j-aizu 労働速報!

労働(組合)関係の新聞記事等を投稿していきますので、コメントをお寄せ下さい!!

【衝撃事件の核心】常態化していたアジア系留学生の違法労働

2017-04-06 08:25:03 | 労働
行列のできる別格串カツ店が犯した〝禁じ手〟……要因は人手不足と観光客対応


平日でも行列のできる人気串カツ店「串かつだるま」。アジア系留学生の不法就労が発覚し、外国人雇用態勢の整備に乗り出している=大阪市浪速区
 大阪を代表する人気串カツ店で、外国人による違法労働が常態化していた。法定基準の労働時間を超えて留学生を働かせたなどとして、大阪府警が3月、入管難民法違反(不法就労助長)などの疑いで、人気串カツ店「串かつだるま」を運営する「一門会」(大阪市浪速区)の幹部6人と、法人としての同社を書類送検したのだ。大阪の「ソウルフード」の味を求める外国人観光客の増加で入店待ちの行列ができることも珍しくない「だるま」。多忙を極める店内を切り盛りするために手を染めたのは、急増しているアジアからの外国人留学生を違法な労働力として利用する〝禁じ手〟だった。

激戦区で「別格」の人気店

 こわもての職人をイメージしたマスコット人形が、店先で客を出迎える。満席の店内では、揚げたての串カツが次々とテーブルに運ばれていく。「串カツ激戦区」として知られる大阪・新世界の一角に、「だるま新世界総本店」がある。

 だるまは大阪市内を中心に16店舗を展開。新世界には総本店のほか、さらに3店舗を構えており、いずれも人気を集めている。新世界には多くの有名串カツ店が立ち並び、思わず目移りしてしまうが、「だるまの人気は別格」(地元関係者)。呼び込みが声をからす他店を尻目に、行列ができるのはいつもの光景だ。

 運営会社の一門会のホームページなどによると、だるまは昭和4年に創業。店主の病気で閉店の危機にさらされたが、元プロボクサーで大阪出身の俳優・赤井英和さんらの働きかけもあり存続。赤井さんの出身高校でボクシング部の後輩だった現在の社長(55)が総本店を引き継いだ。

 もともと創業当時から暗黙のルールだったソースの「二度漬け禁止」をアピールして店舗を拡大し、今では大阪の玄関口である新大阪駅構内をはじめ、タイ・バンコクや台湾・台北にも進出。テレビのバラエティー番組がロケに訪れることもあり、押しも押されもせぬ人気店へと成長した。

 まさに絵に描いたような「サクセスストーリー」に彩られてきただけに、通天閣のほど近くにある一門会の本社に大阪府警が家宅捜索に入った昨年11月17日、地元では衝撃が広がった。

きっかけは職務質問

 端緒となったのは、1件の職務質問だった。

 6日前の11月11日、大阪市天王寺区の路上で、歩いていたベトナム籍の男(31)=入管難民法違反容疑で逮捕=が府警天王寺署の制服警官を見かけると、急に道を引き返したのだ。

 不審に思った署員が職務質問したところ、男は同社の給与明細を所持していた。アルバイトにしては高額。男は留学ビザで来日していたが、学校には通っていなかった。

 入管難民法では、外国人留学生が週28時間を超えて働くことを原則禁止している。「1人だけではないはずだ」。不法就労の疑いで捜査を開始した府警は本社の家宅捜索に踏み切った。

 その後の捜査で、だるまでは平成27年9月~28年11月、22~31歳のベトナム、ネパール、ミャンマー籍の留学生ら17人が就労制限時間を超えて働いていたことが判明。中には1カ月に約330時間勤務し、約34万円を得ていたケースもあった。

 府警は、一門会の社長と店舗統括の責任者(38)、各店舗の店長4人を同法違反(不法就労助長)容疑で書類送検。就学実体がなかった27~31歳のベトナム、ネパール籍の男女3人を同法違反(資格外活動)容疑で逮捕し、22~31歳の留学生14人も同法違反(制限時間超過就労)容疑で書類送検した。

 捜査には府警外事課と市内7署も加わり、最終的に23人が逮捕・書類送検された。社長は「就労制限は知っていた。認識が甘かった」と容疑を認めた。

外国人観光客対応の側面も…

 一門会によると、同社の売り上げは平成20~26年度で約3倍に増加。現在は年間約200万人が来店し、約40億円を売り上げているという。なぜ、業績好調の人気串カツ店が違法な雇用を続けていたのか。

 府警によると、だるまでは昨年11月時点で約120人の外国人を雇用していた。「日本人(の店員)が集まらなかった」。書類送検された店長の1人は、法定基準を超えて働かせていた理由について、こう説明したという。

 思うようにアルバイトが集まらず、新たに外国人を雇えば指導に時間や手間がかかる。結果として、すでに店でアルバイトをしていた留学生らが法定基準を超えて勤務したり、そもそも就労資格のない外国人が働いたりすることで、人手不足を補う状態に陥っていたのだ。

 外国人を雇用していた要因はほかにもある。同社の担当者は取材に、「人手不足の解消と、外国人観光客への対応の両方の側面があった」と説明した。

 大阪を代表するグルメである串カツを求める外国人観光客は多く、多言語への対応が急務となっている。そうした中で、外国語を母語として、日本語も学んでいる外国人留学生らはうってつけの人材だった。

相次ぐ同様の不正

 今回の事件に代表されるように、飲食店や小売店がアジアからの外国人留学生を不法就労させるケースは、大阪で相次いでいる。

 平成27年には東証2部上場の免税店大手「ラオックス」、昨年には激安スーパーで知られる「スーパー玉出」、大阪市内で4店舗を展開する老舗焼き肉店「アジヨシ」などが同法違反容疑で府警に摘発された。

 府警幹部は「商機を逃したくない事業者側と、金を稼ぎたい留学生側の思惑が一致しているうえ、昨今の訪日外国人の増加が拍車をかけている」と分析する。

 事件を受けて一門会は、外国人雇用態勢の整備に乗り出している。雇用時に身分や在留資格の確認を店長が徹底し、出勤シフトは労働時間が法定基準を超えると警告が出るシステムで管理。留学生には3カ月に1度、在学証明書の提示を義務づけるなどの再発防止策をとっているという。

 不法就労をする外国人留学生の中には、勤務先に黙ってアルバイトを掛け持ちし、結果的に上限を超えるケースもある。そのため、雇用時に法定基準について説明し、掛け持ちをして上限を超えた場合、契約を解除することも決めた。

 書類送検された翌日の今年3月15日には、社長コメントを発表。「コンプライアンス体制整備を充実させ、全社一丸となって信頼の回復に努めて参ります」としている。

 「くいだおれの街」の象徴ともいえる人気店で明らかになった不正。〝二度目〟が許されないのは、串カツのソースだけではない。

(2017.4.5 11:00 産経ニュース)
ジャンル:
速報
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 全トヨタ労連、ベア「トヨタ... | トップ | <過労社会 働き方改革の行... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

労働」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL