付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「無職転生~異世界行ったら本気だす(13)」 理不尽な孫の手

2017-02-17 | 行きて帰りし物語
 一妻一夫を是とするミリス教徒からはあまりいい顔はされなかったけれど、ロキシーを2人めの妻に迎え、ルーデウスは新たな生活をスタートさせた。
 幸いな事にシルフィとロキシーの仲は良好だったし、ザノバとクリフが開発していた義手は失われた左腕によく馴染んだ。
 みんなで買い物したり、勉強したり、友人の結婚式に参列したり、充実した日々が続くのだが……。

 1巻の表紙を意識した13巻の表紙イラストを見ていると、いろいろあったけれど、やっとここまでたどり着いたんだなあと感慨深いですね。単なるメインキャラを並べただけのカットではなく、ちゃんと家族の肖像になってるんです。イラスト最高。

「不要と捨てたものの価値は、拾い直した時にわかる」

 作品紹介では「二人の妻と幸せな結婚生活を満喫するルーデウスの前に、苦い別れ方をした元カノがあらわれる。これはまさかの修羅場の予感!?」とか書いてあるけれど、元カノの冒険者サラでした。本命の3人目はまだ番外編で鬼のように修羅ってますよ?

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(12)」 理不尽な孫の手

2017-02-16 | 行きて帰りし物語
「外に出て、人と話す」「誰とでも、偏見なく仲良くする」「いつでも一生懸命がんばる」
 ルーデウスにとって、ロキシーから教えられたことがすべての基礎にあるから、彼は彼女を今でも「先生」と呼ぶ。

 異変によって世界各地に散ってしまった家族を追い求め続けていたパウロは、ついに妻ゼニスらしき女性が『転移迷宮』の奥に囚われているらしいという情報を手に入れた。
 だが、転移迷宮はワープトラップだらけの難易度S級の難関。パウロはかつての冒険者仲間や息子ルーデウスらとともにパーティーを結成して挑むのだが……。

 牢仲間のギースやロキシーとも再会し、オールスターで挑む迷宮攻略譚。ギレーヌがいたらベスト・メンバーだったのにね。
 そして、ルーデウスは再びクズになります。でも、ゲスにはならない。
 がんばれ!

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(11)」 理不尽な孫の手

2016-07-02 | 行きて帰りし物語
「後悔が生まれた時には、もう遅いのだ。だから親はみんな、子供に努力させようとしているのだ。大なり小なり、後悔してるから」

 シルフィエットとの新婚生活を堪能するルーデウスだが、パウロから2人の妹を任された悩みは大きい。
 出来は悪くないのに周りが出来すぎた人間ばかりで比較されてしまう姉ノルン、しっかり者でテキパキとやりたいことをこなしていく妹アイシャ。内向的なノルンと外向的なアイシャ、兄ルーデウスを畏れるノルンと大好きなアイシャ、そして本妻の子であるノルンと使用人の子であるアイシャ。すべてが正反対である姉妹の仲はギクシャクし、ついにノルンが引きこもってしまう。
 シルフィたちの助けを借りながらなんとか妹たちとの関係を良くしようと頑張ってきたルーデウスだが、周囲を拒絶して閉じこもるノルンの姿に前世の自分の姿を合わせ見る。
「……これが、あの時の兄貴の気持ちか」
 自分は抜けきれなくて後悔した。今なら最初は自分を助けようとして、最後には放り出した家族の気持ちも分かるような気がした……。

 家族が1つになり、また別れるところまで。
 ウェブでは間話として挟まっていたエリスのエピソードが飛ばされている分、その不在がさらに強調されてなんか怖いです。見えないところで着々と狂犬化していくのは、見えないだけ怖いというか、出るぞ!出るぞ?という怪談のフリですよね。エリスがルーデウスのために狂犬となって修行に明け暮れている間、その主人公はラブラブ新婚生活なのですから、導火線どきどき。
 さらにザノバとジンジャーの主従関係にはちょっとヒキます。ジュリが全然ストッパーになってないんだ。そんな流れの中で、ナナホシのツンデレ具合やエリナリーゼとクリフのバカップルぶりに癒やされます。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(10)」 理不尽な孫の手

