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『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』 『ユダヤコネクション』 ほか その1-1

2017年04月25日 | ロビー・パワー・エリート

            ▲佐藤唯行 『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』 2006年 ダイヤモンド社 1600+税

 

 

佐藤唯行 『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』 2006年ダイアモンド社


             

 ▲ 佐藤唯行 『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』 表紙及び 内容

▼ 著者プロフィール (この本のカバー裏にあったもの)

 カバー裏の章立て内容表示で済まそうと思ったのだが、これだけでは、どんな内容が書かれているのかはよくわからない。詳細目次が長いのだが、買うか図書館で探すか迷う人もいるかも知れないので、あえて以下詳細目次を掲げておく。刊行年が、2006年なので、ブッシュ(子)大統領までのことまでであるが、「イスラエル・ロビー」が、アメリカの外交政策に大きく関与していることがわかる。

日本では数少ない「イスラエル・ロビー」に関わる著作で、戦後のアメリカ大統領との関係を通観するのに格好の案内であると思った。

一部の陰謀論者と言われる人たちの著作以外にはなかなか日本では「イスラエル・ロビー」、あるいは「ユダヤ・ロビー」ということばを冠した著作があまり見あたらない。

それもそのはず、反ユダヤ、反シオニストに関わるにおいのする著作が新聞広告などに掲載されるや、監視団体が、抗議の声をあげたり、内容によっては、雑誌の発刊元に、広告掲載商品の不買運動も示唆することがあった。その後も、あたりさわりのない、穏当な本は出版されるも、際物的な著作は、大手出版社では見たことがない。

「イスラエル・ロビー」、「ユダヤ・ロビー」に関するタイトル、もしくはサブタイトルを持つ大手出版社の本は、学問的体裁を持つ論文調のものに限られるようである。

佐藤唯行 さんのこの本、際物くさい本ではなく、あくまでも、「ユダヤ人史」という領域を学問研究のスタンスで書かれている。

まずは、この本の詳細目次を見ていただこう。

▼佐藤唯行 『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』 目次1

 ▲目次 1

▼ 目次2

▲目次2

▼目次3

▲ 目次 3

▼ 目次 4

▲ 目次 4

 

 

 

 ▲わが家にひっそり眠る奥の院 ユダヤ・イスラエルロビーなどに関する本など

最初はアメリカ政治外交政策決定の重要なファクターと思われるパワーエリートや、ロビィスト、シンクタンクに関する本を読んでいたのだが、そのいずれにも、それ相当のスペースを割いて、イスラエル・ロビーの実力のことが記述してある。それではと、単行本でユダヤロビー、イスラエル・ロビーに関しての入手しやすいものを探してみたのだが、21世紀になってからでも以外に少ない。調べ方が悪いのかとも思うが、どうもそうではないらしい。

考えても見れば、日本では、ユダヤ人に関する言説では、1990年代、ブレーキになる事件があった。                      

1995年1月の『マルコ・ポーロ』 誌のホロコースト関係論文に端を発した問題は、思想表現の自由論争の問題を含むにも関わらず、何の展開もなく、雑誌は廃刊となり、内容の検討、再論も雑誌上で行われず。ホロコーストに関する言論での深まりがないまま消滅した。

ユダヤ人についての雑誌の記事ではその後、世界金融危機のあった1999年、長銀の破綻に関して、『週刊ポスト』が「ユダヤ人の役割」についての記事へのユダヤ人団体からの抗議と謝罪の要求があり、これもまた、事実関係や、長銀買収に絡む詳しい論究がメディアでは展開されなかった。

日本にある外資系会社はもちろん、一部上場の日本の株式会社も、外国投資家の株保有比率が増していることから、ユダヤ人に対する筆禍問題を起こすと、雑誌に広告を出している会社の一斉広告を引き上げの恐怖があるようだ。

21世紀になってから、日本のユダヤ人ロビーや、イスラエル・ロビーに関する本が、いわゆる「陰謀論」と呼ばれる種類の著作、自費出版のような形で発刊しているのが目立っている。

 

古いところからあげると以下のような本があった。順不同で年代順に読んでいたわけではないが、2001年9・11以後、今までの歴史理解は、ひょっとして、「歴史神話」を読まされてきただけではないか、書かれているものに対する信仰にも似た洗脳があったのではないかとの疑いも出てきた。

 

何であれまずは「定説という権威」と「先入観を判断中止」して、自分なりにそれぞれの歴史史料にあたることにしよう。

 

1990年 『ユダヤ人とは誰か ー第三支族 カザール王国の謎』  三交社 

1991年 小尾敏夫 『ロビイスト アメリカ政治を動かすもの』 講談社 

1991年 アルフレッド・M・リリアンソール 宇野正美 訳 『ユダヤ・コネクションーアメリカ世界戦略を決定するのは誰か』          三交社 (原著は904頁、1982年刊、日本語版のため、縮約し、加筆訂正されている)

