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「減損をした直後だが、決断を躊躇しない」 日本郵政・長門社長、野村不HD買収に前向き。/ 「巨額損失組」の明暗 東芝と日本郵政

2017-05-16 03:59:14 | 日本経済

「減損をした直後だが、決断を躊躇しない」 日本郵政・長門社長、野村不HD買収に前向き

2017.5.15 22:50   Sakei Biz

会見する日本郵政の長門正貢・代表執行役社長=15日、東京都千代田区

 不動産大手、野村不動産ホールディングス(HD)の買収を検討していることが明らかになった直後の15日の日本郵

政の平成29年3月期決算記者会見は、長門正貢社長に対して買収の狙いを確認する質問が相次いだ。長門氏は

「具体的な話は何もできない」と前置きしつつも「郵政、郵便にとって大事な決断であれば減損を生かして決断したい」

と述べ、野村不動産HDの買収に向けて調整を進める考えを示唆した。


 トールの業績不振で4003億円の減損処理を計上した日本郵政の買収戦略には、市場からも疑問の声が出てい

る。


 しかし、長門氏はあくまで前向きに「大きな減損をした直後だがまったく関係ない。必要であれば手を打っていきた

い。決断を躊躇(ちゅうちょ)しない」と買収の必要性を強調した。ただ、不動産業界はリスクが高いことを認めた上で、

「大変な減損を繰り返さないように本当に必要かしっかり詰めたい」と述べた。


 日本郵政関係者によれば、トールの買収に関する巨額の減損処理は、昨年6月に日本郵便の社長に横山邦男氏が

就任した直後、長門氏が指示したという。長門氏は自らが直接関わっていないトールの買収という西室泰三前社長の

負の遺産を断ち切る構え。その上で、新たな収益の柱として不動産事業に狙いを定めて野村不動産HDの買収を進

める考えとみられる。


 ただ、この日の日本郵政株の終値は前週末比5円(0.4%)高の1402円にとどまっており、市場は日本郵政の

買収戦略に警戒感を緩めていない。


 また、与党関係者も「野村不動産HDの買収はまったく聞いていなかった。郵政社内でも聞いていない幹部も多いよう

だ」と打ち明ける。西室氏が独断に近い形で進めたとされるトールの買収の際と同様に、社内のガバナンスの欠如を

懸念する声も聞かれる。


 長門氏は西室氏と買収戦略の違いを示すことができるのか-。野村不動産HDの買収の成否は今後の日本郵政の

進路を大きく左右しそうだ。

 


日本郵政の野村不動産ホールディングス買収が意味すること

2017年05月14日 14:30   アゴラ
 

週末のニュースで意外性があったのは、日本郵政が野村不動産ホールディングスを買収するという報道です。野村不

動産ホールディングスの時価総額は約4000億円。この株式の一部あるいは全部を日本郵政が取得し、不動産開発

事業を加速させる狙いがあると見られています。



日本経済新聞社の記事によると、日本郵政は土地保有額の上場企業ランキングで6位に入っています(図表も同紙か

ら)。しかも、郵便局などの土地建物は、鉄道のターミナル駅近くにある場合が多く、都心の一等地の不動産を、有効

活用できれば収益性を高めることができます。


有名な例では、東京駅の前に出来たJPタワーがあります。かつての東京中央郵便局を再開発し、大型商業施設として

生まれ変わりました。また名古屋駅前にもJPタワー名古屋を開業し、博多でも同様の商業施設が博多駅前にオープン

しています。


昨年、200兆円の資産を保有するゆうちょ銀行が、今後5年程度で、国内外の不動産や未公開企業などのオルタナ

ティブ投資と呼ばれる資産に、最大6兆円を資産配分すると報道されました。ゆうちょ銀行の資産運用は金融資産が

運用対象の中心で、その中でもリスクの低い国債が過半を占めていました。日銀がマイナス金利を導入したことで、運

用利回りの低下が大きな経営課題になっています。


不動産開発や不動産投資事業は、日本郵政が従来手掛けてきた、郵便事業や金融資産を中心とした資産運用とは、

異なるノウハウが必要です。社内で人材を育てていては間に合わない。だから、不動産会社を買収することで、新事業

の経営ノウハウを一気に手に入れようということだと思います。


今回の買収記事の真偽や詳細は明日以降にならないとわかりませんが、日本郵政のような超大手企業でも、資産運

用における不動産の重要性が認識され始めたことを示しています。


日本郵政が保有する土地が、マンション開発などに活用されれば、住宅供給が増えて需給にとってはマイナスの影響

が予想されます。一方で、JPタワーのような商業施設が駅前に開業すれば、その駅の周辺の開発が加速され、不動

産価値の上昇というメリットが出るかもしれません。


今後不動産有効活用を検討する大手企業が追随する可能性もあり、国内不動産事業への注目が高まることは確実で

す。唐突な感じがした、今回の買収記事ですが、買収価格はともかく、有休不動産保有企業と不動産開発業者の組み

合わせという点で、シナジー効果が得られやすい企業戦略と言えます。


 

「巨額損失組」の明暗 東芝と日本郵政

 