2016-04-30 | 行きて帰りし物語
「人には、タガを外して騒がなければならない時がある」
 人生辛いことばかりだから、たまにはそうしないと生きていけないのだとルーデウス・グレイラット。

 祝!ED完治、そして結婚……新婚生活……。
 そういう巻なのに、巻頭からいきなり「結婚は人生の墓場だ」という警句から始まる10巻。「Neet is a zombie」という訳はいかがなものかと思います。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(9)」 理不尽な孫の手

2016-03-19 | 行きて帰りし物語
「踊らされ、笑われても、得られるものはある」

 ある日突然、魔法大学に魔王バーディガーディがやってきた。魔界大帝キシリカにルーデウスの話を聞き、そんなに面白い相手なら戦ってみたいというのだ。
 かくして校舎の外に出てきたルーデウスの前にはバタバタとなぎ倒された獣人たちの山と、高笑いする魔王の姿があった。果たしてルーデウスは不死身の魔王相手に生き残る事ができるのか……。

 などというエピソードというか伏線を折り込みながら、おかたいクリフがイチャラブ生活に陥る顛末とか、地球人サイレントの登場とか、ルークが意外にも問題については親身になって相談してくれたりとか、あれこれ盛りだくさんのエピソードが怒濤のように流れていきますが、中心は幼馴染みとの再会であり、機能不全の解消なんです。
 ルーデウスくんもイケメンに成長しましたね。前巻の帯に「魔法大学編開始!!」ってあったのに、もう「魔法大学編完結!!」って、はえーな、おい。でも、勃っちゃったから完結ってのは正しいよね。
 魔王バーディガーディ様は、ポケモンのカイリキーなイメージで読んでいたので、案外普通のおっさんでした。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(8)」 理不尽な孫の手

2016-01-07 | 行きて帰りし物語
「苦しみたいなら先に行け、楽しみたいなら他に行け」
 ルーデウス・グレイラットの著作より。

 魔法大学に入学したルーデウスは激怒した。
 必ず、かの暴虐の女子生徒2名を許してはおけないと決意した。
 ルーデウスには学園の政治はわからぬ。ルーデウスは冒険者である。魔大陸を放浪し、はぐれ竜を一人で迎え撃ってきた。
 けれども邪悪に対しては人一倍に敏感であった。
 彼は思った、今なら踏み絵を強いられたキリシタンの気持ちが分かると。島原の乱の真実が。無理をおしてまで進められた十字軍の遠征が……。

 魔法大学編の開幕。
 イラストはリニアとプルセラがやたら目立ち、ついでフィッツとジュリエット。エリナリーゼが1枚もないのは解せぬ。宿屋の窓から声をかける歩く性犯罪の絵がないのはいけないと思います。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(7)」 理不尽な孫の手

2015-11-14 | 行きて帰りし物語
「人間は何かをする時、目の前にあるもの以外のことは、頭からスッポ抜けるものなのだ」
 気持ちのすれ違い、勘違いからエリスと別れたルーデウスは、母ゼニスを探すために北の大地へと来ていた。傷心旅行みたいなものであろう。
 そしてバシェラント公国、第二都市のローゼンバーグへと辿り着いたルーデウスは、そこで冒険者パーティー『カウンターアロー』の弓使いのサラと出会うのだが……。

 泥沼ルーデウスと呼ばれ、『ステップトリーダー』の面々と仕事をこなすようになるまでの数年、青少年期「入学編」の前の物語である「中堅冒険者編」。そして番外編「ラノア魔法大学の支配者」。
 ウェブ版では語られなかった空白を埋めるというより、魔法大学に入る動機の強化策なんだろうけれども、とにかく悩める青春の冒険譚でした。とにかく精神的にはすごく打たれ弱くて折れやすい主人公なのです。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(6)」 理不尽な孫の手