1994年 滝川義人 『ユダヤを知る事典』 東京堂出版

1998年 ロジェ・ガロディ 木村愛二 訳 『偽イスラエル政治神話』  れんが書房

2003年 三輪裕範 『アメリカのパワー・エリート』 筑摩書房

2007年 ジョン・J・ミアシャイマー/スティーヴン・M・ウォルト 副島隆彦 訳 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』上・下

2008年 横江公美 『アメリカのシンクタンク ー第五の権力の実相』 ミネルヴァ書房

2009年 中田安彦 『アメリカを支配するパワーエリート解体新書』 PHP研究所

                         ・

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序文の中で、著者の佐藤唯行は、この本のタイトルともなっている

「アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか」

すばり、そこの問題に切り込む

日本でも、ユダヤ人やユダヤ・ロビーに関する本は少ないが、アメリカでは、メディア産業に対するユダヤ人の産業界進出の結果、出版業界にもその力が及んでいるらしい。

本が大好きなユダヤ系知識人

「店頭に並ぶハードカバーの本の実に5割は、裕福なユダヤ人知識階層が買うのだという噂が、実はほんとうらしい。」

と思えるほど、この本は、興味津々な実録情報に満ちている。

1980年代、ユダヤ・ロビーの実態を解明しようとしたテレビの報道記者が、「ニューヨークの某大手出版社に出版企画を持ち込んだが、断られてしまった」ことがまず、序文で記されている。

ABC報道記者エドワード・ティブナンが被ったのはこういうことなのだそうだ。

「本の配給業者が取り扱いを拒否するだろうし、さもなくば、ユダヤ人社会が地元の書店に圧力をかけ、書店の棚から撤去させてしまうだろうと告げられたことを後日述懐している。」

アメリカにおいても、

「ユダヤ・ロビー」について書くことができる人は、現役を退いた人や、、ユダヤ・ロビーが、自分の選挙区に刺客候補を擁立したために議席を追われた元連邦議員たち、が無名の小さな出版社から刊行したものに概ね限られてきたのである。」

「人口の2パーセント弱でありながら、格段に高い投票率のゆえに、全投票人口の4パーセントを占めるユダヤ票の威力がある。」

「21世紀の世界の火薬庫とも言うべき中東に対するアメリカの政策が、なぜ、アラブ・パレスチナに冷淡で、、イスラエルびいきにならざるを得ないのか、その疑問を解きあかせるはず」

著者は、アメリカの中東外交政策に関する、様々な資料・発言、イスラエル・ロビーの議会対策、政党政治資金の献金の分析、外交担当補佐官へのユダヤ人脈の働きかけ、イスラエル=キリスト教右派との連携・同盟の誕生、歴代大統領とユダヤ人社会が望む政策要求と選挙戦の考察など、「神話となった、ユダヤ陰謀説」から離れ、事例をあげて、イスラエル・ロビーの具体的な活動から、その政治政策の実現過程を追っている。

小泉首相が、2005年、政敵を落とすため、刺客を放ち、大成功を収めたが、アメリカでは小泉首相がやった刺客政策はその20年以上も前から行っていたのだ。イスラエルロビーが政敵選挙区への刺客を通して、今やアメリカは、イスラエル寄りの国会議員でほぼ占められるような成果をあげた。

人口比、わずか2パーセントのユダヤ票が、格別に高い投票率と、選挙資金の調達などで、民主党の政党資金の5割、共和党の2割を占めれば、外交における中東政策が、議会・大統領府がイスラエルびいきになるのは、どちらの政党が多数派になっても同じ結果となる。

アメリカ政府が世界190国に与える経済・軍事援助金の実に2割強が、世界人口の0.1パーセントに満たぬイスラエル一国に送られている事実。

イスラエル・ロビーと7000万人近いキリスト教右派信徒団との同盟関係、議会への働きかけが、そのすべてのアメリカの政策の源泉ではないが、アメリカの中東政策・軍事政策に関しては、極めて重要な影響力を行使している。・・・・・・・

この本は、著書の中でも取り上げられているが、ジョン・J・ミアシャイマー/スティーヴン・M・ウォルト の 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』 の優れた業績と勇気に支えられてもいる。

アメリカにおいては、大手出版界がユダヤ色が強いため、ユダヤ・ロビー(イスラエル・ロビー)に関しての出版などは、現役を引退し、社会的影響力を喪失した人々が、初めて発行できることだったとは!

民主主義という制度の中に潜む、見えないエスニックの彩りを施された全体主義が刻々と進行中であることを、ロビー活動の分析を通して見えてきたと言えようか。後続する、現代の調査に期待したい

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                             ・

 なおこの本2009年に新潮文庫に入ったようだ。オバマ大統領期のユダヤ・ロビー活動を増補している。

 

つづく

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