人材育成社のブログ

 人粒を実らす人材育成の日々
(一粒=ひとつぶ)

訪問件数を増やせば、売り上げは伸びるのか

2016年10月05日 | コンサルティング

Aさん 「先月の訪問件数は38件です」

Bさん 「私は先月は45件訪問しました」

Cさん 「○○件です」

Dさん 「○件です」

経営者 「先月の訪問件数のトップはBさんだね。Bさん頑張ったね。Bさんに皆で拍手!」

全員 「パチパチパチパチ」

これはX社の以前の月例会議の光景です。コンサルティングで弊社がお邪魔するようになるまで、X社の経営者は営業の訪問件数に価値を置かれていました。

「目標の数字を達成している営業パーソンは、総じて訪問件数が多い。全営業パーソンが訪問件数を増やせば、全員が数字を達成できるようになるはずだ」ということで、月例会議では「各営業パーソンに訪問件数を発表させて、件数が少ない人への刺激にしよう、そうすれば件数を増やす努力をするはずだ」と考えられたとのことでした。

それから2年間、ひたすら訪問件数を重視して、毎日の朝礼でもその日の訪問予定件数を発表させるようになったということです。

しかし、2年前と比べると訪問件数自体は格段に増えたものの、営業数字は一向に伸びず、あろうことか営業成績の良かった営業パーソンの数字までもが伸び悩むようになってしまったということでした。

業種業態に関わらず、営業にかかわる問題として頻繁に挙げられるものの一つが、「営業の訪問件数」です。一般的には、訪問件数は多い方が良いというように考えられていますので、大抵の経営者は訪問件数に重きを置いています。

しかし、実際のところ訪問件数と営業成績には何らかの関係性はあるのでしょうか。

これは当然、販売する商品やサービスによって事情が異なりますので、一概に「これとこれの関連性がある」とは言い切れないです。それでも実際の数値で調べてみると、必ずしも「訪問件数が増えると売り上げも伸びる」という訳ではないようです。

X社に関しても、ある程度までは訪問件数を増やした方が売上げが伸びるのですが、それを超えると数字が横ばいになってしまったのです。

これは一体なぜなのか、弊社で調査、分析を行いました。X社が提供しているサービスは画一的な内容ではなく、顧客のニーズに応じその都度サービスを構築して提供しています。そのため、営業パーソンは訪問前に顧客の置かれた状況や周辺知識を念入りに調べ上げ、それに加え何度も訪問することを経て、最終的に顧客ごとに企画書や提案書を作成するのです。

したがって、訪問社数や件数が多くなればなるほど仕事量も増えるわけですが、そうなると1つの顧客にかけられる時間は減ってしまいます。結果として調査や企画書の質が自ずと落ちてしまっていたのです。

調査の結果、これが「訪問件数は増えているのに受注率が落ちてしまう」理由であることが判明したのです。

そこで、経営者といろいろ相談し、営業パーソンには一定の件数までは訪問数にこだわってもらい、それ以上は件数を追いかけることは止め、その分の時間を営業準備にあててもらうようにすることをアドバイスいたしました。

さて、それから数か月間が経過したところで受注率が徐々に上がり、明らかに売上げの数字が回復しました。そして、営業パーソンも以前と比べて時間に余裕ができたことで、表情も生き生きしてきたことが印象的でした。

そして、経営者もこの結果には大喜びで、営業パーソンに訪問件数について叱咤激励してきたことを詫びていました。

もちろん、これは先述のとおりすべての業種業態に当てはまる訳ではありません。

最後に、現在X社では朝礼でも月例会議でも訪問件数の発表は取りやめていることをお伝えしておきます。

(人材育成社)

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