試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3300形モハ3349[3328F] 新赤電色 (車体塗装修正,床下機器配置変更,山側車両番号標記修復施工) ※TOMYTEC製

2019-10-01 21:34:47 | 京成線:3300形
偏位。

初日の整備を終えたTOMYTEC製京成3300形モハ3349新赤電色(4次車:3328F)は2日目での竣工を目指す。
モハ3328新赤電色(3次車:3328F)は車体,側面窓セル双方とも修正個所が海側に集中した。
これに対しモハ3349は山側に瑕疵を多く抱える難敵で組み立てた後も車体との格闘が続いている。


京成3300形モハ3349 4次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

課題だった前面窓セルの運行番号表示器印刷は無難な結果を迎えられた。
その一方で運転台側前面窓内の黒点だけは最後まで解消出来ず修正を放棄している。
貫通幌座の補修部も予想より修正個所が増え油性メタリックマーカーによる補修痕が隠せない。
そのためモハ3312,モハ3309新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3),モハ3328よりも前面見附に劣る事態が避けられなくなった。
せめて編成見附だけでもある程度の体裁を保つべく作業再開前に各部の点検を行っている。
すると車体山側にはモーンアイボリー塗料の撥ねが多数あると確認された。


入工中のモハ3349。

更に[モハ3349]標記印刷まで欠損がありモハ3328の車体海側を越える補修規模が確実となった。
側面窓セル窓サッシ印刷は乱れこそ少ないものの山側上野寄車端ユニット窓部に大きなはみ出しがある。
さすがに見過ごせない状態であり車体と側面窓セルのどちらから手を着けるのが効率が良いか頭を抱えた。
モハ3350新赤電色(4次車:3328F)までは車体に問題が無く側面窓セル窓サッシ印刷修正を優先していた。
しかしモハ3326新赤電色(3次車:3328F),モハ3328と相次いで側扉靴刷り印刷の補修に苛まれる。
モーンアイボリー塗料の補修はモハ3349が初となったため車体塗装修正を第一工程に前倒ししている。


側面行先表示器にまで付着していたモーンアイボリー塗料(山側)。

広範囲に渡るモーンアイボリー塗料の撥ねは一部が車体断面まで達していた。
側扉靴刷り印刷修正と同じく赤マッキーを乗せていくが付近にモールドが無くペン先は当て易かった。
そのため事務用消しゴムでのインク塗布面積縮小は殆ど行っていない。
ただ塗料撥ねそのものに厚みがあり補修痕には影が生じる弱点を抱えている。
車体断面を含め全てのモーンアイボリー塗料撥ねを塗り潰し側面行先表示器基準幕化に移った。
山側側面行先表示器は青色塗料が行き渡っておらず[成田]表示用白色塗料を覆いきれていないように見えた。
ところがこれもモーンアイボリー塗料であり側面行先表示器窓Hゴム支持モールドとの段差が浅くなっている。
青マッキーのインク除去はモハ3350新赤電色(3328F)に於ける修正で痛い目に遭ったばかりだった。
よって極細字側で点状に並べた青インクを繋げモーンアイボリー塗料隠蔽へと持ち込んでいる。


同様の見附になった側面窓セル窓サッシ印刷。

海側用側面窓セル窓サッシ印刷は側面窓へのインク進出が小幅に留まっていた。
だが磨きクロスで拭き上げたところ一部に剥離が発生し当該部だけ油性メタリックマーカーを塗布した。
これ以外は敢えて手を出す状態ではなくほぼ入場前と同様の見附が保たれた。
対する山側用側面窓セルは前途した銀色塗料はみ出し個所に加え上段サッシ手掛け再現付近の剥離が目立つ。
上段サッシは全て油性メタリックマーカー再現へ改め側面見附を引き締めた。
側面窓へのインク侵出嵩は約1.0mmに達しておりせめて1/3程まで圧縮したい。
しかしラプロス#8000でも薄くならない強固さを誇りクラフトナイフの背で直に削り落とした。
これにより発生した擦過痕は事務用消しゴムで出来る限りの透過率向上を図っている。


手応えが薄くなった側面窓セルの嵌合。

海側,山側とも側面窓セルは大凡同様の雰囲気に達し車体を組み立てる。
分解前は撤去に労するほど前面窓セルと強固に噛み合っていた側面窓セルだが様相が変わっていた。
側面窓セルは何の抵抗もなく前面窓セル凸形成形部を往なし正規位置に嵌まってしまった。
むしろ嵌合に不安を抱く噛み合わせ具合しか確保されず入場前とは正反対の結果になった。
そして富士川車輌工業製行先方向幕ステッカーを貼付し全行先表示類の変更が完了する。
この際前面窓セルの嵌合は相変わらず固いままだと判り行先方向幕前進代調整を行った。


完成したモハ3349用床板一式(山側)。

モハ3349は成田寄M2車であり例によって電動発電機を山側へ移設する。
台枠取付口と床下機器部品嵌合爪の嵌合精度が低く当初は床下機器配置変更を楽に行えると考えていた。
しかしモハ3328での結果通り相互交換する床下機器部品には固い嵌合が適している。
2器の床下機器部品は垂直及び平行合わせと戦いながら流し込み接着剤で溶着した。
3300形M2車用座席部品は歪みが発生し難い模様でモハ3349も製品原形のまま床板一体化を施せた。
締結ピンも支持力不足は生じず金属車輪化したFS-329D非動力台車が脱落する事態には至らないと思われる。


[モハ3349]:山側。

残る問題は印刷が崩れた山側の[モハ3349]標記をどの様に修正するかとなった。
TOMYTEC製品の改番は京成200形206F更新車晩年仕様(206F),500形502F更新車荷電代走仕様(502F206F)で施工済だった。
何れもラプロス式にて[モハ206],[モハ207]標記印刷の消去を行い改番,形式変更している。
だが青電色の再現都合により塗装被膜が厚かった200形更新車ですら消去成功率は余り高くない。
新赤電色でラプロス式を用いると成形色露出の危険性が高まるため爪楊枝式印刷消去に変更した。
既に[モハ3349]標記印刷は半分近くが失われており容易に[モハ3349]へ持ち込めると思われた。
しかし擦過痕の発生を嫌った結果剥離には繋がらず車両番号標記印刷消去は失敗に終わる。


[モハ[33][4][9]]:山側。


[モハ3328]:海側。

間の抜けた[モハ3349]標記印刷から脱するには車両番号標記インレタを直接転写するしかない。
幸い206F,502Fで使用したグリーンマックス製京成形式用インレタは3300形用組標記が残っていた。
これを[モハ3349]標記印刷に被せたところどうにか誤魔化せそうな気がした。
グリーンマックス製インレタの3300形組標記は3304F用,3316F用と1次車向けしか含まれていない。
よって[モハ]+[33]+[4]+[9]での継ぎ接ぎ転写とし[モハ3349]標記印刷の上から覆った。
さすがに繊細さこそ感じられないものの無事[モハ3349]標記を取り返せている。




モハ3349 [B37 普通 津田沼]:貫通幌座・ライトベゼル修正,種別表示器・運行番号表示器追設,行先変更,走行部品組込施工。
※TOMYTEC製。


モハ3328 [B37 普通 津田沼]:3328F(ライトベゼル修正施工車)。
※TOMYTEC製。

床板の組み込みは行先方向幕位置がずれないよう前面窓セルと運転台側台枠の接触に注意した。
嵌合が緩くなった側面窓セルの影響は感じられずモハ3312,モハ3309(3312F-3),モハ3328と殆ど変わらない車体剛性を得られた。
油性メタリックマーカーに変更した貫通幌座修正方式だが水切り下部の印刷欠けは修復出来た。
その代わり銀色の質感が異なる等裏目に出た箇所も見受けられ更なる工夫を続ける。
一方ライトベゼル再現への油性メタリックマーカー採用は当たりモハ3328の前面見附と同格に達したと思う。
運転台側前面窓内の黒点だけは個体差による仕業であり致し方ない。




モハ3349(3328F:車体塗装・側面窓セル窓サッシ印刷修正,走行部品組込,床下機器配置変更,側面行先表示器基準幕化施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3325(3328F:床下機器配置変更施工車)。
※TOMYTEC製:M2'車。

1箇所だけ海側にもモーンアイボリー塗料が飛んでいたため補修を行ったがその痕跡は伺えないと思う。
モーンアイボリー塗料は銀色塗料よりも隠蔽し易く修正個所が多かった割に側面見附を崩す事態には至らなかった。
電動発電機を山側へ移設する床下機器配置変更はTOMYTEC製京成3300形M2車系に於ける共通仕様である。
3328Fで最初に入場したM2車系はモハ3325新赤電色(成田寄M2'車)でこの時から現物合わせを廃した。
その余波も無くモハ3328を含めた3両の床下見附は無事合致してくれた。
モハ3349(3328F)の竣工により3328Fは6両全車が第二次整備を終え出場目前となった。
最後にモハ3327新赤電色(3328F)の側面窓セル窓サッシ再現修正を行い全工程の締めとする。

京成3300形モハ3349[3328F] 新赤電色 (貫通幌座修正,運行番号表示器印刷消去,種別表示器交換施工) ※TOMYTEC製

2019-09-30 21:43:43 | 京成線:3300形
前途多難。

TOMYTEC製京成3300形3328F新赤電色(3,4次車:3328F)の第二次整備もモハ3349を以て終了となる。
様々な災難が重なりモハ3328新赤電色以下5両(3328F)では1両たりとも真っ当に整備を終えられた車両が存在しない。
第二次整備整備を締めくくるモハ3349は貫通幌座,ライトベゼル修正を要するため最後まで製品仕様に振り回される結果となった。


京成3300形モハ3349 4次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

モハ3349(3328F)の整備工程はモハ3312,モハ3309新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3,モハ3328を踏襲する。
2日目の作業を側面窓セル窓サッシ印刷修正から開始するには貫通幌座,ライトベゼル修正まで完了させる必要がある。
このうちライトベゼル再現はモハ3328への施工で油性メタリックマーカー式が通用すると判明した。
従ってモハ3312(3312F-3)と同じく貫通幌座の修正が重要項目となる。
モハ3312では油性ペイントマーカー式での補修を採用したが決して出来映えが良いとは言えなかった。
塗装被膜にも個体差があると思われ一度空振りに終わった油性メタリックマーカー式を試行する。


入工中のモハ3349。

その前に立ちはだかる工程は前面窓セルに印刷された運行番号表示器の消去である。
モハ3328では白色印刷が点状に残り別途追設した運行番号表示器で隠蔽する方式を採った。
この点からも3312F-3との個体差が垣間見えモハ3349の運行番号表示器印刷消去は一癖あるものと予想している。
ただ白色印刷は運行番号表示器枠以外を消去できれば視認可能な状態に持ち込める。
TOMYTEC製京成3500形モハ3556,モハ3553朱帯色後期仕様(3次車:3556F)では激しい擦過痕や亀裂まで生じさせた。
印刷消去に大失敗した両車だったがモハ3328と類似した隠蔽策で竣工へと至らせている。
この事例を基にモハ3349の運行番号表示器印刷は完全消去前での中止も選択肢に含めた。


異様に嵌合が固かった側面窓セル。

モハ3312,モハ3309(3312F-3),モハ3328用側面窓セルは比較的容易に取り外しが行えた。
ところがモハ3349用側面窓セルの嵌合は非常に強固で前面窓セル凸形成形部とがっちり噛み合っていた。
偶柱部へニードルを差し込んでも凸形成形部を起点に湾曲するだけで側面窓セルの嵌合が解けなかった。
嵌合精度は海側,山側共通であり前面窓セルを撤去する前に障害が出現した。
この様な状況に陥ると直接前面窓セルの凸形成形部を直接乗り越えさせるしか術がなくなる。
ニードルは挿したままとし先端を鋭角に切り落とした爪楊枝を嵌合部へねじ込み半ば無理矢理撤去した。


何とか車体から外した前面窓セルと貫通扉部品。

やっとの思いで両側の側面窓セルを取り外したが今度は前面窓セルが外れてくれない。
行先方向幕部を押し込む程度では微動だにせず貫通扉ごと押し出す方式に切り替えた。
しかし貫通扉も嵌合が固く多少斜めになるだけでそれ以上の進展は見られなかった。
分解を阻む原因は貫通扉部品にあると思われ車体前面から片側のライトベゼルへ圧を加える。
すると貫通扉部品の反力が強かったせいか前面窓セルもろとも弾け飛んでいった。
異様に固かった側面窓セルの嵌合は貫通扉部品が関係していたのかもしれない。


まずまずの結果に達した運行番号表示器印刷消去。

前面窓セルは種別表示器部周りを切除しプラ板式種別表示器設置に備えた。
そして運行番号表示器印刷部を薄め液に浸し[■ ■ ■]表示の消去へ取り掛かる。
余り長く薄め液に漬けると通過標識灯レンズ部の変形を招く可能性がありモハ3328より早めに極細綿棒へ持ち替えた。
白色塗料は大半を削ぎ落とせたが僅かに線状の印刷跡が残る結果となっている。
薄め液は助士側前面窓だけ浸かるよう配慮したが運転台側黒Hゴム支持再現まで剥離が進行していた。
モハ3349用前面窓セルは運転台側前面窓黒Hゴム支持再現にも剥離箇所があり作業中に症状を悪化させたと思われる。


運転台側前面窓セル内部に残る黒色塗料。

助士側前面窓黒Hゴム支持再現は運行番号番号表示器印刷の消去過程で殆どが失われていた。
当初から運転台側もHゴム支持モールドをマッキーで塗り潰す予定だったが余りに剥離が酷い。
上塗りでは波打ちが激しくなると予想されたため運転台側前面窓下辺の一部を除き黒Hゴム支持印刷も消去する事にした。
細綿棒に薄め液を浸し黒色印刷の除去を進めていくとどうやっても落とせない箇所が現れた。
運行番号番号表示器印刷痕とは異なり隠蔽策が採れず完全消去を目指した。
終いにはラプロス#8000まで当てたものの黒点は居座り続ける有り様で面積縮小も実現しなかった。
前面窓セル両面から修正策を施しておりこの黒点はセルに練り込まれた状態だったと思われる。


完成形に達した前面窓セル。

ラプロス#8000で生じさせた擦過痕は事務用消しゴムを当て続け透過率を製品並に戻した。
思いの外早く修復を終えられたが皮肉にもモハ3327新赤電色(3328F)での修復作業が参考になっている。
なお助士側前面窓に残っていた運行番号表示器印刷跡は何時の間にか消え去っていた。
擦過痕修正を進めている最中に何かの拍子で勝手に削がれた模様である。
前面窓黒Hゴム支持はマッキー再現であるがHゴム支持モールドへの直接塗布に変わり入場前よりも状態が良くなったと思える。
モハ3328で失敗した運行番号表示器用プラ板は慎重に切り落とし前面窓セル内部との接着剤代を確保した。
これによりモハ3349用運行番号表示器の安定性はモハ3328を凌ぐ答が得られている。


