歯科医物語

歯科医、現在 休養中、「木偶庵」庵主、メインサイト http://www.jiro-taniguchi-fan.com/

「夏目漱石の胃潰瘍治療薬は「口内炎を焼く」薬だった!」

2006-07-17 23:06:25 | ☆医療・歯科(口腔外科)医療について
最近、
「漱石日記」平岡敏夫編(岩波文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003190025/qid=1150878797/sr=8-3/ref=sr_8_xs_ap_i3_xgl14/503-6711007-0948739
を読んでいて、
驚くことをみつけた。

彼は、胃潰瘍だったことは、よく知られている・・・・・。



わたしも、30歳ぐらいに
胃潰瘍経験。
以来、1年に1度ぐらいずつ再発を、
繰り返してきた。

この前、胃カメラを呑んだら
「傷だらけの胃ですね。」
といわれた。
潰瘍の瘢痕だらけなのだ。

したがって、胃潰瘍については、
詳しい。



さて、
漱石が、胃潰瘍治療のため、
呑んでいた薬についてである。

先の「漱石日記」の「修善寺大患日記」によると
有名な事件「修善寺の大患」は、
「8月24日」で
大規模喀血で、漱石は、生死をさまよう。
(8月24~9月7日までは、鏡子夫人日記代筆)

話は、その前である。
「修善寺大患日記」によると、
その前、17日、19日と、少しだけ、血を吐いている。
問題は、その小喀血の後である。

なんと
19日、21日と「硝酸銀」を
服用しているのである。
(たぶん、毎日だったろう。記載は、ない、が。)



わたしは、歯科医である。

わたしは使ったことはないのが
「口内炎」を、硝酸銀で「焼いた」時代が
あったことを聞いたことがある。

20何年前、教科書に
「口内炎に硝酸銀」の記載があったため、
その時大学の教授にきいたことがある。

教授によると、
「硝酸銀」は、劇薬で、
丸い口内炎につけ「焼く」のだそうだ。
口内炎の形はなくなるが、
治りはかえって悪い場合が多いから、
今は使われていないというのである。



その、小さい口内炎を焼く薬を、
漱石は、「呑んで」いたのである。

胃に、よいわけはない

これでは、大出血の原因は、
この服用した「硝酸銀」といっても過言でないと思う。


胃潰瘍の特効薬に思われていたふしがある。
確かに、胃壁が、全部焼ける。
胃の痛みは、おさまったかもしれない。
濃度もわからない。




今は、胃潰瘍の原因は「ピロリ」という細菌であることが、
わかっている。

胃という、胃酸で、酸性の強いところにも
細菌がいるのである。
特に、日本人には、胃の中に
細菌がいる(胃潰瘍の症状がないひとでも)ひとが、
多いそうである。

わたしは、数年前、「除菌療法」を受けた。


漱石も、今の時代なら
もっと、長生きできただろう。

わたしも、「漱石の歳」を超えてしまった。




追記)
この話は、おもしろそうなので、
もっと、しらべてみよう・・・・・・・で、つづく。












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