EMERALD WEB ≪拝啓 福沢諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

トランプ氏のTPP離脱、判断早まった可能性

2017-05-16 00:01:41 | 米国対外関係

トランプ氏のTPP離脱、判断早まった可能性

 【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領は、大統領執務室での勤務初日に環太平洋経済連携協定(TPP)を死に至ら

しめた。だが、おそらく残りの任期で、その一部を復活させようとするだろう。


 バラク・オバマ前大統領が主導してきたTPPは米大統領選でたたかれ役となった。トランプ氏は「ひどい協定だ」とし

てこれに反対。対立候補のヒラリー・クリントン氏も同調した。


 しかしTPPは、従来の貿易協定に見られた関税・補助金削減にとどまらず、米国の国益にかなう新たな分野に踏み

込んだものだった。


 TPPが発効していれば、データフローに対する規制を制限するとともに、加盟国がコンピューターサーバーを国内に

設置するよう義務づけることを禁じ、電子商取引に弾みをつけただろう。コンピューターサーバーが国内にあれば情報

を検閲・管理しやすい。


 また、国有企業は政府の政治ツールではなく、営利企業と同じように運営しなければならず、知的財産保護は強化さ

れ、サービス業の競争規制は減っていただろう。


 これらはいずれも、テクノロジー分野と金融分野のリーダーで、国境を越えた米国の優位性を低下させようとする取り

組みを阻止したい同国の長年の目標だ。全ての貿易協定と同様にTPPは、左派からは労働関連規定の拘束力が弱

いとして、右派からは医薬品の特許権保護を強化すべきとして批判を受けていた。そして右派も左派も、TPPの投資保

護措置が実施されていたら、米国企業は自国の雇用を犠牲にして海外に工場を建てただろうと訴えている。


 だが、新政権は主な貿易関連目標の一部を達成できたかもしれない。まず、TPPにはカナダとメキシコが参加してい

るため、これは事実上、トランプ政権が目指している北米自由貿易協定(NAFTA)の裏口での再交渉だった。次に、

TPPに中国は参加していないものの、米国は他のアジア諸国との関係が強まり、中国との交渉での立場が優位になっ

たとみられる。


 ピーターソン国際経済研究所の通商問題エコノミスト、ジェフリー・スコット氏は「合意を取りつけることができ、その内

容を改良しようとすることができるのに、なぜまた一から作り直すのか」と述べた。


 トランプ政権の通商当局者の一部は、同じ結論に達しつつある。米通商代表部の代表に指名されたロバート・ライト

ハイザー氏は3月中旬の承認手続きで、「今までに結んだ貿易協定から学び、それを土台にするべきだ」とし、

「NAFTAの再交渉では、(TPPの)規定を盛り込み、TPPを超えることができそうな分野を改善することを検討するべき

だ」と語った。


 2週間後、トランプ政権はNAFTA再交渉の基本方針を議会に示したが、その内容は知的財産、デジタル貿易および

サービス貿易、国有企業、労働・環境基準に関するTPPの規定と同じだった。この修正案は、トランプ氏の選挙運動中

の発言と比べると驚くほど穏やかなものだった。議会は2015年に貿易促進権限法(通称ファストトラック法)を承認し、

これらのTPPの規定の交渉権限を大統領に委任した。


 主要企業の最高経営責任者(CEO)から成るロビー団体、ビジネス・ラウンドテーブルの代表、ジョシュア・ボルテン

氏は、メキシコとカナダはすでにTPPの規定に同意しているとし、交渉の範囲がこれらの規定にほぼ限られるならば、

「交渉はあっという間に成功裏に終わるかもしれない」と述べた。


 TPPは中国にも重要な影響を与えた。この協定は、アジア地域に対する米国のコミットメントの象徴で、中国だけに頼

ること以外の選択肢を提供した。中国はTPPに参加していないが、米国の交渉担当者は、国有企業や電子商取引に

関するTPPの規定の国際標準化を推し進めた。


 トランプ氏は、米国は経済力を行使して他国に譲歩を迫ることができると考え、2国間協定を好むと話す。多国間協

定では米国の影響力が弱まると訴える。


 しかし、その逆が正しい場合が多い。多国間協定は各国の譲歩を引き出しやすい。交渉担当者らによると、マレーシ

アは米国への譲歩に伴う政治的コストを危惧したため、ブッシュ政権と自由貿易協定を締結することができなかった。

だがTPPには参加でき、自動車などの関税引き下げに同意した。TPPを、他の東南アジア諸国も関わる協定として描く

ことができたからだ。


 日本は、牛肉に対する関税を引き下げることと、米国が日本車に課している関税を25年かけて撤廃することに同意

した。他の参加国が譲歩した条件を考えると、日本の産業にプラスになると判断したからだ。


 麻生太郎財務相は先月、米国との2国間貿易協定について、「米国がTPPより良い条件を取れる保証はない」と述べ

た。ライトハイザー氏は、米国は2国間貿易協定の交渉などによって「アジア地域でのリーダーシップを維持するつもり

だ」と語った。それ以降、トランプ氏は公然と中国の習近平国家主席の機嫌を取り、両国は先ごろ、牛肉や天然ガスの

貿易を巡る戦いをやめることで合意した。 


 しかし、米国際貿易委員会は昨年の報告書で異なる道を提示した。特定の業界や問題(例えば鉄鋼や情報技術に

対するゼロ関税の適用など)に特化した多国間協定の経済効果は2国間協定より大きいと指摘した。同様に、知的財

産や国有企業などTPPに盛り込まれた分野の多国間協定によって、TPPが死に至った時に失われた利益を取り戻せ

る可能性がある。

ジャンル:
経済
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 世界的規模のサイバー攻撃実... | トップ | 「減損をした直後だが、決断... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL