JOCV(青年海外協力隊)スウェーデン在住OB・OGの会

現在スウェーデン在住のJOCV参加経験者の女性2名が、2015年に偶然出会った結果生まれたブログです。

頭脳の違い

2017-03-12 22:04:38 | ネットワーク
今週ストックホルムには雪が降り、結構積もりました。春一番の可憐な草花のスノードロップが咲き始めていたのですが、雪の下に埋もれてしまいました。ただしこの草花は春先の雪にも耐えられるようになっていて、雪が溶けたらまたちゃんと白い可憐な花を見せています。この花は私が大好きな花です。ずっと見ていても飽きない可憐さがあるのです。

さて今日は脳のできのお話。最近職場でちょっとした出来事がありました。私の勤務するセクションでは、前立腺癌の患者さんを対象に、前立腺の大きさを測定する検査と、放射線治療の準備として前立腺の中に小さな金の粒を3つ注入する作業もやります。この時患者さんは(当然全員男性ですが)、治療台の上に横たわって両足を固定されて上に高く上げられるのです。つまり女性が出産の時に取る態勢になるわけです。以前あった治療台の場合、私が患者さんの足を固定して、両足を自分の腕を使って上げていたのですが、最近ボタンで色々調節できる椅子が導入されました。

この椅子を調節するために、4種類の機能があります。まず椅子の高さを高くしたり低くしたりする機能。次に背もたれを倒したり元に戻したりする機能。椅子の部分を後ろに動かしたり前に動かしたりする機能。そして椅子全体を向こうに倒し手前が高くなるようにして、下半身を見やすくする機能。これらを操作するパネルは床に置いてあって、それぞれの機能に上向きの矢印と下向きの矢印がついたボタンがあって、それを足で踏んで色々操作して、検査しやすい状態に調節するわけです。

この椅子が導入されたばかりの頃は、ドクターのアシストをする私が足でボタンを踏んで調節していました。最初は少し時間がかかりましたが、慣れてくるとすぐにドクターが仕事をしやすい状態に調節できるようになりました。ところがこの操作をドクター自身がやるということになり、C先生がどうしてもいつも椅子の背を調節するボタンを踏み間違えて、倒すべき時に起こしてしまい、起こすべき時に倒してしまうのです。この検査は主にC先生がやるのですが、たまにG先生やP先生もやることがあります。どうやらG先生もこのボタンがうまく操作できないようです。

ある日私は冗談で、”私の方がうまく調節できますよ”と言ったら、C先生はムキになって”そんなことはない”と言い張ります。私は私で、私の方がうまくできると言い張ったら、C先生もとうとう”そうだね”と言いました。ところがそれに続けてC先生は、”この背もたれのボタンはどうしても理解できない。矢印の方向が間違っている。絶対におかしい”と言うのです。私はそれを聞いてひどく驚いてしまい、先生が何が理解できないのかが理解できませんでした。

以下が私KとC先生の会話です。

K:先生が何が理解できないのか私には理解できません。

C先生:この矢印の上下が間違っているからいけないんだ。上向きの矢印を踏んだら、すべての機能は向こうの壁に向かって動かなくてはいけない。でもこの背もたれの上向きの矢印を踏むと、背もたれば向こうの壁に向かって動くのではなくて、こちらに向かって起き上がってくる。これは絶対におかしい。

K:先生、この矢印は方向を表しているのではありません。

C先生:じゃあ何を表しているんだ?

K:それそれの機能のレベルを表しているのです。つまり上向きの矢印を踏むと、背もたれの起き上がりの程度が高くなるようにできているのです。

C先生:君、物事はそんな風に考えるものじゃない。いいかい、物事はとにかくできるだけシンプルなロジックで考えるのが一番だ。僕の父は僕にいつも、物事はシンプルなロジックで考えろと言っていた。僕は息子たちにも同じことを言って聞かせている。上向きの矢印は、ボタンを踏んだら全ての機能が向こうにある壁に向かって動くべきだ。だからこのボタンはおかしい。矢印を付け替えるべきだ。

K:先生、私は私で自分のロジックで作業をしています。私のロジックでは、矢印の上下は機能の程度の上下を表しているのです。

C先生:そんな考え方は変だ。僕がスウェーデンに来たばかりの時(C先生は外国人)、I.Qテストを受けたことがあるが、あれは単純なロジックで解くのが一番なんだ。僕はその方法ですべての問題を50秒で解いてしまったけれど、隣の人は15分かかってもできなかった。試験官は僕が同じ問題を以前にやったことがあるだろうと言ったけれど、僕にはそのテストは初めてのものだったんだ。でも試験官は絶対にそんなはずはないと言って信じなかったけれどね。とにかく物事は四角張ったロジックで考えるのが一番だ。

K:先生、私は社会科学者なので、別のロジックで動きます。それに私は四角いものが嫌いで、テーブルだって角が角ばったものは好きではありません。四角張った考え方よりも、柔軟な考え方が好きです。

C先生:でも四角張ったシンプルなロジックが問題解決には一番なんだよ。物事は難しく考えちゃいけない。


このようにC先生が主張されるので、数日後私はその問題の矢印の上から、赤の矢印で方向を逆につけて差し上げました。私は元々の矢印に問題は見出さなかったし、P先生も問題はないのです。同僚も特に問題ないと言っていたので、要するにC先生の脳の構造は私たちとは違うのだという結論に達しました。もちろんこれは誰が正しいという問題ではなくて、要するに物事の理解の仕方が全く違うのですね。これはとても面白い経験でした。
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