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まるでソ連末期の経済破綻に向かうベネズエラ / 中国とベネズエラの関係

2017-05-12 11:12:19 | 南米

まるでソ連末期の経済破綻に向かうベネズエラ

2017年5月11日(木)10時00分  Newsweek

首都カラカスなど各地で大統領退陣を求めるデモ隊が警察と衝突 REUTERS

<独裁に傾くマドゥロ政権下で反政府デモと政治的混乱が続く。経済も破綻寸前の石油大国がたどるのはソ連と

同じ末路>


南米の資源大国として、先進国の仲間入りも夢ではなかったベネズエラの経済が、今や破綻の危機に陥っている。膨大

な石油資源を抱えていながらなぜこんなことになり、一体これからどうなるのか。


原因を分析し、先行きを予測するに当たっては1980年代後半のソ連経済の惨状が参考になりそうだ。むろん国民に

とっても政権にとっても、決して明るい未来ではない。


14年夏に原油相場の下落が始まってから、ベネズエラ経済は衰退の一途をたどってきた。原油価格はだいたい10年ご

とに高騰と暴落を繰り返す。だから現在の原油安も当分続くだろう。


ソ連も、81年に始まった原油安で打撃を受けた。だがソ連崩壊後のロシアで改革派政治家として活躍した故エゴール・

ガイダルの著書『ある帝国の崩壊』によれば、最悪だったのはそれ以前の経済政策だ。


石油の輸出で潤っていた当時のソ連政府は、この調子なら奇跡を起こせる、自分の国には経済学の法則など当てはま

らないと信じた。そして見境なく歳出を膨張させた。先のことなど考えなかった。

 

今のベネズエラ政府はマルクス・レーニン主義を標榜してはいない。しかし愚かしい経済政策を進めているという点では

当時のソ連指導部と大差ない。主食のパンや肉など基本物資の価格統制を維持し、そのために必要な巨額の補助金も

石油収入で賄えると信じ切っていた。


3年前の夏以降、原油価格は半分以下の水準に下がった。そのため収入が減っても政府は手を打たず、原油の増産も

しなかった。石油業界を牛耳る国営のベネズエラ石油公社(PDVSA)に増産能力がなかったからだ。それでも政府は財

政赤字を解消する方向へ舵を切らず、80年代末のソ連と同じ愚行を続けて破滅に向かっている。


ソ連も、末期には財政赤字が急増していた。86年にはGDPの6%を超え、91年にはGDPの3分の1に達した。輸入品

の支払いに充てる外貨準備が減ると紙幣を増刷して国庫の赤字を埋めたものだ。必然的にインフレが激しく高進した。


どうやらベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領も、ソ連と同じ財政・金融政策に固執しているようだ。もはや補助金支給

の原資はない。しかも事態は悪化する一方だ。


このまま紙幣の増刷を続ければ、やがてハイパーインフレに襲われる。既にインフレ率は年700%とされ、月間50%以

上と定義される公式のハイパーインフレに近づいている。


歴史的には、ハイパーインフレの事例は少ない。ジョンズ・ホプキンズ大学応用経済学教授のスティーブ・ハンキーによ

ると、世界史上まだ56例しかなく、その半数が共産主義体制の崩壊に伴う現象だった。ソ連を構成していた15共和国

の全てがソ連崩壊時に経験したという。


ハイパーインフレは国民の士気をくじく。いくら働いても意味はないと感じさせてしまう。稼いだ金額に見合う買い物がで

きないから、労働意欲が湧くはずもない。一方で目先の利く商人は、安全資産の商品や不動産の思惑買いに走る。


結果としてGDPは急激に縮小し、財政の安定が回復しない限り減少の一途をたどる。ソ連ではおそらく91年にGDPが

10%ほど減り、ソ連崩壊にかけての88~95年に原油生産は半減した。ベネズエラでも似たようなことが起きているよう

だ。


ソ連政府は通貨ルーブルの法定平価を非現実的に高く設定しようとした。闇レートの5倍くらいの高さだった。目的は、

国民に「豊かさ」の錯覚を抱かせることにあった。だがそのためには食品などと同様に、外貨の購入に国費をつぎ込む

必要があった。だから歳出が増えて財政赤字は膨張し、通貨の闇レートは急降下した。

 

