EMERALD WEB ≪拝啓 福沢諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

【社説】クリントン大統領の代償は。  政策はオバマ大統領よりもさらにリベラルに:倫理観は言わずもがな

2016-11-08 10:29:13 | 選挙

もうすぐ投票ですね。投票前の最後の記事になると思います。

【社説】クリントン大統領の代償は

政策はオバマ大統領よりもさらにリベラルに:倫理観は言わずもがな

2016 年 11 月 7 日 07:17 JST THE WALL STREET JOURNAL

 最悪の候補者がそろったと多くの人が感じている中で、次期米大統領を選ぶ投票がいよいよ8日に実施される。インディアナ州の共和党予備選でドナルド・トランプ氏が勝利を収めた際にも書いたが、同氏も民主党候補のヒラリー・クリントン氏も根本的な欠陥を抱えた候補者だ。しかし2人のいずれかが新大統領の座に就くことになる。そのリスクと非常にかすかな希望についてみてみよう。

***

 まずはクリントン氏について取り上げてみたい。彼女を大統領に選ぶ代償は、事前に予測がつきやすいといえる。クリントン氏が当選した暁には、オバマ大統領が推進してきたフランス流の福祉制度や規制を継承してさらに推し進めていくはずだ。


 米国内のあらゆる問題に関して、クリントン氏はオバマ大統領の考え方に添い、そこからさらにリベラルな方向に向かって歩み続けてきたといえる。つまり彼女は税率を上げ、すでに負担しきれていないエンタイトルメント(義務的経費)への支出をさらに増やし、米医療保険制度改革法(通称:オバマケア)のための助成金や物価統制も推し進めていくことを選ぶだろう。また、あらゆるビジネスに対する規制を強化し、政治発言を制限し、学校や教会においてはよりリベラルな社会的価値観を押しつけようとすることも予測される。


 こうした判断によって経済成長が低迷し、「失われた時間」がさらに続くことがクリントン氏を大統領に選ぶ最大の代償だ。米国の経済は2005年以降、一度も3%を超える成長率を達成していない。これについてクリントン氏の経済顧問たちは、米国がこれ以上早く成長することはそもそも不可能で、貧富の格差を解消することが優先されるべきだと主張をする。所得の再分配を行うことが国の経済にとって最善の治療薬だと、同氏陣営は信じている。


 しかし排外主義や保護主義の台頭に見られるように、経済成長の低迷は国を徐々にむしばんでいくことが多い。所得が増えなければ社会の対立は深まり、政治の対立も続く。かつては未来に希望を持っていた者同士が小さくなるパイを奪い合い、見苦しい対立が継続される。今後4年間にわたって1%台の経済成長が続いたら、2020年の大統領選がどのようなものになるかは想像に難くない。


 共和党の中にはオバマ大統領よりもクリントン氏の方が交渉しやすい相手だとする議員もいるが、その程度しか期待を持てないということだろうか。しかし2016年の大統領選において、クリントン氏は共和党と手を組むような姿勢は一瞬たりとも見せていない。クリントン氏は過去に「ヒラリーケア」と呼ばれた医療保険制度で挫折し、自らを中道派の「ニューデモクラット(新しい民主党員)」と称したことがある。ただし現在の政策はそれ以前の活動家時代の思想に近い本心を反映させたものだといえる。2017年になれば、彼女は左派のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)やバーニー・サンダース上院議員(バーモント州)に引っ張られる形でより一層リベラルな思想に傾倒していくことも考えられる。


 クリントン氏はまた、司法が足かせになることなく政権を運営することになる。オバマ大統領は連邦控訴裁判所の判事構成を一掃し、最高裁判所もそうなりつつある状況だ。ここでクリントン氏が大統領の座に着けば、最高裁は一世代かそれ以上にわたって革新的な思想が主流のまま続く形になる。オバマ大統領は2期目になると移民政策やクリーン・パワー・プラン(二酸化炭素の排出量の大幅な削減を義務付ける規制計画)を推進させたが、このような規制の乱用を止めるすべがほぼなくなることになる。


