中央線から「朱色1号」が消えて

2011年04月23日 | 201系
はじめに
 2011年10月に中央線から201系が引退してE233系により統一されるとともに,ラインカラーであった朱色1号,いわゆるオレンジバーミリオンが中央線から消滅した.朱色1号は101系登場時に誕生し,半世紀以上にわたり中央線のラインカラーとして親しまれてきた. しかしE233系ではオレンジ色の帯が採用されたものの朱色1号ではなく明るいオレンジ色となった.
 首都圏で周りの電車が次々とステンレス車に置き換わる中,中央線と青梅線だけ最後まで車体全てを塗装した鋼製電車の201系で統一していた.特に中央線は新性能電車である101系が最初に投入されたと同時に車体色による路線識別,いわゆるラインカラーの発祥路線である.そのためか中央線と朱色1号は切っても切れない関係があるように思えた.しかし201系の後継車E233系は朱色1号を継承せず201系で半世紀以上にわたる歴史に終止符を打ったのは非常に残念である.
 そこで中央線から朱色1号が消滅することを契機に同線を支えたオレンジ色の電車3形式をネクタイピンにする企画が持ち上がった.201系生誕30周年記念と同様に私のところにデザインの依頼を頂いた.
 この企画は中央線201系引退目前の2010年夏頃から動き出し,つい先日完成品が手元に届いたのでそれまでの経緯云々も含めここで紹介しておきたい.

デザインについて
 この企画の趣旨は中央線のラインカラーである朱色1号を纏った同線の電車,101系・103系・201系を並べたいというものであった.通常この手の企画なら単純に3形式を並べ,その趣旨の文章,この場合なら「chuo-line 101・103・201」とか「Good-bye ORANGE」等の文字を横に並べるのが通例となる.ただこの3形式は中央線と並行する中央総武緩行線でも使用,103系においては首都圏のほかの路線や関西圏でも使用されておりバリエーションとしてカナリアやスカイブルーの展開も容易に考え付いた.そのためあえて表面に文字は入れないでデザインで中央線を表現しようと考えた.

 中央線の特徴として御茶ノ水から三鷹まで急行線と緩行線の複々線区間で,中でも四ツ谷や御茶ノ水付近は両線区が入り組んで複雑な線形となっている.そこで御茶ノ水付近をネクタイピン上に再現し中央線をさりげなく表現することにした.
 
 デザインはCADで行い元々ある201系の図面を基に101系と103系を作図,屋根Rの違いや101系らしい表情の再現に注意した.表現した線形は下り線を光沢,上り線を艶消し仕上げとし差別化した.この表現方法についても製作サイドとの打合せを何度か行い確実に仕上げるよう進めた.

 並べる車両については時代考証等の点から当然全て国鉄時代とし,201系量産車が登場し3形式が同時に使用されていた1981年頃とした.そこで選定に困るのが103系で当時中央線では低運転台と高運転台が使用されていた.中央線の個人的なイメージとしては低運転台でクモハが2両入った編成だが,101系と並べた際に顔が似ているため変化が無く面白みにかけるため高運転台を選定した.
 また今回国鉄仕様のため以前製作した201系のようにスカートが無いため床下の台車や排障器等細かく表現する必要があり若干苦労を要した.特に101系や103系は201系のように資料が多くなく苦労したが偶々東京総合車両センター公開で撮影していた写真が役に立ったのは幸いだった.

完成したネクタイピン
 以前四季彩で失敗したことを踏まえ,私が描いているイメージに近づけられるよう緻密に作図を行った.また企画を提供して頂いた天賞堂のT氏には最大限配慮して頂き,デザイン提出後は何度か製作サイドとの打合せを行い納得のいくものに仕上げようと進めた.その甲斐あって試作品として出来てきたものはデザイン画を綺麗にトレースし,仕上げなども思い描いたものに限りなく近く満足できる仕上がりだった.

 出来上がった製品は床下の表現が相変わらず秀逸であった.車体も101系,103系,201系のそれぞれをデザイン画通り再現し各形式の顔を再現できていた.今回一番の肝である線形のデザインも打合せ通りの出来で全体を通し非常に満足できる仕上がりとなった.

バリエーション
 オレンジの中央線と併走する中央総武緩行線用のカナリアに関しては当初から生産を予定していた.国電といえばオレンジ・カナリア・スカイブルー・ウグイス・エメラルドグリーンの5色である.しかし5色全て纏った形式は103系のみで101系や201系は限られた色しかなったが,遊び心というか某模型メーカーのようなフライング的な例もあるので今回一気に5色全て生産することとした. スカイブルーは違和感を感じないが,さすがにエメラルドグリーンの201系は不思議な感じである.
 
 以前製作した201系や四季彩でも少数生産したのが女性用ネクタイピン.最近は鉄道会社でも女性社員が増え車掌や運転士として見かける機会も増えた.そんな中で少なからず要望があったのが女性用ネクタイピンで通常の男性用とは逆向きにクリップが取り付けてある.それ以外は通常のものと変わらない.

中央線にこめた思いを裏面に
 表面にはあえて文字を入れなかったので裏面に今回の趣旨である中央線から朱色1号が消滅する旨を記載することしたが,さすがに中央線伝統のオレンジ色に対して簡単な一言では足らないため文章を決めるのに時間がかかった. 入れたいキーワードを書き出して簡潔で中央線や朱色1号に対する思いもこめたいと試行錯誤.最終的には…
 朱色1号“オレンジバーミリオン”
   首都圏通勤輸送の主軸を担った半世紀
 中央線快速電車-101系・103系・201系-

の3行を入れることにした.
この文章はオレンジ色のものに関して入れてあり他の色には入れていない.


201系のネクタイピン,その後
 最初に手がけた201系並びのネクタイピンはかなり好評のようで度々再生産を行った.基本はオレンジとカナリアの並びとなるが,何種類かカラーバリエーションも増やし色々楽しんでいる.
 
 バリエーションも左側が電照式ヘッドマークを装備した形のため中央線用に限定される.そのため右側の色を変えて現在もかろうじて活躍しているスカイブルーの京葉線,オレンジ色で原型の前面に近かった青梅線用をイメージした2種類を生産した.(写真左) このほかに個人的な趣味で中央線用の電照式ヘッドマークに白色を入れ特快系に.また緑色を入れホリデー快速のイメージで計3種類生産した.(写真右)さすがに文字は入れられないので遠目から見たイメージで.

いつでも身に付けられるように
 私はスーツを着る機会が殆ど無いためネクタイピンを持っていても持て余しているのが現状.そこで裏面に針を立てたピンズを生産した.ピンズにすることで鞄や普段着に取り付けることが出来るようになった. また電車のタイピンということで明るい車体色であり普段の服装のアクセントにはちょっと目立ちすぎる感もある.そこで車体色を入れない無色タイプも生産した.
 
 車体色は入れないが201系はブラックフェイスのみ,101系・103系は前面窓ガラスのみ黒を入れている.あえて車体色を省略したことで細かい彫刻が際立ちより魅力的なものになった.
 元々冠婚葬祭にも付けられれば…という考えだったが今では無色のピンズは普段着のアクセントとして常に取り付けており個人的には非常に気に入っている.

■最後に
 中央線の歴史的出来事である朱色1号消滅という瞬間をネクタイピンの製作という形で残せたことは中央線で育ってきた私にとっては大変意義があった.今回もこのような企画を提供していただいた担当のT氏には大変感謝してる.

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