンチスピードだが、あとは全体的に平均よりやや高いといった印象。パンチをもらいながらも根性で打ち返す姿は90年代の鬼塚や辰吉が全盛期に頃の日本人ボクサーのようだった。ファンには楽しめる試合だったが、メンタル勝負というのはあまり褒めたものではない。思わず辰吉とラバナレスを思い出した。
兎にも角にも決定戦での王座獲得なので防衛戦で期待したい。
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