What Wouldn't Jesus Do?

世界中を駆け巡る Revトヲルのぶっちゃけ福音Talk!

第三話 小心者インドでゲロ吐いてまたもやゲルニ(逃げる),の巻

2011年01月22日 | 日記
前回、タイのバンコクで小心者ぶり全開発揮して激しく逃げまくったこと話したけど、恥じかきついでに告白しちゃうと、実は同じようなことがその数ヶ月くらいあとでまたあったんだ。また、怖くなって逃げちゃった、ってことがね。

このときは、インドだった。オールド・デリーという町でのことなんだけど、その時ぼくはメシを食っていたんだ。当時のレートで一食30円くらいのカレーを、食堂という言葉がもったいないような世界最低レベルの汚さの掘っ立て小屋のようなところで食っていたのさ。

食ってるうちにぼくの目の前にヌッと手がさしだされてきた。「ははあ、来たな」とぼくは思った。物乞いが金をせびりにきたということがすぐわかった。

食堂の中に物乞いが!?って驚くかもしれないけど、高級レストランはともかく、インドの庶民的掘立小屋式食堂では、犬だろうと、牛だろうと、にわとりだろうと平気で入ってくるんだから、物乞いの人だって当然入ってくるよ。

よく言われることだけど、インドでは物乞いの人がものすごく多くてその物乞い活動も非常に激しい。持てるものは持たざるものに施すのは当たりまえ、というよりも、持たざるものが持てる者に施しという善行をさせてやるのだから、ありがたいと思って金をすぐ出せ、いま出せ、今すぐ出せ、という態度なのだから、日本から来たわれわれはぶったまげちゃうよ。

ぼくがインドに着いたばかりのある時こんな光景を見てしまったんだ。カルカッタの町を朝早く歩いていると、一人の白人観光客がホテルから出てきた。するとその辺にいた子供が彼のところに走りよって「バクシーシ!」(この言葉が『ほどこせ』という意味であることはもうすっかり有名になってしまったけどね)と呼びかけた。こころ優しい(と思う)この白人は慈悲に満ちた微笑を浮かべながら財布からいくばくかの金をその子に渡した。きっとこの男はアメリカ人のクリスチャンだったと思うよ。そういう雰囲気をプンプンさせていたね。べつにアメリカ人のクリスチャンを悪く言うつもりはないけどね。ぼくもずっとあとでクリスチャンになっちゃったわけだし。

まあとにかく、この男が子供に金を渡した瞬間、それを見ていた周辺の子供たちが、いや子供たちばかりでなく大人たちも、いっせいにかの白人の下に殺到し、口々に「金をよこせ」とわめきたてた。彼らにしてみればその子にやったのなら当然俺にもよこさねばならない、という論理であったのだろうが、全く予期しない事態にこのあわれな白人観光客はもう顔面蒼白だよ。恐怖でパニクッてアブラ汗ターラタラだったね。あげくのはてには金を宙にばらまいて、インド人たちがそれを拾ってる間にその場を逃げ去るという手段に訴えた。「バカなやつだけど、まあ、たしかにあれしか逃れる方法はないだろうな」とぼくは納得しつつ、転がってきたコインを2〜3枚入手してそこを立ち去ったよ。

ことはかの哀れな白人男だけの問題じゃないよ。とにかく圧倒的な数の物乞いがどこの町にも犇めき合っていて、観光客という「持てる者」がやってくるのをてぐすね引いて待っているんだよ。非インド人旅行者はひとたび宿から外に出れば、数十回、数百回も金をせびられ続けるわけさ。「これは物乞いに対する接し方を決めておかねば大変なことになるぞ」と思ったぼくは熟慮の結果、方針を決定したよ。それは、「何があろうともびた一文金は出さない、ただし自分が何か食い物を持っていて、相手がひもじそうである場合はその食い物を分け合って食う」というものだったんだ。

だいぶ横道にそれちゃったけど、30円のカレーを食っていたオールド・デリーの世界最低食堂に話は戻るぜ。

目の前に手が差し出されたとき、「ああ、また物乞いだな」とすぐさま思ったのはそういう経緯があったためなのさ。

その差し出された手を無視して、「だめ、だめ、おれは甘ちゃんの白人観光客とは違うんだからいくら待ってても金は出ないよ、あきらめて他をあたりな」と心の中で言いつつカレーを食い続けていたんだけど、その手がいつまでたってもひっこめられないんだ。「お、結構しつこいな」と思いつつ待ったが相変わらず手はぼくの目の前だ。

いい加減時間がたってまもなくカレーが食い終わりそうになってきてもまだ手はそのままなんだよ。もっと変なのは、その手の持ち主はその間まったくの無言だったってことなんだ。あのおしゃべりのインド人がね。何にも言わないんだよ。気になってきたね。どんな奴だろう、見てみたいな、でも目が合ったらもっとしつこく金をねだられるしな、としばし心中の葛藤。でもついに好奇心が勝っちゃった。で、思わず目を上げて相手の顔を見た。

ところが、その瞬間ぼくは凍りついたね。「あれ、これはいったい何だろう?」目はそこに釘付けになったまま。そして、「ああ、そうか、これはこの人の顔なんだ」とわかるまでに冗談でなく数秒かかったのは、大変失礼ないいかただけど、それが人の顔とは思えない状態であったからで。(「北の国から」風)

やっと気がついたよ、「ああ、そうか、この人はハンセン氏病なんだ」。

それまでにもすでに多くのハンセン氏病の人は見てきたんだ。その初めは汽車に乗っていた時だったよ。プラットホームなんかない小さな駅に止まると目の前に木の棒のようなものが次々に差し出されてくるんだ。で、「なんだ、こりゃあ」と思って窓から身を乗り出して見るとそれは線路に立った物乞いの人たちが差し伸べている手だったんだ。彼らはみなハンセン氏病で手の指を失くしてしまっているので、その手がまるで一本の棒のように見えるのさ。その人たちの顔を見れば、中には鼻のない人、耳のない人なんかがいてね。そりゃあショッキングな光景だったね。だけど、それでも同じような人を何度も見ているうちに慣れちゃった。人はどんなことでもいつかは慣れちゃうんだね。それに、彼らの傷跡、というか病痕はすでに治ってるようで乾いてツルツルになっていたよ。

だがしかし(学術論文風)、このオールド・デリーの食堂で会った人は違ってたね。失礼な言い方だけど、それがその人の顔であると気づくまでに時間がかかるほど、その人の病気はひどかった。「ああ、これは人の顔か。ああ、これはおばあさんの顔なんだ。この人はハンセン氏病なんだ。」という具合に数秒の間に少しずつわかっていったわけさ。

うわあ、この人はハンセン氏病の真っ最中なんだな、ってね。

今まで見た人たちはみんな一応治って傷口も乾いていたからね。でも、このおばあさんは顔中膿みと血とでぐちゃぐちゃで、どこが目やら鼻やら口やらわからないくらいだったんだよ。その後、ぼくの記憶の中でこのおばあさんの姿は随分誇張されてしまっているかもしれないけど、だけど、その時のおばあさんの顔からは、血と膿みとがボタボタと垂れてくるようにさえ思えたんだ。

そこまできた時ぼくはいきなり吐いちゃった。椎名誠さんの「怪しい探検隊」の隊則に「飲んだら吐くな、吐くなら飲むな」っていうのがあったけど、ぼくは貧乏な旅行だったんで、食ったものを吐くなんてもったいないことはそれまで一度もしたことはなかったよ。けど、そんなこと言ってる余裕なんかなかったね。いっぺんで胃の中がすっかりからっぽになるくらいの勢いで吐いちゃった。

吐き終わるとものすごい恐怖に襲われて逃げたよ。椅子を蹴散らして必死で逃げた。そんなバカなことがあるはずないけど、あのおばあさんの血と膿みだらけの手でぼくの襟髪をつかまれそうな気がして、ひたすら逃げ続けたよ。少し泣きながらね。

考えてみりゃあひどい話だね。あのおばあさんはぼくになんの危害を加えたわけでもない。口さえきかなかった。ただ手を出して助けを求めただけだったのに、ぼくはその顔を見ただけでゲロを吐き、ものも言わずに飛び出して逃げて行ったんだからね。なんて失礼なことをしてしまったんだろう。

もう亡くなってしまったろうけど、もしもう一度あのおばあさんに会えたら土下座して謝りたいと思うな。

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第二話 小心者、五万光年の彼方に逃げさる、の巻  バンコク編 

2011年01月13日 | 日記
 生まれて始めての外国行きだったけど、アフリカ以外には興味がなかったんだ。だから初めは日本からいきなりアフリカに飛んじゃおうかと思ったけど、それを思いとどまってアジアから入っていったのは足馴らしのためだったわけだよ。いくらなんでもいきなりアフリカっていうのは小心者の僕にはちょっときついだろうと思われたからね。

 で、香港にちょっと寄ってからバンコクに行った。そしたらもうおもしろくておもしろくて興奮の連続だった。毎日毎日ただひたすらに歩き回ってどこにでも顔を突っ込み何でも食いまくったよ。生の貝とか屋台で売ってて、ヤバいかなあと思いつつ食っちゃったけど、だいじょうぶだったね。ウンがよかったのかな。それで、道歩いてて角があると曲がりたくなる、それが路地だともっと曲がりたくなる、入っていきたくなっちゃんだね。

 生まれて初めての海外旅行だしもう完全に舞い上がってたね。いま思えば小心者のぼくにしては随分無鉄砲なことをしたもんだ、と思うけど、とにかくおもしろくてしようがなかったよ。

 で、ある日例によって路地という路地をぜんぶ曲がって興奮して歩いているうちに次第にわけのわからないところに迷い込んでいったらしかった。少し慣れてきた油断もあって気がつくと外国人なんか一人もいなくなっていて、もちろんどのあたりにいるのかも全くわからなくなってしまっていたんだ。

 それでも面白さにつられて歩き続けているとちょっとした広場のようなところに出たわけさ。

周囲を小さな店がかこんでいる。店を見ながら歩いているとなにやら左手の方角から金属音のようなものが聞こえてくる。えっ、と思ってそちらの方角に顔を向けたぼくの目に入ってきたのが一人の男であると気がつくまでには少し時間がかかった。

 時間がかかったのにはわけがあるんだよ。それはその人が異常に背が低かったからなんだ。並みの低さじゃねえよ、体つきから大人なんだなってわかったけど子供よりも小さく見えたよね。きっと何らかの病気か障害のために成長がとまってしまったんだろうと思うんだ。彼は「立って歩いている」んだけど、それでも異常に低く見えるのは彼に両足がないからで。冗談じゃないよ、本当に両足が根元からきれいになかったんだよ。それでも彼は腹を地べたにすりつけて立っている。

 見ていて気がついたことには彼には両手もないんだ、再び根元からきれいにない。

またいいかげんなことばっかり言いやがって、って思うかもしれないけど、実はそれだけじゃないんだよ、その人は全盲だったんだ。多分生まれつきなんだろうね、はじめから眼球というものがなかったのかもしれない。

 これだけ重い障害を持った人が生きている、それもただ無為に生きているんじゃなくて、かれはそこを行ったりきたり物乞いをして歩きまわっているんだよ。

 「ちょっと待てよ、でたらめ言いやがって、足がないのにどうして歩けるんだよ」と言うだろうけど、彼は確かに歩いていたんだよ。信じる?こんなはなし。

 恥ずかしながら告白しちゃうけど、ぼくはここまで書いたようなこの人の姿にようやく気がついたとき、恐ろしくなって逃げてしまったんだよ。なにしろ小心者だからね。

逃げちゃったからはっきりはわからないんだけど、あとから考えるとこういうことなのではないか、つまり彼は腹を地べたにつけた状態で立っている。そして腕もないから相当難しいだろうとは思うがなんとかして胴体を振る。すると胴体の幅の分だけ進む。次に反対の方向に体を振ってまた胴体の幅の分だけ前に進む。

