Josephcunlife107の日記

ロンドン(カナダ)生活、IVEY BUSINESS SCHOOLの日常。

京都旅行Ⅶ -ビッグバンから帰路へ-

2005年11月20日 | 

  目覚まし時計の大きな音で目を覚ました。周りが暗かったので、未だ夜中だろうと思い時計に目をやると、既に8時半を回っていた。シティーホテルというのは、遮光面にこうも気を使ってくれているのかと思うと感心する。昨夜は、ホテルに戻りシャワーを浴びるや否や熟睡してしまった。睡眠時間は4時間程度だが、それ程気分は悪くない。今日はレンタカーを借りて、清水寺と嵯峨野へ行く予定だ。

  AとSはもう起きているのだろうか。今日の予定については、一番最初に起きた人が他の人を起こすことを含めて、昨夜タクシーの中で確認済みだった。僕は、最初にAの部屋をノックした。3回ほどノックをすると寝起きのAが現れた。Aは、熟睡していたようで、これからシャワーを浴び、30分もあれば準備ができるとのことだった。続いて、Sの部屋をノックした。5回ほどノックしたが、一向に返事が無い。今度は携帯に電話をかけてみることにした。又、出ない。僕の中で一抹の不安が過った。Sは、タクシーの中で大人の社交場へ戻ることをほのめかしていたのだ。まさかとは思ったものの、暫くほっておくことにした。20分程おいて携帯に電話をかけると、夢見心地のSが受話器を取った。どうやら、昨日の楽しさの延長で深い眠りについていたようだ。Sは、準備に暫く時間がかかるということなので、僕とAは先にチェックアウトしてSを待つことにした。

  僕らは、Sを待つ間、ホテルのラウンジでコーヒーを飲むことにした。SもAもタバコを吸うので、コーヒーが好きだ。(なぜかAは甘いものも好きなのだが。)僕はというと、恥ずかしながらつい3ヶ月前までコーヒーが嫌いだった。今年の2月にちょっとしたことがきっかけで、人生で初めてコーヒーを美味しいと感じることができた。それ以来、コーヒーにハマッテしまい、今ではコーヒーを飲むことが楽しい。これまでは、AとSがコーヒーを飲む傍らで、僕はフレッシュオレンジジュースを飲んでいたのだが、最近は一緒にコーヒーを飲んでいる。珈琲を注文する瞬間というのはなんとも気分がいいし、喫茶店に珈琲を飲みに行くことは、安らぎと社交の機会が拡がるだけでなく、ある種僕にとって大人の仲間入りを果たすことができた気分だった。だから、27年目にしてコーヒーを飲むことができるようになったきっかけをくれた人には、とても感謝している。

  この旅の中でAとSに感謝していることの一つに、彼らが僕に気を使って、適宜禁煙してくれることがある。例えば、彼らは、レンタカーでの移動中には、車内でタバコを吸わないし、新幹線も禁煙席に座ってくれる。不思議な優しさだ。そうこうしているとSが現れた。僕らは、レンタカーを借りる為に京都駅へと向かった。レンタカーの手続きを済ませると、その足で清水寺へと向かった。

  清水寺に来るのは、高校時代の修学旅行以来だった。清水の舞台から観る京都の景色はいつ見ても素晴らしい。5月の新緑がこの景色を更に豊かなものにしている。10年前に同じ景色を見ていたのかと考えるとなんとも感慨深い。境内は、日曜日ということもあって観光客と修学旅行生でごったがえしていた。清水寺の門前はさながら、観光地の様相である。それでも清水寺は、京都観光で外せない場所だ。僕らは、境内を一周し、お参りを済ませると清水寺を後にして、嵯峨野へと向かった。

  嵯峨野に来た目的は、かの有名な野宮の竹林にある。Aは、以前からここにきたかったらしく、この旅行中ずっとJR東海のCMソングを口ずさんでいた。野宮の竹林は、野宮竹と呼ばれおり、まさに竹のトンネルで圧巻だった。源氏物語の舞台にもなった竹林を散策すると、古き良き時代の日本を感じてならない。歴史が育んだ日本人の美的感覚の鋭さがここにはあった。夜になるとライトアップされるとのことなので、一味違った趣を見せてくれるのであろう。