2015-04-25 | 行きて帰りし物語
「人が皆、自由に生きられるわけではない」
 ルーデウス・グレイラットの言葉。

 離散した家族を捜し求める旅を続けているルーデウスは、シーローン王宮にいるはずのロキシーを訪ねようとしたが、逆に第7王子パックスの罠にはまり、魔法を封じる牢獄へと落とされてしまう……。

 ルーデウスの家族捜し編もクライマックス間近です。旅の間にエリスがぐんぐん良い女になってきていて、「私は彼を愛している……」と自分のルーデウスへの想いを再確認するあたりで最高潮に達するわけですが、やがて煮詰まったあげく自家中毒を起こして暴走しちゃうのが残念な子で、そこも魅力なんです。
 さて、この巻よりシーローン王国の第三王子ザノバ・シーローンの登場です。「怪力」と「物理攻撃への耐性」ということで、親子してなんとなく巨漢のイメージで読んでいたんですがイラストを見て?となり、よくよく読み返してみれば確かにどちらかといえば痩せぎすで長身。そうかあ、『首取り王子』じゃなくて、『人形オタク』の方のイメージで読まなくちゃいけなかったか!と家族で反省会です。
 男性脇役陣では、このザノバがいちばん好きかな。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(5)」 理不尽な孫の手

2014-12-31 | 行きて帰りし物語
「敗北を知る者は、強い」
 ルーデウス・グレイラットの言葉。

 ルーデウスたちは魔大陸を大森林を踏破して、ついにミリス神聖国の首都ミリシオンへとたどり着いた。だが、そこで父パウロと再会したものの、言葉の行き違いから仲違いのケンカになってしまう。
 うまくやってきたつもりだったのに、前世と同様、やはり彼は家族とうまくやっていくことができなかったのだ……。

 なまじルーデウスがいろいろできてしまうものだから、やさぐれパウロもルーデウスがまだ11歳ということを忘れてしまい、過大な要求をしてしまうのです。そして、父親に過大な期待を無意識にしてしまうのはルーデウスも同じ。
 ただ、ルーデウスにはパウロと違って、失敗して取り返しの付かないところまで落ちてしまった経験があるから、なんとかしないといけないことに気がつくことができたのです。それこそが、この転生が彼に与えたやり直しのチャンスだったのです。
 そして今回のエリスが男前です。ギースもなかなか良い男っぷりですが、エリスは侠気あふれてます。記憶力はリス並のバカだけれど、カッコイイです。努力の手なんだそうです。彼女のまっすぐすぎるバカっぷりは、このあとも加速する一方なわけですが、そこが彼女の魅力です。

 収録短編は、例によって外伝的にアリエル王女一行の逃避行エピソードを描いた「アリエルの死」と、ルーデウスたちがドラゴンの唐揚げを食べ、それによって歴史が大きく動いた「ドラゴン肉のナナホシ焼き」の2本。

【無職転生5】【異世界行ったら本気だす】【少年期 再会編】【理不尽な孫の手】【シロタカ】【MFブックス】【人生やり直し型転生ファンタジー】【鏡の顔】
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私的年間ベスト2014

2014-12-30 | カテゴリー定義
 こまめに読んだ本や見た映画のあらすじやら良いセリフを覚え書きとしてメモしてますが、確かに自分の役には立ってます。「あのセリフなんだっけ?」「これによく似たエピソードが出てくる話がなかったっけ?」などと気になって、インターネットで検索してみると、かなりの確率で自分の書いたメモにヒットします。自分では気になるようなことでも他人はどうでもいいことって多いんですよね。だから、他人に頼らず、備忘録は自分で作らないと……。
 それからもう1つ。内容やあらすじを忘れるどころか、読んだことすら忘れた作品もちらほら出てきて、自分のメモを確認して「あ、読んでたわ」と気づくことも出てきました。やだなあ。でも、メモをしているのでダブリは減りました……。
 さて、2014年ももう終わろうとしています。とりあえず、今年読んで面白かったものを10作品。