2017/5/15 18:00   日本経済新聞 

 

 東芝日本郵政と海外企業の買収で巨額の損失を計上した企業が15日、2017年3月期決算に関する記者会見を

開いた。経営再建中の東芝は買収失敗が債務超過に陥る主因となり、頼みの半導体事業の売却にも暗雲が垂れ込

める。一方、日本郵政は4000億円の損失を計上し最終赤字になっても財務体質はなお健全。次なる買収にも目を向

ける。両社のトップの発言は好対照なものになった。


 「巨額の欠損を出したことを重く受け止めている」。東京・港区の東芝本社。綱川智社長は2017年3月期の連結業績

概要の記者会見に集まった報道陣やアナリストらを前に神妙な表情で陳謝した。監査法人のPwCあらた監査法人の

意見はなく、東芝が独自に算出した概算値の最終損益は9500億円の赤字(前の期は4600億円の赤字)だった。


■債務超過5400億円の主因に

 巨額損失の原因は米裁判所に連邦破産法11条による再生手続きを申し立てた米原子力大手のウエスチングハウ

ス(WH)だ。東芝はWH関連で1兆3500億円の損失を計上したのが響き、最終損益は3期連続の赤字に陥り、17年

3月期は5400億円の債務超過の見通しとなった。


 東芝が06年に買収したWHは15年末に買収した米原子力建設サービス会社に関連した巨額の損失が発生。WH

前会長が損失を抑えるため従業員に過剰な圧力をかけたともされている。WHの米連邦破産法11条の適用を申請し

た記者会見で綱川社長はWHの買収について「非常に問題のある判断だった」と総括している。


 東芝は財務基盤を改善するため、稼ぎ頭の半導体メモリー事業の売却手続きを進めているが、前途は多難だ。協業

先の米ウエスタンデジタル(WD)は米国時間14日、売却差し止めを求め国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所に

仲裁申立書を提出。綱川社長は「(WDに)売却の手続きを止める根拠はない」と強調するが、手続きが難航すれば東

芝の再建計画に支障が生じかねない。


 一方、日本郵政が15日発表した17年3月期の連結決算は、最終損益が289億円の赤字(前の期は4259億円の黒

字)だった。15年に買収したオーストラリアの物流子会社、トール・ホールディングスの収益が悪化。約4000億円のの

れんを損失処理し、民営化後初の最終赤字に転じたためだ。


 15日の決算発表時の会見での長門正貢社長の表情はひょうひょうとし、語り口は理路整然。実際、日本郵政はこの

程度ではへこたれない。野村不動産ホールディングス(HD)を買収する検討も始めた。長門社長は買収について問わ

れると、「(様々な可能性を検討しているという)すでに適時開示した事実以外に話す報告はない」と答えるにとどめ

た。


■買収失敗でも純資産は15兆円

 業界では「日本郵政は買収下手」との声も出て、トール買収で懲りてもよさそうだが、それでも再び大型買収を検討す

る背景にあるのは財務面の余力の大きさだ。3月末の手元資金は約53兆円あり、資本から負債を差し引いた純資産

はグループで15兆円。債務超過に陥った東芝と状況は大きく異なり、大規模の減損をしても攻めの戦略を続けられる

ほど経営の屋台骨はしっかりしている。


 人件費増などコスト高に直面する郵便事業は「おいしい事業ではない」(長門社長)との危機感がある。日本郵政は

郵便局に野村不HDのノウハウを導入し不動産の競争力を高める狙いがあるとみられる。ただ、市場では「地方中心

の日本郵政が関東圏中心の野村不HDを買収して相乗効果を得られるかは疑問だ」(松井証券の窪田朋一郎氏)との

見方がある。15日の日本郵政株は前週末比0.4%高にとどまった。

 

“純投資”として見た場合、野村不HDへの投資は悪くはない。野村不HDは16年度の含み益を考慮した1株当たり純

資産は3063円あった。この数字をもとに「実質的なPBR(株価純資産倍率)」を算出すると、12日時点で0.66倍にす

ぎず割安感があった。

 

 だが、事前に報道が出たため、TOB(株式公開買い付け)を織り込む形で野村不HD株は15日、値幅制限の上限

(ストップ高水準)にあたる前週末比25%高の2528円まで上昇した。割安感は解消された面があり、買収が成立しな

い可能性もある。


 「一般論として、たとえ大型減損の直後であっても関係ない。日本郵政にとって前向きな案件であれば決断してい

く」。長門社長は会見の質疑応答の最後にこう強調し、次の大型買収に含みを持たせた。


 「日本企業の大半はデューデリジェンス(資産査定)はしっかりやっている。欧米と大きな違いがあるとすればPMI(買

収後の統合作業)だろう」。外資系電機大手の日本法人首脳は、東芝などの失敗例をもとにこう語る。買収後も子会社

を「独立王国」のままで放置し、傷口を深めてしまうケースも多い。


 同じ巨額損失組でありながら、債務超過を脱する道筋が不透明になった東芝と、次の買収を模索をする日本郵政。

既存事業以外に成長を求め買収に動く日本企業は多い。2社の事例は教訓にもなりそうだ。


ジャンル:
経済
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