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トランプの訪欧に大逆風、前例のない抗議と不人気 / トランプ氏を大歓迎するポーランド、その思惑とは

2017-07-06 20:49:22 | 米国大統領

トランプの訪欧に大逆風、前例のない抗議と不人気

Trump's Trip to Europe: Unprecedented Protests and Unpopularity

2017年7月6日(木)14時14分   Newsweek アンドリュー・ハモンド(英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス准教授)

7月5日、ポーランドのワルシャワ・ショパン空港に到着したトランプ夫妻

ドナルド・トランプ米大統領は5日、就任後2回目となる外遊に出発した。ドイツで7、8日に開催される主要G20カ国・地域(G20)首脳

会談に出席する予定だが、その前にまず立ち寄ったのはポーランドだ。今回の外遊は逆風が吹き荒れるなかでの厳しい旅となる。国

際世論はトランプに対し、イラク侵攻後に世界中からバッシングを浴びた時期のジョージ・W・ブッシュ元大統領よりも、さらに厳しい評

価を下している。


特に西欧諸国ではトランプは不人気で、アメリカが今年1月に約4千人の兵士を派遣したポーランドを最初の訪問先に選んだのはただ

の偶然ではない。EU懐疑派の極右政党「法と正義」が政権を握るポーランドはEU加盟国の中では例外的にトランプに好意的だ。ポー

ランドはまたNATO加盟国の中で、GDPの2%を国防費に充てる共通目標を達成しているたった4カ国(アメリカ以外)の1つだ。


似た者同士

反移民で石炭火力発電を推進し、多国間の枠組みに懐疑的なポーランドの現政権とトランプには共通点が多い。ポーランドのベアタ・

シドゥウォ首相自身、難民受け入れを拒否し、法治を危うくする法改正で、EUと激しく対立している。トランプ歓迎は今や愛国行事で、

木曜の演説には全国からバスを仕立てて支持者たちが集まるという。


大陸西側の「古いヨーロッパ」と東側の「新しいヨーロッパ」というドナルド・ラムズフェルド米元国防長官が提唱した概念を踏まえ、トラン

プはポーランドのブロツワフで開催される「3つの海イニシアチブ」にも出席する。この会議には中欧と東欧の12カ国の首脳が参加す

る。


だがトランプはポーランド政権とは友好ムードを演出できても、ポーランド国民は必ずしも彼を歓迎していない。国民の多くはロシアの拡

張主義を警戒しており、過去にNATOに懐疑的な姿勢を示し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を褒めそやすような発言をしたト

ランプを不信の目で見ている。


それでも週末に逆風の吹きすさぶG20に乗り込む前に、ポーランドで足慣らしをしたかったのだろう。G20ではトランプの「アメリカ第一

主義」が槍玉に上がるはずだ。具体的には、気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱、メキシコとの「国境の壁」の建

設、イスラム教徒が多数を占める国からの一時的な入国制限に批判が集中するだろう。


世界的不人気

調査機関ピュー・グローバル・リサーチが先週発表した調査結果によると、トランプの国際的なリーダーシップと政策に対して、国際世

論の75%がほとんど、ないしはまったく信頼感を抱いていない。


多くの国々でトランプの支持率は2004年時点のブッシュ(息子)よりも低かった。予想どおりイスラエルとロシアではトランプの評価は高

いが、この2国は例外的で、アジア太平洋諸国から南北アメリカ大陸まで、ほぼ世界中がトランプにノーを突きつけている。

 

