共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

カンタータ第82番 《我は満ち足れり》 BWV 82

2016年02月27日 19時53分28秒 | 音楽
昨日、Eテレの23時から「白熱音楽教室」という番組が始まりました。御覧になった方もおられたかと思いますがロンドンの王立音楽院の楽曲分析の公開講座で、第1回目が音楽の父ヨハン・セバスティアン・バッハでした。

実演を交えながら、バッハの音楽がいかに先駆的で革新的なものであったかという内容でした。その中でバッハの音楽活動の双璧を成す世俗音楽と教会音楽との解説で実演のコーナーがあったのです。

世俗音楽の代表として無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番のジーグを日本人の女性が演奏しました。彼女はなかなかの腕前で、盛んに拍手を浴びていました。講座の中では、無伴奏故に一本の単旋律のラインとして聞こえるジークの中に潜在的に流れている低声部や対旋律を(「下品なことだが」とわざわざ前置きした上で)敢えてピアノで即興的に具現化して聞かせるといった面白い実験も披露してくれました。

教会音楽の代表としてカンタータの名曲のひとつである第82番《我は満ち足れり》をバリトンとオーボエとピアノで実演したのですが、このオーボエを担当したイギリス人の学生が青息吐息でリズムも何だか危なっかしく、聞いていてハラハラさせられっぱなしでした。折角神殿にお浄めに来たマリアとイエスを見たシメオンの司祭が、救い主を見た喜びに「私は満ち足りている。いつ死んでもいい。」と感激に打ち震えながら讃えあげる聖書の場面が、綱渡りオーボエのおかげでちっとも思い浮かばなかったのです。

本来であればものすごく感動的なオブリガートなのに…と思っていたら、何だか無性にちゃんとした演奏が聴きたくなって、夜中にもかかわらず棚の奥からCDを引っ張り出して聴き直し、安心して休むことができました(汗)。

そんなわけで、フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル、ペーター・コーイのバス、マルセル・ポンセールの素晴らしいオーボエソロでお楽しみ下さい。

因みに次回の「白熱音楽教室」のテーマはモーツァルトだそうです。

Johann Sebastian Bach. Ich habe genug, BWV 82
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日の《cafe32゜F》 | トップ | 厚木の美味しいイタリアン パ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。