油性メタリックマーカー単独で補修中の貫通幌座。

モハ3312(3312F-3)では相性が今一つだった油性メタリックマーカーだがモハ3349の貫通幌座には馴染んでくれた。
但し印刷が乱れた箇所は水切り直下に位置しておりペン先の裁きを難しくさせる。
一度修正から離れ車体裾断面にてインク剥離試験を行いファイアーオレンジ地の復旧が可能と確認した。
この試験結果を受け水切り部も含めて油性メタリックマーカーを塗布した後に修復へ当たっている。
油性メタリックマーカーのインクは側面窓セル窓サッシ印刷補修と同様に爪楊枝で除去を進めた。
当初は水切り直下だけが修正対象だったがその他にも塗装の甘い箇所があり追加補修を行っている。


眼力が強くなった前尾灯。

ライトベゼル前端はファイアーオレンジ地が透けている状態で4灯全てを油性メタリックマーカー再現に変更した。
前端に加え側面への廻り込みも不十分でありモハ3328と同様の修正方式となっている。
ファイアーオレンジ地を失いたくなく銀色塗装の剥離は見送られたためライトベゼルには歪みがあるように見える。
それでも前尾灯の存在感が強くなり入場前よりも雰囲気は良くなったと思う。
富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕ステッカーを貼り付けたプラ板は広幅仕様とした。
貫通扉裏面との接着面には十分な余裕があり想定通りの位置に固定されている。

種別表示器の取り付け後に一旦貫通扉部品と前面窓セルを車体へ組み込みその状況を確認した。
分解で苦戦した直後でもあり不安が過ったが今回は問題無く着脱を行えている。
ただ前面行先方向幕が思ったより前進せず行先方向幕ステッカーの貼付が不安要素となった。
側面窓セルを装着すれば多少は改善されると思われるがどの様に角度が変化するかが問題である。
モハ3328は前面窓セルの角度微調整でモハ3312,モハ3309(3312F-3)と揃えられた。
この工程は実質最終項目でありモハ3349も最後まで気の抜けない作業が続くと思われる。

京成3300形モハ3328[3328F] 新赤電色 (車体塗装・側面窓セル窓サッシ印刷修正,床下機器配置変更施工) ※TOMYTEC製

2019-09-29 23:19:52 | 京成線:3300形
曲者。

TOMYTEC製京成3300形M2車の整備は先発入場した3312F新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3)から2日間に分割された。
これは運行番号表示器消去以外にモハ3312:貫通幌座印刷修正,モハ3309:ライトベゼル再現補修が加わった事に拠る。
出場の遅れには繋がったが焦らずにモハ3312,モハ3309(3312F-3)を竣工させられる決め手にもなった。


京成3300形モハ3328 3次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

この流れに従いモハ3328,モハ3349新赤電色(3,4次車:3328F)も第二次整備を2日に分ける方針が決定する。
モハ3349は貫通幌座,ライトベゼルの修正を要しモハ3312,モハ3309(3312F)とほぼ同一工程になる。
一方モハ3328は修正個所が無い代わりに行先表示類の選定が重要項目となるはずだった。
しかし蓋を開けてみるとライトベゼル再現が甘くモハ3309(3312F-3)と類似の作業へ変わってしまった。
第二次整備2日目は運行番号表示器の追設が第一工程であり早急に行先表示類を決定する必要があった。
限られた時間の中で各種資料を確認しどうにか作業再開前までに行先表示類確定へと持ち込んでいる。


入工中のモハ3328。

モハ3328の作業1日目は前面窓セルと貫通扉部品との格闘に終始した。
現状はモハ3327新赤電色以下5両(3328F)が整備入場を迎えた時点と殆ど変わっていない状態である。
取り敢えず側面窓セル窓サッシ印刷修正と床下機器配置変更はTOMYTEC製3300形M2車の決定事項だった。
そのため初日よりも工程数が多く容易には作業が進まないと分かり切っていた。
早々に自作ステッカーの切り出しへと取り掛かり追設する運行番号表示器を製作した。
3312F-3と同じく運行番号表示器は助士側前面窓セルモールド内上部に接着する。
運行番号表示器はステッカーを切り出した後にt0.5mmのプラ板へ貼付している。
その後ステッカー四辺に合わせてプラ板を裁断するが今回は刃を入れる角度が斜めになってしまった。


固定に難航した運行番号表示器。

プラ板の天面は接着代を兼ねる関係から大きな傾斜角では安定した固定が望めなくなる。
通常であれば運行番号表示器の再製作で往なせるため大した問題にはならない。
ところが決定した運行番号は生憎出力枚数が少なく既に原版まで潰されていた。
また自作運行番号表示器ステッカーの印刷面は剥がれ易い性質があり貼り替えも選択出来なかった。
よって切断に失敗した運行番号表示器を用いるしか方法が残されておらず無理矢理前面窓内への固定に踏み切っている。
しかし切断面と前面窓セルモールド幅との設置面積が不足し運行番号表示器は垂直に持ち込めない。
止むを得ず隙間へゴム系接着剤を埋め込み側面窓セル窓サッシの補修を終えるまで様子見とした。


剥離とはみ出しが同居する側面窓セル窓サッシ印刷。

モハ3328の側面窓セル窓サッシ印刷は海側用と山側用で大幅な個体差があった。
3328Fでは窓サッシモールドからはみ出した印刷除去が主であり印刷修正を施した車両は少数派だった。
だが海側用側面窓セルは上段窓サッシを中心に印刷が剥がれた箇所を多く有している。
磨きクロスで側面窓セル全体を拭き終えると症状が悪化してしまい無残な状態に陥った。
修復箇所が多過ぎペン先が解れた油性メタリックマーカーでは対処しきれなくなる。
油性メタリックマーカーは間もなく寿命を迎えると思われニッパーで解れた箇所を切り落とした。
この細工がインク乗りの改善に結び付き予想より早く窓サッシ印刷補修を終えられている。
残念ながら窓サッシモールドからのはみ出しは爪楊枝が殆ど通用せず完全な見附改善には至っていない。


赤マッキーで隠蔽した銀色塗料。

海側は車体靴刷り再現まで乱れがありモハ3326新赤電色(3328F)を踏襲した赤マッキーでの隠蔽策に決定した。
点状に散らばる銀色塗料を赤マッキーで塗り潰した時点まではモハ3326と同様だった。
しかしインク塗布箇所の縮小化は製図用消しゴムが機能せず事務用消しゴムへ変更される。
その事務用消しゴムですらインク除去が困難な状態で塗装面修復は全面的な見直しに迫られた。
先ず磨きクロスで覆った爪楊枝を赤マッキー塗布箇所全体に当てインク被膜そのものを薄くする。
その後再度事務用消しゴムへ持ち替え強目に擦り続け補修箇所を目立ち難くした。
何がモハ3326と異なったかは不明のままで今後は妻板車体裾等での試行が必要だと思う。


殆ど手を加える必要が無かった山側。

モハ3328の塗装被膜はマッキーとの相性が良過ぎる意外な結果が待っていた。
そのため側面行先表示器基準幕化はインクのはみ出しを恐れ[急行 成田]表示毎に塗り潰した。
一方山側は散々な目に遭った海側と対照的で全くと言って良いほど手が掛からなかった。
側面窓セル窓サッシ印刷の修正も1箇所に限られ当初から存在する擦過痕が伺えるのみとなっている。
各種修正で大幅な時間を要したが運行番号表示器の固定具合を確かめるには都合が良かった。
プラ板と前面窓セルモールドの間をゴム系接着剤で埋める方式は効果が薄く取り止めた。
運行番号表示器がぐらつかないよう前面窓セル側へのゴム系接着剤塗布に変更し再設置している。


4両目となった床下機器配置変更施工。

屋根上機器は第一次整備時に全て溶着を施したためそのまま車体へ取り付けている。
富士川車輌工業製行先方向幕ステッカーの貼付で車体関連項目に一区切りが付き床下機器配置変更へ取り掛かった。
3328Fではモハ3325新赤電色(M2'車)にも施しておりモハ3312,モハ3309(3312F-3)を含めると4例目の作業となる。
モハ3328用台枠は床下機器部品との嵌合精度が高く然程労さずに床下機器の移設を終えられた。
これにはモハ3325にて床下機器配置変更の仕様標準化を図った効果が大きく寄与している。
嵌合爪を狭幅化した床下機器部品は固定時の現物合わせが省略され取り付け角度だけ注意すれば良かった。




モハ3328 [B37 普通 津田沼]:ライトベゼル修正,種別表示器・運行番号表示器追設,行先変更,走行部品組込施工。
※TOMYTEC製。


モハ3312 [B05 普通 上野]:3312F-3:(運行番号表示器追設,ライトベゼル修正施工車)。
※TOMYTEC製。

座席部品に湾曲は伺えず3328F非動力中間車両で相継いだ矯正からようやく解放された。
歪みの無い座席部品は台枠にきっちりと噛み合い床板一体化も2点固定式へ戻している。
ところが床板の完成間近になって金属車輪化したKS-131非動力台車を支えられなくなる現象が生じた。
応急対策として締結ピンの角度を根元から外側へ広げ支持力確保に結び付けた。
最後に3312F-3と同等にすべく前面窓セルの角度微調整で行先方向幕位置を前進させる。
行先方向幕が奥まっていたモハ3328だが富士川車輌工業製ステッカーのラベル厚もあり理想的な位置に収まった。




モハ3328(3328F:車体塗装・側面窓セル窓サッシ印刷修正,走行部品組込,床下機器配置変更,側面行先表示器基準幕化施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3312(3312F-3:床下機器配置変更試作車)。
※TOMYTEC製。

前面の変更箇所は塗装補修部を除きモハ3312,モハ3309(3312F-3)から変わっていない。
富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕ステッカーの採用によりモハ3328も同様の前面見附に改められた。
助士側前面窓に残った白色印刷は運行番号表示器枠を合わせて埋没化させている。
斜では白点が浮かび上がるはずだが前面窓セル厚のお陰で上手く誤魔化せた。
部分補修箇所が多い側扉靴刷り周りも無難な纏まりを見せ修正開始直後の醜態から脱せた。
拘りの電動発電機移設は手応えを得られたと同時に床下機器配置変更試作車のモハ3312も現状維持が確定している。




モハ3328+モハ3327 (3328F:側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車+側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車)。
※TOMYTEC製。

剥離部の多かった側面窓セル窓サッシ印刷だがペン先を整えた油性メタリックマーカーが効果的だった。
失敗が重なったモハ3327とは光輝度の違いがあり格段に見附は向上したと思える。
薄め液式印刷消去失敗車のモハ3327には通じないかもしれないがもう一度補修を行う予定である。
モハ3349より状態がよく見えたモハ3328(3328F)は数多くの瑕疵を抱える車両で整備に手こずった。
第二次整備2日目も約120分を要して竣工へと辿り着く苦戦の連続であった。
無事竣工には至ったもののやはり3328Fは簡単に整備を進めさせてくれないらしい。
最終入場車のモハ3349も貫通幌座及びライトベゼル修正を行うため追われる展開になると思う。

京成3300形モハ3328[3328F] 新赤電色 (運行番号表示器印刷消去,種別表示器交換施工) ※TOMYTEC製

2019-09-28 21:43:47 | 京成線:3300形
未設定。

当たりを引けなかったTOMYTEC製京成3300形3328F新赤電色(3,4次車:3328F)の第二次整備は各車両の状態向上に注力している。
どうにかモハ3327新赤電色以下4両(3328F)の竣工まで漕ぎ着けたものの肝心な行先表示類がまだ決定していない。
3328Fには[急行 成田]表示が印刷されており整備を進めながらプロトタイプを定める予定だった。


京成3300形モハ3328 3次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

唯一千葉線系統への投入は当初からの確定事項で富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕化だけは決まっていた。
モハ3328,モハ3349(3328F)の作業はTOMYTEC製3300形モハ3312,モハ3309新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3)に倣う。
2日間で1両を竣工させる工程となるが行先表示は2日目の作業へ移る前までに決定する必要性が生じた。
だが初日の作業は運行番号表示器印刷消去が重点に置かれるため考える余裕は殆ど無い環境となる。
更に行先表示類を変更するには運行番号表示器印刷の消去が不可欠だった。
そのため作業に区切りが着いた時点で各種資料を探る時間を設ける事にした。


入工中のモハ3328。

モハ3349は貫通幌座及びライトベゼル部品の銀色塗装を修正する工程が加わる。
対するモハ3328の修正箇所は第一次整備後の状態から側面窓セル窓サッシ印刷に限られると思われた。
唯でさえ3328Fは整備が大幅に遅れており瑕疵の少ないモハ3328(上野寄M2車)を先行入場させた。
運行番号設定が決まっておらず作業初日は運行番号表示器印刷消去と前面行先方向幕基準幕化で打ち切る。
3312F-3ではまずまずの出来映えに達したが3328Fも上手く[■ ■ ■]表示を消去できるとは限らない。
とにかく前面窓セルへの細工を成功させなければならず唯一の作業とも言える工程が最重要となった。


分割線を有するM2車用側面窓セル。

TOMYTEC製京成3300形M2車用側面窓セルは一応一体成形品が採用されている。
ただM1車用とは異なり運転台直後の側扉窓吹寄部に継ぎ目が設けられていた。
継ぎ目が凸形成形だったモハ3325新赤電色(3328F)では爪楊枝で湾曲させた側面窓セルを折損させている。
しかしモハ3312,モハ3309(3312F-3)にてM2車用側面窓セルは一定の強度確認が出来ていた。
よって偶柱へニードルを差し込む方式で瑕疵無く側面窓セルの取り外しが行えた。
M2車用側面窓セルの分割線は恐らく運転台拡張が実施される以前の3200形更新車を考慮したものだと思う。
車体再現に変更された側面行先表示器を考えると3200形更新車(8M車)のリリースもあり得るかもしれない。


黒Hゴム支持化を試行した種別表示器。

前途の通り種別表示器は富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕ステッカーを貼付したプラ板に交換される。
前面窓セル種別表示器部は切除となるがモハ3312,モハ3309(3312F-3)では念のため保管品に廻した。
3312Fは英字無併記[普通]種別幕が印刷済で3200形リリースへの備えとしている。
本線仕様がプロトタイプとされた3328Fは[急行]種別幕であり転用の見込みは殆ど無かった。
そこで[急行]種別幕の撤去へ取り掛かる前に[赤Hゴム支持]から黒Hゴム支持への変更を試みている。
[赤Hゴム支持]印刷再現をマッキーで塗り潰しただけの簡易再現で平板感こそ拭えない。
それでも貫通扉部品の成形が変わらなければ3200形に転用出来ると思う。


貫通扉下部天地の縮小を図った前面窓セル。

富士川車輌工業製種別幕ステッカーと種別表示器開口部はほぼ同一寸法であった。
そのためステッカーの切り出しに失敗すると前面見附を悪化させる要因と化してしまう。
隠蔽する手段はプラ板そのものに頼るしかなく英字無併記[普通]種別幕ステッカー周囲にはある程度の余白が必要だった。
またプラ板の接着代も不足気味となるため種別表示器用セルを切断するだけでは不十分と言えた。
これらの問題を解消するため前面窓セルはプラ板式種別表示器対応化が施される。
貫通扉下部は前尾灯レンズ部の張り出し箇所を除いた前面窓セル下辺より約1mm程度引き上げられた。




