Cafe シネマ&シガレッツ

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★歌麿をめぐる五人の女

2007-04-13 | 映画40年代
もし「今何処に行きたいですか?」と問われたら、私は迷わず「花の都.巴里と花のお江戸」と答えるでしょう。どっちも粋で楽しそうだからです。2つのタイムトリップしなければ行けない憧れの地!

溝口健二の映画「元禄忠臣蔵」と「歌麿をめぐる五人の女」を見てびっくらこきました。お江戸です!リアルなお江戸!浮世絵とかで見たあのお江戸です!!映像でこんなお江戸を見たのは初めてです。綺麗ですなぁ。建物も着物も人の仕草も。只今夢見心地です。特に「歌麿をめぐる五人の女」は、お話も面白く胸にぐっとくるものがありました。生々しく生きているお江戸の女たち。歌麿のエロエロドロドロ恋物語のお話なのかな?と思っていたら大間違い。歌麿は女性を描く情熱が凄まじい芸術家。そのためだったらかなり無茶します。その姿勢は清々しささえ感じます。
これは、歌麿の周りにいた色々な女たち、歌麿が描いた女性やその周りにいる男女の色恋模様が、何とも言えない気分にさせてくれる映画でした。群像劇?って言い方でいいのかな?

肌が美し過ぎて彫り物師が筆を入れるのを躊躇した花魁、そして彼女と同じ優男の若旦那に恋してるH茶屋のおぎんさん。この三角関係はホント面白いです。綺麗な女ふたりが、優柔不断なはっきりしない若旦那に振り回されて狂ったように取り合いするのですから。ふたりに「どっちのモノなの?」て問いつめられた若旦那の答えは「二人とも好き...」冷静な心理状態だったら、こんな奴こっちから願い下げ。でも、おぎんさんがとった行動は...?!恋なんてそんなモンだなあ。どうしようもない気持ち。女なんてそんなもんかなあ?哀れだなあ。なんて思いながらもどこか羨ましい気がしました。
あと、歌麿の絵に対する情熱に惚れて侍生活をすてた元狩野派の若者。そしてその元恋人のお武家の娘さん。彼女は彼の浮気(おぎんさんと歌麿のモデルのお蘭さん)を目の当たりに見ながらも耐え忍んで、彼を慕い続けています。健気で可憐です。町人とはまた違った、手を付けがたい色気があります。モデルのお蘭さんは、見るからに妖艶。歌麿が「こんなに肉付きが美しい女はいない!描きたい!」って言わせた女性です。
こんな見目麗しい女性4人が、どうしようもない男に振り回されているかと思うと、5人目の女は!?......太めでブサイクな女郎。身請けしてもらった彼氏からは「これでも可愛いところがあるんですよ」と幸せいっぱい?!
いずれにしても”女”って生き物は美しくも哀れな生き物なり。

溝口健二監督って、凄い人だったんですね!!

(1946/日/監督:溝口健二)


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