書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

ハーバート・リード著 田中幸穂訳 『散文論』

2017年05月11日 | 人文科学
 「書誌詳細|国立国会図書館サーチ」。

 1985年1月刊の第2刷を読む。原題は"English Prose Style"であり、しかも対象は英語全般ではなく「イギリス散文文体」である。著者は、自分はこの著書でその特質を探究するのであって、これから自分が提示するのは“文体”という言葉以外すべて個別具体な例の検討結果である、まちがっても抽象的概念や普遍的法則ではないと、序文の差書に言明している。個別例の具体的な検討に徹しているからこそ、「〈換喩〔メトニミー〕〉は特別な形式の紆説法である。ある観念と結びついたあるものを、その観念の表現に役立つように作り出すのである」という説明(62頁)が、また「〈提喩〈シネクダキー〕〉はいまでもかんたんな紆説法のもう一つの型である。物の一部で全体の表現に資するようにするのである」という説明(同上)が、では日本語におけるそれらに当たると見なされるもの、あるいは類似していると見受けられるものはどうかという思考への、発条かつ一助となりえるわけであるし、そしてゆくゆくは、白砂糖を作るための黒砂糖ともなり得るのではないかとも思える。

(みすず書房 1961年12月)
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