書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

山田慶兒 『中国医学はいかにつくられたか』

2013年05月08日 | 自然科学
 中国の歴史上、「人体解剖の気運が生まれた」時代は漢代と宋代らしい。その結果、この二つの時期には人体の内臓や筋骨その他を精密に記述・描写した図や著作が著された。ただし、「人体の硬部と軟部とを問わずすべてを計量し、人体を量的に認識しようとした」漢代の「計量解剖学」(著者の造語)は、この時代のみをもって終了し、宋代に復興したそれは、「関心は計測でなく形態の記述と描写に向かい」、「人体計量値のほうは、『霊柩』・『難経』〔引用者注・いずれも漢代の医学書〕に記載されている数値がそのまま、後世まで墨守されていったのだった」。第六章中国医学の成立、本書87-89頁。

(岩波書店 1999年1月)