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安倍首相、一帯一路協力表明--中国、高笑い 遠藤誉

2017-06-09 16:35:45 | 日中関係

安倍首相、一帯一路協力表明--中国、高笑い

2017年6月7日(水)18時00分   Newsweek    遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 5月末、中国の楊潔チ国務委員が来日したときの 安倍首相

安倍首相は5日、場合によっては一帯一路に協力する旨の発言をした。中国外交部は行動で示せと言い、ネットは歴史

問題を謝罪してからにしろ、遂に中国の天下だと勝ち誇っている。いかなる反応があるのか見てみよう。


安倍首相が都内の会議で講演

安倍首相は5日、東京都内で開催された国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の夕食会で講演し、中

国の巨大経済圏「一帯一路」構想に関して、条件が揃えば日本も協力していきたいと述べた。その詳細は首相官邸ホー

ムページの「記者会見」にある。


たとえば、「国際社会の共通の考え方を十分に取り入れることで、環太平洋の自由で公正な経済圏に良質な形で融合

し、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待する。日本は、こうした観点からの協力をしたい」など、「万人が

利用でき、透明で公正な調達によるインフラ整備であること」「借り入れ国が債務を返済可能で、財政の健全性が損なわ

れない」と条件を示したが、安倍首相が自らの言葉で協力の意思を明らかにしたのは初めて。


今年が日中国交正常化45周年であり、また日中首脳会談を行いたいという安倍首相の政治的判断ではあろうが、あま

りに多くの危険を伴う。


中国がどう受け止めているのか、政府と庶民の声を拾ってみよう。


中国外交部の反応

中国外交部の華春瑩(かしゅんいん)報道官は6日、定例記者会見で「一帯一路構想は、中日両国が互恵協力、共同発

展を実現する新たなプラットフォームと"試験田"となることができる。日本側が一帯一路の枠組みの中で中国側との協

力を模索することを歓迎する」とした上で、「日本側が(一帯一路に加盟したいと)希望するなら、その希望を、両国関係

を改善することで表現し、あるいは(加盟したいという)願望を、真の政策と行動で示すことを希望する」と述べた。


「試験田」というのは、1958年の大躍進の時代に、農村の高級幹部が下部組織に入って農業生産を試験した時の実験

田のこと。もしただ単に「テストケース」と言いたいのなら、こういう場合、一般的には「試点」という中国語を用いる。しか

し華報道官は「試点」という言葉を使わず、わざわざ「試験田」という言葉を用いた。


ここにはすでに、中国と日本が対等ではないことを示唆するニュアンスが入っている。「農村の高級幹部」は「中国」、「下

部組織」は「日本」を示唆する。


また、「(もし一帯一路に加盟したければ、)政策と行動で示せ」という言葉は、まさに「今さら、のこのこと入ってきたいの

なら、その覚悟はあるだろうね」という完全な「上から目線」を示している。


このニュアンスに関して、日本メディアの報道は、正確に言えば翻訳がそれほど忠実ではないように思う。


事実、中国のウェブサイトでは「低頭」という単語を用いて、安倍首相の協力表明を表現した情報が少なくない。


たとえば、百家号の「安倍"低頭"表態"一帯一路"」をご覧いただきたい。「低頭」はまさに「平身低頭」という日本語にも

あるように、「頭を低く垂れるさま」を指す。「平身低頭して謝罪したり」、「平身低頭して懇願したり」など、いずれも「相手

にひれ伏した姿勢」を指す。「表態」は「態度を表明する」という意味。


百家号」というウェブサイトは、検索サイト「百度」(bai-du)が2016年6月に立ち上げ、9月に正式に登録されたばかり

のウェブサイトで、当然、習近平政権の言論統制強化の下で公認されている。「庶民」を装いながら、「政府の喉と舌」を

代弁している。


5月14日の一帯一路サミットに自民党の二階幹事長が安倍首相の親書を携え、大代表団を従えて訪中したときにも、

「日本はなぜ"低頭認錯"して、一帯一路の快速列車に駆け付けたのか」というタイトルで、二階氏の訪中と習近平国家

主席との対談を表現した。

