
監督/藤原章
映画が始まった瞬間、お、シネマスコープ?と思わず身を乗り出しました。凄いハッタリです。クレジットタイトルでは、人名が縦書きで出てきますが、ピラニア楽団作曲の能天気さあふれる軽快な音楽、ダンプねえちゃんのブサイクな瞬間のアップでのストップモーション、こういうの東映の映画でよくあったような気がするなあ…と、つまりはその路線を想定して観ろよ、という宣言みたいなオープニング。おそらくこの冒頭部分で、乗れるか乗れないかが決まると思います。
しかしこんなに禍禍しい作品を観たのも久しぶりな気がしますな。人によっては大爆笑のコメディ映画でしょうけど、個人的にはそれほど笑えず、ブスブスと燻ってる感情にずっと付き合わされているような居心地の悪さと嫌悪感を覚えながら観ましたよ。低予算ゆえの技術力不足によって、妙にリアルな空気が生み出されてしまっているのも始末が悪い。凄惨な臭いが立ち込めている感じ。しかも、ここで生きてる人たちの安い人生は、やるせなさと悲しさにまみれてて、観ながら項垂れるのみ。薄っぺらであまりにささやか過ぎる希望などが描かれたりすると、ますます切ない気持ちにさせられてしまい、何度も泣きそうに…。映画のベースは能天気さにあふれており、そのギャップの違和感に変な気分にさせられるわけですが、全然嫌いな映画ではなかったです。むしろ、それら全てがこの映画の美点と言いますか、魅力です。でも普通の人には、物凄く伝わりにくだろうから、薦められない。そういう映画。
俳優達の凄まじい存在感も見どころ。主人公のダンプねえちゃんは、久本雅美発→野沢直子経由→宮川ひろみ着、みたいで、痛快かつグロテスクな芝居っぷり。嫌になるほど印象に残る。デモ田中のホルモン大王も凄かった。なんだろうかあの変態的な雰囲気。
あと意外にも、登場人物たちに無駄な台詞や、意味の無い存在がない、というのは驚き。捨てキャラを作らないところに、律儀さというか、作品世界に対する責任を感じました。終わって外へ出ると、ひっそりした住宅街は昼下りで誰もおらず、ひと気のない静けさが、たった今まで観ていた映画の風景とあまりにも似過ぎており、映画と現実が繋がってるような奇妙な感覚に包まれました。良い感じでした。











真摯に受けとめ精進させていただきます。
これからも観客の心をかき乱すような作品を撮ってください。次回作も期待しています。