ジネンカフェだより

真のノーマライゼーション社会を目指して…。平成19年から続いているジネンカフェの情報をお届けします。

ジネンカフェVOL.108レポート

2017-01-12 09:13:16 | Weblog
今年も早いものであと二ヶ月を残すのみとなった。光陰矢のごとしとはよく言うが、まさにその通りだなあ~と、しみじみと実感している今日この頃である。さて、先月はお休みだったので、お久しぶりのジネンカフェ。今月のゲストは、キャリア教育をされているNPOで働きながらも、「持続可能な生き方・働き方」「そのひとらしくあること」に関心があり、福祉・心理・教育などの領域に身を置きつつ、シェアハウスを住み開いて、ゆるさをモットーに20代を中心とした「これからの未来や社会について、ソーシャルなものごとに関心がある若者がさまざまなテーマで語る会/Social × Dialogue」等を運営している後藤恵理香さん。お話のテーマも『-Past,Now,Future-内省と対話からつながる』と、後藤さんらしい。

【後藤恵理香さんというひとは…】
後藤恵理香さんは、1992年愛知県生まれ。現在24歳。4人兄弟姉妹の長女。本業は、教育系のNPOで事務や、コーディネーターのお仕事をされている。美味しいものを作ったり、食べたりすることや、映画を観たり、読書が趣味という。運動するよりも音楽とか、絵を描くなど、自分自身を表現することが好きだったそうだ。〈場づくり〉をしたり、ひとを集めてイベントを行ったり、旅行を企画してみんなをどこかに連れて行ったりもしているが、基本的にはインドア派だと自分では思っている。

【Social × Dialogue】
本業の他にも、後藤さんはいろいろな活動をされている。主なものだけでも三つあるという。その中のひとつ『Social × Dialogue』は二年ほど前、学生時代から運営されている、社会的な物事に関心のある若者たちの対話の場だ。国際貢献・交流、情報・メディア、福祉等々、社会的な問題や物事に関心を持っている若い人たちは名古屋にも結構いるのだが、各分野ごとにコミュニティが固まってしまっている傾向にある。そのコミュニティ同士の交流が出来たら面白いのではないかと思い、分野横断的にご自分の友だちを集めて始めたのだという。関心のある分野は違えど思い描いている理想は似ていたり、違ったりもするけれど、そこで話しあったりする場づくりが面白くて続けているとか。いまは東京や海外に行っている友人も多くなり、Web上での活動が増えているのが現状だが、時々はそんな仲間たちと会って情報交換をしている。

【月一ご飯会】
最近は月に一度ぐらいで『ご飯会』もされているそうだ。美味しいものが好きなので、その美味しいものをみんなで食べよう、と思い始めたという。『Social × Dialogue』に集まって来る人たちは、もともと社会的なことに関心を持っている人たちで、そうでない人にとっては敷居が高い。でも『ご飯会』であれば気軽にご飯を食べながら、「そんなこともあるんだね」とか、「そんな考え方もあるんだね」という感じで知れたり、気づけたり出来る場が作れる。それぐらいハードルを下げて「一緒にご飯を食べる」ことを目的にしてあげた方が対話しやすいのかなと思い、行っているのだそうだ。

【まちづくり】
後藤さんのご実家は、田舎暮らしに憧れたご両親の想いにより、中学生の頃に愛知県から岐阜県に引っ越しを行った。愛知県の中学校では、部活動として吹奏楽をされていたが、引っ越し先の中学校には吹奏楽部がなく、悔しい思いをしたという。音楽が好きだったので、岐阜でも音楽を楽しめる場を作ることができたらよいな、と考えていたら、同じ思いの友人もいて、その人たちと大学時代、吹奏楽サークルを立ち上げたという。そしてそのサークルは吹奏楽だけに留まらず、若者が何かにチャレンジ出来る、やりたいことが具現化出来るような場にしたくて自ら運営をされていたそうだ。現在は活動は休止されている。

【大切にしているもの その1.キャリア教育、人づくり】
そのような行動をみて、後藤さんはよく他者から「いろいろやっているね」と言われるそうだ。ご自身でも「これがやりたいから、これをしている」という感覚は特にないが、ご自分が大切にしている物事を省みてみると、4つほどのカテゴリーに分けられるという。一つ目のカテゴリーは、『ソーシャルビジネス』ここには〈キャリア教育〉や、〈人づくり〉の項目もある。ソーシャルビジネスとは文字通り、社会的課題の解決をビジネスモデルとして確立させ、仕事として展開させてゆくという業務のことである。とかく社会的課題の解決はボランティアだったり、市民団体が取り組むことが多いけれど、予算繰りの関係で事業に取り組む方が大変だったり、長くは続けられなくなってしまうものだ。それを持続可能なビジネスとして取り組んで行こうということだ。具体的な仕事内容としては、子どもたちに対して仕事に就いている大人の話を聴かせて将来の進路のイメージを持たせたり、働き方、生き方について考えさせたりするのである。また地域に出てインターンシップとして職場体験させ「社会って、仕事って、こんな感じなのだ」とか、「学校では自信がなかったけれど、社会に出てみたら私、結構対応出来ているじゃない」等々の感覚をもってもらう。そういうお仕事なのだ。