  渡月橋を渡ったり、珈琲を飲んだりしていたら4時過ぎになっていた。所要で今日の新幹線に乗らなければならないAを、僕らは京都駅まで送って行くことにした。その岐路で、僕達はふとラジオが聴きたくなりFMをつけた。日曜の午後ということもあり、面白い番組がないなあと不平をこぼしていたら、突然僕らの耳を打つ不思議な歌が聴こえてきた。

 

♪恋のビッグバン!ビッグバン!♪

♪それは突然・・・ビッグバン!!♪

 

福山雅治のSUZUKI TALKING FMがかかっていた。この歌がかかるコーナーは、リスナーが自分の過去の恋愛を告白し、それを福山が時にセンチメンタルに時に面白おかしく読み上げるという内容だった。この日は、福山が読者の遠距離恋愛の悲しい結末をセンチメンタルに伝え、そしてその後この歌を連呼した。後部座席に座っていたSは、福山のこの歌が気に入ったようで一緒になって歌を連呼していた。

 

♪恋のビッグバン!ビッグバン!♪

♪それは突然・・・ビッグバン!!♪(作詞作曲:福山 雅治)

 

 *ビッグバン:約150億年前、宇宙の初めに起きたとされる大爆発。

僕らは、大きな声でこの歌を歌った。車内のテンションは笑いと歌で最高潮になった。そしてSは僕らに誓った。“俺が恋のビッグバンを起こす”と。この後、恋のビッグバンはSのテーマ曲となり、僕らの頭から離れることはなかった。

  Aを駅まで送り届け、残された僕と恋のビッグバンSは、牛若丸の鞍馬寺へと向かった。鞍馬寺は、天狗が出てきそうな修験者の面影漂う雰囲気だった。まさに隠れ里といった感じである。

 翌日、僕らは新幹線に乗る前に、二年坂と三年坂へ行った。ここで、僕はお香と奇跡的な出会いを果たすことになった。たまたま通りかかった老舗のお香やさんで、僕は、Sに勧められるまま3,000円のお香セットを購入した。そのときは、お香の価値を疑問視していたが、実際に香を炊いてみると京都のお香は香りがとても上品で、その後僕がお香にはまってしまったことはいうまでも無い。部屋でお香を炊くと、不思議な位落ち着く空間が作られ、僕の気持ちを落ち着けるには十分過ぎた。今では、お香を部屋で炊きながら、本を読むことが至福の時間だ。

  この後、僕らは京都旅行の帰路についた。僕は、帰りの新幹線に乗ると、京都旅行を振り返って、なんだか感傷的になってしまった。今回の旅行は本当に楽しかった。笑い、怒り、遊びと喜怒哀楽に満ちていた。僕は、彼らといると心から楽しいと感じる。友達とは本当にいいものだ。京都の良さをしみじみと思い出しながら窓の外を見ていると、新幹線が東京駅に到着した。親しい友人と古都の良さを満喫した最高の3日間はこうして終わった。僕らの付き合いは、社会人になってからだが、ずっと以前から知り合いのような気がする。この4年間彼らとは、様々なことを本音で話してきた気がする。最高の友人達と京都に感謝すると共に、2年後日本に帰国した時には、必ず京都を訪れたいし、彼らとはもっといろいろな場所へ旅行に行きたいと思う。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
京都旅行 (jiazhi)
2005-11-21 20:47:13
ついに完結しましたね。面白かったです。

3日間だったとは思えないくらい、

満載の旅でしたね。

てっきり一週間位の旅かと思ってましたよ。
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Unknown (Josephcunlife107)
2005-11-22 02:37:35
男三人の濃い旅でした。時間があれば、この冬一時帰国したときに詳しくお知らせします。
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一時帰国 (jiazhi)
2005-11-23 23:52:03
お~!一時帰国するんですか。

美味しい日本の食べ物食いに行こうぜー。
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帰国 (Josephcunlife107)
2005-11-24 08:43:15
日本食楽しみにしてます。12月26日の週のどこかでどうでしょうか?
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日本食 (jiazhi)
2005-11-26 16:03:47
26の週ですね。

31日から日本を脱出するので、

その前だったらいつでも良いです。
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