野散 NOSAN 散種 野の鍵 贈与のカオスモス ラジオ・ヴォルテール

野散 のさん  野を開く鍵 贈与のカオスモス 散種 混沌ー宇宙 想像的・歴史的なもののジャンルなき収蔵庫をめざして 

本日の到着便 青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 2017岩波新書

2017年05月05日 | イスラム圏

                  ▲青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 2017岩波新書

 

本日の到着便 青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 2017岩波新書


ホワイトヘルメットは、正式名は民間防衛隊といい、戦災者の救助や、治療、犠牲者の埋葬などを行うために各地で結成されたボランティアグループ・チームに起源を持つとされるが、調べていくと、なにやら不思議の国の怪しい人脈にたどり着いていった。

「ホワイト・ヘルメット」 

その団体は、シリアの戦災地で活動する民間救出団体となっているのだが、その団体を創出させたのは、英国王立陸軍士官学校を卒業した英国人・北大西洋条約機構・NATO諜報部門、国連英国代表部などに勤務していた男、コソボ、イスラエル、イラク、レバノンなどで20年も職務にあたった男であった。

「ホワイトヘルメット」は、シリア人ではなく、ジャームズ・ルムジュリアーという、英国人が創出に関わり、それも英国・NATO・紛争地情報(工作?)・国連英国代表部に勤務という、情報部門を歴任したエキスパートだった。(団体の代表者は、現在シリア人のラーイド・サーリフ)

 

 

5月1日のブログで私はホワイトヘルメットに疑問をもち、反アサド武装勢力の別働隊ではないかとの疑いを表明していたのだが、その論拠となる、裏のとれる情報を探していた。

すでに、2016年の末、シリアのアサド軍、及びロシア空軍による空爆により、反政府軍の一大勢力圏だったアレッポが、政府軍により奪還されたとき、外国の軍人が拘束されたという記事がシリアの国会議員の情報によりもたらされたことがあった。

それによると反アサド勢力圏で隠れていて、シリア政府軍に身柄を拘束された将校の国籍が、サウジアラビア・英国・トルコ・イスラエルなど過激イスラーム国に対する空爆をしていた有志連合の面々が入っていたのである。反アサド勢力圏の維持にこれらの有志連合が絡んでいたという疑いがあった。

「IS・イスラム国」を空爆する有志連合の軍事情報網を使ってロシアの空爆の動きや、シリア軍の攻撃情報などを伝え反アサド勢力と一体となっていたことが推測されていた。

                                ・

                                ・

ホワイトヘルメットは反アサドの武装勢力の支配する地域に活動領域があり、最近の反応ではシリア政府軍の攻勢で、攻撃があると、世界中に、アサド政権空爆・攻撃の悲惨さ、救出模様を即座に伝えていた。

すでに、多くのSNS情報に嘘が混じっていることは、インターネット・プロパガンダを検証するグループにより、その嘘を告発されていた。同じシリアの子供が、違った日の空爆現場で何度も使い回しされ、ホワイト・ヘルメットによる救出映像が世界中を駆けめぐっていたのだ。

 

▲青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 2017岩波書店 定価780円+税

「シリア内戦における混乱を再生産しているのは、シリアにとって異質な部外者であり、シリアの人々は彼らが繰り広げるゲームの駒になりさがってしまった。」 (本著書 「おわりに」より

本の帯には死者47万人、難民311万人、負傷者190万人とある。

 

 

 

▲青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 目次1

 ▲ 青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 目次 2

 青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 目次 3

 

5月1日のブログで、「ホワイト・ヘルメット」のことについて少し触れたのだが、この本では詳しく書いているのではと、『シリア情勢』を本屋に注文していた。5月2日に届いたので、読みながら、早速該当箇所を調べてみた。、やはり重要な「ホワイト・ヘルメット」に関する情報があった。

第4章 2 ホワイト・ヘルメットとは何者か 『シリア情勢』 (94頁~100頁)

この 「ホワイト・ヘルメットとは何者か」を読むと、戦争の被災地とされるその場所で、プロパガンダ的事実の工作が行われ、「演出され味付けされた悲惨」が作り出されていくからくりが見えてくる。

このブログの冒頭で、「ホワイト・ヘルメット」の創出に関わった英国人ジャームズ・ルムジュリアーというについて少し触れたのだが、青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』の記述に従って、彼の経歴を記す。

 

ジャームズ・ルムジュリアー (英国人)の経歴

 

英国サンドハースト王立陸軍士官学校卒業

北大西洋条約機構 (NATO) 諜報部門

国連英国代表部

職務地 コソボ、イスラエル、イラク、レバノンなど20年以上勤務

2000年半ば 民間移籍

アラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置く危機管理会社グッド・ハーバー・インターナショナルのコンサルタント

       ↓

欧米諸国からの資金を元手に

       

2013年3月、トルコのイスタンブールでシリア人の教練開始、組織化したのが「ホワイト・ヘルメット」

       

オランダでメイディ・レスキューというNGOを立ち上げ、米国、英国、ドイツ、日本などの国の政府、この団体経由して資金供与

       

米国際開発庁(USAID)は2013年以降、2300万ドル援助、英国2012年~2015年にかけ、1500万英ポンド提供。米国開発企業ケモニクス・インターナショナル、UAEのコンサルタント会社ARK,トルコのNGOのAKUT捜索救援協会などが、「ホワイト・ヘルメット」に技術、装備の提供、広報、組織運営などの分野で支援

 

               ・

               ・


以上、ジャームズ・ルムジュリアーと、「ホワイト・ヘルメット」の経緯を青山弘之 『シリア情勢 ー終わらない人道危機』 から、抄出した。


「ホワイト・ヘルメット」の伝える映像や写真は、アサド政権側の攻撃による被害者を撮ったものである。

シリアの紛争の被害者の約三分の一以上を占めるアサド側シリア政府軍兵士、政権側にたつ人民防衛諸組織メンバーを救出するデータが公開されることはなかった。

「ホワイト・ヘルメット」は

2016年4月 米国開発NGO連合体インターアクションの人道賞

2016年9月 スウエーデンのライト・ライブリフッド賞受賞

2016年 10月ノーベル平和賞ノミネート

2017年2月 ホワイト・ヘルメットを題材とした映画、アメリカアカデミー短編映画賞受賞

というから、あっと驚く。

世界に冠たる、人道賞、映画賞、ノーベル平和賞のノミネートなど、選ぶ審査員たち、そしてそれを伝える世界のメディアの狂乱・腐敗も極まっているのだなぁ。


青山弘之は、アラブ史の学術研究者でもあるので、文言は用意周到に過激なことばを慎んでいるのだが、その著作の行間には怒りが込められているのが分かってくる。

シリア国民に代わって、この国をゆくえを決定し、シリア国民をゲームの駒にしているのは誰なのか。

子供の生命をプロパガンダの道具にしているのは誰なのか。

「ホワイトヘルメット」は、この本では、青山弘之さんは、最初にその組織をつくるための準備を英国人ジャームズ・ルムジュリアーが取り組んだと書いている。それ以上のことについては触れていない。しかしこの人物の経歴を読むと、人権問題からのみ「ホワイトヘルメット」の組織の活動を立ち上げ、維持・発展させてきたのではないことが分かる。

『櫻井ジャーナル』、『マスコミに載らない海外記事』、などでは、すでに何度もNATOがヨーロッパで、政治外交ではなく工作組織を起動させていることを指摘していた。

また反シリア政府過激組織が占領していた地域を、シリア政府軍が奪還したとき、占領地を捨てて逃亡した過激組織の遺していった地域には遺物ー弾薬・医療品、食品・軍装備・補給物資ーの中に、明らかにNATO装備のものがあったと報じている。これは、シリア政府側からも発表されていた。

1980年代までは、欧州各国の左翼組織に対する対策(工作)が主なる任務だったNATOが、ソ連解体後、社会主義が脅威でなくなった。その主たる任務からして、ソ連解体とともに、NATOも解体するのが筋であったが、そうはならず、米国一強による欧州支配の道具となったと見るのが、明白な事柄であるだろう。その後、ユーゴスラビアの解体、アラブの春を端緒とした、北アフリカ、リビア・カダフィ政権の奪取など、欧州がかつて支配していた植民地国家群を、再び、英国・ユーロ・NATO・米国合同によろ地政学上の支配構造転換が進行中であり、その主なるプレイヤーの転換も起きているとみたい。欧米・NATOの共通の敵を創出し起動させること。

第二次世界大戦の惨禍を経て、もう戦争をしたくない戦後欧州・EUの短くも長い?平和を徹底して解体し、それと並行して、本来は存在していない仮想破壊集団・敵国をこしらえ、その一つ一つを粉砕していく過程・シナリオがあるのではないか。

「ホワイト・ヘルメット」の創出に関わった英国人ジャームズ・ルムジュリアーの経歴は

パックス・ブリタニカ →パックス・アメリカーナへと歴史的には第一次世界大戦を機に帝国権力が移動したとする見方もあるが、まだまだ、英国は帝国(連合)の主たるプレイヤーの役目を今でも果たしたいと思っており、この人物の足跡は自ずと世界史のなかの断層をはからずも露呈させたのだといえないだろうか。

「英国というプレイヤー」が、「帝国の現在」に今でも刻印されてはいないだろうか。

ジャームズ・ルムジュリアーの経歴

英国士官学校卒業北大西洋条約機構 (NATO)諜報部門・国連英国代表部・職務地(コソボ、イスラエル、イラク、レバノン)・その後危機管理会社参画

は、はからずも、「21世紀における、20世紀の負の遺産」を直接に継承している証左を構成しているものなのではないだろうか。

米国アカデミー賞、国連、民間平和活動・救助団体・メディア の中にすら「20世紀の負の遺産」が継承・刻印されているのではないだろうか?


つづく

『本』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 宮武外骨 過激にして愛嬌 ... | トップ | 本日の到着便 『世界』20... »
最近の画像もっと見る

あわせて読む