国際刑事裁判所(ICC)と日本

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07年10月にICCに加盟した日本を引き続き応援します。

第5回「自民党有志によるICC勉強会」報告(2005.12.15)

2006年06月14日 | 日本の動き

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勉強会の後半で講演を行うカターラICC書記官

2005年12月15日午後3時、衆議院第2議員会館第2会議室にて
「自民党有志による第5回ICC勉強会」が行われた。

出席者は全員で40名(全出席者名簿)。そのうち世界連邦日本国会委員会(会員名簿(06年1月現在))からは座長高村正彦氏の他、愛知和男氏、伊藤信太郎氏、小野晋也氏、亀岡偉民氏、柴山昌彦氏、渡嘉敷奈緒美氏、中根一幸氏、森山眞弓氏、保岡興治氏が参加した。(派閥別世話人名簿

高村正彦氏(座長)の挨拶
「勉強会をゆっくりやっている間に、整備が進み、最大の議題は予算の問題となった」

柴山昌彦氏(司会)の挨拶
「メキシコの加入でICC加入国が100ヵ国となった。日本もいよいよ政治決断すべき時だ」

 今回の勉強会は前半・後半の2部構成で行われた。
 前半は、省庁の担当官から政府の見解、整備すべき国内法・予算について説明を受けた。
 
 外務省からは国際法局国際法課の秋葉剛男課長菅原清之課長補佐
 法務省からは刑事法制局国際課の瀬戸毅国際刑事企画官松本麗局付が出席

前半:秋葉氏と瀬戸氏による説明と質疑応答

実体法の問題:
集団殺害罪のせん動罪、公的地位との関係(たとえば議員には免責特権があるが、ICCは公的地位による免責を認めていないことなどが問題となりうる。しかし、担当省庁としては現在、これらについては現行法のままで良いのではないかとの立場で内閣法制局と話を詰めるつもりである。

手続法の問題:
国際機関への引渡し手続きが問題となる。既に法案は準備してある。結局、1番大きなネックになっているのは分担金の問題である。これは国連の分担金の比率とリンクしている。ただ、ICCにアメリカが入っていないので、負担が大きくなる。年30億円が必要と考えられる。

外務省としては

①国連の分担金の比率を下げる交渉をしている。これが下がると、ICC分担金もリンクして下がる

②現在日本はユーゴとルワンダの国際法廷のため年間50~60億円負担している。これが2010年までに終わることになってはいる。効率良い運営をして、早く終わらせるよう働きかけている。
これが終了すれば、ICCの負担金を払う余裕が出る。なお、日本の分担金の問題については締約国会議の人々も問題意識を持っている。


【質問】
「これが必要だ、あれも必要だと言っていたらいつまでもICCに入れない、他に入らない理由があるのではないか。たとえばアメリカに気がねしているなど。」


【回答】
日本は「アメリカが何と言おうとICCに入る意味がある」とアメリカに対し堂々と述べている。また、ダルフールの件をICCに付託する件について、日本はヨーロッパと共に、アメリカ相手に堂々と主張した。


(高村正彦座長より補足)

アメリカとの関係はあることはあるが、もう吹っ切れたのではないか、予算要求をする段階まで前進したということだ。

【質問】
テロをICCで裁くことは可能か。


【回答】
テロは定義が難しく、テロそのものは条文に入らなかった。奴隷・拷問行為などが「人道に対する罪」にあたることはありうる。列車爆破などのテロが「集団殺害罪」にあたるかは難しい。集団殺害罪は特定の宗教、民族など、「集団」そのものに向けられたものでなくてはならない。いろいろな民族の人が集っている列車を爆破しても直ちに「集団殺害罪」にあたるとは言い難い。


【質問】
拉致はどうか。


【回答】
日本がICCに加入すること、ICC条約が発効した2002年以後の行為であることがまず前提条件となる。その上で、「人道に対する罪」の中の「強制失踪」にあたるかどうか、条文解釈の問題となる。なお、こういった現在の制度について2009年の締約国会議において見直すことになっている。あえて個人的見解も言えば日本もこの時までに入っていたい。


後半:ブルーノ・カターラICC書記官の講演

講演内容の要旨:


ICCは戦闘行為が行われていたような所で活動する。しかし、組織を徒らに肥大化させるべきでないという立場から、独自の武装組織は持たず、他の国際組織から支持してもらう。2000㎞を移動することもあり、輸送手段の確保、あるいは証人を保護することなどにもコストがかかる。更に、紛争地固有の言語しか話せない人もいて、そのための通訳・翻訳官も必要だ。ICCは既に49の決定を下しており、判例が徐々に形成されているところである。


森山眞弓氏のコメント

「ICCは「裁判所」というからには建物の中で静かに裁判官が座って宣告する所だと当初思ってみた。実際訪れ、また今回の話も聞き、証人の保護の施設を整えるなど、司法制度が整っていない国に司法制度を普及させるための国際援助という側面もあると認識し、一層意義深いものであると思った。来年の連休あたりにICCのスタディツアーを行ってはどうか。」


柴山昌彦氏(勉強会事務)

「その際は事務取りまとめ行いたい」



文責:世界連邦日本国会委員会 塩浜
構成:JNICC 勝見



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