Cafe シネマ&シガレッツ

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★太陽がいっぱい

2006-11-15 | 映画60年代
古本屋さんで「太陽がいっぱい」(1960/監督:ルネ.クレマン)の中古ビデオをなんと!500円で購入しました。最近DVDに圧されて、時々お宝ビデオがお安く販売されていたりして嬉しい。

見た事はあったのですが、見直してみてタイトル文字や俳優名などがとてもお洒落だった事!ちょっと新発見の気分です。前に見た時もそう思ったはずなのに、きっとラストのインパクトでその辺がかき消されてしまったのでしょう。
この映画の最後の海は「いと あわれなり」という古い言葉がぴったりきます。とても趣きがあって感情が動かされる、そんな感じです。醜く卑小な人間と、輝く海のコントラストが何ともいえない寂寞とした思いを残します。ニーノロータの音楽と相まって本当に素晴らしい!いつまでも味わえる「いと あわれなり」です。
醜く卑小と言いましたが、アラン.ドロン演じるトム.リプレイという男は、そんな男です。みじめでずる賢い。。。

舞台は、海がまぶしいイタリア。
イタリアに来ている富豪の息子フィリップを、その親父さんにお金と引き換えで帰国させる約束をした貧乏育ちのトム(アランドロン)。フィリップの豪遊につき合っているうちに彼は、フィリップの財産から恋人まで全てを手に入れようと思い上がります。そして計画的にフィリップを殺し、彼になりすまし、最後にはそれら全てを手に入れたように見える。が。。。衝撃などんでん返し!!

若き日のアランドロンは、見た目の美貌とは逆に、肉が薄いためにどうしても引きつってしまう笑顔がとても陰惨です。フィリップと豪遊している時も、フィリップに合わせて笑顔でいるのに、彼が見ていない時にはじっとこそ泥のように何かを狙っている目をしています。
「自分は頭がいい」と言いながら、それはずる賢いだけだろうと突っ込みを入れたくなるような、逃亡時の行き当たりばったりの対応。まるで綱渡りのようでハラハラさせてくれます。
そして、金持ちになれば幸せになれるんだ的な考え。必死になって手に入れようともがいてもがいて。。。哀れです。
そして、ついに全てがうまくいったと、海辺でくつろぐトム。
青いパラソル。
青い海。
海の家のおばさんに一番いい飲み物をたのみ、
「太陽がいっぱいだ。最高の気分だ」
と、笑顔を浮かべシートに寝そべるトム。でもそんな時でも、卑屈なこれまでの生活をうかがわせるトムの笑顔。嗚呼、刹那!
屈折した青春の一瞬の輝き。
この映画にはあの頃のアラン.ドロンにしか出し得ない輝く暗い光がありました。

※「太陽がいっぱい」のMidiを聞ける面白いページがありました。そこには何と歌詞まで載ってるんですよ。個データに直リンクは避けて下さいとのコメントがあったので、リンクは貼りませんが興味があったら→http://www.duarbo.jp/versoj/v-popular/plein-soleil.htm


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