マッキーで復活させた黒Hゴム支持再現。

いよいよ助士側前面窓表面に印刷された運行番号表示器の消去へ着手する。
最早TOMYTEC製京成形式恒例となった薄め液による印刷消去だが毎度の事ながら不安が付き纏う。
モハ3328もモハ3312,モハ3309と同じく黒色印刷部の溶解はあっと言う間だった。
しかし白色印刷部はかなり強固で筆を当てても一向に崩れる気配が感じられない。
このままではセル表面の変質を招きかねず擦過痕発生を覚悟して細綿棒で擦り続けた。
幸い擦過痕は生じなかったものの白色印刷部の完全消去には至らず一部に白点が残っている。
前面窓の黒Hゴム支持再現は初めから剥離箇所があり運転台側と共にマッキーで全てを塗り潰した。


ファイアーオレンジ地が目立つライトベゼル。

前面行先方向幕の基準幕化を終え種別表示器交換へ移る前にライトベゼル再現にも甘さがあると判明した。
前面からは悪くなく見えたモハ3328だが改めて手に取ると銀色印刷はライトベゼル側面への廻り込みが殆ど無かった。
ライトベゼルの修正は既にモハ3309(3312F-3)で油性ペイントマーカー,油性メタリックマーカー併用式を取り入れている。
しかし油性ペイントマーカーは斑が生じ易くモハ3328では試験的に油性メタリックマーカー単独での補修に踏み切った。
油性メタリックマーカーは余り隠蔽力が強くなくファイアーオレンジ地を塗り潰せるか判らない。
ただ修復痕を滑らかにに仕上げられる利点がありその可能性に賭けている。
偶然にも貫通扉部品と油性メタリックマーカーの相性は良くライトベゼル全周にインクが行き渡ってくれた。
この結果を受けモハ3349のライトベゼル部品修正も油性メタリックマーカー式で対応する予定である。


富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕に交換された種別表示器。

初日の作業で残る工程はプラ板式種別表示器への交換となった。
富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕ステッカーは失敗無く切り出しを終えられ原寸を守っている。
モハ3312,モハ3309(3312F-3)に於ける種別幕表示器固定は貫通扉側へのゴム系接着剤塗布とした。
しかしステッカー表面にゴム系接着剤がはみ出す等の問題がありモハ3328用プラ板は貫通扉幅ぎりぎりまで拡幅した。
これにより接着代が確保されたためゴム系接着剤の塗布はプラ板側に戻されている。
仮組み立てでは前面窓セルとの支障も発生せず無難な答を得られた。

第二次整備はまだ道半ばであるが災難が続く3328Fにしては順調な進捗を見せていると思う。
ただ行先表示類選定と言う重要課題が残されており作業再開前までに絞り込みを終わらせなければ先に進めない。
加えて在籍する新赤電色,朱帯色編成との釣り合いにも考慮が必要で選択肢に困るところである。
プロトタイプ合致編成が少ないマイクロエース製3200形3264F新赤電色後期仕様(3264F)の対比には上り方面行が無難だと思える。
3312F-3に[上野]幕を充てた関係で上り方面行は[津田沼]幕,[高砂]幕,[押上]幕,[西馬込]幕からの選択となる。
運行番号は[BXX]台が望ましく上手い具合に嵌まる運用を見つけ出したい。

京成3300形モハ3326[3328F] 新赤電色 (車体塗装・側面窓セル窓サッシ印刷修正,床板交換施工) ※TOMYTEC製

2019-09-27 22:28:43 | 京成線:3300形
[1386]。

TOMYTEC製京成3300形3328F新赤電色(3,4次車:3328F)で続く第二次整備の誤算はモハ3326でも発生した。
車体,側面窓セル窓サッシ印刷修正が主工程となる予定だったモハ3326はモハ3350用動力ユニットの整備に終始している。
結局動力ユニット搭載車へと変更されたモハ3350新赤電色(3328F)の竣工を以て作業中断に追い込まれた。


京成3300形モハ3326 3次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

モハ3350を再竣工させた後に一旦モハ3326(3328F)の作業へ取り掛かった。
だが側面行先表示器の基準幕化を終えた時点で靴刷り印刷修正箇所が広範囲に渡ると判明する。
塗装仕上げが今一つだったモハ3350は磨きクロスだけで修正可能な状態にあり改善へ持ち込めた。
これに対しモハ3326はファイアーオレンジ地に侵出した銀色塗料の除去が大きな課題となった。
全6扉のうち5扉が乱れを抱える上に光源角度次第では煌めきまで発してしまう。
嫌でも目に飛び込んでくる厄介な症状は何としても抑えたいところだが対象箇所が多過ぎ作業時間を読み切れなかった。
そのためモハ3326の第二次整備は一時中断が決定し日を改めて再開している。


入工中のモハ3326

先にモハ3350へ床下機器部品及びTNカプラーSPを供出したためモハ3326は仕掛車となった。
主要部品が失われたモハ3326を非動力車化する方法は2種類存在しその選択に悩んでいる。
動力ユニットの搭載で捻出された元モハ3350用床板をKS-131非動力台車に履き替える方式が最も簡便ではある。
ただこれを行うと台枠製品番号表記が[1384]から[1386]へと変わる点に引っ掛かりが残った。
以前は積極的に採用していた台枠交換だが現在では出来るだけ製品番号を崩さないように心掛けていた。
一方モハ3326用床板を流用する方法も元モハ3350用台枠へ強力に溶着固定された床下機器部品の移設が課題となる。
モハ3350用床下機器部品嵌合爪は台枠との嵌合精度が極端に甘く入念に投入した流し込み接着剤が裏目に出てしまった。
加えて元モハ3350用床板から床下機器部品を撤去する際に嵌合爪形状が保持される確率は低いと思われた。


転用に決定したモハ3326用床板 (モハ3326用床板,元モハ3350用床板)。

第一次整備時からFS-329D動力台車枠の存在に気付いていればモハ3326は製品番号[1384]のまま竣工していたはずである。
再び自縛の罠に嵌まったが結局元モハ3350用床板の転用でモハ3326用床板一式を仕立てる方向となった。
モハ3326用座席部品もへ字形に湾曲しており床板一体化施工前の手間が欠かせなくなる。
元モハ3350用床板は座席部品の湾曲を上手く往なせており転用には全く差し支えなかった。
台枠は製品番号[1386]へ変更となるが外観差には繋がらないため無難な方式を選んでいる。
この選択には床板組み立て後に行う車体塗装修正の時間を確保する狙いもあった。


KS-131非動力台車に交換された元モハ3350用床板(成田寄)。

元モハ3350用床板は基本整備が完了しているためKS-131非動力台車への交換を主とする。
代わりに撤去されるFS-329D非動力台車の積極再用は考え難く輪心黒色化済金属車輪も移設とした。
ただFS-329D非動力台車枠単体での保管は万が一の交換に支障を来す恐れがありプラスチック車輪と相互交換している。
締結ピンはモハ3326用の流用となったが僅かに台車安定性が向上してくれた。
台枠と締結ピンの相性もTOMYTEC製品ならではの個体差と言えここは流用策が当たっている。
何度かKS-131非動力台車とFS-329D非動力台車を取り違えたがひとまずモハ3326用床板一式が完成した。


整形後に固定したクーラーキセ。

3328Fはクーラーキセの嵌合具合が芳しくない車両が多くモハ3326も同様であった。
取り敢えず脱落までには至らないものの時間が経過すると徐々に屋根板から浮き上がってくる。
全台共通で発生した症状はクーラーキセ湯口跡の整形が不十分だった事に拠る。
だが明灰色塗装に影響しない範囲でのクーラーキセ裏面湯口跡の平滑化ではこの症状を抑えられなかった。
一応強く押し込むと屋根板と接してくれたため流し込み接着剤投入後に圧着している。
ヒューズボックス,避雷器部品の嵌合は悪くなく微調整だけで固定化した。


靴刷りモールドからはみ出す銀色塗料(山側)。

いよいよ車体塗装と側面窓セル窓サッシ印刷の補修へと取り掛かる。
これまで靴刷り印刷が車体に侵出した車両はの3300形3312F新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3)を含め存在していなかった。
よって初施工となるファイアーオレンジ地の銀色塗料剥離を先行させどの方式が通用するか判断する。
先ずは多少の擦過痕が許容できる靴刷り下部を印刷消去試行箇所に定めた。
最初に持ち出したのは側面窓セル窓サッシ印刷修正にて用いている先端を鋭角化した爪楊枝である。
ちょうど靴刷りモールドが爪楊枝を止めてくれる位置にありある程度の圧が加えられた。
しかし側面窓とは様相が異なり幾ら擦り続けても銀色塗料の表面は全く変化が見られないままだった。


赤マッキーでの塗り潰しとなった車体塗装修正。

次に持ち出したのは車両番号標記印刷消去で活躍を見せるラプロス#6000とした。
余計な擦過痕を防ぐため銀色塗料侵出部以外はマスキングテープで覆っている。
この方式は靴刷りモールドとマスキングテープの間へラプロスを当てられなくなる致命的な弱点があった。
しかもラプロスで擦る際にマスキングテープがずれてしまい養生した意味が失われる等全くの期待外れで終わった。
消しゴム式は他社製品で印刷を塗料に練り込ませる事例が見られ余り気の進まない方法だった。
ただ直接銀色塗料を削ぐ方式が共倒れしたため止む無く試行に至っている。
期待を寄せた事務用消しゴム式だったがこれも銀色塗料には歯が立たず考え得る方式は全滅してしまった。
最終手段は赤マッキーで銀色塗料を直に塗り潰す方法だけが残された。


補修痕隠蔽に腐心した赤マッキー式塗装補修。

赤マッキーでの塗装補修はマイクロエース製京成3300形元モハ3310現行色中期仕様(1次車:3304F-4)が初試行車となった。
ヒューマンレッドとの相性はまずまずに思えマイクロエース製京成3200形モハ3295復活赤電色(3298F-3)の補修でも試行している。
その後3300形3312F新赤電色(1次車:旧3312F-13316F:二代目)を再改装した3304F新赤電色(1次車:3304F-1)で本格採用に至った。
ただ同じファイアーオレンジ再現でもマイクロエース製品とTOMYTEC製品にはかなりの色温度差がある。
銀色塗料へ赤マッキーを乗せたところ露骨な修正痕が現れてしまいマイクロエース製品の補修水準には達しなかった。
赤マッキーの塗布は極細字側で行ったが銀色塗料侵出代よりもペン先が幅広く見附を悪化させる要因になっている。
ここは側面行先表示器基準幕化失敗の修正方法に倣いインク塗布面積を限界まで縮小した。




モハ3326(3328F:車体塗装・側面窓セル窓サッシ印刷修正,床板・金属車輪交換,側面行先表示器基準幕化施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3350(3328F:塗装被膜修正施工車)。
※TOMYTEC製。

最終工程に廻った側面窓セル窓サッシ印刷修正でも銀色塗料の剥離が進まなかった。
爪楊枝には銀色塗料を乗り越える手応えが伝わってきたものの殆ど見附は変わらないままだった。
モハ3327(3328F)での側面窓修復が過った事もあり深追いせずに窓サッシ補修は打ち切られている。
どうにか竣工させたモハ3326(3328F)は車体塗装修正痕をそれなりに誤魔化せた側面見附へ至ったと思える。
塗装被膜の艶出しを要したモハ3350とは次元が異なるが編成見附を崩す事態は取り敢えず解消された。
これで3328Fは未入場で残るモハ3328,モハ3349(M2車)の整備が終わり次第出場となる。
しかし運行番号表示器印刷消去が第二次整備最大の山場であり悪い流れに巻き込まれない事を祈る。

京成3300形モハ3350[3328F] 新赤電色 動力ユニット搭載施工 (モハ3326用床下機器部品転用) ※TOMYTEC製

2019-09-26 21:33:50 | 京成線:3300形
早合点。

在籍する京成形式(6両固定編成)はマイクロエース製3200形3240F現行色晩年仕様(2,4次車:3240F)の影響を強く受けている。
3240Fは製品仕様から動力車位置偏位が生じるモハ3262(成田寄M1車)に動力ユニットが搭載されていた。
ただ6両編成では極端な走行安定性低下は発生しないと考え後に増備した編成も極力3240Fへ合わせた。


京成3300形モハ3326 3次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

現在この法則は撤廃されたが仕様重複や動力ユニット移設が困難な編成を除き踏襲する癖が残っている。
そのためTOMYTEC製京成3300形3228F新赤電色(3,4次車:3328F)でもモハ3350に動力ユニットを搭載させる予定だった。
3328FはKS-131台車装着車,FS-329D台車装着混結編成で付属動力台車枠の関係からモハ3326が動力ユニット搭載車へ変更となる。
モハ3326に採用するTOMYTEC製TM-06R動力ユニットは竣工車の増加で手慣れた整備と言えた。
躓きが繰り返される3328Fの第二次整備だがモハ3326は湾曲した座席部品に惑わされずに作業を行える。
運行番号表示器印刷消去が控えるモハ3328,モハ3349(3328F)を前にしてモハ3326の入場は一間を与えるものと思われた。


入工中のモハ3326。

モハ3326は3328Fで最も外れを引き込んだ車両であり靴刷り印刷までずれを抱えている。
ただ床板関連項目の作業簡略化が確実視され側面窓セル窓サッシ印刷修正共々集中して補修に当たれる環境と言えた。
予定では車体整備を先行させるつもりだったが今にも脱落しそうな主抵抗器部品が目に入る。
他3点の床下機器部品は許容できる嵌合具合で留まっており主抵抗器部品に問題があると思われた。
動力ユニットの整備はある程度時間が読めたため一転して第一工程へと前倒しされる。
ところが肝心のKS-131動力台車枠が見当たらずようやく捜し当てたのはFS-329D動力台車枠であった。
刻印まで確認した記憶が残っており3328Fには間違いなくKS-131動力台車枠が付属していたはずである。
FS-329D動力台車枠とKS-131動力台車枠を見誤るとは考え難く初めは目を疑った。
ただ手元にあるのはFS-329D動力台車枠だけで手の施しようがなくなってしまった。


見落としていたFS-329D動力台車枠。

モハ3326をFS-329D台車装着車には出来ず動力ユニット搭載車変更の必要性が生じている。
必然的に動力ユニット搭載車はモハ3350(M1車:FS-329D台車装着車)が引き当てられる。
まさかモハ3326の工程でモハ3350用動力ユニットを仕立てる羽目になるとは思ってもいなかった。
実際3328FにはFS-329D動力台車枠,KS-131動力台車枠双方とも付属しておりこれに気付くのはモハ3350が竣工した後となる。
この時点では完全にKS-131動力台車枠を見失っておりTOMYTEC製TM-06R動力ユニットにはFS-329D動力台車枠が充てられた。
先ず輪心黒色化からの着手となったが全てを塗り潰す必要が無く敷居は低い。
TOMYTEC製動力台車の集電板は黒染車輪に近い仕上げが成されている上にピボット軸受部の形状も大き目である。
極細字マッキーでリムと軸受成形部の間に存在する溝をなぞるだけで輪心黒色化を終えた。


黒色化した輪心(上野寄)。

全周への施工はかつてギアカバーを撤去して車輪を回転させていたがフライホイールの手動回転で対応している。
また車輪の軸受成形部は銀色地を剥き出したままとし通電系統に影響が出ないよう配慮されている。
軸受成形部は台車集電板のピボット軸受部形状が全てを覆ってくれるため非動力台車用金属車輪との差は殆ど防げる。
更にアーノルトカプラー台座も切断して動力台車枠からの張り出し箇所を減少させた。
モハ3350は既に非動力車として竣工済でありモハ3326用床下機器部品の転用で賄う。
入場当初から外れかかっていた主抵抗器部品以外は思いの外固い嵌合具合を示していた。
そのため台枠内側から各嵌合爪をプラスチックドライバーで押し出し撤去している。
先に嵌合爪の成形が疑われる主抵抗器部品をTOMYTEC製TM-06R動力ユニットへ移設する。


モハ3326用床板から移設した床下機器部品。

同じTOMYTEC製TM-06R動力ユニットを搭載させた3300形モハ3311新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3)は嵌合精度が高かった。
床下機器部品の固定が無用と思えた程で木工用ボンドを嵌合爪部へ塗布するだけで十分だった。
一方モハ3326用主抵抗器部品は嵌合爪へのゴム系接着剤だけでは固定力が確保できず床下機器部品天面も塗布対象に加えられる。
他3点の床下機器部品は補助的に木工用ボンドを用いるモハ3311用動力ユニットと同一方式で構わないと予想していた。
ところがモハ3326用床下機器部品はTOMYTEC製TM-06R動力ユニットとの相性が悪く全てゴム系接着剤固定に変更される。
モハ3350に於ける床下機器部品でも台枠固定時は垂直姿勢維持への対策が必要だった。
3312F-3との個体差が多々感じられる3328Fは床下機器部品にかなりのばらつきを抱えていた模様である。




モハ3350(3328F:TOMYTEC製TM-06R動力ユニット搭載施工)。
※TOMYTEC製。


京成3500形モハ3555(3556F:動力ユニット搭載車)。
※TOMYTEC製。

ここでモハ3350新赤電色(3328F)を入場させ組み立てたFS-329D付動力ユニットに交換している。
TOMYTEC製TM-06R動力ユニットには恒例のウエイト黒色化を施しており車体側面見附は大差なく映る。
ただ床下見附はモーターカバーに占領され黒色成形品の床下機器が目立ち難くなってしまった。
この点はTOMYTEC製3500形モハ3555朱帯色後期仕様(3次車:3556F)と同様にプロトタイプ都合で我慢するしかない。
またもや波乱含みとなったTOMYTEC製TM-06R動力ユニットの整備だがひとまずモハ3350(3328F)を再竣工まで漕ぎ着けた。
ところがモハ3326の作業へ戻ろうとした矢先に行先ステッカーとテープ止めされたKS-131動力台車枠を発見した。
第一次整備時にFS-329D動力台車枠を見落としたのはステッカー類と分離して滑り落ちたためだと思う。
当初モハ3350への動力ユニット搭載は不可能と決め付けたが単なる確認不足であった。
結果3328Fは3240Fと同一位置に動力ユニット搭載車が配される組成で落ち着き初期計画通りに戻っている。




モハ3325+モハ3350 (3328F:KS-131非動力台車装着車+FS-329D動力台車装着車)。
※TOMYTEC製。

勘違いに端を発し動力ユニット搭載車へ改装となったモハ3350はFS-329D動力台車からFS-329D動力台車に変更された。
登場したばかりだったKS-131非動力台車とFS-329D非動力台車の組み合わせは瞬く間に消滅してしまった。
そして再びモハ3325(3328F)とモハ3350の連結部には小変化が生じている。
ただ輪心黒色化及びアーノルトカプラー台座切除により非動力車時代との連結面差異は最小限で留められたと思う。
続行してモハ3326の整備へ取り掛かり忘れがちだった側面行先表示器基準幕化まで進めた。
しかし車体へ付着した銀色塗料が予想以上に多く以後の工程は先送りしている。
艶が弱かったモハ3350よりも厄介な状況と言え体裁良く仕上げられる方法を探る。

京成3300形モハ3350[3328F] 新赤電色 (側面窓セル修正,走行部品組込,側面行先表示器基準幕化施工) ※TOMYTEC製

2019-09-25 21:52:50 | 京成線:3300形
悪循環。

細々とした壁に当たりTOMYTEC製京成3300形3328F新赤電色(3,4次車:3328F)の第二次整備はなかなか進展が見られない。
試行要素が含まれたモハ3327新赤電色(3328F)の出遅れに始まりモハ3325新赤電色(3328F)も側面窓セルの折損を経て竣工へ至った。
3328Fでは3両目の入場となるモハ3350で打開を狙ったが製品仕様と自らの失策により芳しくない結果に終わっている。


京成3300形モハ3350 4次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

FS-329D非動力台車を履くモハ3350(4次車)は3328Fの成田寄半ユニットに配されるM1車である。
3328Fの成田寄M1車及びFS-329D非動力台車装着車はモハ3350で初の入場を迎えた。
同じく初入場車となったモハ3325(M2'車)とは異なり独自仕様は採用されていない。
上野寄M1車の車体を反転した構造であり整備工程はTOMYTEC製京成3300形モハ3311新赤電色(1次車:3312F-3)に準ずる。
山側用側面窓セル窓サッシ印刷の乱れがあるがモハ3327での失敗に懲り爪楊枝式で修正を行う。
但し3312F-3,モハ3328以下5両(3328F)比べやや厚ぼったい塗装被膜を持つ外観が当初から気になっていた。


入工中のモハ3350。

3328Fのクーラーキセは第一次整備時から何かと手を焼かされ続けている。
モハ3350も分解前に上野寄クーラーキセが外れてしまいいきなり出鼻を挫かれる格好となった。
先に竣工させたモハ3327,モハ3325では側面窓セルの撤去を第一工程に据えていた。
しかしその後の流れを悪くさせる切っ掛けとなったためモハ3350は屋根板関連項目より作業に取り掛かる。
たまたまクーラーキセの脱落まで重なったがどうにか順調に整備を進められる狙いが込められた工程変更でもあった。
修正対象は屋根板から浮き上がった車体中央のクーラーキセ程度であり仕切り直しに向くと考えた。


平行を合わせてから固定したヒューズボックス。

モハ3350のヒューズボックスと避雷器は屋根板に対し斜めに嵌め込まれていた。
これはモハ3311,モハ3310(3312F-3),モハ3327と同一症状で固定化を施し再発防止策とする。
ヒューズボックスはランボード及び屋根上配管モールドが視界に入ってしまうため意外に平行の出し難い部品だと思える。
流し込み接着剤を投入した後も何処か収まりが悪く感じられ固着前に微調整を行った。
一方避雷器の取付脚は1脚嵌合式ながら極太成形が幸いし押し込むだけで垂直に戻せる。
嵌合具合が心配された車体中央のクーラーキセも成形を要さず屋根板に接してくれた。
屋根上機器はグリーンマックス製PT-43S形パンタグラフを除き流し込み接着剤で固定している。


差し込み箇所を改めた爪楊枝式側面窓セル撤去。

続いて側面窓セルの取り外しに着手したが嵌合具合はモハ3311並に固く爪楊枝式にて取り外しを行う。
これまで側面窓セルを湾曲させる爪楊枝は妻面窓セル側の車体中央側扉戸袋吹寄部に差し込んでいた。
モハ3350は一体成形側面窓セルを装着しているがモハ3325で折損させた事実が引っ掛かった。
妻面窓セルの凸形成形部を破損させる予感が走り爪楊枝は広幅貫通路側戸袋吹寄部への挿入に変更している。
多少は妻面窓セル凸形成形部に掛かる圧が軽減されたはずで妻板ごと外側に押し出しながら撤去すれば欠損しないと予想した。
嵌合猶予の減少により偶柱部へ差し込む爪楊枝は片側専用となったが失敗無く側面窓セル撤去を終えられた。


車体に付着させた青マッキーのインク。

修復に終われたモハ3327,モハ3325は側面行先表示器基準幕化が置き去りにされ最後を締める作業となった。
塗装被膜の調整が必要となるモハ3350では側面行先表示器基準幕化を先行して施す事にした。
基準幕化には極細字青マッキーを使用しているが車体再現のHゴム支持モールドは比較的浅い。
斑も生じ易くペン先で均そうとしたところ一部がHゴム支持モールド嵩を乗り越え戸袋窓吹寄部まで飛んでしまった。
即時復旧へ取り掛かり製図用消しゴムで青マッキーのインクは無事除去された。
その代わりインク消去痕だけ艶が出てしまったため側面行先表示器基準幕化を一時中断し塗装被膜修正に移っている。


多少艶が強くなった車体(山側)。

モハ3350が野暮ったく見える原因は塗装被膜厚と艶消し度合いの強い仕上げにあった。
偶然にも青マッキーインク消去痕はモハ3328以下5両(3328F)の塗装被膜に類似の艶へと変わっていた。
ファイアーオレンジ塗装面を磨きクロスで強めに擦りインク消去痕の埋没化と艶出しが図れている。
この際モーンアイボリー帯とステンレス飾り帯再現に磨きクロスが触れないよう注意した。
そして側面行先表示器基準幕化を完了させ側面窓セル窓サッシ印刷の修正へ取り掛かる。
窓サッシモールド下部に付着した銀色塗料は先端を鋭角化した爪楊枝で削ぎ落とす3312F-3での方式へ戻した。
多少擦過痕は残るもののモハ3327で修復した側面窓より数段耐えられる水準に達したと思う。


角度調整が必要だった床下機器部品固定。

床板関連項目ではへ字形に湾曲した座席部品と嵌合精度の低い床下機器部品が足を引っ張る。
支持が困難になるほどぐらつきの目立つ床下機器部品は一旦マスキングテープで垂直を保たせてから台枠に固定した。
嵌合爪部への流し込み接着剤投入だけでは心許なく座席部品台座天面も溶着している。
簡単に直線状に戻せた座席部品だが台枠へ組み込むと上野寄が浮き上がる曲者だった。
しかもウエイトを挿入する前までは発症していなかった現象で対応に困った。
改めて座席部品を確認すると上野寄嵌合孔の湯口痕整形が不十分で台枠嵌合爪の受け入れ幅が不足していた。
この湯口痕を均しただけで上野寄座席部品の浮き上がりは完全に消え去っている。
へ字形に変形した座席部品は3328Fでは珍しく床板一体化は3点固定式を採用した。
これで座席部品車体中央側扉床面と台枠の隙間発生が抑止され捻り剛性は大幅に向上すると思われる。
最後にFS-329D非動力台車へ輪心黒色化を施した金属車輪を組み込みモハ3350用床板一式が完成した。




モハ3350(3328F:側面窓セル修正,走行部品組込,側面行先表示器基準幕化施工)。
※TOMYTEC製。

第一次整備で気になった座席部品の湾曲だが結局モハ3327,モハ3325,モハ3350とも交換を要さなかった。
モハ3326(3328F)は動力ユニットへ置き換えられるため保管品の座席部品を持ち出さずに済む。
TOMYTEC製品の予備部品確保は編成単位での投入時に限られる傾向が強く対処療法とは言え転用を免れた意義は大きいと思う。
側面見附向上こそ果たせたモハ3350(3328F)であるが作業時間は約90分に達する長丁場の末竣工した。
屋根板周りまでの流れは悪くなかったものの側面行先表示器基準幕化での失策が響いている。
インク消去痕を基準とする車体の磨き直しに変更され塗装被膜改善だけで約20分を失ってしまった。
極端に嵌合が甘かった床下機器部品も固定化を難航させる原因となり形勢逆転とは行かなかった。




モハ3325+モハ3350 (3328F:KS-131非動力台車装着車+FS-329D非動力台車装着車)。
※TOMYTEC製。

この後比較用に持ち出したモハ3325の成田寄車端部ユニット窓が傾斜していると判り急遽修正を行った。
ただ第一次整備時の記録と見比べるとモハ3325は当初から窓セルに傾きがあったらしい。
これだけは側面窓セルの折損が呼び込んだ唯一の改善点となっている。
モハ3325+モハ3350は偶柱以外にKS-131非動力台車とFS-329D非動力台車の差異が並ぶ連結部となる。
輪心黒色化はKS-131非動力台車よりもFS-329D非動力台車の方が効果的に映り特徴を引き出せたと思う。
だがこの組み合わせはモハ3326の入場直後に予想もしない方向へと進み解消を余儀なくされる。

京成3300形モハ3325[3328F] 新赤電色 (側面窓セル修復,床下機器配置変更,側面行先表示器基準幕化施工) ※TOMYTEC製

2019-09-24 21:40:10 | 京成線:3300形
運転台撤去車。

側面窓への銀色印刷侵出が目立つTOMYTEC製京成3300形3328F新赤電色(3,4次車:3328F)は薄め液式印刷消去試行対象となった。
薄め液式印刷消去試作車となったモハ3327新赤電色(3328F)だが窓サッシ印刷を失っただけで側面窓の印刷消去は達成できなかった。
銀色塗料と薄め液の相性が良くなかった模様で運行番号表示器印刷消去とは全く別の方向へ進んでいる。


京成3300形モハ3325 3次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

溶解しない銀色塗料に加え側面窓の変質を呼び込む最近では稀と言える大失敗事例であった。
当然の如く薄め液式印刷消去は中止に追い込まれ曇った側面窓の透過率向上へ重点が置かれる。
その状況から側面窓セル窓サッシ印刷修正も打ち切りとなりモハ3327は今ひとつ冴えない側面見附のまま竣工となった。
3328Fの第二次整備で主軸に据える予定だった側面窓セル窓サッシ印刷修正が宙に浮いてしまったため入場順を変更する。
結果次第でモハ3327との同日竣工も有り得たモハ3350(3328F)は余り状態が芳しくなく先送りとした。
モハ3328,モハ3326,モハ3349(3328F)も工程数が増加するためモハ3327での遅れを取り返せない。


入工中のモハ3325。

その結果消去法で残ったモハ3325(3328F)の先発に決定したが幸い比較的側面窓への銀色印刷侵出部が少ない車両を引き当てられた。
TOMYTEC製京成3300形では3312F新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3)を含めてもモハ3325が唯一のM2'車である。
運転台を撤去した成田寄偶柱が太い特徴を有するものの基本的な造形はM1車の車体と酷似している。
よって車体関連項目はモハ3311(3312F-3)の工程からヒューズボックス,避雷器固定化を省略するだけで問題ないと思われた。
独自施工箇所となる山側への電動発電機移設もモハ3312,モハ3309(3312F-3)で試行済だったため要領は抑えられている。
ところが然程整備に時間を要さないと考えたモハ3325でも想定外の事態が待ち構えていた。