【大切にしているもの その2.場づくり、人つなぎ】
しかし、それは仕事を離れても似たようなことをされていて、それは例えば『場づくり』であり、『人つなぎ』であったりするのだが、要するに自分はそういうことが好きなのだと思うと後藤さんは言う。ひととひととが繋がったり、新しい考え方や気づきが得られ、気づきによって人が変わってゆく瞬間に立ち会えることが楽しいのだという。自分に自信がなかった、自分には何もないと思っていたけれど、こんな考え方もあったのか…と発見して帰ってゆく人がいたり、何かに行き詰まっていたけれどこういう方法があるんだ…という手段を他の人から学んで帰ったりとか、そういう瞬間を結構見たりしているので、それもあって場づくりが好きなのだという。振り返ると後藤さん自身も過去に人から多く学んだ経験があったのだ。だからこそ自分に自信がない子や、何かに行き詰まっている子を見ると、背中を押してあげたくなるのだろう。

【大切にしているもの その3.アート・表現活動】
前述の2つのカテゴリーからもお分かりのように、後藤さんは〈人が好き〉なのだ。それと同様に好きなのが『アート』であり、『表現活動』なのだという。自分で《私はひとが好きなんだな》と思ったのは中学生ぐらいだったが、絵を描くのは幼稚園の時から好きだったという。幼稚園時代の後藤さんはとにかく外に出ず室内で絵を描いているか、本を読んでいる子どもだった。友だちと遊んだりもしていたが、それよりもひとりで絵を描いている方が楽しかったのだ。中学校の時にはこの先デザイン科がある学校に行こうと思っていたぐらいで、でもそれで将来食べてゆけるかどうか解らなかったし、進路をひとつの分野に絞ってしまうことの怖さもあって普通科の高校に進学したのだそうだ。いまの自分ならば例えデザイン科に行ってその道を進まなくても、他にも選択肢はあるよと言ってあげられるのだが、その時の後藤さんの心境としては普通校に進学した方が将来の選択肢が幅広くみえていたのだ。高校でも文理選択をしなければならなくなって芸大という選択もあったのだが、芸大に入るにはそれなりの塾に通わなければいけなかったり、その塾も名古屋にあったので、岐阜から通う交通費や時間がかかるということもあり、そこまでの労力を使って自分は絵を仕事にしたいのかと自問自答した結果、その次に興味があった《ひと》に関わる学科「福祉・心理」を選び、学ぶことになったのだ。しかし、面白いもので自ら閉ざした絵やデザインの道だが、後藤さんは現在の仕事でも広報のためチラシのデザイン等をさせてもらっていて、そんなふうに自分は閉ざしても他者は自分の能力をみていてくれているものなのだなと思うと同時に、改めて自分は絵を描いたり、デザインをすることが好きなのだなと感じているという。

【大切にしているもの その4.持続可能であること】
後藤さんが大切にしているもうひとつの価値観は『持続可能であること』。大学時代に社会福祉を学んでいる時から、後藤さんは「いまの日本の社会は持続可能ではないな」と思っている。正解のない問いに対して、「どうすればよいんだろうね?」と考え続けることが必要かなと思っている。でも、それを考えるのはひとりではダメなので、周りのひとたちと一緒に考えるのも必要かなと思って、いろいろとやっているそうだ。福祉の世界で《自助・共助・公助》という言葉があるが、公助はもう限界だと思うし、自助でもやれる範囲が限られるので、共助〈共に生きる〉ところをいかに増やしてゆけるかが、自分の人生も、みんなの人生も豊かにしてゆく上で必要なのではないかと、後藤さんは思っている。

【後藤さんのアイデンティティー】
人の行動は表に出ている部分がその人の全てとは限らない。それは氷山の一角に過ぎないのだ。そしてその隠れている部分こそ、その人のアイデンティティーであり、行動や現在の活動の原動力だったりする。現在を語る上において過去の出来事は必要不可欠で、そういった意味で内省は大事だと後藤さんは言う。しかし〈私〉という存在は、自分ひとりでは何者なのか解らないのだ。自分では〈私〉を捉えることは出来ない。だから後藤さんがよく行ってきたのは、誰かと向きあって「私とあなたはここが似ているけれど、こういうところが違うよね」と対話をしたり、投げかけられた問いかけによって自分が自分のことをどう思っているのかとか、周りの人たちと自分はどう違うのかということを得ていったそうだ。そういう作業をしながらも内省しつつ、〈私〉を確立させて行ったのだという。

