書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

山田孝雄 『日本文法論』

2016年10月16日 | 人文科学
 語論の要旨は従来西洋文典の範疇を以て説明したる一切の文典を否定せむとて説を立てたり。語性の異なれる国語を西洋文典の範疇によりて支配せむことの非理なることは吾人の研究の結果之を証せり。 (「序論」本書10頁、原文旧漢字、以下同じ)

 句論に至りては直接に人間思想に根柢を有す。人心の現象に大差なしとせば、東西又大差あるまじ。然れども吾人を以て見れば、西洋文典にてはなほ語と文との関係頗曖昧なるものあり。これが故に新に心理、論理等の学に参酌して之が整理を企てたる所あり。 (11頁)

 前段に就きては真に間然するところなきが、後段に就きては所謂血で血を洗うがごとしと謂えずや。心理又論理の学また此西洋の産なり。東西人心の現象の実に大差なからんか。

(宝文館 1908年9月初版、1970年8年復刻版)
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