『異世界から帰ったら江戸なのである』  左高例
 現代日本から異世界に飛ばされ、傭兵稼業やらなにやらこなしているうちに歳も取り、やっと帰還できることになったのは95歳の時。ところがそのときには魔女や魔王とつるんで世界中から指名手配される身で、なんとか逃げ戻ったら江戸時代なのである。そんなウェブ小説発の物語。
 享保の江戸の町で、はやらない蕎麦屋に居候しつつ、店の建て直しに奔走したり、道場破りをしてみたり、未亡人の妖怪絵師のヒモになったり……の時代小説風人情コメディ。蕎麦屋の父娘やら火盗改同心から魔女魔王まで絡んできても、とっちらかった雰囲気にならず、しっかりまとまっていて面白い作品です。

『ただし少女はレベル99』 汀こるもの
 見慣れないコスチュームを身につけて、ペット動物をお供にしていて、ステッキみたいなものを手に怪異と戦っているけれど、出屋敷市子は魔法少女でもプリキュアでもない。今は引退しているけれど、ちょっとコミュ障だけれど、かつては日本の地を脅威から守護していた、やんごとなき中学生少女であった……というオカルト・アクション。若干コメディ風味かな。
 連作短編集で、最後の作品がちょっとシュールというか、それまでこまめに顔を出していたクラスメイトの出番がほとんど無く、父親と妖怪がメインで話が進むのでオチと合わせて異色で、それに全体のイメージが引きずられてしまった感があります。

『VRMMOをカネの力で無双する』 鰤/牙
 バーチャルゲーム世界での冒険譚だけれど、戻ってこられないデスゲームではないやつです。イメージ的には『千の剣の舞う空に』が近かったけれど、こちらは「時間+努力」vs「才能+課金」な話。それでいて真っ当な青春バトルアクション。
 こういう話の場合、努力する者が正しく、お金で解決しようとするのはズルイとする話が多いですけれど、「お金は自分の才能の一部であり、だからそれをゲーム内で使って恥じることはない」という主人公の主張は清々しい正論です。自分の才覚で稼いだお金を趣味に使って何が悪い? 楽しみ方は人それぞれであって、否定するものではありませんです。

『東池袋ストレイキャッツ』 杉井光
 引きこもり少年が深夜のゴミ捨て場で拾ったギターには、死んだロックミュージシャンの霊が取り憑いていた!……と言うところから始まる、池袋界隈を舞台にした青春音楽小説の連作短編集。
 主人公がミュージシャンとしてやっていけるのか、そもそも高校を卒業できるのかどうかとか、いろいろあれやこれやをぶん投げて、あくまで東池袋のストリート・ミュージシャンの話に絞ってますので面白いけれど、主人公の未来はいろいろ不安です。そもそも引きこもりは解消したけれど、不登校は不登校のままだし、いろいろチャンスの女神の前髪はちらちらしてるけど、ちゃんと掴まえられるのかなあ。

『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。』 
 男子高校生で売れっ子ライトノベル作家の主人公が、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められて意識を失うまでの走馬燈のような回想を通じて、いかに文章を書き始め、ストーリーやキャラクターを考え、賞に応募し、採用され、作品を書き続けていくかを描いたもの。その後の話も少しずつ語られていきますが、つまるところ衝動的に人の首を絞めて殺しかける少女も、それを甘んじて受け入れてしまう少年も同じように歪んでいて、自覚がない分、少年の方が重症です。

『約束の国』 カルロ・ゼン
 崩壊した共和国の大統領が万策尽きて自決した……と思ったら、20年前の士官学校時代に戻っていることに気づきます。まだ共産主義の連邦国家がかろうじて体裁を保っていますが、このままだと民族主義による対立が表面化して内戦となり、やがて分裂していくつもの民族主義国家が生まれてくるのでしょう。
 やり直しの機会を与えられた主人公は、まず自分の20年が誤りであったことを認めなければいけません。結局、連邦は崩壊してよりましな共和国を目指すのか、それとも薄氷を踏んで民族融和のお題目を掲げる連邦制を維持するのか、先の展開から目が離せません。