【マイノリティーな人生?】
そんな作業をしている時に、後藤さんはある人から「あなたは、人生がマイノリティーだね」と言われたという。「だからこんなことをしているんだね」とも。「そうなのかなあ~」と思い〈マイノリティー〉と言われた所以を振り返ってみたという。

【常に暗中模索で過ごしている】
そうやって少しずつ少しずつ、目の前にある与えられたものや、得たチャンスとか、会えた人とかに、自分として「こう思う」「ああ思う」「こうしたい」と伝えて、選んでやってみる。そしてその次に「どう感じた」「こう感じた」「こういうことがしたい」ということの繰り返しでいままで進んできたと思っているそうだ。まさかこんなことをしているなんて、昔の自分は思っていないし、いまキャリア教育の仕事をしているなんて驚きで、信じられないかも知れないという。そんなふうに常に暗中模索で、わからないなりに「とりあえずやるか」という感じで過ごしているという。

【試行錯誤しながら現在がある】
だから後藤さんは、夢を掲げて「私はこうなりたい」とその道に努力出来る人がとても羨ましかった時期があったそうだ。何になりたいとか、何者になりたいとか、この職業に就きたいとか、あまりないからだ。しかし、「こういうことは大事にしよう」とか、「こういうことは好きかな」とかは持っている。未来に「こうありたい、こうなりたい」像があってそこに行くというよりも、現在の自分が「どう感じている」とか、「どういうことをいままで大事にしてきたか」とかを積み上げてゆく感じ。いまは憧れていたソーシャルビジネスに辿り着いたけれど、そこでも葛藤があってその葛藤と向き合いながら「次はどうして行こう」「次はこうして行こう」という試行錯誤しながら現在があるのだと思っているという。

【人生がマイノリティーとは言われたけれど…】
自分のいままでの人生を「マイノリティー」とは言われたけれど、マイノリティーな人生とは何だろう…? と、後藤さんは思っている。ご自分の話をされると、そんなふうに見えないって言う人もいるけれど、どんなふうに自分のことをみているのかは知らないが、「普通」だと思っている他の人たちの話も、その人なりの哲学や倫理観とかがある。もしかしたら「自分は普通だ」とか「これが常識だ」と思っているだけかも知れない。その人の経験はその人しか経験してないし、現在している仕事や活動・趣味はどこから来て、どこへ繋がってゆくのだろうかと、皆さんも時々省みられてみるのもよいのではないかと、後藤さんは締めくくられた。(この後に参加者を交えてワークショップを行ったが、それは省略します)

【大久保的まとめ】
後藤恵理香さんとは、共通の友人から紹介をされて知りあい、ゲストとしてお越しいただいた。共通の知りあいが何人かいるのに、また「場づくり」という似たような活動をしているのに、いままで全く顔をあわせていなかったのが不思議だ。しかし、後藤さんのお話を伺ってそれもあたりまえかと思うようになった。後藤さんの「場づくり」は対象者が自分と同年代の若者に限られているようだ。それはおそらく「場づくり」の目的が様々な分野の若者を募っていろいろな社会問題を議論しあうことにあるからだろうし、その会場が完全なパブリックスペースではなく、シェアハウスという半プライベート空間で行われているという点で無理からざるところもあろう。私は後藤さんのお話を聴いても、全然驚かなかったし、マイノリティーな人生とも思わなかった。後藤さんも言われていたが、ひとりひとりの人生にはその人だけのストーリーを秘められているし、そのひとが持っている考え方や価値観はそのストーリーから培った、その人だけのものである。そういう意味では〈普通の人生〉など、どこにもないのだ。だからこそ、人は興味深く面白いのである。
後藤さんはご自分のことを「「こうありたい、こうなりたい」像があってそこに行くというよりも、現在の自分が「どう感じている」とか、「どういうことをいままで大事にしてきたか」とかを積み上げてゆく感じ。」と表現していた。確かに誰にも未来の自分がどうなっているのかなんてわからないだろう。そして未来の自分を想像することは、恐ろしいことでもある。私にしても若い頃は「福祉」とか「まちづくり」とか「コミュニティデザイン」に関わる人間になるとは思ってもいなかった。しかし、気づいてしまったのだ。未来を思わなければ、現在起きている社会問題は解決しないし、何も行動しなければ、未来は変わらないと…。この社会を変えたいと思うのなら、自らが動かなければ何も変わらないのではないだろうか…? 試行錯誤しながらでもいい。暗中模索でも構わない。後藤さんには少しずつでも「未来」を夢見る勇気を持ってほしいと思っている。
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