「低頭認錯」とは「平身低頭して、自分の過ちを認める」という意味である。

つまり「日本は遂に、歴史問題に関して降参し、中国に頭を下げてきた」ということを意味する。

その証拠をお見せしよう。


中国ネットユーザーの声から

「中華民族の偉大なる復興」を政権スローガンに掲げる習近平政権のもくろみ通り、中国のネットは、やがて世界一にな

るであろう中国への自負心に満ち満ちている。

その手段は、アメリカを凋落させてから、対米追随の日本を落すことである。


トランプ政権になってから、アメリカはまさにオウンゴール(サッカーなどにおいて、自分の能動的な行動によって自陣の

ゴールに誤って失点しまうこと)によって、中国に点数を稼がせてくれている。そうでなくとも、親中派のキッシンジャー元

国務長官を用いて、トランプ大統領の娘婿クシュナー氏を洗脳し親中へと傾かせてきたが、もうそのスケールではない

ほどに、トランプが自ら失点してくれているのだ。


だから中国政府の雇われネットユーザーである「五毛党」の書き込みは、堰を切ったように「日本への侮蔑」と「侮蔑する

ことへの快感」そして「日本を遂に打ち負かすことになる中国への誇り」に満ち満ちている。


そのコメント数はあまりに多いので、公平に拾うのは大変だが、日本の警告となる代表的なものを、翻訳するのさえ不快

だが列挙してみよう。肯定的なものは、たとえば1万本のコメントの内、1本くらいはあるが、必ず叩かれているので列挙

しない。なお、中国語には一般に日本の「~さん」に相当する敬称はないが、安倍首相に対する場合は特に「安倍」とし

か書いてないので、そのまま翻訳する。


●中国のそびえ立つ勃興。ついに中国がゲームの制作者になったのだ!実に誇らしい!

●一帯一路に入りたければ入らせてやるよ。ただし、「釣魚島(尖閣諸島)が中国のものだと認めること」が大前提だけどね。

●まずは、「琉球諸島の主権問題」を討論してから入れよ!

●一帯一路はどの国に対しても開放的だ。ただし日本だけを除けば。日本が侵略行為の罪業を認めない限り、永久に中国の敵であることを忘れるな!

●どうしたんだい?アメリカ(という)パパが頼りにならなくなったのかい?

●そうだね、きっとご主人様(アメリカ)には希望が無くなったから、今度は中国に泣きついてきたんだね。

●自分ではご飯が食べられなくなったから、中国に「要飯」しに来たんだよ(「要飯」とは、ご飯を恵んでくれと懇願する「乞食」のこと)。

●今度ばかりは、お前ら「小日本」(日本に対する蔑称)の経済は、中国に頼るしかないって観念したんだろ?

●日本の右翼って、こんなに容易く心変わりをするんだっけ?

●「迷途知返」(道に迷って引き返すことから、道を踏み誤った者が、ようやくまともな道に立ち返る。つまり歴史の反省をしなかった者が、ようやく自分の過ちに気が付いて、平身低頭やってくる、という意味)、いいことじゃないか!

●もう、(日本国の)落城の味がするね。

●日本は首相が交代するんだよ、きっと。

●おいおい安倍よ、まちがえて、なにか悪い薬でも飲んでしまったのかい?

●安倍よ、お前がこんな態度表明などしたら、インドはどうするんだい?インドは泣いて死んでしまうよ(筆者注:インドが一帯一路サミットに代表を送らなかったことによって中国への抗議を表明したことを指す)。

●安倍はインドと経済協力開発とかっていうのを、始めたんじゃなかったんだっけ?

●AIIB(アジアインフラ投資銀行)に日本が投資するんだっていうんなら、投資させれば?中国がもっと強大になるだけだから、いいんじゃない?

●朝鮮イタチが鶏に新年の挨拶に来るってわけか、中国のひ孫めが!(筆者注:朝鮮イタチは鶏を食べることを以て、下心や悪巧みがあるという意味を指す。ひ孫というのは、中国に属する下等国家として、罵る言葉。)

●日本に入らせればいいよ、10年か20年後には中国の「11区」にしてやろうぜ!

筆者注:この「11区」の意味が分からないので、中国の若者に教えてもらった。なんでも「11区」というのは、アニメ『反逆のルルーシュ』の中で、日本がブリタニア連邦(アニメの中でアメリカに相当する国)に征服され、植民地化された時の呼稱とのこと。転じて「日本を中国の植民地化しよう」という意味だそうだ。

●まあ、見てみようよ。お前が靖国神社に参拝しないっていうのを見届けてから、また話に乗ろうか。

●いやあ、やっぱり、中国の「大気」(心が広く立派なさま)だねぇ!中国5千年の歴史を学ぶことなんて、できやしないさ!

