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(一粒=ひとつぶ)

謙譲語が難しい

2017年04月19日 | コンサルティング

皆さんは、謙譲語を正しく使いこなせていますか?

この春、新入社員研修の講師を担当していて私が強く感じたのは、最近の新入社員にとって一番の難題は敬語、中でも尊敬語と謙譲語のようだということです。

言うまでもありませんが、敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。丁寧語は基本的に語尾に「です」、「ます」、「ございます」を付ければ良いので、理解しやすかったようです。それに比べ尊敬語や謙譲語は不規則的に変化するために、ことさら難しく感じられるようでした。

研修では、日常会話や電話などでビジネスシーンにおいて最も使用頻度の高い10個の動詞を選んで敬語を確認してもらう演習を行いました。しかし、尊敬語と謙譲語の区別が簡単にはつかない単語もあり、尊敬語の欄と謙譲語の欄を行ったり来たりさせてしまい、複数人で取り組んでも正解にたどり着かないこともありました。

新入社員にとって敬語が難しいというこの現象は、何も今年に限ったことではありませんが、年々その度合いが大きくなっているように感じています。

では、その理由は一体何なのでしょうか?彼らにいろいろ質問をしてみた結果、どうやら年長者(=階層が異なる人)との会話の経験が圧倒的に少ないのではないかということに思いあたりました。

学生時代の彼らにとっては、学校の先生が親の次に身近な年長者であるケースが多いようです。その先生に対しても最近では敬語を使わずに友達言葉、いわゆる「ためぐち」でやりとりをしてきた人が結構多いのです。また、アルバイトなどで接客の経験がある人は年長者などとの会話の経験は多いものの、それは丁寧語が中心だったようです。以上のことからも尊敬語や謙譲語を使った経験が少ないことがわかりました。

その他に一昔、さらにそれ以前の新入社員と、今の新入社員をとりまく環境の違いが何かあるのかを考えてみると、固定電話の使用経験が少ないことが影響しているのではないでしょうか。

携帯電話が固定電話の台数を上回ったのは、17年前のちょうど2000年のことで、大卒の新入社員が5歳、高卒の新入社員が1歳の時のことです。

総務省の2016年版の情報通信白書によると、2001年には携帯電話が7,800万台に対して固定電話が6,000万台だったものが、2015年末には携帯電話が16,276万台に対して、固定電話は6,353万台と大きく差が開いています。 固定電話の絶対数が減っているわけではないですが、携帯電話の数が圧倒的に増えている分、固定電話を使う機会は大きく減っているはずです。

ためしに、研修で新入社員に自宅に固定電話があるかどうかを尋ねたところ、あると答えたのは30人の受講者中、1~2割程度でした。やはり、固定電話を使ったことがない人がかなりの割合でいるわけです。

電話での会話という面で考えると、携帯電話は友人などの受け手にダイレクトにつながるわけです。固定電話のように電話に出た(出てしまった?)友人の親と話すといったことはなく、それゆえに敬語を使わなければならない場面がそれほどなかった(さすがに、友人の親に対してためぐちをきくわけにはいかないでしょうから・・)ということなのでしょう。

このように、階層が異なる人との会話の経験がほとんどないままに大人になった彼らが、社会人になった途端にいきなり敬語を使うことを求められるわけです。これはある面では酷なことと言えるのかもしれません。とは言え、携帯電話が増えていく傾向は今後も続くでしょうし、それに比例するように敬語で苦労するビジネスパーソンも増えていくと思われます。

では、この事態をどうすれば回避できるのか。残念ながら、すぐに妙案は浮かびそうにありません。言葉づかいはビジネスの基本中の基本であり、決しておろそかにすることはできません。やはり、ここは丁寧語からスタートして、地道に一つ一つ覚えていくしかないのでしょう。

そのためにも、新入社員が配属された部署の上司や先輩は仕事を教えるだけでなく、ぜひ言葉づかいについても根気よく指導していただきたいと思います。

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