先週のピュー・リサーチ・センターの調査結果が明らかにしたように、ブッシュ元大統領以降で初めて反米感情が多くの国で急増したこ

とから、トランプは現代史で最も海外で不人気のアメリカ大統領になる可能性が出てきた。


それにより、バラク・オバマ前米大統領がアメリカのイメージを変えようとした8年にわたる努力のほとんどが無駄になるかもしれない。


オバマが2009年に大統領になって直面したのは、ベトナム戦争以来の最悪レベルにあった反米感情だ。その主な原因は、「テロとの

戦い」と称したブッシュ政権の外交政策が、国際的に評判が悪かったからだ。


オバマが上げたアメリカのブランド価値

オバマ前政権は反米感情を逆転させるために様々な手を打った。ある研究によれば、オバマ前政権1年目だけで、「オバマ効果」はア

メリカのブランド価値を2兆1000億ドルも押し上げた。ブッシュから政権を引き継いだ後、アメリカを世界で最も素晴らしい国とみなす外

国人がかなりの割合が増加したことを示している。


国際社会でアメリカのイメージが改善したことを、米政府のみならず米企業も歓迎した。アメリカに本社を置く多国籍企業は、ブッシュ政

権になってから海外ビジネスで反発を受けるなど、反米主義のはけ口になる懸念も生じていたからだ。


オバマは数々の成功を収めたが、成果は偏っていた。恐らくオバマの世界的なパブリック・ディプロマシー(大衆外交)における最大の

失敗は、イスラム世界への対応だろう。


例えば、オバマは1期目にエジプトの首都カイロで有名な演説をし、イスラム教が多数派を占める国々との関係を修復すると約束した

が、パキスタンやエジプトなどのイスラム同盟国でさえ、今も反米主義が根強く残っている。


それでもオバマ前政権末期に彼の国際問題に関する指導力を信頼すると回答した人の割合は、全世界で64%に上った。今のトランプ

をはるかに上回る数字だ。


息抜きはポーランドだけ

世界の大多数の人々が、昨年11月の米大統領選で民主党候補だったヒラリー・クリントンに勝利してほしかったと感じている。クリント

ンは敗北したが、大統領選前の昨年10月に世界の人口の75%を占める45カ国、約5万人を対象に実施したWIN/ギャラップ・イン

ターナショナル・アソシエーションの国際世論調査では、クリントンが支持率でトランプに圧勝した。ロシアを除く全ての国で、トランプでな

くクリントンの勝利を望んでいた。


WIN/ギャラップ・インターナショナル・アソシエーションの結果は、昨年独紙ハンデルスブラットが20カ国・地域(G20)の2万人を対象

に行った世論調査結果とそっくりだ。この調査でも、トランプの支持率がクリントンを上回ったのはロシアのみだった。


全体的に見て、トランプは国際社会から益々軽蔑されていることを考えれば、ポーランド訪問は彼にとって良い息抜きになるはずだ。世

論調査結果が示すように、トランプは現代史上海外で最も不人気なアメリカ大統領になるかもしれず、今後の外交政策を成功させるう

えで足かせになりそうだ。


トランプ氏を大歓迎するポーランド、その思惑とは

2017 年 7 月 6 日 10:22 JST   THE WALL STREET JOURNAL


貸し切りバスは「法と正義」に近い財団が用意する。トランプ氏はワルシャワの広場で演説を行う予定になっているが、タルチニスキ氏

は「間違いなく大規模なものになる」と期待に胸を膨らませる。「ポーランド国民は彼が大好きなのだ」

 こうしたポーランドの取り組みの背景には、トランプ氏が欧州の勢力図を一変させる可能性があるとの認識が欧州大陸に広がって

いることがある。


 バラク・オバマ前米大統領は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相と緊密な関係を構築し、メルケル氏のリベラルな世界観や、移民受け

入れ方針、欧州連合(EU)の統合推進の立場を支持した。しかし今、ポーランドをはじめ各国で台頭したナショナリスト政権は、トランプ

氏が自分たちにイデオロギー的な親近感を持ち、反EUや反ドイツ的な姿勢を後押しすると期待を寄せるようになっている。


 「トランプ氏の訪問は新たな成果だ」。「法と秩序」のヤロスワフ・カチンスキ党首は先週末に開かれた党大会でこう語り、トランプ氏の

訪問に神経質になっているEU当局者の感情を逆なでするように続けた。「EUはねたんでいるのだ」

ワルシャワ市内に貼られたトランプ氏の演説を知らせるポスター

 保守政党「法と秩序」が2015年に政権を奪取したポーランドは、EUや西欧諸国との対立を深めている。

 

 欧州委員会は、憲法裁判所の判事入れ替えなどのポーランド政府の司法改革について、法の支配を損なうものだと非難。フランスの

エマニュエル・マクロン大統領は、ポーランドは欧州の民主主義の原則を拒んでいる一方で、EUを「スーパーマーケット」のように利用し

ていると語る。


 また、ドイツの複数の政治家からは、ポーランドは難民を受け入れず、報道の自由を抑圧していると糾弾する声が聞かれる。


 一方、ポーランドの一部政治家や評論家はトランプ氏について、難民受け入れに反対し、EUやドイツの影響力拡大を批判する指導

者とみている。


 「法と秩序」のクシシュトフ・ムロズ議員は、「難民問題ではポーランド政府は米国と同じ立場にある。両国とも、難民に対する厳しい規

制を望んでいる」と語る。同議員は地元から約480キロ離れたワルシャワに向けてバス2台を用意し、「トランプ応援団」約100人を送り

込むという。

準備が進むワルシャワ市内のトランプ大統領演説会場

ポーランドの反政府勢力は、トランプ氏の訪問を警戒している。リベラルな現地紙ガゼダ・ビボルチャで外信部長を務めるバルトシュ・

ウィリンスキ氏は、政府はトランプ氏の演説を「党派的な見世物」に変えようとしていると指摘。歓迎ムードは結局、「ポチョムキン村」(政

治上の見せ掛け)になると語っている。


 同国政治学者ラファウ・パンコウスキ氏は、「今回の訪問は与党にとってみれば、ポーランドは国際的に完全に孤立しているわけでは

ないことを示す良い機会になるだろう」と話す。

 

 西欧の政府当局者の中には、トランプ氏が反移民、反EUの感情をあおり立てるのではないかと懸念する向きもある。英国のEU離脱

(ブレクジット)の是非を問う昨夏の国民投票を前に、同氏がブレグジット支持を表明したようにだ。


 世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが今春実施した調査によると、「トランプ氏は国際問題に対し正しく対応する」と考えている人

の割合は、ポーランドでは約23%で、ドイツの11%を大きく上回った。トランプ氏への信頼度でも、ポーランドは欧州諸国で最高水準に

ある。


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