●中国人民は、お前を歓迎しない。

●いや、入らせろよ。「小日本」が「低頭」したんだよ! 中国のリーダーの下にひざまずきたいというんだから、いいじゃないか。ゆっくり遊んでやろうぜ。

●中華民族の偉大なる復興を成し遂げる日を待つだけさ。

●大国中国。ゲームは決まった。


もう、説明は要らないだろう。これが中国の本心だ。

華報道官の「(もし一帯一路に加盟したければ、)政策と行動で示せ」が何を表しているか、お分かり頂けたことだろう。


いくらかでも自分の経験が日本の役に立てばと願って発信してきた筆者としては、中国ネットのこのようなコメントを書き

たくはない。しかし日本を思えばこそ、心を鬼にして書くしかない。安倍首相と日本政府に真意が届くことを祈るばかり

だ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

第23回国際交流会議「アジアの未来」晩餐会 安倍内閣総理大臣スピーチ

動画サイト

 尊敬するアジア各国指導者の皆様、お目に掛かれて光栄に存じます。主催者の皆様には、御招待いただきましたこと御礼を申し上げ

たいと思います。

 G7タオルミーナ・サミットでは、貿易や気候変動をめぐる議論が注目を集めました。しかし、リーダーたちの共通の関心は、この先、ど

のような社会をつくっていくのかということでした。

 グローバリゼーションやイノベーションによって、格差が広がっていくのではないか。自分たちはついていけないのではないか、という

人々にどう答えるのか。

 その不安にしっかりと向き合い対応し、国民全体が豊かになったと実感できるようにする。 

 そうして初めて、自由貿易に対する国民の支持を維持することできる。

 私からこの考え方をお話をし、G7として開かれた市場を維持し、保護主義と闘うことで一致することができました。

 日本はこの4年間、経済活力を取り戻すために、法人税の減税やコーポレートガバナンスの強化、岩盤のようだった規制の改革に取

り組んできました。

 同時に、老いも、若きも、男性も、女性も、およそ誰でも機会をつかめるよう、失敗したとしても立ち直れるよう一億総活躍社会を目指

してまいりました。日本流のインクルーシブな社会です。

 成長の果実が経済の裾野に広く及ぶように、大企業に対して、中小企業との取引を徹底して適正化するよう呼びかけてきました。企

業が従業員の給料を上げるよう直接求めてもきました。

 足下の経済指標は、改善しています。

 人口が減少する中でも、GDPは過去最高水準となりました。

 雇用は私の政権発足以来185万人伸び、うち8割以上が女性の就業です。

 失業率は2.8%。大学や高校を卒業する若者は、ほぼ全員就職できています。

 成長と分配の好循環を目指し、ここまで来ました。

 その中で、TPP交渉を妥結し国会承認を得ました。

 かつては世界中が日本にはできないだろうと思っていた高い水準の貿易自由化に、国民の支持を得ることができました。

 日本だけではありません。
 

ベトナムも大きな決断をされました。

 ベトナム経済で国有企業は大きな役割を果たしてきた。

 その国有企業についてTPPでは、多国間の貿易協定で初めてとなる規律をルール化しました。

 まさかベトナムが、国有企業の規律など受け入れないだろう。そんな見方を覆し、むしろTPPを梃子(てこ)にして改革を進めていく、

そういう道を選んだ。

 フック首相のリーダーシップに改めて敬意を表したいと思います。

 御承知のようにTPPは、残念ながら道半ばです。

 しかし、私は決して諦めません。

 日本は、自由貿易によって高度成長を遂げました。

 人々が国境を越えて自由に交易し往来すれば、多様な知見や経験が交わり新しい知恵が生まれる。このダイナミズムこそが、世界

の平和と繁栄の礎となるはずです。

 そしてそれは、誰にでも開かれた、そして努力した人が報われる公正なものでなければなりません。

 アジア太平洋地域を発展させるために必要な、自由で公正なルールとは一体何か。

 大企業だけでなく、中小企業や農家が安心して海外展開できる、創意工夫が守られる、付加価値が正当に評価されるルールとはど

のようなものか。

 正しくそれを参加国が長い時間を掛け真剣に話し合い、やっとまとめたのがTPPです。

 つい先日、TPP加盟国の閣僚たちがハノイに集まりました。

 議長国ベトナムの采配の下で、11か国、いわばオーシャンズ・イレブンは、TPPをなんとか生かそうとする点で合意をみました。

 日米間では経済対話を立ち上げました。日米でアジア太平洋のモデルとなるルール志向の枠組みをつくりたいと思います。

 私たちがその先に目指すRCEPも、TPPに結実したルールを基礎としてこそ質の高い協定にできる。ここがふんばりどころです。

