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なぜ損益計算書が読めない営業は失格なのか

2016年11月13日 | コンサルティング

「営業担当者はたくさん売ることだけを考えればよい。そのためには経費をいくら使っても構わない。」この考え方は、必ずしも間違っているとは言えません。売上がなければ利益もないのですから。

しかし、100万円の売上を得るために100万円以上使ってしまっては、肝心の利益がなくなってしまいます。

では、利益が出ないなら一切売らなくても良いかというと、そうでもありません。多少赤字になっても、売上による入金がなければ給料も払えなくなってしまいます。

また「損して得取れ」ではありませんが、当面赤字でもたくさん売ってシェアを確保しておいた方が、その後の営業活動にプラスになることもあります。

営業とは単純そうでいて、かくもややこしいものです。

こうしたややこしさを整理して、どのように営業活動を行なえば良いのかを考えるとき、絶対に必要になるのが財務諸表、特に損益計算書(P/L)を読むスキルです。

損益計算書は一定期間(1年、四半期など)の営業成績を記載した表です。一番上に売上高があり、以下売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益(連結の場合は「税金等調整前当期純利益」)、当期純利益と5つもの「利益」が並んでいます。

最初に出てくる売上総利益は、一般に粗利(あらり)と呼ばれる利益です。売上から売上原価(仕入値)を差し引いた利益です。50万円の商品を仕入れて100万円で売れば、100-50=50(万円)が売上総利益(粗利)です。

次の営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いた利益です。商品を売るためにかかった人件費や家賃、光熱費、交通費、広告宣伝費、交際費など、いわゆる「経費」が販管費です。そうした様々な販管費(売るための費用)が30万円発生したとすれば、50-30=20(万円)が営業利益です。

さて、次の経常利益は営業利益に営業外収益をプラスし、営業外費用をマイナスしたものです。営業外収益とは受取利息(銀行に預けていたら利息が入ってきた)、営業外費用とは支払利息(借金の利息を払った)などです。「営業外」とあるように、こうしたお金の出入りは営業活動とは直接関係ありません。ですから営業担当者の「責任範囲外」と考えてよいでしょう。

したがって、営業担当者の「責任範囲」は売上高、売上総利益、営業利益の3つです。

営業担当者は損益計算書の構造をしっかり頭に入れ、責任範囲内での最終的な利益=営業利益を最大化することを第一に考える必要があります。

すなわち、(1)売上のボリュームを増やすこと、(2)できるだけ値引きをせずに粗利を確保すること、そして(3)経費を徹底的に抑えること、この3点を常に考えながら営業活動を行なわなければなりません。

売上を多くすることだけしか考えず、大幅な値引きをしたり、無駄な残業代や交際費を使ったりしていては営業失格と言わざるを得ません。

また、財務諸表の読み方が身についていれば、顧客や仕入先、競合企業の利益の出し方が見えてきます。そうした情報は、営業活動にとって大いにプラスになります。

もし、あなたが営業の仕事に携わっているとしたら、損益計算書を読むスキルぐらいは当然お持ちですよね?

(人材育成社)

 


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