ジネンカフェだより

真のノーマライゼーション社会を目指して…。平成19年から続いているジネンカフェの情報をお届けします。

ジネンカフェVOL.105レポート

2016-07-28 22:27:40 | Weblog
今年の夏は例年よりも強烈な猛暑になると予測されている。7月のジネンカフェ当日もどんよりとしていたものの、湿気があって蒸し暑い日であった。今月のゲストは愛知県安城市を中心にフリースクールの活動をされている飯田喜運さん。飯田さんは平成安元年、安城市生まれ。大学在学中に不登校や高校を中退した子をサポートするフリースクールでボランティア活動をしていたことがきっかけになり、そのような子どもたちのサポートを仕事にできたらと思うようになり、フリースクールを立ちあげるに至った。お話のタイトルは『高等学校卒業に向けての就学の仕方』

【フリースクールとは?】
一般的に「フリースクール」というと、どんなイメージをお持ちだろうか? 様々な事情があって公立・私立の学校に通えなくなった子どもたちが、学校の代わりとして通う教育の場。大体そんなイメージを持たれているのではないだろうか? かくいう私(大久保)も、飯田さんのお話を聴くまでそれに近い認識だった。だからフリースクールに通っていても、大検に合格しなければ大学受験資格は与えられない…と。ところがそれは私の認識不足だったのだ。飯田さんによれば、大体のフリースクールは通信制高校と提携しており、その通信制高校の生徒さんの精神面・学習面・生活面などをサポートし、確実に卒業できるようにするのがフリースクールなのだという。つまりフリースクールに通っている子どもたちの多くは、通信制高校の生徒さんでもあるのだ。もちろん通信制高校だけでフリースクールには通っていない子もいるだろう。しかし、通信制高校の生徒さんが実際に学校に通うのは年に数回で、後は自習という形になるので、自力で高校を卒業することは難しいのだ。もちろんフリースクールには、通信制高校の生徒さんだけではなく、義務教育中の子どもたち(小学生、中学生)も通っているそうだ。ただ、中学生までは教育委員会が管轄する適用教室というものがあり、不登校の子どもたちのサポートをする機関を行政側が提供していて、民間のフリースクールがその役割を担うことは低いという。

【不登校の現状について】
そのようないろいろな事情から学校に行けない子どもたちが,現在全国で小学校・中学校で約12万人、高等学校で約5万6千人と報告されているそうだ。中学生を例に挙げると、一クラス、36人に1人が不登校の状態になっていると言われているそうだ。全日制の私立高校には、不登校枠を設けているところがあり、中学校で不登校の状態でも全日制の私立高校に進学できる可能性はあるそうだ。その枠はかなり少ないらしいが…。

【全日制以外の高校と通信制高校の種類】
全日制以外の高校には「通信制高校」と「定時制高校」の二種類があり、「通信制高校」の中には全日制のそれと同じく「県立」と「私立(株式会社立)」があるそうだ。

【県立の通信制高校について】
愛知県の全日制高校がそうであるように、県立の通信制高校と私立の通信制高校とでは、入試の時のレポートや試験の難易度が違い、県立の方が難易度が高い傾向にあるらしい。                        
私立の通信制高校の中でも学校によってそれぞれ違いはあるのだが、県立と私立とではレポートや試験の難易度が違うという。また、県立の通信制高校の生徒さんは、フリースクールに入学せずに高校を卒業する子どもが多く、自分で全てを行わなければならないためか、県立の通信制高校の生徒さんの卒業率は、私立の9割に対して3割と低い数字が出ているという。


【私立の通信制高校】
通信制高校には中学校を卒業している人なら、誰もが入校出来る。中学校は義務教育期間で卒業できるので、様々な生徒が対象になる。入学試験は面接と作文で、試験結果については入学試験に落ちることはまずないそうだ。県立と異なり、私立の場合の入学時期は、新入生に関しては四月入学が基本だが、様々な事情から中学卒業後の進路が決まらなかった場合は十月入学もあるそうだ。全日制高校からの転入生の場合は、随時入学できるらしく、全日制高校に籍を置きながら通信制高校に入学する生徒さんもいるそうで、そういう場合は前籍校の単位を活かすこともできる。編入生は高校をやめてしまっている人。状況に応じては新入生の扱いになるそうだ。

