今日は一日茨城県

今日は一日フリーの日だったので、思い立って郷里の茨城県に出かけることにしました。

朝５時の始発に乗って、特急なんぞを使わずにひたすら鈍行で向かうこと４時間余りで水戸駅に着きました。先ずはここからバスに乗って、すっかり御無沙汰してしまっていた両親と伯父や祖父が眠る墓に参じました。

水桶に水を汲もう…としたら、何と全ての水道が凍っていて水が蛇口から出て来ない(;ﾟ∇ﾟ)！というアクシデントに見舞われましたが、気を取り直して持参した線香に火を付けて墓前に供え、長の無沙汰を詫びました。水戸駅に到着した段階で駅前の花屋が開店していなかったため申し訳ないながら手ぶらで行ってしまっていたのですが、花活けの水もカチンカチンに凍っていて結果的に供えられなかったようなので、少しホッとしました。

それから、一時間に一本しかないバスに乗って水戸駅まで戻ってから、折角なのでこれまた久しぶりに水戸東照宮にお詣りすることにしました。



水戸藩は徳川御三家のひとつでしたので、ちゃんと東照大権現様が祀られています。東日本大震災でかなりの損傷を受けたようですが、５年余りの時を経て、少しずつ復興しているようでした。

それにしても、神奈川でもなかなか寒いと思っていたのですが、さすがに北関東圏は寒い！何がすごいって



手水舎の水面に薄氷が張っていたのですよΣ(Дﾟ;/)/！私もいろいろな神社にお詣りしましたが、さすがにこの光景は初めて見ました。

ここに来て、初めて手袋を持ってこなかったことを悔やみました。しかし、この後で更にその思いを強くすることになろうとは、この時はまだ想像すらしていなかったのであります…。

参詣を終えてから再び常磐線に乗り込み、更に北上して北茨城市まで行きました。ここに、我が一族のゴッドマザーである祖母がお世話になっている特養老人ホームがあるので、年始の挨拶をしようと思ったのです。

しかし、最寄り駅である磯原駅に降り立った時、足下に何やら白いものがあることに気づきました。よく見ると、何と雪だったのであります！昨晩猛烈な寒気が南下して来ていましたが、どうやらこの辺りでは降雪があったようで、その残雪が溶けずに残っていたのです。普段かなり血行の良いのが取り柄の私ですが、さすがにこの状況下では指先が冷たく冷えきってしまい、ますます手袋を置いてきたことを悔いたのでありました…。

タクシーに揺られること15分程、小高い山の中腹に、祖母が入所しているホームがあります。



受付で名前を書いて案内してもらうと、祖母は食休みで横になっているところでした。眠ってはいなかったため、職員さんに車椅子に移動させてもらって、しばらく話に花を咲かせました。

小一時間程の面会でしたが、そこで言われたのが

「神仏を敬いなさい」
「朝晩必ず御灯明を上げなさい」
「皆で仲良く暮らしなさい」

という有り難い戒めの言葉でした。身内ながらさすがは御歳107歳、言葉の重みが半端ではありません(^^;)。

それでも、寄る年波に弱気になっているのか、言葉の端々に

「慣れ親しんだ自分の家に帰りたい」

ということが滲み出ていました。しかし、バリアフリーとは程遠い昔ながらの家に住むことはほぼ不可能ですし、介護を依頼している叔父の都合もあって、なかなか実現しないのが現実です。祖母も何処かで分かってはいるのでしょうが、やはり自分の老い先を考えると、いくら環境が整っている安心できる場所だとは言いながら、やはり祖父と何十年も過ごしたあの古い家が恋しくなっているようです。

帰り際に祖母の好きな香りのお線香を手渡して

「じゃあ、また来るからね。」

と言うと、手を握りながら小さな声で

「さよなら…」

と、まるで長の別れのような哀しそうな顔をして言うので、こみ上げてくるものを必死に抑えながら、何とか踏ん張って部屋を後にしました。でも、帰りのタクシーが来るのを待つ間にメインエントランスから見える海を眺めていたら堰を切ったように涙が溢れて止まらなくなってしまい、受付の事務員の方を驚かせてしまいました。

帰りの電車の中から見える海はどこまでも静かで、キラキラと光輝いていました。こんな穏やかな日々が少しでも祖母の元に長くあるようにと、心の底から願わずにはいられなかった旅路でした。