ださいたま 埼玉 彩の国  エッセイ (足で書いた百科事典)

埼玉について新聞、本、雑誌、インターネット、TVで得た情報に基ずき5年かけて歩いて見聞した「足で書いた百科事典」。

さいたまトリエンナーレ2016 さいたま市

2016年10月23日 15時13分15秒 | 文化・美術・文学・音楽

さいたまトリエンナーレ2016 さいたま市

トリエンナーレのブームである。16年は国内8か所で開かれ、年々増えているという。

遅ればせながら、さいたま市が初めて開く現代アートの国際芸術祭「さいたまトリエンナーレ2016」が、10月24日から12月11日まで79日間の日程で始まった。

トリエンナーレとは、イタリア語で「3年に1度」という意味。3年に1度開く国際芸術展である。

10か国34組の内外のアーティストが参加、「JR与野本町駅―大宮駅周辺」、「武蔵浦和駅―中浦和駅周辺」、「岩槻駅周辺」の3エリアの、彩の国さいたま芸術劇場や別所沼公園、旧県立民俗文化センター(岩槻区)など17会場で行われる。

インスタレーション(空間芸術)、映像、演劇ダンス、音楽演奏など、48の展示・イベントなどが予定され、このほか市民グループが40、市内の文化施設も21の企画を実施する。

インスタレーションとは、現代アートの新しい表現方法の一つで、屋内や屋外の床などの展示空間に作品を置いて、空間全体を芸術作品として見せる。元は「設置」という意味。

さいたま市は12年に「文化芸術都市創造条例」を施行、そのシンボルとなる事業としてトリエンナーレの開催を決めていた。

関東大震災後には、画家が東京から居を移して、40人もの画家が浦和在住と新聞に報じられ、「鎌倉文士に浦和絵かき」と呼ばれた時期もあったのだから。

テーマは「未来の発見」で、アーティストたちは開幕前からさいたま市を訪れ、市民の協力で作品制作に当たった。

人口175万人のさいたま市を「生活都市」としてとらえ、アートを鑑賞するだけでなく、「共につくる」「参加する」ことに力点を置いたという。手伝いをする市民サポーターは600人以上が登録している。

市では、16年度までの3年間で7.9億円をかけ、来場者30万人、経済効果22億円を見込む。

美術館にはよく行くが、トリエンナーレは初めてなので、好奇心から説明会を聞きに行ったり、現場に足を運んだ。

武蔵浦和駅と中浦和駅の間に最近できた「西南さくら公園」にある巨大彫刻が前から気になっていたので、初日に出かけた。このトリエンナーレの目玉の一つだという。

埼京線と桜の名所「西南桜通り」の間の小さな公園の中に、上下黒のスーツ、黒のネクタイ姿のビジネスマンが、右ひじに頭を乗せ、穏やかな表情で芝生に横たわっている。

「さいたまビジネスマン」と題するもので、全長9.6m、高さ2.5m。ラトビアの彫刻家アイガルス・ビクシェ氏(47)の作品だ。強化ポリウレタンと鉄材でできたとある。

さいたま市を下見に訪れて、埼京線の混雑ぶりやスーツ姿のビジネスマンの多さに驚き、タイなどのお寺にある「寝釈迦像」にインスピレーションを受けて、創ったものだとのこと。

「寝釈迦像」とは、釈迦が入滅する様子を描いた仏像のことである。「涅槃(ねはん)像」と呼ばれる。

若い頃仏教のことなど何も知らず、バンコックの有名な寺で初めて見たときには、「タイは暑いので昼寝しているんだろう」と思ったのが懐かしい。

頭を右ひじで支えている姿は同じだが、気になることがある。眼を閉じていることだ。

寝釈迦像には眼を閉じているのと、眼を開けているのがあって、閉じているのは入滅後の釈迦の像ということになっている。

ちょっと見た時には、「昼寝してるんだろう」と思ったが、上下のスーツにも、黒い髪の上、靴の底にもクモやハエがたかっていて、煩わしかろうに、振り払ったりしていないところを見ると、このビジネスマンはすでに「御入滅後」なのだろうか。

遠くから見ると、「のんびり昼寝風」だったこの像は、近寄って見ると、違った意味を帯びてくる。

掲示板には、「本作品は、悟りの境地を開き、唯物志向から解き放たれたビジネスマンの姿を表現しました」と書いてある。

仏様なのである。畏れ多くも合掌か、お線香の対象なのだ。

満員電車で埼京線で通勤する背広のサラリーマンも悟りの境地に達することができるという教えなのだろうか。

近くの別所沼公園には、ちいさな船が2隻浮かんでいたが、アサガオの種をモチーフにしたものだという。

「彩の国さいたま劇場」には、花びらが空気圧で膨らんだり縮んだりする「息をする花(蓮)」、大宮区の山丸公園には空っぽの大きなエアドーム、大宮市民会館前地下の元食堂の調理室には豚の像が7体天井から吊るされていた。

岩槻駅から無料バスに乗って、旧県立民俗文化センターまで足を延ばすと、正面の床に枕がずらりと並んだ作品が歓迎してくれ、室内にはさいたま市で発掘されたという触れ込みの犀(さい)の埴輪・・・などもあった。

物珍しさから面白さはあっても、相手がモダンアートだけに、「分かったか」と聞かれると、「見ることは見ましたが」と答えるほかはない。

視覚的なものだけではなく、「相撲聞芸術」とか動く電車の中のパフォーマンスも披露されたようだ。

演劇や音楽交流などの「市民プロジェクト」も開かれていて、11月12日、与野本町コミュニティセンターの「ダンスパフォーマンスコレクション」を見た。モダンアートとは関係がないようで、面白かった。

12月11日、79日間の幕をとじたが、主要6会場と期間限定のイベントを合わせ、約10万8千人が訪れたという。目標の3分の1で、市は17年1月20日、約36万人に達していたと発表した。当初より25万人上積みされたわけである。

 

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