揃って折損させた側面窓セル。

モハ3325の側面窓セルはモハ3311(3312F-3)と同様の嵌合精度を持ち妻面窓セルとの噛み合わせが固かった。
そのため車体中央側扉吹寄部へ爪楊枝を差し込み側面窓セル全体を撓ませた後に別の爪楊枝にて撤去する方式とした。
ここで見落としてしまったのはモハ3325だけに採用されたM2'車専用の側面窓セルである。
太くなった偶柱により妻面窓セルとの嵌合代を確保するため成田寄側扉吹寄付近の成形が変更されていた。
延長方法は成田寄車端部ユニット窓セルを継ぎ足したような形状とされ凸形状になっていた。
この独自仕様に全く気付かないまま偶柱へ爪楊枝を差し込んでしまい海側用側面窓セルは呆気なく破断している。


ゴム系接着剤に変更した側面窓セル固定方式。

妻面窓セルとの嵌合都合もあり側面窓セル追加成形部に負荷が集中したと思われた。
山側用側面窓セルの撤去は予め上野寄偶柱部から嵌合を解き1箇所へ圧が掛からない方式へ変更される。
しかしこの変更でも追加成形部を折損に至らせモハ3325の第二次整備は波乱の幕開けとなった。
側面窓セル窓サッシ印刷補修は軽微に留まり爪楊枝式で側面窓の塗料はみ出しを除去した。
但しモハ3327の側面見附が思わしくなく剥離の進まない箇所は見切っている。
折損させた側面窓セルは片側支持のため上野寄の支持箇所が存在しない形状へと変わってしまった。
接着固定しか対処方法が無く上野寄側面窓セルは両端側扉吹寄部にゴム系接着剤を塗布した。
成田寄車端部ユニット窓も凸形成形部を接着固定とし妻面窓セルとの2点支持に持ち込んでいる。


底面の修正を施したクーラーキセ。

固定前の脱落が相次いだクーラーキセだったがモハ3325では発症せず一息付けると思われた。
だが上野寄,車体中央に搭載されたクーラーキセは屋根板との隙間が発生していた。
両方とも上野寄から斜めに嵌まり込んでおり湯口跡整形部が原因だと即時判明する。
湯口跡を全て均せれば何の不都合も無い作業であるが生憎クーラーキセは成形色ではない。
不用意に切除するとクーラーキセの塗装を端がしてしまうため少しずつ削るしかなかった。
屋根板との干渉箇所は湯口跡前端に位置しておりクラフトナイフで整形を進める。
この際は屋根上見附が崩れないよう都度現物合わせを行い最低限の調整代に留めた。
整形した2台のクーラーキセは無事違和感を抱かない程度に屋根板と接しそのまま流し込み接着剤で固定した。


分割された床下機器部品。

続いて電動発電機を山側へ移設する床下機器配置変更へ取り掛かる。
更新修繕前に冷房改造が行われたモハ3325は元々成田寄M2車だったためモハ3309(3312F-3)と同一機器配置になる。
都合4点で構成される床下機器部品だが加工を伴わない2点の床下機器部品は先に台枠へ溶着した。
残された床下機器部品は電動発電機とその対を成す床下機器を切断し相互交換に備えた。
単独部品となった電動発電機は原形のまま山側への取り付けが可能である。
ただ台枠の床下機器部品取付口が緩く平行を維持する観点から台座部ごと溶着させた。


狭幅化した嵌合爪。

一方電動発電機の代わりに追設される床下機器は位置都合により無加工で装着出来ない。
加えて元の位置へ復する床下機器部品も嵌合爪が1箇所へ減少し安定性に不安を抱かせる要因となる。
この床下機器部品は塩梅良く中央部に嵌合爪が来てくれるため台枠固定時の目安とした。
流し込み接着剤は床下機器部品台座へ先行投入し固着後に嵌合爪と台枠の溶着を行っている。
電動発電機移設箇所へ挿入する床下機器部品は嵌合爪の狭幅化にて取付猶予を確保した。
原形の嵌合爪は切断した床下機器部品中央から偏位しており左右を等幅に揃える。
台枠床下機器部品取付口の左端が原形での取付を制限する基だが失敗確率を考え無難な床下機器部品への細工とした。


床下機器配置変更を終えたモハ3325用床板(山側)。

唯でさえ台枠との接触面積が少なくなった上にモハ3325では床下機器部品取付口の緩さも追い討ちを掛ける。
床下機器部品取付口は360度の回転を許すほどで平行合わせに手間取った。
位置基準は台枠側面としどうにか取付方向の調整を行い床下機器部品台座もろとも溶着させている。
座席部品の湾曲はモハ3327ほど酷くなく車体中央側扉床面へ圧を与えただけで直線状に戻せた。
台枠からの浮き上がりも発生せず床板一体化は2点固定式で十分だと思われた。
念のため座席部品中央部を抑えながら流し込み接着剤を投入したが特に問題ない仕上がりへと達している。




モハ3325(3328F:側面窓セル修復,走行部品組込,床下機器配置変更,側面行先表示器基準幕化施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3309(3312F-3:床下機器配置変更試作車)。
※TOMYTEC製:M2車。

モハ3325でも側面行先表示器基準幕化が失念され竣工直前になって青マッキーで塗り潰しを行った。
どうにか復旧まで漕ぎ着けたが入場直後の側面窓セル折損で大きく動揺した模様である。
まさかM2'車専用の側面窓セルが用いられているとは予想もしていなかった。
事前確認が足りず自爆と言える結果になったが竣工したモハ3325(3328F)は失策を感じさせない側面見附に至ったと思う。
床下機器配置変更もモハ3312,モハ3309(3312F-3)での現物合わせから脱出し仕様標準化に目途が立った。
ただ2両続けて工程変更に迫られる嫌な展開は今後へ向けての不安要素でそろそろ断ち切りたいところである。

京成3300形モハ3327[3328F] 新赤電色 (側面窓セル修復,走行部品組込,側面行先表示器基準幕化施工) ※TOMYTEC製

2019-09-23 21:46:35 | 京成線:3300形
大失敗。

TOMYTEC製京成3300形3312F新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3)の側面窓セル窓サッシ印刷修正規模は比較的小さかった。
窓サッシモールドからはみ出した銀色塗料の除去は爪楊枝で擦る方式としたが如何せん時間が掛かり過ぎた。
尚且つ一部では側面窓に擦過痕を生じさせてしまいこれの補修にも追われる展開になっている。


京成3300形モハ3327 3次車 新赤電色(3328F)。
※TOMYTEC製。

第二次整備に着手するTOMYTEC製京成3300形3328F新赤電色(3,4次車:3328F)は3312F-3よりも窓サッシ印刷水準が低かった。
至る所で窓サッシモールド下部両端のはみ出しを抱えており側面見附が劣るように感じられる。
しかも3312F-3に対し入場車が2両増えるため効率の悪い爪楊枝式印刷剥離はいまいち気乗りしなかった。
在籍中のTOMYTEC製京成形式では3500形3592F現行色晩年仕様(6次車:3592F-2)を皮切りに運行番号表示器印刷消去を行っている。
3500形3556F朱帯色後期仕様(3次車:3556F)での失敗はあったが一応成功例が上回る結果を残していた。
先のモハ3312,モハ3309(3312F-3)でもそれなりに纏められたため薄め液で窓サッシ印刷を剥離する方法が急浮上した。


入工中のモハ3327。

3328Fの第二次整備第一陣に起用したモハ3327は全6両の中でも側面窓セル窓サッシ印刷の状態が悪い車両に属する。
薄め液での消去を試行するには銀色印刷がはみ出した面積の広い個体が相応しく思えた。
仮に薄め液式が当たってくれれば窓サッシ印刷補修へ充てる時間は大幅に短縮されるはずである。
運行番号表示器とは異なる銀色塗料だが十分通用すると考えモハ3327を薄め液式窓サッシ印刷消去試作車に抜擢した。
側面窓セルは3312F-3に続き両端嵌合爪先端湯口跡の整形が甘く除去には撤去を要する。
嵌合精度の個体差は折り込み済であり予めニードルと爪楊枝2本を用意して分解に取り掛かった。


折衷式となった側面窓セル撤去(成田寄)。

3312F-3はモハ3311モハ3310での個体差が大きく各々爪楊枝式,ニードル式にて側面窓セルを取り外した。
モハ3327の側面窓セルは海側,山側とも両車を足して2で割ったような嵌合具合を示していた。
殆ど撓みの無い側面窓セルはモハ3311に近い一方でモハ3310と同じ様な妻面窓セルとの噛み合わせを持つ。
直接偶柱部へニードルを差し込むには若干余裕が無く先に中央側扉吹寄部へ爪楊枝を滑り込ませた。
これにより側面窓セルと妻面窓セルには隙間が生まれニードルを差す猶予が確保される。
妻面窓セルは妻板と共に抑えながら少しずつニードルを進入させ撤去まで辿り着けた。


薄め液の影響で曇りが生じた側面窓。

早速細綿棒へ薄め液を浸し窓サッシモールドからはみ出した銀色塗料に当てる。
ところが先に窓サッシ印刷が剥離してしまい肝心な窓サッシモールド下部は筆で払っても除去できなかった。
筆では圧が不足すると考え細綿棒で直に側面窓を擦る作戦に切り替えた。
これも空振りに終わり最後には先端を鋭角に切り落とした爪楊枝まで持ち出している。
思うような結果が出ず各種試行を続けているうちにセルの変質を招き側面窓は激しい曇りが生じてしまった。
早くも薄め液式印刷消去は無力と判り中止されると共に側面窓の修復が主工程へとすり替わった。


どうにか体裁を整えた側面窓セル。

もう銀色塗料のはみ出しに構っていられる状況ではなくどの様に側面窓を元に戻すかを考えるだけで精一杯となる。
側面窓には途中で持ち出した爪楊枝の痕跡と思われる擦過痕まで走っており完全復旧は放棄せざるを得なくなった。
中段窓サッシモールドと平行に走る擦過痕の隠蔽策は側面窓を薄くするしか手段が思い浮かばずラプロス#6000で擦った。
更にラプロス#8000を当て大凡の平滑化まで持ち込んだが側面窓は曇り硝子同様と化してしまった。
透過率の改善は事務用消しゴムを強めに擦り続けて対処し何とか著しい曇りから脱出させている。
この失敗で消失した中段窓サッシ印刷は全面的に油性メタリックマーカー再現へと変更された。


ヒューズボックス位置調整中に脱落したクーラーキセ。

失策が積み重なり全く手応えを得られないまま側面窓セル窓サッシ印刷の補修は打ち切られる。
諦めて屋根上機器の固定化へ移行したところヒューズボックス位置を整えている最中に今度はクーラーキセが脱落した。
この症状は第一次整備時のモハ3328と同一で屋根板表面が垂直より下へ向くと嵌合を保てなくなる。
元々クーラーキセの溶着固定は第二次整備工程に組み込まれていた。
しかし側面窓セル窓サッシ印刷補修に失敗した直後でもあり落胆は大きかった。
加えて成田寄クーラーキセ裏面の湯口跡整形処理が不十分だったため修正を行った後に溶着している。


台枠から浮き上がる座席部品(上野寄)。

一部車両で見受けられた座席部品の反りはモハ3327が最も激しく現れていた。
座席部品は全体がU字形に湾曲しているが台枠へ嵌め込むと上野寄だけ大きく浮き上がる不可解な現象が発生する。
取り敢えず発生品の転用は最終手段として温存しモハ3327用座席部品を矯正する作戦に打って出た。
袖仕切を目安に山側と海側を見比べると中央側扉以外が撓んでおりこれが反りの原因だと判明した。
先ず海側と山側で段差がある両側側扉付近床面を捻り枕木方向の左右嵩均等化まで進める。
そして座席部品両端裏面から車体中央へ向けてへ字形に圧を与え直線状へと修正した。


完成したモハ3327用床板。

これで台枠と座席部品は無事接するようになったが強引な手法故に床板一体化の強度不足が懸念された。
在籍するTOMYTEC製車両では両端だけを溶着する2点固定式床板一体化を標準仕様にしている。
だが座席部品は反力が働く可能性があり台枠に固定したウエイトの表面にもゴム系接着剤を塗布する3点固定式に変更した。
台枠両端への流し込み接着剤投入はダミーカプラー取付孔に加え座席部品との隙間からも行っている。
床板一体化はやや不安が残ったため固着待ちの間にKS-131非動力台車を金属車輪化した。
しばらく様子見された床板だがしっかりと座席部品が固定されており外観上の問題は伺えない仕上がりに達してくれた。




モハ3327(3328F:側面窓セル修復,走行部品組込,側面行先表示器基準幕化施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3311新赤電色(3312F-3)。
TOMYTEC製。

ここまで側面窓セルや床板の対応に追われ側面行先表示器基準幕化がすっかり忘れ去られていた。
当初は幕間を残し[急行]幕,[成田]幕だけの塗り潰しに留めるつもりだった。
しかし窓セル再現の側面行先表示器とは勝手が異なり海側で措置に失敗し幕間を含めた基準幕化へ変更されている。
余計な試行が裏目に出て散々な目に遭いながらもようやくモハ3327(3328F)の竣工へと辿り着いた。
入場前に思い描いていた側面見附向上は未達で終わってしまい余り代わり映えのしない結果に終わっている。
なお無理矢理矯正した座席部品だったが台枠との位置関係は製品仕様を保てた模様で車体不等沈下は発生しなかった。
側面窓の擦過痕は致命傷に繋がりかねず曇り硝子まで達した状況からよく持ち直せたと思える。
半ば原形復旧が主軸になってしまったため3328Fの第二次整備は方針転換を余儀なくされると思う。

京成3300形3328F 3,4次車 新赤電色 6両B編成 回着 (誘導無線アンテナ取付,カプラー・パンタグラフ換装施工) ※TOMYTEC製

2019-09-22 21:37:30 | 京成線:3300形
再回着。

諸事情により返却回送されたTOMYTEC製京成3300形3328F新赤電色(3,4次車)が回着した。
先に出場したTOMYTEC製3312F新赤電色千葉線仕様(1次車:3312F-3)とは異なりマイクロエース製3300形と競合しない。
よって既存編成との識別を要さず編成管理番号は[3328F]のまま第一次整備を進める。


京成3300形3328F 3,4次車 新赤電色 6両B編成。
3328F:[3328]-[3327]-[3326]-[3325]+[3350]-[3349]。
※TOMYTEC製。

