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マクドナルドを悩ませる「落書き」問題

2016-10-14 14:45:16 | USA

マクドナルドを悩ませる「落書き」問題 

内装デザインを巡りグラフィティアーティストたちが著作権侵害を主張

2016 年 10 月 14 日 11:40 JST THE WALL STREET JOURNAL

 「フレッシュでわくわくする」お店をテーマに欧州の店舗を最近改装したマクドナルドが、複数の訴訟を起こされている。問題となっているのは同社が店内に取り入れたグラフィティアートの数々。これに対し作品の著作権を主張するグラフィティアーティストたちが、自らの権利が侵害されたとして訴え出ているのだ。


 マクドナルドの冊子などで「エクストリーム」と表現されている今回の店舗デザインは、主に若い顧客向けの戦略だ。グラフィティアートを店内デザインに導入することで同社が「ストリート文化と密着したブランド」であることを浸透させようとしている、と欧州におけるマクドナルドのブランド戦略を担当した元社員は説明する。しかしブランディングに対する意識改革はマクドナルドだけではなく、ストリート文化でも同様に起きている。

 

 街全体を大きなキャンバスとして使うグラフィティアーティストたちは、今や落書きをする悪者ではない。その作品は美術館やギャラリーに展示され、裕福な収集家によって高額で購入されることもある。そしてグラフィティアートへの評価が高まる中でアーティストたちも自らへの評価を意識し、デザインの所有権を主張するようになった。いざとなれば、裁判すら起こすのだ。

 

 グラフィティアートに関連した著作権侵害の裁判はいくつか行われているが、今回マクドナルドはそこに巻き込まれた形になる。同社に対する訴えのうちのひとつが、グラフィティアーティストの故ダッシュ・スノー氏にまつわる一件だ。裁判の原告は、スノー氏の元ガールフレンドであるジェイド・ベロー氏。マクドナルドが作品を使ったことでスノー氏が商業主義に寝返った印象を与え、アーティストとしての名声が傷つけられたと彼女は主張する。


「SACE」のロゴは誰のものか

「SACE」のロゴ

 ニューヨークのソーホー地区などで活躍したスノー氏は2009年に27歳の若さで亡くなっており、原告のべロー氏はスノー氏の唯一の子供の母親だ。そして彼女は彼が残した財産の管理人でもある。ベロー氏によれば、マクドナルドは世界各地の数百店舗に「SACE」と書かれたデザインを取り入れているが、これはスノー氏が自らの著名として使っていたロゴだという。

 

 スノー氏は自身が考案した独自の表現方法がこのような形で利用されることを許可しなかったであろう、とベロー氏は裁判で主張する。ロサンゼルスの連邦裁判所に提出された申し立てによると、原告側は「商業主義や消費の象徴」であるマクドナルドのマーケティングに作品が利用されることで、「アウトサイダー」として知られたスノー氏の評価が最大限に傷つけられているとも話している。


 被告側のマクドナルドは、店内のグラフィティが十数個あるモチーフのひとつであり、店舗の改装プロジェクトの一環に過ぎないと反論する。今回の裁判について同社の広報担当者に取材を申し込んだが、コメントは得られなかった。


東京の店舗で見かけたロゴ

 タトゥーアーティストのノーム名義でも活躍するエリック・ローゼンバウム氏も、マクドナルドと3月に裁判を起こしている。同氏はブルックリンのビルに「N-O-R-Mファイヤー・エスケープ・オン・バートレット」と題したグラフィティを作成したが、そのデザインをマクドナルドが盗作したと法廷で主張する。

 ローゼンバウム氏が見慣れた「Norm」のロゴを初めて見たのは、数年前に東京にあるマクドナルドの店舗を訪れた時だった。同じようなデザインは、フランスやロンドンの店舗のデザインにも取り入れられているという。

「NORM」のグラフィティアート

 ローゼンバウム氏は自らの作品が商業利用されることに異論はないと話す。裁判の申し立てには自身が2000年以降「雇われストリート・アーティスト」として活動しているとも表記してあり、過去にはコカコーラやゲームソフトを手掛けるロックスターなどと仕事をしたこともある。

 しかしマクドナルドに関しては同社が無許可でデザインを使ったことが問題だ、とローゼンバウム氏の弁護士は語る。これによって彼の名誉が傷つけられ、数十万ドル単位の仕事のオファーや契約が失われてしまったと原告側は言う。

 今年の5月、ローゼンバウム氏は裁判を取り下げたが、その理由については一切明らかにできないと弁護団は話している。

一方、スノー氏の裁判では原告は譲歩する姿勢を見せていない。原告側の弁護士を務めるジェフ・グラック氏は、「私たちが一番強く求めているのは、すべてのマクドナルドの店舗から作品が直ちに撤去されることだ。これ以上、彼の家族や名声が傷つくことがないように願っている」と話す。


グラフィティアーティストと商業主義

 アートディーラーのジェフリー・ダイチ氏は、ロサンゼルスにある現代美術館のディレクターを務めていた経歴を持つ。彼はストリートアーティストの中には反体制意識が強い人物が多く、いかなる場にも作品が展示されることを拒む者もいると話す。中には企業に雇われて仕事をするアーティストもいるが、それは妥当な企画で内容も本人の芸術性に沿ったものに限定される場合が多い。間違えた形で作品を商用利用されるのは、アーティストにとっては受け入れられない侮辱であるとダイチ氏は言う。

ダッシュ・スノー氏

スノー氏が手掛けたプロジェクトのひとつ

スノー氏は著名なアート収集家であるドミニク・デ・メニルのひ孫として生まれ、のちにニューヨークのアート界の「カート・コバーン」と呼ばれるようになった。10代の頃から活動を始め、その作品はセックスやハードドラッグなどのきわどいイメージを多用したことで知られる。スノー氏が単に過激な気取り屋であると話す評論家もいる一方で、彼は2001年の米同時多発テロ後の怒りに満ちた街の空気を的確に捉えたと評価する声もある。

 スノー氏の作品はニューヨークにあるホイットニー美術館やロンドンにあるサーチ・ギャラリーで展示され、中には10万ドル以上で取引されるものもある。

裁判の行方

 マクドナルドとの裁判において、ベロー氏は店舗のデザインに「明白な著作権の侵害があった」と主張をしている。しかしそれを証明するのはそう単純ではない、と知的財産権の専門家であるクリストファー・ブッカフスコ氏は言う。

 ベロー氏が勝訴するには、マクドナルドの内装のデザインがスノー氏のロゴをコピーしたものであることをまず証明しなければならない。さらにそのロゴが他の一般的なグラフィティアートと比較して明らかにオリジナルな要素を持っていることも明らかにしなければならい、とブッカフスコ氏は話す。同氏によると、米国の法廷や著作権局は文字のデザインに著作権があるという考えに否定的だという。

ただしマクドナルドが裁判に勝ったとしても、社会的にはどう受け止められるかは不透明だ。

 マクドナルドの広報担当者は新しいデザインがおおむね好評を受けているとしている。しかし今年ロンドンのブリクストンにある店舗がグラフィティアートの内装に切り替えられた際、地元の住民からの評判はあまり良くなかった。

 「ブリクストンのような場所では、このようなロゴはあまり良い印象を受けない」と話すのは、地元に住むレストラン評論家のジェイ・レイナー氏。街中にあるグラフィティアートのいくつかは「すばらしい」と同氏は評価するが、マクドナルドの店舗内のものは「少し下品だ」と彼は言う。

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