【入学してから卒業するまで】
通信制高校を卒業するには、主に以下の3つの課題が必要になるそうだ。
(ⅰ)レポート提出
   卒業時に3年間高校に在籍をしていて、74単位取得していることが必要になり
転入生は転校する前の学校にいた在籍期間を含むそうだ。
(ⅱ)テスト合格          
    レポートのでき次第で、合格点は変わって来る。飯田さんのフリースクールが
提携をしている通信制高校だと100点満点中、40点取ることができれば大丈
夫だとか。         
(ⅲ)スクーリング参加
    スクーリングは、それぞれの学校が指定をしたところに、年に数回行くことに
なっているそうだ。スクーリング時にテストを行うこともあるらしい。ただ、
スクーリングは沖縄や北海道など遠方に行くことも少なくない。そのためそれを
負担に感じる子どもたちもいる。そういうことを考慮して、地元(分校…この
エリアでは名古屋)で行うことができる通信制高校(飯田さんのフリースクー
ルで言えば、本校は和歌山県にある慶風高校)もあるそうだ。
【通信制高校のそれぞれの違いと特徴】
その通信制高校にも様々な学校があるが、大きく分けて2つの違いがある。
(ⅰ)スクーリング会場
沖縄、鹿児島、北海道、滋賀県など、学校によってさまざま。前述したように地元(分校)でスクーリングを行う学校もあるが、いろいろな問題が指摘されていて、これからは分校でできる高校には監査が入り、分校ではできなくなる可能性もあるそうだ。

 (ⅱ)学費   
当たり前のことだが、スクーリングのために、遠いところへ行く通信制高校は比較的学費も高いそうだ。
     
【学費について】
学費について、飯田さんがいろいろなところの学費を比較したところ、週5日、フリースクールに通うと、通信制高校にかかる費用を含め、月換算で7万から8万程かかるところが多いことがわかったという。飯田さんは後述するように、貧困家庭の子どもたちのサポートを志してフリースクールを立ち上げられた経緯もあって、それよりは幾分抑えた金額、週5日で通信制高校にかかる費用を含め、月換算4万から5万程かかるそうだ。(家庭の状況により、フリースクールにかかる金額を減額することもある)。飯田さんのフリースクールもそうなのだが、フリースクールによっては、週2日から3日通うことができるコースを設けているところが多い。そうなると、学費は抑えることができる。            

【フリースクールに通う日数について】
その性質上、フリースクールは通信制高校に通う生徒のサポートをしているところなので、週何日通わねばならないということはない。通う日数は各自で決めればよいのだ。通信制高校だけでも高校を卒業出来る生徒さんもいるが、通信制という名称の通り、自分でいろいろと管理をしなければならず、大変な想いをするということでフリースクールの役割が出て来るわけなのだが、フリースクールによっては受け容れていないところもあるが、基本的に義務教育課程にある子どもも受け容れているところも多く、小学生から高校生に至るまで一クラスにいるという。
        
【フリースクールでの服装について】
服装は決められているところと自由なところがあるそうだ。それぞれのフリースクールが提携をしている通信制高校には制服があるので、その制服を着て来る生徒もいるとか。

【そよ風の状況】
飯田さんのフリースクール「そよ風」の生徒さんの状況は、生徒数は7人で、週2日通う生徒が多い。また、経済的な問題をはじめ、ご家庭で大きな問題を抱えている生徒が多いらしい。提携をしている通信制高校…慶風高校、ECC学園高校。ECC学園高校に籍をおいている生徒はスクーリング時に滋賀県にいくことになっている。その他、いろいろな通信制高校と提携しているため、その子に合った通信制高校に入学できるようにサポートもしているという。

【なぜ自分でフリースクールを立ち上げたのか?】
飯田さんは現在27歳である。現在社会問題ともなっているが、6人に1人の子どもが貧困状態にあると言われていて、飯田さんが関わってきた生徒さんも貧困が原因で小学校、中学校不登校になっていた子が多い。家庭に何らかの問題を抱えているケースが非常に多く、月々の授業料を減額してもその減額分さえも払えない家庭もある。フリースクールは仕事と言いながらも、現在はほとんどボランティアと同じ状態だという。それなのにどうしてフリースクールの活動を続けているのかと言えば、実は飯田さんも生活困窮世帯で育ち、祖父母のおかげで抜け出すことができた経緯があるのだ。

【現在の自分があるのは祖父母のおかげ】
飯田さんは中学校1年生の夏休みまで、両親のもとで過ごしていた。しかし、その頃に父親が職を失い、家庭は生活困窮世帯になっていた。このことによって飯田さんは小学校の高学年から同級生にいじられるようになり、学校に通いにくくなったという。それを見かねた祖父が、退職すると同時に飯田さんを引き取り、育ててくれたのであった。中学校、高校を名古屋市、大学を瀬戸市で過ごし、学校に通いにくくなったことがある経験から、大学時代にフリースクールでボランティア活動をはじめた飯田さんは、ボランティア活動を通して悩みを抱えた子どもたちにとり、見守ってくれる大人がいることは一歩踏み出す大きな力となるということを再確認することになる。現在自分があるのは祖父母のおかげであり、それに対する感謝の気持ちが強かった飯田さんは、1人の大人として生活保護世帯及び生活困窮世帯の生徒と向き合っていきたいという思いが湧き上がってきた。それが育ててくれた祖父母への恩返しになると思ったのだろう。

【それが飯田さんという人】
こうして飯田さんは大学在学中にフリースクールを立ち上げる準備をして、卒業すると同時に活動を開始された。飯田さんのフリースクールては通信制高校に通い、高校卒業資格の取得を考えている生徒が多く、フリースクールでは主に卒業のためのレポートのサポート(学習支援)をされているそうだ。そのような学習支援をされてる中で、ひとり親家庭や生活保護世帯のご家庭と出会うこともあり、フリースクールを利用したくても、利用者負担が大きく、利用できないご家庭もかなりいることを知った。知ってしまったからには、なんとかしてあげなければならない。それが飯田喜運さんという人なのだ。だから飯田さんのフリースクールでは、世帯年収が約250万円を切るご家庭の生徒に対しては、無償でサポートをされてきている。また、生活困窮の状態に加えて家庭内にDVの問題もあり、警察や女性相談の方に入ってもらって生活保護を受け、母子で生活ができるように問題解決に奔走されたこともあった。

【これからの活動は…】
飯田さんは、自分はたまたま祖父母に引き取られたおかげで生活困窮から抜け出すことができたが、サポートをしている生徒さんがどのようにしたら、現状の問題から抜け出すことができるのか? それにはどのようなサポートが必要なのかを考えることもあるそうだ。そして、フリースクールでサポートをしている生徒さんに限らず、これからは1人の大人として、生活保護世帯及び生活困窮世帯の子どもさんたちと向き合っていけたらと考えているという。

【大久保的まとめ】
飯田喜運さんと出会ったのは、共通の知りあいからの紹介だった。お話をしてゆくうちに子どもの教育に熱心な人なのだなという印象を持った。純粋で、今時こんなに人が好い青年も珍しいとも。しかし、それゆえの危うさも感じてはいた。純粋であるということはいまのご時世好ましいことではあるが、同時に危ういことでもあると思う。この人のひとの好さ、この人の熱意はどこから来ているのか知りたいと思った。ひとが何かに打ち込むには、それなりの理由がある…。今回、こうしてお話いただいて、なるほど…と納得した。飯田さんがなぜ貧困家庭の子どもたちの学習支援を、それもボランティアに近い状況でありながらも熱心にされておられるのか、よくわかった。突飛なことを書くようだが、飯田さんは三国志で言えば劉備玄徳なのだ。志は熱く、意識は高いのだが、真っ直ぐであるために、またはご自分が育てられた環境を相手に投影しすぎるために、現実がついてこないのではなかろうか? そう、劉備玄徳に諸葛亮孔明が必要だったように、飯田さんにも物事を冷静に判断してサジェストが出来る参謀が必要なのではないか? または行政やどこか福祉団体のサポートが必要だと思うのだ。幸い、飯田さんは次のステップを考えられていて、これをまとめ上げる頃には新しいコラボ事業を始められておられることだろう。劉備玄徳のように、飯田喜運さんも志を曲げることなく、様々な事情から学校に行けない子どもたちのサポートをされ続けられることを願っている。
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