3328Fは3,4次車に相当し更新修繕で6両編成化が行われた金属バネ台車装着編成である。
4両編成だった3312F新赤電色とは対照的に[急行 成田]表示が印刷済の本線仕様とされた。
3300形更新車の車体は基本的に1次車と2~5次車で変わりなく印象把握も3312Fから変わっていない。
プロトタイプは成田寄に半ユニットが増結される6両B編成で運転台撤去車のモハ3325が目新しく映る。
但し種別表示器の[赤Hゴム支持]再現は健在で3312F-3にて採用したプラ板式種別表示器化を行う。
現時点では千葉線系統への投入だけが確定しており行先表示類は整備を進めながら選定する。


入工中のモハ3328(3328F)。

3312Fの第一次整備時はTOMYTEC製京成200形206Fでの事例を踏まえ敢え運転台側TNカプラーSP化が見送られている。
しかし前面三平面折妻とTNカプラーSPマウントの干渉はモハ3312,モハ3309(3312F-3)にて発生しないと判明した。
これによりモハ3328,モハ3349の運転台側TNカプラーSP化も第一次整備に含める。
よって誘導無線アンテナ取付,TNカプラーSP,グリーンマックス製PT-43S形パンタグラフ換装が第一次整備項目となった。
先ず屋根板への開孔を要する誘導無線アンテナ取付から作業に取り掛かっている。
ところが第一陣に抜擢したモハ3328はいきなり成田寄クーラーキセが外れる不測の事態が待ち構えていた。




モハ3328 [■ ■ ■ 急行 成田]:誘導無線アンテナ取付,TNカプラーSP化施工。

屋根板を撤去せずに誘導無線アンテナ取付孔を設けるつもりだったが結局クーラーキセは残る2台も脱落してしまった。
クーラーキセの嵌合精度は車体を反転しただけで屋根板から離れる程度しか持ち合わせていない。
予定は変更となり屋根板を取り外して誘導無線アンテナの取り付けまで進めた。
続いてクーラーキセを確認したが裏面や取付脚には変形等の異常は見られなかった。
取付孔も成形差異は見受けられず搭載順の入れ換えを試みたが症状改善には繋がらないまま終わっている。
幸いクーラーキセと屋根板は通常通り接していたため流し込み接着剤で溶着した。


入工中のモハ3349(3328F)。

モハ3328の後を受けたモハ3349ではクーラーキセ脱落に見舞われなかった。
但し運行番号表示器消去が必須となる第二次整備の工程簡略化を考えモハ3328へ揃える。
誘導無線アンテナ取付孔径はΦ1.0mmだがモハ3312,モハ3309(3312F-3)では相性の悪さが露呈した。
この傾向はモハ3328,モハ3349でも現れ線路方向のぐらつきが酷く安定性に欠ける。
早々に溶着固定が決定し送信用,受信用アンテナ双方とも微量の流し込み接着剤を投入した。
並行してクーラーキセの固定を行い屋根板関連項目は第一次整備で全て完了となっている。


モハ3349 [■ ■ ■ 急行 成田]:誘導無線アンテナ取付,TNカプラーSP化施工。

なおモハ3349はモハ3328よりも塗装が甘く貫通幌座とライトベゼルの銀色再現に乱れがあった。
これはモハ3312,モハ3309(3312F-3)の補修箇所がモハ3349へ集約されたようなものである。
どうやら貫通幌座の銀色再現は水切り下部が鬼門らしいがモハ3312ほど酷くはない。
ライトベゼル再現もモハ3309に倣った油性ペイントマーカー,油性メタリックマーカーの併用で修正出来ると予想している。
非動力台車はこれまで通りアーノルトカプラーマウントを切除し勾配区間に於けるTNカプラーSPとの干渉防止策を採った。
床下機器部品の嵌合はかなり緩いが電動発電機移設を行うモハ3328,モハ3349ではむしろ好都合に思える。


グリーンマックス製PT-43形パンタグラフへ換装されたモハ3350,モハ3326,モハ3327(3328F)。

次に入場したモハ3327,モハ3326,モハ3350にはグリーンマックス製PT-43S形パンタグラフを搭載させる。
何れも屋根板は取り外さず固定式パンタグラフを撤去するのみとした。
グリーンマックス製PT-43S形パンタグラフの嵌合精度は高く挿入だけでも昇降に支障は無い。
ここはモハ3311,モハ3310(3312F-3)と同様で接着剤を用いずとも使用に耐えられると思う。
取り敢えず3両ともパンタグラフ換装時の部品脱落は無くクーラーキセ等は第二次整備で溶着する。
特にヒューズボックスは屋根板との平行が崩れているため位置調整も必要となった。




モハ3328+モハ3327 (3328F:TNカプラーSP化,グリーンマックス製PT-43S形パンタグラフ換装施工)。

また座席部品の反りが気掛かりで状況次第ではモハ3310(3312F-1:動力ユニット搭載車)の発生品を充てるかもしれない。
座席部品の色温度からTOMYTEC製3500形モハ3555朱帯色後期仕様(3次車:3556F)捻出品も廻せると思われる。
その他3312Fと比べ全体的に側面窓セル窓サッシ印刷の仕上がりが悪く感じられた。
ある程度の個体差は止むを得ないがモールドから踏み外した箇所や印刷欠けが多々見られる。
それでも返却回送前の3328Fよりはましでありどうにか側面見附を引き上げるつもりである。
但し深追いすると返って見附を悪くさせる原因になりかねず退き際が大事になるだろう。


成田寄が切妻となるモハ3325 (モハ3327,モハ3325)。

最終入場車はM2'車のモハ3325で施工項目はTNカプラーSP化だけに絞られる。
TOMYTEC製京成3300形では初登場の運転台撤去車であり成田寄妻面は切妻が再現されている。
ここにも3200形更新車(6両編成)リリースの影が垣間見え今後に期待を持たせる車両となった。
3328Fに起用した黒色成形密着自動式TNカプラーSPは新規投入を図ったものである。
ところが既に白濁現象が生じており全て歯ブラシでの乾式清掃を実施した。
密着自動式TNカプラーSPは連結器部品の構造から白濁対策が行い易く乾式での対応となった。


モハ3325+モハ3350 (3328F:KS-131非動力台車装着車+FS-329D非動力台車装着車)。

3300形2次車~5次車にはFS-329D台車装着車とKS-131台車装着車の2種類が存在する。
製品化された3328Fはモハ3350+モハ3349がFS-329D台車を履く以外KS-131台車装着車で構成される編成だった。
付属品はKS-131動力台車枠のみでモハ3350への動力ユニット搭載は不可能となった。
従って動力車位置偏位を考えると動力ユニット搭載候補車はモハ3326,モハ3325の2両だけに限られる。

ただマイクロエース製3300形の動力ユニット搭載車は3320F現行色(2,4次車:6両編成)でもM1車に割り当てられている。
この法則が決め手となりモハ3326に動力ユニットを搭載させる方向で決着した。




3328F (第一次整備完了)。

モハ3328,モハ3349のクーラーキセ固定化を行った都合により3328Fは第一次整備から遅延が発生した。
しかし運転台側TNカプラーSP化まで済ませた3328Fは3312F-3よりも一歩進んだ環境で第二次整備に取り掛かれる。
その代わりモハ3328,モハ3326,モハ3325,モハ3349の作業項目が絡み出場は逆に遅くなると思う。
第二次整備は側面窓セル窓サッシ印刷補修と座席部品の反りが課題に挙がるモハ3327より開始する。
側面窓に侵出した銀色塗料は爪楊枝式ではなく新方式での除去を試行する予定である。
上手く嵌まればモハ3350との同日竣工も視界に入るためその効果に期待したい。

※記事訂正。

京成3300形モハ3309[3312F-3] 新赤電色 (前面行先方向幕貼付,床下機器配置変更,走行部品組込施工) ※TOMYTEC製

2019-09-12 22:03:41 | 京成線:3300形
四連続。

TOMYTEC製京成3300形モハ3309新赤電色(1次車:3312F-3)の第二次整備2日目を迎えた。
初日は二度もライトベゼルの補修に迫られ予定とは異なる工程へ進んでしまった。
床下機器配置変更を行う2日目も時間的余裕を持って作業に入っている。


京成3300形モハ3309 1次車 新赤電色(3312F-3)。
※TOMYTEC製。

モハ3309(3312F-3)の工程は側面窓セル修正,行先方向幕貼付,床下機器配置変更,走行部品組込が残る。
側面窓セル嵌合爪先端の湯口痕整形は第二次整備第一陣のモハ3311(3312F-3)から続く。
富士川車輌工業製英字無併記行先方向幕ステッカーの切り出し幅もモハ3312(3312F-3)で確定済だった。
TOMYTEC製京成200形206Fでは欠かせなかった運転台側TNカプラーSPと前面車体裾の競合防止策は必要としない。
従って特殊な作業は山側へ電動発電機を移設する床下機器配置変更に集約されると思われた。
ところが些細な箇所での躓きが多くモハ3309の作業は予定通りに進められなかった。


入工中のモハ3309。

先ず手こずったのは始めに取り掛かった側面窓セル窓サッシ印刷の修正であった。
3312F-3ではある程度の印刷乱れを許容しておりここまで大規模な補修車は現れていない。
しかしモハ3309(3312F-3)は海側用側面窓セルの状態が思わしくなかった。
各所で窓サッシモールドからのはみ出しが見られ補修に追われている。
どうにか側面窓サッシの波打ちを抑えたが乗務員室扉窓枠だけは印刷剥離が通用しなかった。
深追いすると[乗務員室]印刷まで失いかねず殆ど見附を上げられずに終わった。


程良い前進具合を見せる行先方向幕。

側面窓セル両端嵌合爪先端の湯口痕は従来通りクラフトナイフで均す。
そして貫通扉部品,前面窓セル,側面窓セルを車体に取り付け行先方向幕ステッカーの貼付へ移った。
回着当時から引っ掛かっていた行先方向幕の引き込みは富士川車輌工業製ステッカーで帳尻を合わせられる。
行先表示器窓Hゴム支持は車体再現ながら大凡マイクロエース製3300形と同等の再現に達したと思う。
残る車体関連項目は脱落し易い傾向があるクーラーキセの溶着のみと決め付けていた。
屋根板裏面から取付脚へ流し込み接着剤を投入するだけであり作業は早々に終えられるはずだった。


屋根板から浮き上がるクーラーキセ(成田寄)。

モハ3309(3312F-3)は当初から屋根板と成田寄クーラーキセが接していなかった。
部品嵌合の甘さはTOMYTEC製品で多々見られる現象であり殆どが組み直しで修正できた。
だがモハ3309に限っては幾ら押し込んでも屋根板との隙間が解消されない。
クーラーキセ内側のリブ切除や湯口痕整形等考え得る対策を行ったが全て不発だった。
最終的にクーラーキセ取付脚を小径化したがこれを行うと線路方向の位置調整が必要となる。
雨樋との平行を基準に微調整を繰り返しながら屋根板と密着させた。
屋根板周りで抑止が掛かるとは考えておらずまさかの躓きになっている。


取り外された床下機器部品。

TOMYTEC製3300形用床下機器部品は3500形3556F朱帯色(3次車)から流用されたらしい。
空気圧縮機もC-1000形ではなくC-2000形が取り付けられており実車とは異なる。
全面的な変更には無理があり電動発電機の移設でお茶を濁す事にした。
モハ3312(3312F-3)では床下機器部品へ流し込み接着剤投入した後に電動発電機の移設を行った。
これが作業の足を引っ張る要因となったがモハ3309(3312F-3)は最初から工程に組み込まれている。
加工する床下機器部品は2つでこれら以外は先に台枠への固定を済ませた。


移設した電動発電機(山側)。

床下機器から切り離した電動発電機は塩梅良く嵌合爪が残ってくれる。
山側の床下機器配置には十分な余裕があり台枠取付口に従い電動発電機を固定した。
対する海側だが相互交換される床下機器を受け入れる幅が足りず原形での取り付けが行えない。
幸い台枠取付口は全開状態で床下機器部品嵌合爪を凸形化すれば挿入が可能だった。
その代わり台枠との接触面積が大幅に縮小される弱点が生じ線路方向の平行維持すら困難となる。
凸形に改めた嵌合爪以外にも流し込み接着剤を投入し床下機器部品天面ごと台枠と溶着させた。


床下機器配置が揃ったモハ3312,モハ3309 (3312F-3)。

これでモハ3309(3312F-3)からも海側の電動発電機が消え去っている。
順序を間違えなければ床下機器配置変更で壁にぶち当たる事態は防げると思う。
慌てて電動発電機を移設したモハ3312(3312F-3)だったがモハ3309との差異は少なく感じられた。
海側の上野寄床下機器部品が若干離れており無理矢理空間を埋めただけの効果は得られたと思える。
続けて座席部品と台枠の一体化とKS-121非動力台車への金属車輪装着を行った。
最後に運転台側へTNカプラーSPを取り付けモハ3309の全工程が完了した。




モハ3309 [B05 普通 上野]:ライトベゼル修正,種別表示器・運行番号表示器追設,行先変更,TNカプラーSP化,走行部品組込施工。
※TOMYTEC製。


モハ3312 [B05 普通 上野]:3312F-3(貫通幌座,ライトベゼル修正施工車)。
※TOMYTEC製。

モハ3309(3312F-3)は貫通幌座の修正を行ったモハ3312(3312F-3)よりも小規模な補修に留められた。
ライトベゼルの補修はモハ3312:油性ペイントマーカー式,モハ3309:油性メタリックマーカー式と異なる仕上げになっている。
両車で極端な再現差異には至っていないように映り仕様統一は見送りされた。
運行番号表示器は印刷消去に失敗した3500形3556F朱帯色後期仕様(3次車:3556F)と同一再現となった。
モハ3309に比べ約0.5mm程運行番号表示器が前面窓に寄せられ収まりは良くなったと思える。
全体的な印象は[赤Hゴム支持]再現の英字無併記[普通]種別幕廃止による違和感解消が大きい。




モハ3312 [B05 普通 上野]:運行番号表示器再追設,取付位置変更施工。
※TOMYTEC製。

モハ3309(3312F-3)に取り付けた運行番号表示器はモハ3312(3312F-3)からの転用品である。
そのため3312F-3を出場させる運行番号表示器が失われたモハ3312の運行番号表示器復旧が欠かせなかった。
再入場させたモハ3312では分解を避けた運行番号表示器の再設置方式としたがこれが大失敗だった。
運行番号表示器ステッカーはt0.5mmのプラ板に貼り付けているため接着剤代が不足気味となる。
狭隘な助士側窓モールド上部への接着は安定性の確保が難しく平行合わせが度重なった。
行先方向幕ステッカーの保全を名目とした結果だが素直に分解して作業するべきだった思う。




モハ3309(側面窓セル修正,走行部品組込,側面行先方向幕基準表示化,床下機器配置変更施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3309新赤電色本線仕様(3312F-2)。
※マイクロエース製。

モハ3309(3312F-2)の第二次整備2日目も約90分を要して竣工まで持ち込んでいる。
成田寄クーラーキセの修正では苦戦したが側面見附向上に直結したと思う。
3312F-3では1両だけ発生した症状で対処療法的な対応とせざるを得なかった。
類似症状を持つ車両が現れた場合にはクーラーキセの入れ替えも選択肢に含める予定である。
同日中にモハ3312(3312F-3)が竣工し遂に3312F-3は出場を迎える。
初のTOMYTEC製京成3300形はバリエーション強化へ貢献する編成になると思う。

