JOCV(青年海外協力隊)スウェーデン在住OB・OGの会

現在スウェーデン在住のJOCV参加経験者の女性2名が、2015年に偶然出会った結果生まれたブログです。

ストックホルムの短い春

2016-05-08 10:15:10 | ネットワーク
ストックホルムの春は突然訪れ、そして数日後には突然夏になります。それなのに冬が長くて暗い国に住むスウェーデン人にとって、1年でとても大切な夏至祭の頃には毎年寒くなり、冬の上着をまた取り出して着なければならないことも頻繁にあります。日本のように春を愛でて楽しんでいる暇がないのです。これは秋も同じ。ストックホルムもつい10日くらい前には雪が降る日が続いたのに、昨日の日中の最高気温は20度を超えて晴天。ストックホルムの春は実に晴天の霹靂のようにやってくるのです。

私Kと夫はバードウォッチャーなので、この短い春を楽しもうと5月5日の祭日と昨日の土曜日、ストックホルムの北ユールゴーデンというところにバードウォッチングに出かけました。ユールゴーデンというのは昔王室の狩場だったところで、ストックホルムには南と北に一箇所ずつあります。南の方は高級住宅地域に接していて有名な自然公園なので、行く人もたくさんいます。私たちがよく行く北ユールゴーデンは、ストックホルム大学のキャンパスから続いているところで、ここは人がとても少なくて静かな環境で落ち着いてバードウォッチングができます。ここに散歩に来る人たちは、主にストックホルム大学の寮に住んでいる学生や研究者やその家族です。この北ユールゴーデンの中には”大きな日陰”という名前の、日陰が全然ない広大な芝生が広がっていて、ここには古い家を改築して作った私の好きな小さなカフェがあるので、バードウォッチングに疲れたらここまで行ってコーヒーを飲みながら一休みすることもできます。このカフェには当然トイレがあるので、ここでトイレ休憩もできますが、私は主にストックホルム大学のトイレを、まるで公衆トイレ同然に使っています。

ところで話が少し脱線しますが、5月5日がお休みだったのは、もちろん端午の節句だったからではありません。その日はキリスト昇天祭でお休みだったのです。スウェーデン人には熱心なキリスト教徒はごくわずかしかいなくて、近年の教会離れは激しいものがあるようですが、1年の祭日の多くがキリスト教関係の祭日であることは面白いです。6月6日のナショナル・デーでさえ、ほんの10年くらい前から祭日でお休みになっただけで、それまでは旗日ではあったけれど祭日とは扱われていませんでした。ちなみに私が博士号の口頭試問を受けたのは2003年の6月6日で、その頃はこの日はまだお休みではなかったのです。

さてバードウォッチングの成果ですが、北ユールゴーデンは自然保護区とはいえ、ストックホルム市内にあるのですから、ものすごく珍しい鳥などはもちろんいません。何度行っても見られる鳥はだいたい同じです。たまに”あれ、今日はカンムリカイツブリが見当たらないね”とか、”今日はミサゴが見られてよかったね”などということはあっても、たいていはおなじみの鳥ばかりです。ただ春のこの時期に面白いのは、まだ木々の葉や葦の葉が開ききっていないので、鳥が営巣する様子や卵を抱えている姿をよく観察できることです。

それに巣や卵を守るための、鳥同士の攻防も頻繁に見られます。カササギやカラスは他の小さな鳥の巣を狙って卵を盗むので、それを必死に守ろうとする小ぶりの鳥たちの奮闘が見られます。5日の日は、小柄なノハラツグミが大きなカラスに空中で攻撃を仕掛けているのを見かけました。空中でカラスをくちばしで突いていました。カラスはくちばしに何かくわえていましたから、すでにノハラツグミの卵を盗んだ後だったのかもしれません。普段当たり前に見ている鳥たちが、一生懸命に生きている様子を見るのは感動ものです。写真は5日の日に見つけた白鳥の巣です。





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