 クリントン氏がトランプ氏に対して明らかに有利だといえるのは外交政策だ。彼女は世界の秩序維持のために米国が果たすべき役割を理解している。また同氏は時にオバマ大統領よりもタカ派の思想をちらつかせることもある。しかしその一方で、彼女がオバマ政権の外交的失敗を支持し続けてきたのも事実だ。オバマ大統領は米ロ関係の「リセット」を掲げたが、プーチン大統領の真意を読み切ることに失敗した。その他にもイランとの核合意や2011年のイラクからの撤退、さらには欧州と協力してリビアのカダフィ政権を崩壊させたあとに同国を見捨てて、駐留しなかったミスなどもあった。


 クリントン氏が海外における米国のリーダーシップを強化しようとしても、それをどう実現するかには疑問がつきまとう。義務的経費の拡大や新たな税制は経済成長を押さえつけ、結果的に防衛費に必要とされる予算を確保することは難しくなる。財政のやりくりに悩む西欧諸国のような状況だ。


 こうした事実に加え、クリントン氏には自身の秘密主義と政治的パラノイアが原因でスキャンダルに陥る傾向も見られる。それはここ2週間にわたっても数多くの場面で垣間見られた。ジャーナリストのカール・バーンスタイン氏が述べた通り、クリントン氏はニクソン元大統領にも通じるほどの「敵対者への執着心」を持っている。周りをシドニー・ブルーメンソール氏やデビッド・ブロック氏といった取り巻きで囲み、彼らの指導を受けながらクリントン氏は守勢に入ったり攻撃を展開したりといったパターンを続けている。


 2016年の大統領選において最も驚きをもって迎えられたのは、彼女も、そして夫であるクリントン元大統領も、1990年代に受けた倫理的な教訓から何も学んでいなかったことだろうか。リッポー・グループとの癒着疑惑やリンカーン・ベッドルームの貸し出し問題などを経験して懲りたかと思いきや、夫妻はクリントン財団を通して同じような課金の仕組みを作り上げていたことが明らかになった。


 私用サーバーを使って公式な業務のメールをやりとりし、連邦法による情報開示をかいくぐろうとした点もある。しかもそれが発覚すると、クリントン氏は過ちを認めてすべてを公開するのではなく、そのことに抵抗し、批判を避け続け、だまし通そうとした。このため彼女は酷評を受けた。しかしこの1年間の彼女の対応を見てみても、その酷評に十分値する姿勢であったといえるだろう。


 クリントン氏の問題行為はあくまでも政治的な権力を強化してそれを維持するためのものであったため、容認されるべきだとする声もある。しかし公的な業務と私的な利益を混同させたことで、政権に対する信頼がどれだけ失われたかを見過ごすことはできない。これはビジネスが政治の一部門にすぎないとする左派の思想に資するものであり、自由な市場を維持しようとする動きを弱体化させる考え方だ。

***

 クリントン氏が大統領に就任したとしても、これまでの経緯が彼女をその後も苦しませ続けることが予測される。彼女は政策面で有権者の信任を得ようとはせず、トランプ氏と対立し彼を破滅させる道を選んで選挙を戦った。議会は彼女の就任初日からさまざまな疑惑を捜査しようと動き始めるだろう。また今年の選挙を経て米国民は分断され、有権者たちは彼女に対する信用を失った。追い込まれたクリントン氏は後ろ盾を求め、さらにリベラルな思想へと本能的にかじを切る可能性もある。そうなれば議会の共和党との対立を避けるのはより難しくなるはずだ。


 米国の民主主義が持つ底力への信頼は揺るがないが、革新的な政策がこれから4年にわたって積極的に推し進められていくとなると、政府はいよいよ巨大な怪物と化して経済や国民の生活に多大な影響が生じる。民間ビジネスの環境や非政府系の社会的機関にとっては、肩身が狭くなる状況が続く。


 トランプ氏と比べてクリントン氏が大統領に向いているのは、彼女が顔なじみのエリートであり、特に外交面では未知数的な部分が少ないことなどだろう。その一方、彼女のこれまでの政治活動すべてが、大統領としてはリスク因子となりうる。

 

【社説】トランプ大統領というギャンブル。政策は期待できるが、人格に問題があることは明らか


『北アメリカ』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
«  クリスピー・クリーム、「大量... | トップ | 人工ダイヤの侵入を阻止せよ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

選挙」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事