京成3300形モハ3309[3312F-3] 新赤電色 (運行番号表示器印刷消去,種別表示器交換施工) ※TOMYTEC製

2019-09-11 21:32:11 | 京成線:3300形
策定。

出場が視界に入ったTOMYTEC製京成3300形3312F新赤電色(1次車:3312F-3)だがモハ3312(3312F-3)の整備は予想を越えた。
製品印刷済の[■ ■ ■ 普通 千葉中央]表示は全面変更が決定した。
更に床下機器配置変更まで追加されTOMYTEC製京成3300形M2車の第二次整備は二分割化に進んでいる。


京成3300形モハ3309 1次車 新赤電色(3312F-3)。
※TOMYTEC製。

3312F-3の最終入場車となったモハ3309もライトベゼルに塗装乱れがあった。
貫通幌座よりも修正は容易いと思われモハ3312(3312F-3)の初日整備で補修試験を行っている。
特に措置は不要だったモハ3312であるがモハ3309との仕様統一が考慮された。
取り敢えず無難な結果を収めモハ3309も油性ペイントマーカー式での修正に踏み切る。
一方で前面窓セル下辺とプラ板式種別表示器の競合が明らかになった。
英字無併記[普通]種別幕を切り落とすだけでは不十分であり貫通扉窓下部の追加整形が必要だった。


モハ3312,モハ3312 (3312F-2,3312F-3:マイクロエース製,TOMYTEC製)。

前面窓セル表面に印刷された運行番号表示器の消去は成功したと思える。
しかし追設した運行番号表示器はマイクロエース製京成3300形よりも引き込み気味となった。
TOMYTEC製3300形の前面窓セル成形では裏面への設置に無理があると感じられた。
自作運行番号表示器ステッカーの視認性も決して優れている訳ではない。
そこでモハ3309(3312F-3)ではTOMYTEC製京成3500形3556F朱帯色後期仕様(3次車:3556F)と同一方式を採り入れる。
3556Fは助士側窓セルモールド上部に運行番号表示器を追設しており前面見附改善の一手とした。


入工中のモハ3309。

モハ3309(3312F-3)の第二次整備は先ず前面行先方向幕基準表示化まで進行させる。
初日は行先表示類変更準備に集中し行先方向幕ステッカー貼付と床板関連項目を2日目へ廻した。
電動発電機の移設に難航したモハ3312(3312F-3)は工程順自体が悪かった。
床下機器部品は一部を分割するだけに近く順序さえ間違えなければ切り抜けられるはずである。
重点項目は初日に集約されていると言え十分な作業時間を確保する算段とした。
早速モハ3309を入場させ側面窓セル,前面窓セルの撤去に取り掛かる。


取り外された前面窓セル。

側面窓セルの嵌合具合はモハ3312(3312F-2)とほぼ同様で偶柱部へニードルを差し込む方式とした。
抵抗感は殆ど感じられずニードルの侵入と共に側面窓セルが外れてくれた。
貫通扉部品,前面窓セルは嵌合爪を持たない構造であり前面から押し出すのみとなる。
唯一繊細な通過標識灯用レンズには注意を払い車体との取り付け角度を崩さずに取り外した。
前面窓セルの種別表示器はニッパーで切り落とし三平面折妻頂点部だけ下端を引き上げる。
都度貫通扉部品と組み合わせプラ板種別表示器の追設に十分な代を確保した。
次は初日の工程で最も重要な運行番号表示器印刷消去へと移行する。
モハ3312での施工は上出来だったが白地印刷の溶解に時間を割かれた。
この傾向はモハ3309も変わらないと思え薄め液に漬けての作業は慎重を期した。
黒枠印刷は筆を持ち出す間も無く溶けてくれたが白地印刷部には筆と細綿棒を併用している。
それでも完全な透明化まで持ち込めず最後は磨きクロスで白点状に白地残る印刷を削ぎ落とした。


設置位置を変更した運行番号表示器。

運行番号表示器印刷消去を終えた後に前面窓モールド厚の確認を行っている。
その結果運行番号表示器を助士側窓上部へ設置しても前面窓表面との距離が生じると判明した。
マイクロエース製3300形に比べ奥まった再現へと至ったのは前面窓セル成形形状が関係していた。
比較検討以前の問題でありモハ3312(3312F-3)に取り付けた運行番号表示器は撤去されモハ3309(3312F-3)へ移設となった。
前面窓モールドは比較的厚みがありゴム系接着剤で運行番号表示器を固定している。
薄め液で溶けてしまった前面窓黒Hゴム支持再現はマッキーで復活させた。
どうやら尾灯レンズ部も薄め液に触れたらしく両側とも赤マッキーで先端を塗り潰した。
なお撤去した英字無併記[普通]種別幕部は京成3200形のリリースを先読みし保管品へ廻している。


思ったより状態が悪かったライトベゼル再現。

ライトベゼルの銀色印刷修正は助士側尾灯前端だけで済むと考えていた。
しかし仔細に見ると前尾灯全てでファイアーオレンジ地が覗く有り様であった。
加えて助士側前尾灯は側面の塗料回り込みが無く全面的な補修へ変更となる。
そのためモハ3312(3312F-3)での事前施工は全く役に立たなかった。
油性ペイントマーカーのインクは斑が生じ易く何度も塗り直す羽目になった。
なかなか均一に仕上げられず銀色再現が行き渡った時点で一旦作業を見切っている。
種別表示器の交換は前面窓セルを整形したためモハ3312から変更していない。
但し種別表示器との面一化にはプラ板を貫通扉幅に揃える必要があった。


富士川車輌工業製英字無併記[普通]幕に交換された種別表示器。

貫通扉裏面はライトベゼル部の一体成形が絡みマイクロエース製3300形程度しか余裕がない。
プラ板を狭幅化して対応したが十分な接着剤代が確保できずゴム系接着剤は貫通扉裏面への塗布となった。
なお富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕ステッカーは原寸のまま切り出している。
種別表示器への収まり具合は問題無く位置微調整にも支障を来さなかった。
前面窓セル,貫通扉部品への細工が完了し初日の工程は終わりが見えたと思えた。
ところが油性ペイントマーカーを用いたライトベゼルの修正に不備があったと判明する。
塗り直しを余儀なくされた結果気付かないうちに前尾灯の内部までインクが侵入したらしい。
前面窓セルとの仮合わせで押し出されたインク屑が前尾灯レンズを覆ってしまった。
止むを得ず油性ペイントマーカーを剥離し再びライトベゼル補修に取り掛かった。
油性ペイントマーカーではどうしてもインク被膜が厚くなってしまう。
これを防ぐため油性ペイントマーカーは単層に留めライトベゼル前端だけ油性メタリックマーカー再現とした。


油性メタリックマーカーに変更したライトベゼル再現。

油性メタリックマーカー単独ではファイアーオレンジ地を隠せなかった。
再修正では油性ペイントマーカーが下地となりライトベゼル前端を銀色で覆えている。
取り敢えずモハ3312(3312F-3)との差異は最小限で食い止められたと思う。
モハ3309(3312F-3)の第二次整備初日は運行番号表示器印刷消去とライトベゼル補修で占められた。
終わってみれば作業は約90分に達しておりモハ3312の初日整備と同じ時間が経過していた。
ある程度苦戦は予想していたがもう少し早く仕上げられると考えていただけにまさかの展開であった。
第二次整備2日目も何が待ち構えているか判らず3312F-3の出場は遅れるかもしれない。

京成3300形モハ3312[3312F-3] 新赤電色 (前面行先方向幕貼付,走行部品組込施工,床下機器配置変更試行) ※TOMYTEC製

2019-09-10 21:43:42 | 京成線:3300形
第二幕。

TOMYTEC製京成3300形3312F新赤電色(1次車:3312F-3)ではモハ3312がM2車の初入場車となった。
英字無併記[普通]種別幕の[赤Hゴム支持]再現は予想外であり[千葉中央]幕と共に製品印刷は廃止が決定する。
選択に悩んだ運行番号表示器再現もグリーンマックス製3150形用ステッカーの残数都合で印刷再現消去が選択された。


京成3300形モハ3312 1次車 新赤電色(3312F-3)。
※TOMYTEC製。

存置も考えられた製品印刷済の[■ ■ ■ 普通 千葉中央]表示は全て姿を消す事になった。
マイクロエース製3300形に準拠したプラ板式種別表示器新設は前面窓セルとの競合対策を要した。
運行番号表示器印刷消去もTOMYTEC製200形モハ208,2000形クハ2003更新車晩年仕様(206F)とは異なり一癖あるものだった。
更に運行番号表示器追設でも独特の前面窓セル裏面成形により独自仕様化を迫られている。
加えて第一工程に据えた貫通幌座修正で油性メタリックマーカーが使用できず作業全体を押す要因と化した。
前面に大幅な手を加えた影響が第二次整備中断へと直結し2日目の作業も追われる展開になっている。


入工中のモハ3312。

英字無併記[普通]種別幕,運行番号表示器の追設で初日の作業は打ち切りとなった。
2日目は富士川車輌工業製行先方向幕ステッカーの採寸から作業を再開する。
英字併記[泉岳寺 Sengakuji]幕ステッカーの試験貼付では行先表示器内に収まらないと判明した。
3300形1次車は現行色への変更後もしばらく英字無併記行先方向幕が使用され続けた。
よって英字併記[泉岳寺 Sengakuji]幕では左右を切り詰める幅が掴めない。
そのため新たに英字無併記[泉岳寺]幕を試験貼付用として切り出した。
両端は[泉寺]表記ぎりぎりに合わせ行先表示器内へ収まる寸法を探る。


試験貼付した富士川車輌工業製英字無併記[泉岳寺]幕ステッカー。

英字無併記[泉岳寺]幕が行先表示器からはみ出した場合には更に千葉線系統を除く行先方向幕ステッカーを切り出すつもりだった。
幸い三文字方向幕であれば[泉岳寺]幕と同様の幅で問題ないと判った。
ただ富士川車輌工業製行先方向幕ステッカーの余白を考えると[千葉中央]幕,[(千葉) ちはら台 Chiharadai]幕は採用が厳しいかもしれない。
ひとまず行先変更への目処は立ったが組み立てなければ前面窓セルの角度が微妙に変わってしまう。
行先方向幕の前進もTOMYTEC製京成3300形での課題でありステッカー貼付は先送りとした。


先行した側面窓セル取付。

側面窓セル両端の嵌合爪前端は全てクラフトナイフで平滑化する。
モハ3310(3312F-3)で見舞われた謎の粘着物質はモハ3312(3312F-3)用側面窓セルにも付着していた。
除去に手間を要する粘着物質だが側扉窓,側面窓断面まで進出している。
結局モハ3310よりも厄介な作業となってしまい以後の作業は大きく遅れた。
加えて側面行先方向幕基準表示化では青マッキーのペン先を車体に当ててしまった。
諦めずに製図用消しゴムを擦り続けどうにか目立たない状態へと漕ぎ着けた。


車体と接触しなかった運転台側TNカプラーSP。

第一次整備で見送った運転台側TNカプラーSP化もモハ3312(3312F-3)での解消試験項目だった。
ジャンパ連結器モールドと三平面折妻の前面車体裾は当然接触するものと考えていた。
ところが貫通扉を別部品とした影響からか車体断面厚は200形より薄型化されたらしい。
無加工のTNカプラーSPを装着した台枠は何処にも競合せずに組み込めている。
TNカプラーSPカバーへの細工は何度も失敗した過去がありSPフレームTNダミーカプラーを生む起点になる程だった。
嫌な予感を抱いていたがTOMYTEC製京成3300形M2車の運転台側TNカプラーSP化は特別な細工を必要としなった。
製品仕様に救われ側面窓セルの清掃で奪われた時間はここで取り戻せると思われた。


一体化した座席部品と台枠。

床板関連項目は床下機器部品の固定と走行部品組込を残すだけとなる。
KS-121非動力台車にはマッキー輪心黒色化を施した金属車輪を取り付けた。
床下機器部品もモハ3311(3312F-3)と同じく両端嵌合爪に限り台枠へ溶着する。
そしてダミーカプラー取付孔から流し込み接着剤を投入し座席部品と台枠の一体化を図った。
後は組み立てるだけのはずだったが電動発電機が海側に配されていると気付いた。
溶着寸前の床下機器部品に焦りながら何とか撤去し山側へ電動発電機を移設している。




モハ3312 [B05 普通 上野]:貫通幌座修正,種別表示器・運行番号表示器追設,行先変更,TNカプラーSP化,走行部品組込施工。
※TOMYTEC製。


モハ3312 [ 5 特急 成田空港]:3312F-2(本線仕様)。
※マイクロエース製。

富士川車輌工業製英字無併記行先方向幕ステッカー貼付が最終工程となった。
試験用英字無併記[泉岳寺]幕を基準に三文字表記幅を確保してステッカーを切り出す。
ステッカー断面は青マッキーで塗り潰し基準幕化した行先方向幕部品と馴染むようにした。
前面見附は英字無併記[普通]種別幕の存在感が格段に向上したと思える。
塗装の行き渡っていなかった貫通幌座だがよりによって水切り直下に補修部があった。
乱れが残る仕上がりは油性ペイントマーカー式補修の限界だと思う。




モハ3312(側面窓セル修正,走行部品組込,側面行先方向幕基準表示化施工,床下機器配置変更試行)。
※TOMYTEC製。


モハ3312新赤電色本線仕様(3312F-2)。
※マイクロエース製。

運行番号表示器追設位置はマイクロエース製京成3300形に合わせたつもりだった。
しかしモハ3312新赤電色本線仕様(3312F-2)に比べ視認性が劣って見える。
そこでモハ3309(3312F-3)ではTOMYTEC製京成3500形3556F朱帯色後期仕様(3556F)に準拠した助士側窓内への設置を試行する。
モハ3312(3312F-3)との比較検討を行いどちらがTOMYTEC製3300形に適するか判断する予定である。
また電動発電機を山側へ移設した床下見附は黒色成形品故にその効果が伺い難い。
しかも手遅れ寸前の着手で大幅に手こずっておりモハ3309(3312F-3)では床板一体化前に施工する。




モハ3312+モハ3311 (3312F-3:M2車+M1車)。
※TOMYTEC製。

2日目の第二次整備も約90分を費やしようやくモハ3312(3312F-3)が竣工した。
試行要素を除いても施工項目が多くTOMYTEC製3300形M2車の整備はある程度時間が必要だと判った。
中でも運行番号表示器印刷消去は難敵と言えモハ3309(3312F-3)でも成功するとは限らない。
返却回送された3328F(3,4次車)も控える事から3300形M2車の工程は見直しを図る。
今入場を遡ると作業分界点は前面行先方向幕基準表示化が一区切りに相応しく感じられる。
モハ3309は欲張らずに当初から2日間に工程を分けて整備を行う予定である。

