試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3300形モハ3314[3316F-1] 新赤電色 クロスシート試作車 動力ユニット整備(経年対策)

2017-06-17 21:26:29 | 京成線:3300形
異色。

動力ユニット整備のためマイクロエース製京成3300形3316F新赤電色クロスシート試作車(3316F-1)が入場した。
初出場時は4両編成千葉線仕様としたが実車の運用に倣いモハ3310+モハ3309新赤電色(3312F-1)を増結し6両編成(3316F-2)化した。
この際モハ3316の種別幕をマイクロエース製英字無併記[普通]幕から富士川車輌工業製[特急]幕へ改めた。
現在3000系列新赤電色グループ唯一の[特急]でクロスシート試作車組成も相俟って特色のある編成になっている。


京成3300形3316F 新赤電色 クロスシート試作車。
3316F-1:[3316]-[3315]-[3314]-[3313]。

3316F-2が基準編成でモハ3313は先頭に立たない。
そのため簡易的な中間組込対応化を施し貫通幌取付,ライトユニット撤去を行った。
また元モハ3264新赤電色(部品取車)と行先方向幕窓セルを振替え基準幕の青味が強いセルを組込んでいる。
種別表示器は縛りが無く富士川車輌工業製ステッカーの[]幕を起用し独自の雰囲気を持つ。
その後モハ3312+モハ3311新赤電色(3312F-1)との増結にも対応させ随時2+4+2編成(3316F-3)も組めるよう深化した。
モハ3316は先頭車を兼ねるためライトスイッチをOFFに切り替えるだけで8両編成対応としている。


モハ3314 新赤電色 クロスシート試作車(3316F-1)。

3316F-1の外観は[クロスシート試作車]ステッカー再現以外の特徴は無いに等しい。
4種のクロスシート配置を各々再現した座席部品がこの製品の売りと言えよう。
しかし室内灯を使用しておらずその特色が判り難かった。
2次に渡りクロスシート背摺へ色挿しを行い少しでもロングシート車との差別化を図った。
動力車のモハ3314は背摺が低く編成中では一番目立ちにくい存在に甘んじている。


入工中のモハ3314。

マイクロエース製3300形グループで3316F-1は高経年車に入る。
よってある程度の劣化は予想できていた。
3000系列唯一の[特急]と言う事もあり比較的出番は多い。
その割には動力ユニットからの異音も無く順調に稼働していた。
固形化が進んだ純正グリス除去が中心になると考えていたが実際には異なる展開が待っていた。


絶望的な酸化度合いの導電板。

動力ユニットを分解するとどす黒く変色した導電板が現れた。
加えてユニットカバーが油に塗れており唖然としている。
取り敢えずクリーナーで油脂を落としたがこのまま作業を進める気になれなかった。
どうしてもユニットカバーに広がる油が気になる。
通常とは順番を変えKS-121動力台車から整備を開始した。


純正グリスの少ないKS-121動力台車。

KS-121動力台車はギアも含め全てサックスブルーの成形品である。
劣化した純正グリスの状態が判別し易い色合いだが予想に反して目立った塊は見られなかった。
ギアボックス内壁こそ薄い純正グリスの幕に被われていたもののサックスブルーが隠れるほどではない。
台車枠や動軸ギアも同様で面食らった。


清掃を終えたKS-121台車枠と動軸ギア。

いまいち納得できないままKS-121動力台車の清掃に着手した。
先ず台車枠と動軸をばらし僅かに残る純正グリスを除去している。
台車枠はクリーナー,動軸ギアはクリーナー+極細綿棒+歯ブラシであっと言う間に清掃を終えた。
この時点でも油塗れのユニットカバーに納得が行かずモーター周りの点検に移行した。
モーター軸に油脂付着を発見したが固形化が進んでおり油流出とは関係無いらしい。


モーター軸を被っていた油脂。

但し油脂付着量はこれまで整備してきた動力ユニットに比べて非常に多かった。
一度では取り除けず一旦モーター軸上で寄せ集めた後に極細綿棒で掬う様に除去した。
LOTが古いため入場前の状態に関わらず注油を行っている。
元々稼働状態が良かったせいかモーター単独駆動試験での変化は全く感じられなかった。


グリス除去を行ったギアボックス周り。

モーターの駆動状況を確認し再びKS-121動力台車の整備に戻った。
前途の通り純正グリス残量が少なくギアのクリーナー浸けは行っていない。
ギアはクリーナーを浸した極細綿棒で大方のグリスを落とした後に歯ブラシで仕上げている。
ここでKS-121動力台車を組み上げスパイラルギア部を確認した。
するとスパイラルギアカバー内側に劣化した純正グリスの塊が残っていた。
ユニットカバーを油塗れにした原因はここにあったと思われる。
既に固形化していたが粘度が低いままであればユニットカバーへの進出は防げなかっただろう。


整備を終えたKS-121動力台車。

ユニットカバーに付着した油脂の原因がほぼ絞れたため導電板磨きに入った。
導電板は過去に入場した動力車でも見られない程酸化が進行し最悪な状態だった。
磨き始めはラプロス#4000の目が瞬く間に詰まり使い物にならなくなった。
都度裁断したラプロスを用いているが片側だけで4回も取り替えを強いられている。
またユニットカバーの背摺に色挿しを施しているため塗料にビニール手袋が当たらない様気を配る必要もあった。
色挿しには枕カバー:油性ペイントマーカー,デコラ:ガンダムマーカーを採用した。
ガンダムマーカーは耐性が低く作業効率を極端に下げる要因になってしまった。


磨き出し中の山側導電板。

それでも少しずつ導電板は輝きを取り戻し始めた。
途中で海側と山側を比較したがその差は歴然としている。
なお導電板長手方向の両端は細帯状に曇りが残り磨き上げまでかなり時間が掛かってしまった。
最後にクリーナーで拭き上げるとは言え出来る限り状態を上げたい。
約20分を要しながらも納得の行く仕上がりを迎えた。


整備を終えた動力ユニット。

導電板以外は比較的状態が良く整備前後で大きく変わった雰囲気を得られなかった。
津川洋行製ホイールクリーナーでの踏面清掃時も低速からスムーズに立ち上がっている。
結果的にモハ3314の動力ユニットは導電板の状態が極端に悪かっただけに留まった。
モーター軸の油脂付着も稼働具合には影響を及ぼしておらず試験走行も順調にクリアした。
モハ3314新赤電色の動力ユニットはモハ3310現行色中期仕様(3304F-4)でも使用している。
純正グリス量はほぼ同等で2編成が回着した3316F新赤電色クロスシート試作車は共に当たりだったらしい。


剥がれなかったクロスシート背摺部色挿し。

導電板研磨に苦労したが気を付けたクロスシート背摺の色挿しは全て残ってくれた。
ユニットカバーは何度も持ち替えた。
枕カバー再現に油性ペイントマーカーを用いたのが奏功したと思う。
心配された窓側のデコラ再現もよく持ち堪えてくれた。
目立たないながらも数少ないアピールポイントである。
所有車両では珍しいクロスシート車で差別点を傷めずに済んだのは収穫と言えよう。




3316F-2 (4+2編成)。

モハ3314の竣工で3316F-1が再出場した。
再び3312F-1との4+2編成に復帰しモハ3313は編成の中間に封じ込められている。
傾いた[]幕が気になったがライトレンズを固定しており修正には一手間を要する。
今回は見送りとするが折を見て改善したい。

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