『八男って、それはないでしょう!』 Y.A
 ウェブ小説発で、異世界の下級貴族の八男として転生した商社マンの冒険譚。
 幸いにも桁外れの魔力は持っていたので、商社マン時代の経験を活かしつつ頭の固い父親や兄から隠れて自立のために力を付けていきます。
 ライトなファンタジーではあるけれど、トラブルの根幹はたいてい中世の封建的な社会システムにあるし、ヒロインたちも中世的なリアル思考で男女関係を割り切っているのも特色。

『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』 愛七ひろ
 ウェブ小説発で、異世界にゲームのスキルを身につけて転生したプログラマーの冒険譚。
 初っぱなに(デバッグでとりあえず取り付けたコマンドのせいで)大幅にスキルアップしてチート状態になったものの、まずは旅商人から地味に異世界ライフをスタートするつもりが、いきなり魔族の出現に巻き込まれ……。
 ウェブ版に大きく手を入れて、書籍版は助けられる人は助けて……という、波瀾万丈の冒険とゆるゆるな異世界ライフが上手いことミックスしてます。

『転生したらスライムだった件』 伏瀬
 ウェブ小説発で、異世界にスライムとして転生したゼネコン社員だった主人公の冒険譚。
 捕食による能力コピーのスキルで進化して、さまざまなモンスターを配下に収め、人間やドワーフの勢力とも友好状態となり、敵対してくる分からず屋の勢力は粉砕しながら、魔王同士の勢力争いに巻き込まれていきます。
 ぷるぷるぷる……ぼく、わるいスライムじゃないよ……のくだりに「ドラクエは偉大だ」という思いしきり。

『無職転生』 
 ウェブ小説発で、異世界の元冒険者家族の長男として転生した元ニートの冒険譚。
 前世は引きこもりだったので特別な知識はないけれど、親の葬式にも出ないでゲームとエロ動画三昧だった自分を反省し、幸いにも魔力はそれなりにあったので、今度は真面目に努力しようとするスタンス。
 いろいろ苦労して、やっと目処が付いたと思った途端に大狂わせのどんでん返しで次巻に続く……という波瀾万丈の展開。

 今年はウェブ発の作品をよく読むようになりました。ここ数年で実際に書店の専用棚が増え、新レーベルも増えましたし、一頃のようにとりあえずウェブで人気の作品をまとめて本にしました、何の手も加えていません、イラストも装丁もおざなりです……という質の悪いものは減りました。
 ちゃんと書籍化に合わせてウェブ連載時のものに加筆したり修正したりして、連載時の決まり台詞で重複している部分は削除し、語り足りない部分は加筆して本として読めるようにしたものが増えました。中身が丸っきり変わったものさえあります。装丁も、エンターブレインなどは1冊1冊内容に合わせた凝った装丁にしていて、しかもお値段は他社より安めとお得な出来映えです。
 そうなるとウェブで何万ビューというのは、そこらの新人賞以上に作品の質を保証するステイタスになります。
 確かに、転生か召喚か転位で現代日本の若者がファンタジー世界に行き、そこで日本ではあたりまえに手に入る知識や技能が武器となり、さらには魔法も人より使えたりして大活躍……というのが1つの類型になっていますが、それは時代小説だってミステリだって固有名詞を省いてあらすじだけ語れば似たようなものですし、その中でいろいろ語り口が変わるのを愉しむものではないでしょうか。
 でも、舞台をファンタジー世界にすることで、複数ヒロインを主人公が独り占めしてもなんの問題もなくなる……というのは偉大な発見だと思います。

 他に面白かったものを幾つかあげると、

『少女は鋼のコルセットを身に纏う』 ケイディ・クロス
 肉弾戦が得意な二重人格のメイドさんが青年富豪に拾われるのだけれど、彼は両親の財産と発明品を使って異能の仲間と協力して悪と戦っていた……という、X-MENとバットマンとファンタスティックフォーを足したようなアメコミ調スチームパンク。
 肉体を改造されてしまった悲しみとか、クールな美形悪役の恋のライバルっぷりとか、見所はいろいろ。