京成3300形モハ3312[3312F-3] 新赤電色 (貫通幌座修正,運行番号表示器印刷消去,種別表示器交換試行) ※TOMYTEC製

2019-09-09 21:47:12 | 京成線:3300形
大鉈。

第二次整備が進むTOMYTEC製京成3300形3312F新赤電色(1次車:3312F-3)4両のうちモハ3311,モハ3310が竣工した。
残るモハ3312,モハ3309(3312F-3))は何れもM2車でTOMYTEC製3300形では初入場となる。
M2車の前面窓セルは片側支持だと思われるがTOMYTEC製200形206F更新車に似た構造が採用されていると予想した。


京成3300形モハ3312 1次車 新赤電色(3312F-3)。
※TOMYTEC製。

先発入場車は前面貫通幌座に銀色塗料が行き渡っていないモハ3312(3312F-3)とする。
千葉線系統に投入する3312F-3の行先表示類は印刷済[普通 千葉中央]での出場が内定していた。
第一次整備で小振りに見えた英字無併記[普通]種別幕は当然改善項目となる。
[千葉中央]表示もマイクロエース製3300形,グリーンマックス製3150形に比べ奥まっている感じがする。
製品仕様次第では富士川車輌工業製英字無併記[普通]種別幕を採用する可能性があった。
行先方向幕はラベル厚にて前進可能と思われ行先変更が考慮された工程に変更している。


入工中のモハ3312。

行先変更はモハ3311(3312F-3)の入場時に思い立ち急遽側面行先方向幕基準表示化を行った。
まだモハ3312,モハ3309(3312F-3)で前面行先方向幕の前進が実現するか判らない。
しかし在籍する京成形式では側面行先表示器への拘りが薄く基準幕化には抵抗を感じなかった。
この側面行先方向幕基準表示化を活かせるかはモハ3312の作業で方向性が定まる。
そのためモハ3312の第二次整備は編成仕様を左右する重要な工程と言えた。
更にTOMYTEC製3300形M2車の構造解析も終えておらず長期戦を覚悟して分解に取り掛かる。


TOMYTEC製京成200形に類似していた側面窓セル支持方式。

予想通り側面窓セルは前面窓セルによる片側支持が採用されていた。
側面窓セルと前面窓セルの支持関係は200形モハ206,モハ207(206F)と同様に見える。
200形の分解は運行番号表示器印刷消去を行ったモハ208更新車晩年仕様(206F)での前例があった。
モハ3310(3312F-3)で思い浮かんだ側面窓セル車体中央部を浮かせる手段は無用と判断している。
よってモハ3312(3312F-3)の側面窓セル撤去は偶柱部へニードルを差し込む従来方式に戻した。
手慣れた方法でもあり容易に側面窓セルの取り外しを終えられた。


2pcs式の前面構成部品。

前面窓セルは行先方向幕,種別幕,前尾灯レンズまで一体成形されていた。
貫通扉部品もライトベゼル部が含まれる等意外に凝った作りをしている。
想定外だったのは英字無併記[普通]種別幕を囲う[赤Hゴム支持]再現である。
種別表示器と隙間があるように見えていた英字無併記[普通]種別幕はまさかの製品仕様だった。
見附を保ったまま[赤Hゴム支持]を白地幕に仕上げる手法は全く思い浮かばずに終わった。
ここで印刷済英字無併記[普通]種別幕の採用は放棄され種別幕成形部を切除した。


油性ペイントマーカーで補修した貫通扉幌座。

貫通扉幌の印刷が乱れているのはモハ3312(3312F-3)だけである。
修正は失敗しても補修が可能な油性メタリックマーカーを使用するつもりだった。
しかし側面窓セル窓サッシモールドとは異なりファイアーオレンジ地を隠蔽出来ない。
結局油性ペイントマーカーでの補修となったが同様の事例はTOMYTEC製1000形モハ1029後期仕様(1029F-5)で存在していた。
マスキングテープ剥離により貫通幌座再現の一部を失ったモハ1029は油性ペイントマーカーで修正した。
モハ1029はペン先を点状に当てたはずでモハ3312でもこれを踏襲し貫通幌座の復旧へと持ち込んでいる。


消去された運行番号表示器印刷。

前面窓セルへの表面印刷が成されている運行番号表示器も課題の一つだった。
グリーンマックス製3150形用ステッカーを表貼りする急場鎬はもう採れない。
運行番号表示器の印刷消去はTOMYTEC製3500形モハ3556,モハ3553朱帯色後期仕様(3次車:3556F)で見事に失敗した。
その後のモハ208,2000形クハ2003(206F←モハ207:二代目)では成功を収めている。
どちらに出るか判らないモハ3312(3312F-3)の運行番号表示器印刷消去は半ば賭けと言える作業だった。
白地印刷の溶解に時間が掛かったものの解した細綿棒を当て続け完全消去まで漕ぎ着けた。


張り出しを避けて追設した運行番号表示器。

薄め液での運行番号表示器印刷消去であり助士側前面窓黒Hゴム支持再現までもが失われる。
マッキーで復旧を図ったが運転台側前面窓黒Hゴム支持印刷とは仕上がりに差が生じてしまう。
そのため運転台側前面窓支持Hゴムモールドも同時に塗り潰し違和感を廃した。
運行番号表示器はステッカーを貼付したプラ板再現とし助士側前面窓内側に掲げる。
追設位置は前面窓内ではなく上部とし在籍するマイクロエース製3300形に合わせた。
当該部には通過標識灯用レンズ基部が張り出しておりプラ板の糊代は狭幅化されている。


プラ板式に変更となった種別表示器。

先に前面窓セルの種別幕部を切除してしまったため種別表示器は新設となる。
貫通扉部品は思ったよりも薄くマイクロエース製3300形との共通仕様化が可能と思われた。
プラ板式種別表示器は全く同じながら前面窓セルとの嵌合で計算が狂う。
貫通扉窓部は前面窓セル運転台側,助士側下端と揃う位置に合わせ切り落とした。
ところが前面窓セル下辺が種別表示器上辺と重なってしまい貼付した種別表示器を押し出す自体に陥る。
種別表示器の位置変更は望ましくなく種別表示器上部だけ前面窓セル嵩を引き上げた。


基準幕化に留めた行先表示器。

一旦貫通扉部品,前面窓セルを車体へ組み込み各々の雰囲気を確認した。
基本的な仕様を引き継ぎつつも気になっていた箇所は大分減ったように思える。
強いて挙げるとすれば角度により行先方向幕位置が変わる点が気掛かりではある。
ただ富士川車輌工業製行先方向幕ステッカーの直貼りで補えると考え強引な前進策は見送った。
試験用英字併記[泉岳寺 Sengakuji]幕ステッカーを貼り付けたところ行先表示器幅よりも僅かに広かった。
富士川車輌工業製英字無併記行先方向幕ステッカーは余裕が少なく千葉線系統以外の方向幕で試験貼付を行う予定である。


殆ど進められなかった第二次整備初日。

再び前面窓セル及び貫通扉部品を取り外し残る箇所への細工を行う。
ライトベゼル再現の修正が伴うモハ3309(3312F-3)を前にしてモハ3312(3312F-3)で事前対策を試行した。
その結果貫通幌座とは対照的に軽くペン先を当てるだけでライトベゼル再現の補修が行えると判明した。
また行先方向幕は青マッキーで[]表示へと変更しステッカー切り出し失敗に備えている。
印刷済[普通 千葉中央]表示の採用を断念した代償は大幅な工程変更と作業追加だった。
既に入場から約90分を越えておりモハ3312の第二次整備は中断に追い込まれた。
残された項目は行先方向幕ステッカー貼付を除くとモハ3311(3312F-3)に近く2日目での竣工を目指す。

京成3300形モハ3310[3312F-3] 新赤電色 (側面窓セル修正,動力ユニット搭載,側面行先方向幕基準表示化施工) ※TOMYTEC製

2019-09-08 21:30:46 | 京成線:3300形
中核。

側面窓セル支持方式に変更があったTOMYTEC製京成3300形3312F新赤電色(1次車:3312F-3)はM1車の第二次整備を優先させる。
モハ3311(3312F-3)に続く入場車は動力ユニット搭載を行うモハ3310となった。
壁になると思われた側面窓セルの撤去だがモハ3310では違う展開が待ち受けていた。


京成3300形モハ3310 1次車 新赤電色(3312F-3)。
※TOMYTEC製。

モハ3310(3312F-3)にはTOMYTEC製TM-06R動力ユニットが充当される。
床下機器部品は全て移設を要しKS-121動力台車枠取付も行わなければならない。
18m級車体では特殊な加工を必要とせず既存の京成形式に準拠した方式で進められる。
TOMYTEC製TM-06R動力ユニット搭載車はある程度竣工させており時間が読める作業だった。
とにかく側面窓セルを瑕疵無く取り外せるかが竣工への課題に思えた。
よってモハ3310でも車体関連項目が優先され第一工程に前倒しとなっている。


入工中のモハ3310。

片側支持の側面窓セルは妻面窓セル凸形成形部を失うと車体との嵌合が維持できなくなる。
これは側面行先表示器が車体再現に変更されたためで返って取り外しを慎重にさせる。
また海側,山側の成形差異は伺えずどちらにも装着が行えるように見えた。
一見による判断であり実際には専用設計が採用されているかもしれない。
仮に側面窓セルの選択を誤ると妻面窓セル凸形成形部が破損する可能性が浮上した。
そこでモハ3310(3312F-3)からは片側毎の側面窓セル修正に改めた。


ニードルで浮いた側面窓セル(上野寄)。

嵌合が固かったモハ3311(3312F-3)ではニードルが通用せず爪楊枝を偶柱部に差し込んでいる。
それでも妻面窓セルを湾曲させなければ側面窓セルが取り外せなかった。
分解したモハ3310(3312F-3)の側面窓セルは結構な反りがありニードルでも対応できると思われた。
半ば駄目元ではあったが再び径の細いニードルでの側面窓セル撤去に戻している。
海側から側面窓セルの取り外しへと取り掛かったところ簡単に妻面窓セル凸形成形部を乗り越えられた。
妻面窓セルを押し広げる必要もなくモハ3311とは真逆の嵌合精度であった。


湯口痕の処理が甘い側面窓セル嵌合爪先端部(成田寄)。

3312F-3は全車揃って側面窓セル嵌合爪先端部湯口痕の処理が甘いと判明している。
該当部分は側面窓セル両端の嵌合爪だけに限られるが車体裾から露出する箇所まで散見された。
湯口痕の整形はニッパーでの切断も採用出来たが嵌合爪への影響を考えクラフトナイフで抉る方式とした。
張り出しの長短に関わらず整形を行ったため結局全箇所が修正対象になっている。
側面窓セル窓サッシ印刷の欠けは見られなかった一方でモールドからのはみ出しがやたらと多かった。
出来る限りの除去を行ったものの側面窓を曇らせる確率が高い作業であり完全な補修には至っていない。


補修を終えた側面窓セル。

山側の側面窓セルも海側用と同じく車体内側への反りを有しておりニードルで撤去が行えた。
課題と予想していた側面窓セルの撤去だったがモハ3311(3312F-3)とは個体差があったらしい。
側面窓セルに反りが無ければモハ3311並の嵌合精度へ達していたと予想される。
思わぬ仕様に助けられモハ3310(3312F-3)の車体関連項目は快調に進むと思われた。
残念ながら山側側面窓セル窓サッシ印刷は海側用を遥かに越える乱れ具合だった。
この修正に時間が掛かり組み立てへ移るまでの時間はモハ3311と変わらなくなってしまった。


妻面窓セル凸形成形部と接していない側面窓セル。

取り外しに労さなかった側面窓セルであるが念のため車体への組み込みは注意を払った。
側面窓セル全体を車体幕板と面合わせし垂直方向に角度を起こす。
するとモハ3311(3312F-3)用側面窓セルは支えている最中に嵌まり込んでしまった。
上野寄妻板内側を確認したところ側面窓セルと妻面窓セル凸形成形部には隙間が見られた。
側面窓セルの反りが着脱へ有利に働いたのは間違いないと思える。
TOMYTEC製3300形は側面窓セル車体中央部を浮かせた後に撤去する方式で統一出来るかもしれない。


床下機器部品を移設したTOMYTEC製TM-06R動力ユニット。

車体関連項目に一区切りが付きTOMYTEC製TM-06R動力ユニットの整備へ移行した。
非動力車で竣工させたモハ3311(3312F-3)は溶着を施すほど床下機器部品のぐらつきが酷かった。
そのためモハ3310(3312F-3)も簡単に床下機器部品が引き抜けると思われた。
しかし予想に反し嵌合は固く嵌合爪を台枠内側からプラスチックドライバーで押し出して撤去している。
嵌合精度の高さはTOMYTEC製TM-06R動力ユニットへの挿入にも引き継がれる。
強固な固定は無用と言え木工用ボンドでの脱落防止策に変更した。


完成したKS-121動力台車(成田寄)。

動力台車妻面側のカプラーポケット用マウントは台車見附向上を名目に切除した。
並行してマッキーでの輪心黒色化も行いKS-121非動力台車との差異縮小を図っている。
切り出したKS-121動力台車枠は差し込みだけで十分な強度を得られ。
なおTNカプラーSPは予めスペーサー単独での取り付けを済ませておいた。
スペーサーのTNカプラー取付部は個体によりTNカプラーSPを受け付けない場合がある。
台枠への挿入後ではTNカプラーSPフレームを傷めかねずモハ3310(3312F-3)でも踏襲された。


組み立てを待つモハ3310。

ウエイトはダイキャスト地が剥き出しであり車内に埋没するよう黒色化を施す。
マッキーでの塗り潰しは従来と変わりないが入念な複層化が廃止となった。
TOMYTEC製TM-06R動力ユニットは嵩が高く撤去時に車体の何処かしらと接触してしまう。
幾らインク被膜を複層化しても強度が低くその都度剥げる弱点は変わらないままだった。
最早補修が当たり前になっており剥離を前提とした黒色化へと改められた。
施工方法も若干見直され天面は台枠への組み込み後に塗り潰している。




モハ3310(3312F-3:側面窓セル修正,TOMYTEC製TM-06R動力ユニット搭載,側面行先方向幕基準表示化施工)。
※TOMYTEC製。


モハ3310新赤電色本線仕様(3311F-2)。
※マイクロエース製。

モハ3310(3312F-3)で際立ったのは屋根板を立てるだけで脱落したクーラーキセだった。
工程にはグリーンマックスPT-43S形パンタグラフ以外の固定化が含まれていた。
避雷器及びヒューズボックスへ流し込み接着剤を投入しようとした矢先に全台が外れる憂き目に遭っている。
クーラーキセはばらばらに散ってしまい入場前と順番が入れ替わっていると思う。
ただ屋根板との接触は保たれており側面見附の悪化には繋がらなかった。
竣工を迎えたモハ3310新赤電色(3312F-3)だが各部品類の取り扱いも新たな注意項目に挙がる作業であった。