 自由で開かれた公正な経済圏を広げていけるか。それとも一旦足踏みするか。その分水嶺に立っているのだと思います。

 前へ進むなら見えてくるのは、太平洋からインド洋を質の高いルールが覆う世界です。

 いや、その先がありました。

 なぜなら日本は、EUとも経済連携協定を交渉しているからです。早期の合意を実現したいと思います。

 自由で公正な貿易を進めるため、前進していきましょう。私は、志を同じくする皆様と一緒に大いに旗を振ってまいりたい。

 御賛同いただきたく思います。

 アジアは、文化も、民族も、宗教も多様です。ダイナミズムの源泉である多様性を尊重しながら、経済統合を進める。それがアジアの

歴史的挑戦です。

 お互いを尊重するからこそ共通のルールを守る。自由で公正な経済圏をつくる。そして、アジアの活力によって太平洋とユーラシアを

つなぐ。

 これがアジアの全ての国が共有する夢になると信じています。

 その夢をかなえるため、私たちは日本の支援を、質の高いインフラづくり、高度な人材の育成に集中させます。

 2000億ドルに及ぶ資金面での協力が、本年中に動き出します。

 今年はユーラシア大陸の地図に、画期的変化が起きました。

 本年初めて、中国の義烏(ぎう)と英仏海峡を越えて英国とが貨物列車でつながりました。

 一帯一路の構想は、洋の東西、そしてその間にある多様な地域を結びつけるポテンシャルをもった構想です。

 インフラについては、国際社会で広く共有されている考え方があります。

 まず、万人が利用できるよう開かれており、透明で公正な調達によって整備されることが重要です。

 さらに、プロジェクトに経済性があり、そして、借入れをして整備する国にとって債務が返済可能で、財政の健全性が損なわれないこ

とが不可欠であると私は考えます。

 国際社会の共通の考え方を十分に取り入れることで、一帯一路の構想は、環太平洋の自由で公正な経済圏に良質な形で融合して

いく、そして、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待しています。

 日本としては、こうした観点からの協力をしていきたいと考えます。

 日本は、質の高いインフラパートナーシップを進めています。

 日本には、こだわりがあります。

 インフラは、安全で環境に優しくなければならない。

 それは、日々、現場で問題が解決される中で守られています。

 そこには、勤勉で誠実な人々がいます。

 日本の新幹線を導入することは、高速鉄道にとどまらない。インドの鉄道全体の近代化の大きな触媒となる。モディ首相の言葉で

す。

 日本の協力は、メンテナンスも含め、技術が現地に根付くまでは終わらないことをよく御存じなのです。

 1963年、関西電力黒部川第四水力発電所、いわゆるクロヨンが完成しました。

 急しゅんな地形に挑み、延べ1000万人・日を投入、7年を費やした世紀の難工事でした。

 ラオスのナムニアップ一水力発電所は、第2のクロヨンと呼ばれています。

 2019年商業運転開始に向けて、元祖クロヨンを手掛けた関西電力が、ラオス、タイの仲間とともに取り組んでいます。

 現地には、1000人の雇用が生まれました。

 さらに、発電所の運営に向けて、長期的に運転技術の移転が行われようとしています。

 トンルン首相、完成を楽しみにしていただきたいと思います。

 ハノイの都市鉄道1号線、2号線。急速な都市化がもたらした、渋滞と大気汚染を緩和する。

 でも、それだけではありません。

 皆さんは、東京の地下鉄に乗ったことはありますか。電車は時間どおりやってくる。運行は電子制御。衝突事故は起きません。切符

は要りません。カード一枚で、どこでも行けます。でも、お金はチャージしておかなければなりません。

 駅は、もはやただの駅ではなくなっています。買物も食事も、切符代わりのカード一枚で済みます。

 バスやタクシーへの乗換えも同じカードでOKです。

 駅は近隣のビルにもつながっています。雨にぬれずに行けます。

 移動の体験をいかに便利で快適にするか。日本人のこだわりと工夫が詰め込まれています。

このこだわりと工夫をお伝えする。 

手始めに地下鉄の設計だけなく、周辺のバスの運行ルートや駅前のレイアウトをハノイの皆さんと一緒になってつくったそうです。 

ハノイの街がどんなふうに変わっていくか楽しみです。
 

技術革新のスピードには、目を見張るものがあります。ものづくりの現場にも変化が及んでいます。

 タイの工場で稼働する工作機械。動作の状態を示す回転灯が、機械の上についている。機械が不調を来すと、回転して光ります。す

ると、その光に反応して信号が飛び、ネット経由で日本の本社に届く。本社は、これまでの経験の蓄積から、考えられる原因と対応策

を割り出し、直ちに指示を出す。

 工場で対処し、ラインが止まっている時間がぐっと短くなる。

 こういったことが、もう当たり前になっています。

 IoTでつながったセンサーで集められたデータが大量に蓄積され、ビッグデータとなり、人工知能が解析し新たな知恵が生まれる。こ

の先には無限に広がる世界が現れます。

 例えば、難病の解明。患者さんたちを長期に見守り、データが蓄積されることで、発症の原因や重症化の仕組みが見えてくる。その

先に治療の糸口がみつかることが期待されます。

 例えば、自動走行。道路、歩行者、障害物などの状況を検知し、自動的に危険を回避することができるようになります。日本のような

高齢化社会では、年を取って運転がおぼつかなくなった後でも、気軽に外出できる手段として大いに期待されています。

 例えば、農業。熟練農家の経験と勘をデータ化し、生育状況や気象などのデータと組み合わせれば、経験の浅い農家でも、おいしく

安全な農作物を収穫できるようになるでしょう。

 しかし、データから導き出される栽培法は、完全でないかもしれない。未知の状況に遭遇したとき、経験豊富な人間の知恵が人工知

能を上回ることでしょう。しかし、その知恵がまたデータとなり、人工知能が更に賢くなる。

 いわば、知能と技能のアウフヘーベンです。

 私たちが足を踏み入れようとしている新しい社会をSociety5.0と呼んでいます。

 4度目の産業革命がもたらす5つ目の社会。Society5.0です。

 その本質は、一人一人のニーズに合わせた最適な解決策が、すばやく導き出されるようになることです。

 これまで解決できなかった課題が解決できるようになる。

 日本は、AIやビッグデータを活用して、少子高齢化を乗り越えて活力を高めていきたいと考えています。

 私はAIの普及は人々の仕事を奪うのではなく、人々がより創造性に富む仕事に転換する機会と捉えています。

 人口が減ってもイノベーションによって成長できるのだという第一号の証拠になることを、日本は目指しています。そのために、人々

が生涯を通じて新しいことを学び、成長する分野で新たな職を得られるような人材育成の仕組みを整えていきます。

 日本に行ってみたい、自分もSociety5.0をつくりたい。

 そう思う若者たち、プロフェッショナルたちに世界からどしどし来てもらえるよう、今年の4月、新しい仕組みをつくり出しました。

 一定のポイントを上回る人なら、日本でたった1年働けば、即座にグリーンカードを申請できます。スピードにして世界最高水準で

す。

 ビザの申請もお待たせしません。原則10業務日以内で結果をお知らせします。

 世界中の元気な若者の、その活力をもっと借りたい。少しでも日本に興味をもってくれる若い人に、日本語の学習から、日本と関係

する仕事まで道を開いてお連れします。

 アジアの各地で3か所くらい拠点を選び、日本語の先生を育てる場所を設けます。

 日本語を学ぶアジアの高校生たちに、10か月、日本で暮らせる機会を提供します。規模は今後5年で1000人。  日本の在外公館

やジェトロの事務所には、日本で就職したい人が気軽に問合せのできる窓口を置きますから、是非御活用していただきたいと思いま

す。

 クンプアン・ソマワンさん、おいででしたら、お立ちいただきたいと思います。

 我が国最大級の公的研究機関・産総研で、彼女はミニマル・ファブの開発をしています。直径1センチ少々という、とても小さなウエ

ハーに半導体をつくる、文字どおりミニマルなファブ。設備投資を1000分の1にできる画期的な技術です。

 この開発に不可欠だったのが、クンプアン・ソマワンさんでした。

 彼女のような方に暮らしやすく働きがいがあって、優しい日本にしていきたい。じかにお目にかかると、ますますその思いを強くしま

す。

 あらゆる人が存分に力を発揮できる一億総活躍社会、誰にでも開かれた、そして努力した人が報われる自由で公正な経済圏、現場

の人々に支えられている質の高いインフラ、一人一人のニーズに合わせた最適な解決策を導き出すSociety5.0。私が取り組んでい

る様々な政策について、お話してまいりました。

 それぞれ分野は異なりますが、共通していることがあります。

 一人一人を大切にする。

 これが全ての根底にあります。

 アジアの人々一人一人の才能が解き放たれ、存分に発揮されれば、どれほど大きな力になることでしょう。

 太平洋とユーラシアをつなぐ。

 さあ、皆さん、共にアジアの夢をかなえていこうではありませんか。

 御清聴、どうもありがとうございました。


ジャンル:
経済
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