やがて国民は闇レートこそ現実の相場だと思い知るようになる。91年12月、ついにソ連崩壊という時点で、ロシア人の

月収は米ドル換算で平均6ドルという悲惨な状況だった。今のベネズエラもその方向に進んでいる。


ソ連では同時に対外債務も急増した。今のマドゥロ政権同様、可能な限り多くを可能な限り長期で借りた。貸し手は主と

して外国政府。ベネズエラの場合、最大の貸し手は中国だ。そして借金を返せない現実を認めず、少しずつ返済を続

け、それだけ赤字を増やしている。


もちろんソ連との違いはある。ベネズエラは複数の共和国を抱える連邦国家ではない。愚かな経済政策を採用してはい

るものの、共産主義を掲げてはいない。国内にはまともな野党勢力があり、教育水準の高いエリート層もいて、ソ連より

ずっと開放性が高い。


それでもベネズエラはソ連経済と同じ末路をたどる恐れがある。仮にマドゥロが政策の不備を認めて方針転換を図ろう

とすれば退陣を迫られる。おとなしく辞任はしないだろうから、危機は深まる一方だ。


平穏な政権交代が望めなければ、国民が力でマドゥロ政権を倒すか、大統領が国外へ逃亡する事態もあり得る。ある

いは外貨準備を使い果たし、対外債務についてデフォルト(債務不履行)に陥る。つまり何も輸入できなくなり、通貨ボリ

バルはただの紙くずと化す。

紙おむつを買うためにも赤ん坊を抱いて行列に並ぶ-REUTERS

いずれにせよ、マドゥロ政権は長続きしない。多くの国民が辛酸をなめる事態を回避するための対策を講じないまま、遠

からず権力の座を追われる。


後継政権が登場したところで選択肢は少ない。極端な経済危機に対しては政策の選択肢などほとんどないものだ。大

事なのは予算の均衡を実現すること。短期的に税収増は望めないから、歳出を削減する。決め手は物価補助金の撤廃

だ。対外援助も切れば、政府の収支は均衡するかもしれない。


為替レートも変動制であれペッグ制であれ、市場に適合させるべきだ。外貨準備も回復させなければならない。そのた

めに迅速に対応できる唯一の国際機関はIMFだ。ただしIMFの要請に従ってベネズエラ政府がマクロ経済改革に応じ

ることが条件となる。加えて国際社会の協力を得て、債務のリストラに取り組むことも必要だ。


ソ連の状況は、ベネズエラよりずっと困難だった。15の共和国がそれぞれ独立し、独自の通貨を持つ必要があった。そ

れにしても、財政を安定させるまでに費やした7年の歳月は長過ぎた。新生ロシアが苦しいときに、西側諸国は支援を

出し渋った。だからその後のロシアは西側から離反していった。


ベネズエラ改革は抜本的かつ迅速であるべきだし、欧米諸国は全面的に財政支援をするべきだ。マドゥロ政権の崩壊

は決してきれい事では済まない。だが避けられるものでもない。


政治的な見通しはなかなか立てにくいとしても、深刻な経済危機の行く末は火を見るよりも明らかだ。次の政権が迅速

に、正しい政策を実行できるかどうか。時間は限られている。

From Foreign Policy Magazine

 

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中国がベネズエラへの支援を続けるワケ

いずれマドゥーロ政権は交代するので、中国はベネズエラへの支援を止めたほうが賢明であると、

ベネズエラEl Nacional紙のダニエル・ロドリゲス氏が、2月15日付ニューヨーク・タイムズ紙で述べています。その要旨

は次の通りです。


 昨年、ベネズエラは、資産売却や輸入削減等、数々の犠牲を払って100億ドルに及ぶ国債等の利払いを行い、デフォ

ルトを回避した。しかし、それだけでは十分ではなく、中国の資金的支援が不可欠である。マドゥーロの政策が国際的孤

立と人道的危機を招きながら、また、中国への石油による債務返済が滞るなかで、なぜ、中国は忍耐強くマドゥーロを支

援し続けるのであろうか。


 ベネズエラは、2001年に中国の「戦略的開発パートナー」となり、2014年には「包括的戦略パートナー」に格上げされ

た。それ以来、中国は石油による返済を条件に600億ドルの融資を行い、600件以上の投資プロジェクトに出資してい

る。その見返りとして、中国企業はベネズエラ市場で優遇され、利益の上がるインフラ投資コンセッションを獲得してい

る。中国からベネズエラへの輸出は、1999年の1億ドルから2014年には57億ドルに増加した。


 中国がグローバルな役割を拡大しようとした際、ベネズエラとの同盟は、この地域に関与するための重要な足がかり

を提供するものであった。ベネズエラと同国の石油支援に依存する域内国の支援を得て、中国は素早く地域の主要なプ

レイヤーに成り上がり、米国を排除した金融機関や新たなパートナーシップを急増させ、台湾を制してOASのオブザー

バー・ステイタスを獲得した。


 原油価格の下落を受けて、ベネズエラの寛大な石油政策は過去のものとなったが、2014年に、中国が40億ドルの石

油関係借款を供与し、翌年マドゥーロの訪中の際に多くの投資プロジェクトが発表されて以来、中国は、ベネズエラに恒

常的に資金協力を行っている。最近では国有石油会社に22億ドルの融資枠を提供し、食料や医薬品の配給のための

数千台の車両を提供した。

反政府指導者は、政権が交代した場合、この借金はいったいどうなるのかとして中国に対し憤慨している。反政府派

は、貸付条件が公表されずに承認された融資協定は無効であると主張している。


 問題は単に債務だけではなく、反政府派が政権を取れば中国はベネズエラ市場やインフラ・プロジェクトから締め出さ

れるリスクがある。それは、中国がカダフィに肩入れしたリビアで実際に起ったことである。ベネズエラでも、昨年12月の

略奪騒動では中国人が経営する店がターゲットとなった。


 今や中国がベネズエラを見捨てる時である。今日、マドゥーロを支持しているのは15%に過ぎないが、中国の支援が

ある限りマドゥーロ政権は生きながらえ、ベネズエラの苦しみは続く。これを変えるためには、マドゥーロ支持派と折り合

うことが不可能にならないよう、反対派が一致して妥協的なメッセージを送ること、そして、中国が腐敗した無能な政権を

見放すことであろう。


出 典:Daniel Lansberg-Rodríguez‘Exit the Dragon: Why China Should Stop Supporting Venezuela’(New York Times, February 15, 2017)


 ベネズエラでは、期待された大統領リコールの国民投票も抑え込まれ、大規模な国民蜂起も起こらず、深刻な食糧不

足と超インフレの中で反政府派が多数を占める議会を無視してマドゥーロ政権が居座り続けています。内政的には、軍

等の力の支配が確立し、経済的な破綻は中国の資金援助により回避されているということです。この記事は、中国にマ

ドゥーロ政権を見捨てるように呼びかけていますが、このままでは、2018年の大統領選挙で果たしてスムーズな政権交

代が起こるのかも怪しいです。トランプがTPPを廃棄し、メキシコと事を構える状況の中で、中南米では、中国は、「棚ぼ

た」的な勝利者であり、むしろ、この時とばかり同地域における影響力拡大に乗り出しています。


27億ドルの新たな投資案件

 ベネズエラについては、石油価格が持ち直せば同国の利用価値は依然として大きく、中国は、つい最近、2月14日の

ハイレベル協議ではベネズエラ石油用の精油所の建設を含む22件、27億ドルの投資案件を約束しました。


 NAFTA見直しに直面するメキシコとしても貿易の対米依存から脱却するため中国との貿易拡大が有力な選択肢とし

て考えられます。産業構造が競合する両国であるので、中国の輸出超過を対メキシコ投資で補うことも考えられます。通

信関係でHuaweiはメキシコでのプレゼンスを拡大しつつあり、今月はじめにはカルロス・スリムと中国企業との合弁で

新規の自動車生産計画も発表されました。


 他の南米諸国にとっても米国が国境税で市場を閉ざすのであれば、代替する市場を求めなければなりません。中国外

相は昨年10月、コロンビアとのFTAに関心を表明し、3月半ばに、太平洋同盟議長国のチリが開催するTPPの不成立後

の方向性を議論するアジア南米会合にも既に参加の意向を示しています。


 「国境の壁」問題で南米諸国は今のところ特に発言していませんが、メキシコが望めば南米諸国は一致してメキシコの

立場を支持することになり、米国と南米関係全体が対立するような構図になれば、さらに中国に付け入る隙が出て来ま

す。トランプ政権の迷走は、この地域にとっても憂慮に堪えません。日本は中南米の自由貿易諸国との関係でTPP合意

を何らかの形で活用すべきでしょう。

2017年3月20日   WEDGE Infinity

 


ベネズエラの経済破綻は、中国のアフリカ投資に警鐘を鳴らしている

ベネズエラが経済破綻した結果、中国政府は何十億ドルものお金をリスクの高い発展途上国に融資する自国の動きが

野心的すぎたのではないかという懸念を強めている。原油安で深刻な不況にさらされている上に、ベネズエラ政府首脳

は無策だ。こういった点があいまって、ベネズエラの経済は崩壊寸前にある。窮地に立たされたベネズエラは、中国から

融資を受けた国の中で初めてデフォルト (債務不履行) に陥る国になろうとしている。中国にとってさらに大きな心配の

種になっているのは、ラテンアメリカとアフリカの他の国々がベネズエラの二の舞になる可能性があることだ。


2000年から2014年の間に、中国政府、銀行、企業はアフリカに860億ドルを超える融資をしてきた。多くの場合、こう

した融資の担保は石油、金属や他の天然資源だ。これが問題となっている。コモディティ(商品先物取引所などで取引さ

れる商品)価格はここ数年間低迷したままで、こうしたアフリカの高レバレッジ(ハイリスク・ハイリターンの投資)国が、中

国から受けた高額の融資を返済することがさらに難しくなってしまった。

 

例えば、アンゴラの石油輸出のほとんどは中国から受けた少なくとも200億ドルの融資の返済に使われている。これは

つまり、アンゴラは実質的に石油輸出から資金 (現金) を得ていないということだ。結果、流動性の危機が生じ、インフ

レを加速させている。同様に、中国はケニアの最大の債権者だが、ケニアの対外債務の半分以上が中国のものだ。

北京にあるカーネギー清華グローバル政策センター教授のマット・フェーチェン氏を含め、多くの専門家が、中国の指導

者はベネズエラで本当に起こっていることを理解すべきだと警鐘を鳴らしている。これは、同様の財政危機がアフリカで

起こるのを防ぐためだ。 

 2016年10月08日 18時43分 JST    he Huffington Postt

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