『ヒカルが地球にいたころ……』 野村美月
 これまでさんざんに泣かせて笑わせてもらった、死んでしまったプレイボーイの少年と、これまでガールフレンドどころか友達も懐いてくれるペットもいなかった少年との友情を軸にしたミステリも、全10巻できれいに完結。続く新シリーズ、吸血鬼になってしまった少年と巨乳長身の演劇少女の物語『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる』も好調な滑り出しです。 

『ノーゲーム・ノーライフ』 榎宮祐
 引きこもってゲームだけに生きてきた兄妹が異世界の神に目を付けられ、生存競争から国家間戦争までがチェスやカードゲームなどのゲームの勝敗で決定され、またその結果が世界法則として強制力を持つ世界に召喚され、そこで絶対神に打ち勝つべくさまざまなゲームに挑んでいく……。
 発表されたのはちょい前だけれど、今年のアニメ化が見事だったので、こちらで記憶。

『Re:ゼロから始める異世界生活』 長月達平
 よくある……というか、昨今は新刊の2冊に1冊はそうじゃないかという「異世界転生」もの。ただし、よくある「ゲームのときのデータを引き継いでいるので能力値やスキルがすごい」とか「ストーリーはあらかじめ分かっているので対策が立てられる」という話ではなく、ただ「死んでも(いつの間にか)セーブされているところから復活する」という死に戻りだけが能力。
 だから何度も死ぬし、死ぬのは痛いし、せっかく親しくなった人が殺されるのは辛いし、自分は復活して記憶が残っていても相手の記憶はなくて人間関係も白紙に戻るので(主観では)さっきまで親しかった人に憎まれたり殺されたりすることもあり、それでも自分が関わった人にはみんな幸せになって欲しいとゼロからのリターンに果敢に挑む青年の物語。
 さんざん苦しい目に遭っているので、そろそろもうちょい成長して欲しい。


 このあたりかな。
 さあ、年越しの準備を始めましょうか。
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「無職転生~異世界行ったら本気だす(4)」 理不尽な孫の手

2014-10-21 | 行きて帰りし物語
 ロキシーはパウロのかつての仲間であった長耳族の戦士エリナリーゼ、ドワーフの魔術師タルハンドと合流。行方不明のパウロの家族を探しに魔大陸へと渡った。
 しかし、ちょうどその頃、まだ10歳になって間もないルディだったが、エリスやルイジェルドと共に魔大陸を踏破し、人族の領域への船が出る港町にまでたどり着いていた……。

 主人公が窮地に陥って、開き直ってフリーダムすぎる展開です。そして魔界大帝キシリカ登場。波瀾万丈の冒険譚が繰り広げられます。
 ギレーヌのために泣いて怒るエリスはかわいいなあ。

 そして収録番外編は前巻の続き、アリエル王女の護衛に付くことになった「守護術師フィッツの物語」。P311の「この日と」の誤植が次の刷りでは直っていることを祈ります。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(3)」 理不尽な孫の手

2014-10-14 | 行きて帰りし物語
「本人の許可は取ってあります」
 ルーデウスたちは旅を続けるために冒険者ギルドに登録し、出会えば死ぬと言われている伝説の魔物の名前をパーティ名にした。

 家庭教師をしていた教え子のエリスとも仲良くなり万事順風かと思われたときに襲った大災厄。原因不明の魔力災害によってロアの町どころかフィットア領全土が壊滅、そこにいた人々はランダムダンジョンに巻き込まれたかのように世界各地に転移させられていた。
 ルーデウスもエリスと共に見知らぬ土地に放り出されていた。既にちょっとした冒険者並みの実力を身につけていた2人だったが、そこは並の冒険者では生きて帰るのも難しいと言われている魔大陸の奥地だった……。

 「早く寝ないとスペルド族が来て食べちゃう」と子供を脅すのに名前が使われるほどという、魔神ラプラスとの戦いの際に敵味方の区別なく暴れまわり、世界中に悪名が鳴り響く魔族スペルド族の戦士ルイジェルド登場です。
 相変わらず粗暴で凶悪だけれど、エリスは良い子になったなあ。あいかわらず、ほんわかギャグ混じりで話を進めておきながら巻末で急転直下の窮地に主人公たちが追い込まれ……という構成は健在。続きを待たされる本です。

 番外編「アスラ王女と奇跡の天使」も収録。早めの伏線回、王女アリエルの暗殺事件に転移災害の被害者が巻き込まれるまでの話です。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす(2)」 理不尽な孫の手

2014-10-12 | 行きて帰りし物語
 「無職転生」は1巻のサブタイトルにしとけば良かったのにと思う、家庭教師篇です。

「金では『デレ』は買えないんです」
 世の中には金より大切なことがあるとルーデウス。

 拉致同然で実家から放り出され、シルフィとも引き離されたルーデウスは、フィットア領で一番大きなロアという都市に住む領主の孫娘の家庭教師をすることになったのだが、少女エリスはわがままを通りこした乱暴者。ルーデウスはたちまちマウントポジションでタコ殴りにされてしまう……。

 現代日本で親の葬式にも顔を出さないニートのダメ男として死んでしまった主人公が、異世界で生まれ変わり、前世の反省をもとに新たな人生を歩み出していく物語の2冊目です。10才の誕生日と、その後に起きた大事件まで。
 今のところ、前世から引き継ぎの技能はフィギュア作製くらいですが、頑張ってます。転移直後のギレーヌの冒険を描いた「森の女神」も収録。

 なんというか、ストーリーの緩急の付け方が上手いというか、ちょいエロでほのぼのしていたところからの急転直下の落差がすごいです。この流れからこういう方向に持っていっちゃうのか!?と。
 今回もほのぼのほんわかした賑やかな表紙イラストですが、ここから落とすのかよと思わないでもありません。

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「無職転生~異世界行ったら本気だす」 理不尽な孫の手

2014-10-09 | 行きて帰りし物語
 最近はウェブ小説を中心に読んでます。
 一時期はレーベルの新人・新作を蹂躙するように読んでましたが、普通の小説の「なんとか大賞受賞、誰それ絶賛!」というあおり文句より、「なろうン万PV」の方が信用できるというか、あたり率が高いような気がします。試し読みも簡単ですし。

「いいか、ルディ、女ってのはな、男の強い部分も好きだが、弱い部分も好きなんだ」
 良き父親であり剣士としては優秀だけれど人としてはクズな、パウロ・グレイラットの息子へのアドバイス。

 彼は引きこもりだった。34歳で無職で童貞で、親の葬式にも出ないで自室でエロ動画だがエロ画像をあさっていて、喪服の兄妹たちに家から追い出された。彼はこうして住所不定となり、見ず知らずの他人を助けようとしてトラックに轢かれて死んでしまう。
 だが、気がつくとそして彼は見知らぬ剣と魔法の異世界で、物言えぬ赤ん坊として転生し、元冒険者の夫婦からルーデウスと名付けられるのだが……。

 今、ちまたに山のようにあふれている異世界転生・召喚ものですが、あまり現代日本での知識を活かしてないというのが特色。前の人生の知識で商品開発して金儲けとか知略で戦いに勝つということがあまりないんですね。せいぜい中学レベルの科学知識が魔法の理解に役立ったというくらいでしょうか。そもそも引きこもりでエロ動画とゲームとラノベ三昧の日々だったので、あまり実用的な知識も経験もないんです。あるのは、ただ「前の人生のようには終わらせない」「今度こそ本気で生きて行くんだ」という決意だけ。
 そしてそれこそが重要。

 今回は、ルーデウスが34歳成人男性の意識を持ったまま生まれ、瞬く間に魔術の才能を開花させ、かわいいクォーターエルフの少女と出会い、魔法使いの家庭教師を付けられ、最後は父親にすまきにされて放り出される7歳のところまで。
 この、いかにも平和な家族写真っぽい表紙イラストも、ウェブで先の先まで読んでから見直すといろいろ感慨深いものがありますね。

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