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『クルド民族 中東問題の動因』 S.C.ペレティエ 前田耕一訳 1991年 亜紀書房

2017年06月13日 | 帝国・帝国主義・軍産官報複合

         ▲『クルド民族 中東問題の動因』 S.C.ペレティエ 前田耕一訳 1991年 亜紀書房

 

『クルド民族 中東問題の動因』 S.C.ペレティエ 前田耕一訳 1991年 亜紀書房

 

▲『クルド民族 中東問題の動因』 S.C.ペレティエ 前田耕一訳 1991年 亜紀書房 2300円+税

 

 ▲ クルド民族(クルディスタン)の範囲 『クルド民族 中東問題の動因』1991 亜紀書房 巻頭見返し地図 より

 

 ▲マハバド共和国(クルド共和国)(1946年)の版図 『クルド民族 中東問題の動因』1991 亜紀書房 巻末見返し地図 より

 

再びクルド民族が、大国の思惑によって利用される危険が増してきた。

人口3000万以上と言われるクルド民族は、周囲の地域大国、そして帝国主義国のチェスゲームの駒のように翻弄されてきた。

第二次世界大戦の後のほんの一時、クルド族は1年足らずであったが「マハバド共和国(クルディスターン共和国)」を作った。

国際連合加盟国には、人口100万人以下の独立国がかなりあるのだが、3000万人の人口を持つ民族が未だに独立を認められていないのは、明らかに、そのことをパワー・ポリテックスに利用しようとする帝国国家があるからだ。

「桜井ジャーナル」が先日2017年6月10日

米特殊部隊がクルド軍と連携してラッカに入り、ラッカのダーイッシュは新たな任務でデリゾールへ

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201706120000/

と言う記事を書いている。

アサド政権のシリアは、ロシアの空爆や、イランの支援などによって、シリア政府軍の勝利となりつつある。アサド排除目論みにアメリカが利用してきたISの敗北が明らかになってきている。

アメリカは新たに、クルド勢力を利用することによって、ISの掃討を装い新たな、中東戦争作戦に切り替えつつあるのだと指摘している。

桜井ジャーナルでは、2006年のアメリカ軍の中東分割案の地図を利用しているのだが、そこには、アメリカの傀儡国家「ジョージア」の南にクルド族の国家をつくり、アメリカと同盟できる国家を想定して、線引きをしている。

先日亡くなったブレジンスキーの「グランド・チェスボード」のように、自由にフリーハンドで国家を造作する計画だ。

アメリカの同盟国イスラエルの周囲には、「ジョージア」と、「クルディスタン」を置く、長期にわたる計画案もあるのだから驚きだ。桜井ジャーナルの6月10日掲載地図▼参照

 ▲『桜井ジャーナル』2017年 6月10日掲載 (アメリカ軍の中佐が立案した中東分割計画地図)

 

クルド族は、トルコ・シリア・イラク・イランの山岳部を中心にひろがっているから、アメリカの支配を拒否しているイランを不安定化するのにも利用できるということなのだろう。

クルド族には、様々な政治勢力があるが、IS(ダーイッシュ)衰退後の、アメリカ同盟政治勢力として、イランにも敵対し、この勢力の一部を利用して、中東の地域覇権地図を塗り替えようとしているとみたい。

新しいディープな中東情勢は、日本語では入手しにくいが、「桜井ジャーナル」の6月10日の情報は、示唆に富む。

アメリカによる将来の中東覇権構想  サウジアラビア・大イスラエル構想にも関わる徴候ではないだろうか。

 

 ▼下の地図は 『世界民族問題事典』 平凡社 からのものであるが、トルコ・シリア・イラク・イランにわたり、また、宗教、他民族との間の分布も複雑であることがよく分かる。イラク・シリアの政治の混迷化に加え、クルド民族問題に火をつければ、中東情勢は極めて不安定な火薬庫となることは明らかだ。

 ▲新訂増補 『世界民族問題事典』 200211月 平凡社 378頁 より

▲新訂増補 『世界民族問題事典』 2002年11月 平凡社 定価18000円+税

出版から15年ちかくも経っているが、世界の民族問題・紛争問題を考えるのに有益な情報が今でも得られる。

ちょっと高い定価で購入するのには思わず怯んでしまうが、最近では古書店でも販売している店も出てきた。1400頁にもなる大冊だが、買って損はしないはず。

 

 

つづく

 

追加 「桜井ジャーナル」 2017年6月14日のブログで、6月10日のブログの続報を記事にしている。

「イスラエルの支援を受けるイラクのクルド勢力に独立させて軍事基地を建設しようと目論むサウジ」

注目したい重要記事であると思う。

ここ ▼

イスラエルの支援を受けるイラクのクルド勢力に独立させて軍事基地を建設しようと目論むサウジ

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201706140000/

トランプがイスラエル、サウジアラビア、パレスチナ を訪問したのはこのようなアメリカ軍産複合体の計画が背景にあったのか。

「アメリカ・サウジアラビア・イスラエルの三国同盟はダーイッシュから引き継いだ地域にクルディスタンをつくり、それを傀儡国家にしようとしても不思議ではない。」

と桜井春彦は書いている。

トランプ政権は危機にあるが、ここで軍産複合体のもともとあった計画を利用すれば、サウジアラビアにも、イスラエル・ロビーにもサービスの見返りが期待できる。あるいは、すでに、三国同盟はさらに堅固になっている証拠であるのか。

これが事実で同盟がさらに強固なっていくとするなら、21世紀の「新・悪の枢軸・三国同盟」ということになる。

安倍はその後ろに続いて、イスラエルと兵器共同開発の約束までしたのだが、「新・三国同盟」が何をするつもりなのか知っているのだろうか。

9.11事件には、すでにサウジアラビアと、イスラエルの関与が取り沙汰されていたのだが、ISのテロが起きていない国家にイスラエルや、サウジアラビアがあることを考えると、中東危機の根底には、想像を絶する陰謀工作の疑いがあるのではないだろうか。私の杞憂でなければよいのだが。・・・・・・・・・・・

 

 

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