こんな風にしながら彼は口に空きカンをくわえてそれを振り、中に少しだけ入れておくコインをゆさぶって音を出す。道行く人がその音を聞いて哀れに思って金を出す、という仕組みだったんじゃないかなあ。なにしろ逃げちゃったんだからよくわからないけど。でもこの想像はそんなに外れてはいないと思うよ。だってほかに考えようがないもの。

ともあれぼくは逃げた。逃げながら怖くてしようがなかった。「おれはなんて情けねえやつなんだ」って思いながら、実はちょっと泣きながら逃げたんだ。

それまでぼくは自分がまあ、まともな方の人間、というか、社会的に弱者の立場にある人々に対して常識的な同情心(いやなことばだな)は持っているつもりだったんだよ。それはわかってくれるよね。それがどうだ、重い障害を持っている人の生きざまを見て感動するどころか、怖くなって逃げちゃうんだからね。

なんだか自分の中で大事なものがくずれていく、っていうか、もう自分を信用することなんかできないな、って思いを噛みしめながらどこまでも走って逃げて、逃げて、逃げまくったよ。へとへとになって、もう走れないってかんじでぶっ倒れて、それでもまた逃げたなあ。。

あの時ぼくはなにから逃げていたんだろうね。

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第一話 アフリカの灯が見えたとき、の巻

2011年01月07日 | 日記
いよいよ連載はじまり!

あんなに待ち望んでいたアフリカの灯が初めに目に入った時、不思議なことにぼくは叫ばなかった。でも感動しなかったからじゃないよ。

その瞬間たしかにものすごく熱いなにかがこみ上げてきて、それがひとかたまりの叫びになって爆発しようとしたその直前に、その叫びが堰きとめられてしまったんだよ。頭の上で大音響がひびき渡ったからね。

驚いて見上げた僕の目に映ったのは、そのままなにかまだ叫び続けている毛むくじゃら、髭もじゃらの、それはもう本当に汚い白人の大男だったのだ。僕だって日本人としたらかなり背が高いほうだけど、この男は僕よりまだ頭一つ高かった。それにそいつの身なりの汚いことといったらなかった。日本を出て一年余りの僕もすでに相当汚くなっていたけど、奴はそんなものじゃなかった。汚いものには慣れっこになっていた僕も思わずのけぞりそうなくらい汚いそいつがわめき続けていたことが、しばらくたってようやく理解できたとき、僕は思わず彼の目を見つめてしまった。

やっとわかった。そいつは、なんのことはない、ただ「アフリカァッ!、アフリカァァァッ!」と叫んでいたのだ。

「あぁ、そうかこいつもアフリカを夢見てここまで来たんだ、俺とちょうど一緒にアフリカの灯を見つけて思わず俺の頭の上から叫んでいたんだな」というようなことが一瞬のうちにわかったとき、そいつも僕がそのことをわかったということがわかったのだ、ということをぼくはわかった。で、ぼくは彼を見つめ、やつもぼくの目をみつめた。二人の目が合ったときまだ一言も話してないのにすべてを解りあえた。

奴の目が語っていた、「おぉ、おまえもか!」

僕の目が語った、「そうだとも。おまえもそうだったのか!おまえもアフリカに来たかったんだなぁ!」お互いを解りあえた二人はしっかと抱き合った、かと思ったがきたないのでやっぱりやめた。

 こうしてぼくは日本を出てから何と一年後にアフリカの土を踏んだんだ。

 出発前には君にも約束したよね。1年で帰ってくるよって。帰ってきたら何日かかってもいいから旅の間に起こったことをぜんぶ話してくれ、って君は言ってたな。起こったことをぜんぶ話せるわけないのはお互いわかっていたけど、でも君はいつもぼくの話を真剣に聞いてくれたもんなあ、君のことだからほんとにぜんぶ聞き出すまでは解放してくれなかったかもしれないね。

 旅が長引いて結局日本に帰ってきたのは5年以上たってからだったし、話は聞いてもらえずじまいになっちゃったから、どうしても君にだけは聞いてもらいたかったことを書いておくことにしたんだよ。起こったことぜんぶはとても書けそうにないからね。

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