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トランプ大統領に似てきた安倍首相

2017年06月28日 | 政治

  

閣僚もマネしてはならない

2017年6月28日

 国会、政党が取り組むべき重要なテーマはメジロ押しなのに、安倍政権は首相自らが火種をまいています。国際政治の世界標準だった米国でトランプ氏が登場し、政治的な正義、倫理が変質してしまいました。政治的正義、倫理はどうでもよくなってきたようです。安倍政権はまさかトランプ政権をマネしているのでないでしょうね。


 国としては「点」にすぎず、大問題にならないはずの畜産学部の増設問題を、大火にしてしまったのが安倍政権の対処の拙さです。そろそろ鎮火すると思っていましたら、首相本人の「今治市に限定する必要はなく、速やかに全国展開を目指したい」と、信じられない発言をして、また火の粉を噴き上げる流れになっています。


 米国大統領のトランプ氏は不用意なのか、大胆なのか分からない行動、発言を続け、世界を混乱させています。トランプ氏の登場で、政治に対する評価基準が低下したのは確実です。政治は甘くても、構わないのだと。「トランプ並みでも許容される」と、自民党政権も無意識のうちに、錯覚しているに違いないと思います。


稲田防衛相の発言は取り消せない


 安倍首相の発言に入る前に、稲田防衛相が都議選の自民党候補の集会で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と述べたことをどう思うかです。これは失言だからという生やさしい問題ではなく、どう釈明しても取り消せない前代未聞の発言です。国政選挙で「自衛隊は大切」と訴えるならともかく、政治的な方向感覚の貧しさに驚きました。


 首相周辺が「将来の首相候補」と持ち上げ、夏の内閣改造では、官邸の主軸のポストが取りざたされていた稲田氏です。それで張り切ったのですか。さすがに安倍首相もたまらないでしょう。内閣改造を待たず、都議選前に更迭する決断力が首相にあるかのかないのか。首相自身の失言を帳消しするつもりなら、早期更迭しかありません。


 安倍首相の獣医学部新設の発言には、耳を疑いました。「今治市に限定する必要はなく、速やかに全国展開を目指したい」。国家戦略特区というのは、特区で特別に規制緩和をして、効果があれば、全国に広げるというための舞台です。加計学園に例外として認めた獣医学部新設の効果を確かめないうちに、「速やかに、意欲あるところにはどんどん獣医学部の新設を認めていく。2校でも3校でも」とはなんでしょうか。加計学園の獣医学部新設はまだ先の来年4月の予定ですよ。


 菅官房長官は首相の女房役ですから、「風穴をあけるためなのだから、広げていくのは妥当な判断だ」としか弁明するしかありません。それが応援団の学者、識者までが右へならえですからね。恐らくそうすれば、政権に重宝されるだろうと期待している人たちでしょう。批判精神を失い、同調する精神が旺盛な人たちは多いのです。


特区は実験の検証が必要


 特区とは「時代遅れになった制度、規制を一部の地域で実験的に変更し、成果がでたら法律改正などして、全国的に広げていく制度」と、解説されています。実験が始まる前に、「どんどん広げていく」という首相発言を聞くと、頭が混乱してしまいます。


 「獣医さんが不足しているかどうか、既存の大学では対応が不可能な構想なのか、ライフサイエンス分野なのか」などをチェックすることにした閣議決定(2015年)があります。首相の瞬間的な発言が過去の閣議決定を一瞬にして葬り去る。まるでトランプ政権のようですね。


 安倍首相が憲法改正問題で「読売新聞を熟読して」と、発言しました。その読売新聞は6月27日の社説で、「閉会中審査も辞さず説明を」と、指摘しました。首相が頼りにする読売新聞もあきれているということです。「説明責任を約束する以上、閉会中の集中審議には前向きに応えよ」です。首相自身が読売新聞を熟読する番です。


 さらに、戦略特区の決定は諮問会議として行うことなっています。首相は諮問会議の議長だからといって、勝手に決定を下すことはできません。せめて諮問会議を緊急に開いて決めるという形をとるべきでした。支持率が急落したので焦ってしまい、手順のことは忘れてしまったのか。



 

 

 

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驕れる者たち (ペガサスA)
2017-07-04 06:46:53
7月2日の日記の最後に、私は、こういうときには、何か重大事態発生の予兆のような気がしてきた、と記しました。
自民党の都議会選挙惨敗を予想していました。
7月3日朝の日経一面トップは「小池系が過半数 自民惨敗」の見出し。
このトップ記事の横で同紙大石解説員は『対決型政治に限界』と題して総括しています。
最近の安倍政権の国会での大石解説員のいう対決型政治については、ペガサスAは安倍政権のあまりにも感情の先走った攻撃的対決政治姿勢にあると考えていました。
人間、感情をむき出しにすれば、相手も同様に感情をむき出しにする、その結果はますますエスカレートするというのは当然です。そしてよい結果は決して生まれません。

予兆はありました。
それは、6月18日に新聞テレビ各社が出した世論調査では、安倍内閣支持率が軒並み大きく減少したことです。とりわけ毎日新聞の調査結果は、内閣支持率が前回より10ポイント減の36%で、不支持率は9ポイント増の44%。不支持率が支持率を上まわった点ともに、全体的に「不支持」へと動いていました。
森友学園問題、加計・獣医学部新設問題などについて最近の安倍首相は、「丁寧な説明をする」「指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」、その一方で、国会論議の答弁では「印象操作」を連発、菅官房長官は会見で文科省前次官問題で「怪文書だ」「前文部科学事務次官は出会い系バー出入り」など、どうも権力を背景にした脅かしとも取れる発言など、が目立ってきました。
それに加えて、稲田防衛相選挙応援での失言、これは、中村さんが指摘された通り、きわめて重大な発言です。豊田議員の罵倒録音とその結果の雲隠れ、下村元文科大臣の加計学園関係からのパーティ券購入問題、最後に二階幹事長のふてくされた発言、これらが都議選終盤になって一気に噴出し、投票前の都民の清き一票に大きな影響を及ぼしました。
安倍政権側がどんどん「感情的」になっていること、それに対して都民や国民が、これはおかしいのではないかと、直感し、自民党都議候補者に対して「NO」になって行くという、世の中の空気の流れが変わって行ったのです。
しかし、「感情的」対立では物事は解決しません。
政治に「感情」があまりにも入りすぎると、ろくなことはありません。
極端・拙速な行動と暴走が始まる前兆です。
やるべきは、都政をどう進めるか、そのための政策論争をしっかりとすべきです。

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