辛賢編著『知のユーラシア』4「宇宙を駆ける知 天文・易・道教」(明治書院 2014年1月)所収、73-94頁。
戦国時代中期の中国において、それまでの粗放な観象授時暦が精密な四分暦に転換するという事実が指摘される(81-82頁)。だがその四分暦の来歴につき些かの言及もないことに、個人的にはやや不満を感じる。
小嶋政雄氏が「
春秋の暦法に就いての試論」(1983年)で、「春秋の拠っている四分暦法は、中国独自に開発されたものではない。西紀前三〇〇年前後に東漸したと推せられる、西欧のカリポス暦法によって、遡上改装したものである」と、外来説を述べておられるからだ。