ゆきてかえりしひび――in the JUNeK-yard――

読書、英語、etc. jesterの気ままなおしゃべりです。(映画は「JUNeK-CINEMA」に引っ越しました。)

オリガ・モリソヴナの反語法 by米原万里さん

2007-11-19 | 読書
「ぼっ、ぼくの考えでは・・・・」
「ぼくの考えでは・・・だって。フン。七面鳥もね、考えはあったらしいんだ。でもね、結局スープの出汁になっちまったんだよ」p12より

ダンス教師、オリガが出来の悪い生徒を怒鳴りつける言葉が楽しくて。
次にはどんな言葉で怒鳴るんだろうとわくわくするほど。


このところ、米原万里さんの本を再読しています。
前にくっちゃ寝さんのところでレビューを読み、読んだかしら?そういえば前に読んだかも?でももうほとんど忘れちゃったなあ~などとなつかしく思い返して、いろいろ引っ張り出して読んでいます。

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
その中で、著者の唯一の小説仕立てのこの本は、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」に似ていて、自分が子供のころ過ごしたチェコに昔なじみの友達を訪ねるストーリーですが、こちらはオリガ・モリゾヴナというダンス教師の過去を追うことによって、スターリン時代のソビエト連邦の内情を抉り出して行きます。

1937年当時の苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。
カザフスタンにあるラーゲリ収容所に悲惨な状況で送られ、そこで生活する「裏切り者の妻たち」。
オリガとエレオノーラ・ミハイロヴナの友情。
それぞれの時代の女たちの生き様。

まず、主人公のオリガ・モリソヴナの、ののしり言葉の多彩さがすごく刺激的で笑ってしまいます。
これぐらい怒鳴り散らせたら、どんなにすっきりするかしら、と思います。

オリガだけでなく、どの主人公も生き生きしています。
志摩が小さい頃を過ごしたチェコのソビエト学校の描写が素晴らしい。
祖国を離れ海外で暮らす子供の気持ちも細かく描かれ、また志摩とカーチャの国籍を超えた友情も素敵です。

もともと著者はエッセイストであり、小説はこの作品で初めて書いたもので、技術的にはまだまだで、盛り込みすぎでもうちょっと削ってもいいかもと思うところもあったけれど、途中だれることもなく、笑って、泣かされて、最後まで楽しめました。


ののしり言葉としての「反語法」は、すごく酷いものを見たとき「まあ素敵!」とかいうことですが、日本人はあまり使いませんよね。

日本語でやるとものすごく皮肉な感じがしてしまいますが、ヨーロッパ言語や英語などではとても多用されて、NiceとかGoodなんて言葉は半分以上が「反語法」で使われているかも、っていう気がするほど。

「How nice~~」なんていわれると、ほめているのか反語法で皮肉っているのか、しゃべり手の顔を密かにじっと見て考えてしまうことが良くあります。
ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   トラックバック (1)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 秋の黄金の一日。 | トップ | 不思議な物体 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (くっちゃ寝)
2007-11-20 11:42:33
TBありがとうございました。

>これぐらい怒鳴り散らせたら、どんなにすっきりするかしら、と思います。

ほんとですね~。
私なんて、相手にどう思われるかしら、なんてつい考えてしまうので、意味もなくへらへら笑って相手に合わせてしまうもの。
たまには怒鳴ってすっきりしたいわ~

あちらではそんなに反語法を使われるんですか?
欧米人に褒められても、「Thank you」なんてタンジュンに喜んでちゃダメなんですね~。

結婚したばかりの頃、義父に「この包丁、よう切れるなあ」と言われ、褒められたのかな、と思っていたら実は研いでなくて切れが悪かったのでした~(汗)
それ以来、褒められたら疑うようになった私・・・
くっちゃ寝さ~~ん! (jester)
2007-11-21 07:53:18
くっちゃ寝さん、コメントありがとうございます!うれしいです♪

>あちらではそんなに反語法を使われるんですか?
欧米人に褒められても、「Thank you」なんてタンジュンに喜んでちゃダメなんですね~。

そうなんですよ。
日本では日常会話であまり出てこないので、ショックを受けるので「すごくある」と思うのですが、「ひっど~~い!」っていうときに「Oh my God!」とか神様の名前を出すのが良くあったけれど、最近は反語法のほうが多く使われるような気がします。(ちゃんと調べたりしてませんが)

>結婚したばかりの頃、義父に「この包丁、よう切れるなあ」と言われ、褒められたのかな、と思っていたら実は研いでなくて切れが悪かったのでした~(汗)
それ以来、褒められたら疑うようになった私・・・

うはあ~~~
義父さま、手厳しいですねえ~

私は中学校のとき社会の先生から「君は天才か?」といわれて、もともとだいっきらいだったその先生が、めちゃくちゃ天敵になりましたよ・・・・(爆)
もちろん反語法でした!

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
『オリガ・モリソヴナの反語法』 (ほぼ是好日。)
     オリガ・モリゾヴナの反語法          米原 万理 今までロシアが舞台の小説というのは、ほとんど読んだことがありません。 というのも、学生のころ何を思ったか『カラマーゾフの兄弟』を読み始めて、 最初のあたりで挫折した苦~い経験があるの...