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人民元は「劇的な」下落に向かうのか

2016-11-08 01:40:40 | 中国

人民元は「劇的な」下落に向かうのか

2016 年 11 月 4 日 12:09 JST THE WALL STREET JOURNAL

 米国の雇用を容赦なく奪っているとトランプ氏が言う人民元が、米大統領選の投票日を間近に控える中で下落している。


 国際通貨基金(IMF)が特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を採用したことで、中国政府は望むものを全て手に入れた。願い事をするときは気を付けた方がいい。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した時と同様に、中国が願いをかなえたことで欧米諸国は影響力を失った。中国政府は今、元安誘導によって、日本政府にも不快な思いをさせている。日銀は1日、金融政策の現状維持を決めた。これは円安の時代が終わったことを示唆するものだ。


 しかし、人民元が10月に1.5%余り下落し、年初来で4%下落していることは、中国が見掛けよりもはるかに悪い状態にあることを示しているのだろうか。


 中国の不透明さを考えると、それは誰にも分からない。ただ危機的状況にあるかどうか判断する上で、資本流出の動向は参考になるかもしれない。そのため、中国の調査会社である胡潤百富が10月31日に発表した報告書はこれから起きることを予言している可能性がある。それによると、中国の富裕層は今後数年間、海外での不動産購入を増やす予定だ。なぜか。元安のリスクをヘッジするためだ。


 人民元の対米ドルレートは1ドル=7元に向かってじわじわと進んでいる。多くが中国共産党員か、共産党と親密な関係にある中国の超富裕層は、人民元相場が1ドル=8元、あるいは9元に下落することに賭けているのだろうか。


 これも誰にも分からないが、習近平国家主席は、トランプ氏と民主党候補のヒラリー・クリントン氏のどちらが大統領になっても、ただでは済まないことが分かっているはずだ。起こり得ることの1つは、中国のエリート層が経済に亀裂が入る音を耳にすることだ。魔法のように、中国の7-9月期(第3四半期)国内総生産(GDP)は前年同期比6.7%増と、投資家の予想した(そして望んでいた)通りとなった。しかし、米国経済が迫力に欠け、欧州経済が停滞し、アベノミクスが失速する中、為替レートがいかに刺激的な水準になっても、中国はあまり外部要因の助けは借りない。


 つまり、中国政府の景気刺激エンジンのダイヤルは最大限に回されており、リスクプロファイルが拡大している。この視点から見ると、10月に中国の製造業が予想以上の回復を見せたことや、米資産運用大手ブラックロックのグローバルチーフ投資ストラテジスト、リチャード・ターニル氏が中国経済は計画通りに回復が進んでいると考えていることは驚くに当たらない。だがその代償は?


 ゼロ・ヘッジによると、中国の債務残高はこの12カ月だけで4兆5000億ドル増えた。基本的に、中国政府は新しいバブルで古いバブルを支えている。ウォール・ストリート・ジャーナルは最新の記事で、中国政府の多数のバブル対策のタイムラインを伝えた。同じくらい興味深いのは、最も効果が実証済みのバブル対策にこれまでのような効果が見られないことだ。今年に入ってから大きく変動している中国本土の住宅市場を見てみよう。規制当局は最も深刻なバブル状態にある都市で住宅ローンを借りにくくしようとしている一方で、住宅市場が落ち込んでいる地域を支えようとしている。


 調査会社ガベカル・ドラゴノミクスのエコノミスト、ローゼレア・ヤオ氏は、中国政府は「相反する緊急課題の間で板挟みになっている。それは融資を受けやすくして経済成長を支えることと、価格が制御できない水準にまで高騰しないようにすることだ」と指摘。その結果、「意図せずに大都市とその他の地域の価格差が広がっており、この価格差を解消するのはとても難しそうに見える」と述べた。


 これは、既存の資産の不均衡を新しい不均衡で支えることにはもともとリスクがあることを証明している。この手法は、米テキサス州ダラスを拠点とするヘッジファンド、ヘイマン・キャピタル・マネジメントの創業者であるカイル・バス氏のような空売り筋を引き付ける。同氏は今年に入り、「34」という数字を挙げて懸念を表明した。この数字は、05年の中国のGDPに占める輸出の割合をパーセンテージで表したものだ(約10年後、23%に低下した)。輸出というけん引役が推力を失ったことで、中国政府は投資のバルブを徐々に開けた。バス氏によると、15年までに中国の銀行セクターの融資残高は34兆ドルに達した。


 バス氏は2月、融資残高が過去最高水準まで積み上がっていることについて、「中国の銀行システムがもうこれ以上、急成長を支えられない段階にあることを意味しており、元高が事実上、中国の輸出主導型経済の競争力をそいでいる。輸出競争力を取り戻すために人民元の『劇的な』切り下げが妥当だ」と指摘した。


 この「劇的」な動きが予定されているかどうかは習主席の側近たちしか知らない。中国は輸出というけん引役を復活させたいと考えているが、慎重に物事を進める必要がある。ただでさえ、元安は物議を醸している大統領選でトランプ氏にやり玉に挙げられ、IMFをいらつかせている。真のリスクは、中国のエリート層と投資家がそろって手を引くことだ。


 実のところ、中国のバブルは持続不可能というバス氏らの見方はいつか当たるだろう。新興工業国はいずれも財政面で行き詰まるもので、中国も同じだろう。唯一の問題はいつ、どのようにそれを迎えるかだ。時期については議論の余地があるが、どのようにかについては大抵、為替相場の変動から始まる。そのため、人民元の下落は注視する必要がある。


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