灰色の雪の中
冷え切った大地を
寄りそってゆく父子。
南へ
南へ。
The Road
人類が自らの手で破壊した
死の世界の中を、
火を携えたものが
南を目指していく。
本を読んで泣くことは良くあるのですが、これはラストは号泣に近かったです。
なんでそこまで泣いているのか家族が不審がるほど、目が腫れてしまいました。
誰かと語り合いたくなる、そんな本。
コーマック・マッカーシーのピューリッツアー賞受賞作、「ザ・ロード」です。
最終戦争後の地球が舞台ですが、SFではありません。
コーマック・マッカーシーというと、最近話題になった映画「ノーカントリー」の原作の、No Country for Old Men (Vintage International)が有名ですが、映画は見ましたが、原作は読んでいませんでした。
彼の作品で私が読んだことがあるのは
すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)
だけで、しかも日本語で、でした。
この『The Road』、実はヴィゴ・モーテンセンがこの原作の映画化された作品にでるということで、仲間内では噂になっていた本でした。
けれど、どうも先に原作を読むと、映画を素直に見られない傾向があるので、映画を見るまで読まないでおこうとjesterは思っていたのです。
でも翻訳がでて、ヴィゴファンの友だちが読み、
「すごい感動したから、読んだほうがいいよ!」
と薦めてくれたので、読んでみることにしたのですが、・・・泣きました・・・・。
ザ・ロード
翻訳本のほうの書評が日経新聞(7月6日付け)に載っていましたが、『世界が真黒の闇に覆われても、火を消さずに掲げ続けていられるのか。さまざまなことを考えさせられる、これは問題作にしておごそかな傑作なのである』と豊崎由美氏が書かれていましたが、まさに『問題作にしておごそかな傑作』だと私も思いました。
ただし、英語は癖があり、読み辛いです。
アポーストロフィーを省いて「wont」「dont」などと綴るのはまだいいとして、ヴォキャブラリーがかなりjesterのそれから外れてまして、最初はてこずりました。
The Star-Ledgerの書評でも『MaCarthy possesses a massive, Biblical vocabulary』(マッカーシーの語彙は大量であり聖書風だ)とかかれてましたから、ネイティブにとっても難しい語彙で書かれた本といえるのだと思います。
そりゃあ、John Grisham だの Jeffery Deaver だのを読むようにサクサクは読めません。(最近jesterはこの二人の本を続けて読んでおります)
しかし、我慢して辞書を引き引き読み進むうちに、だんだんに彼の語彙に慣れてきて、途中からは楽に読めるようになりました。
残り少ない食料を生き残った人間たちが奪い合い、殺しあう殺伐とした世界で、主人公の父親が、『火を持ち続ける』事が出来るのは、深い愛ゆえです。
自分の遺伝子を継ぐ子どもを守るのは、『愛』とはいわず、単に自分の遺伝子を守ろうとする生命体の本能だ、という説もありますが、この本を読むと、そんな説を笑い飛ばしたい気分になります。
親の子に対する感情を「愛」という。
それがどんな本能に基づいているとしても、自らの命を投げ打っても子を守ろうとするその尊さには変わりがないし、その尊さが人間をして尊厳のあるものにしているのだ、という真実を知らされるから。
原作を読んだ後、英文が難解でよくわからなかった部分を確認したくて、友達に翻訳本を借りて目を通しましたが、翻訳は句読点を省いた文章でびっしりと訳されていて、単語と単語の間にスペースがある英文の感じより、かなり詰め込まれたような印象を受けました。
やはり原作と翻訳は似て非なるものだな~と感じました。
あ、それと、jesterがこの本をアマゾンでオーダーして手に入れたのは10日ほど前だったのですが、いまコレを書くために調べてみたら、その時のと同じ表紙の本がなぜかアマゾンから消えていて、その上500円近く安くなっておりました。シクシク。
それと、カートを押して歩いていく父親をヴィゴで脳内演技させつつ読んだのはいうまでもありません。
(サッカーボール柄のパジャマはさすがに着せませんでしたが・・・・)
映画も楽しみです!!!
冷え切った大地を
寄りそってゆく父子。
南へ
南へ。
The Road
人類が自らの手で破壊した
死の世界の中を、
火を携えたものが
南を目指していく。
本を読んで泣くことは良くあるのですが、これはラストは号泣に近かったです。
なんでそこまで泣いているのか家族が不審がるほど、目が腫れてしまいました。
誰かと語り合いたくなる、そんな本。
コーマック・マッカーシーのピューリッツアー賞受賞作、「ザ・ロード」です。
最終戦争後の地球が舞台ですが、SFではありません。
コーマック・マッカーシーというと、最近話題になった映画「ノーカントリー」の原作の、No Country for Old Men (Vintage International)が有名ですが、映画は見ましたが、原作は読んでいませんでした。
彼の作品で私が読んだことがあるのは
すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)
だけで、しかも日本語で、でした。
この『The Road』、実はヴィゴ・モーテンセンがこの原作の映画化された作品にでるということで、仲間内では噂になっていた本でした。
けれど、どうも先に原作を読むと、映画を素直に見られない傾向があるので、映画を見るまで読まないでおこうとjesterは思っていたのです。
でも翻訳がでて、ヴィゴファンの友だちが読み、
「すごい感動したから、読んだほうがいいよ!」
と薦めてくれたので、読んでみることにしたのですが、・・・泣きました・・・・。
ザ・ロード
翻訳本のほうの書評が日経新聞(7月6日付け)に載っていましたが、『世界が真黒の闇に覆われても、火を消さずに掲げ続けていられるのか。さまざまなことを考えさせられる、これは問題作にしておごそかな傑作なのである』と豊崎由美氏が書かれていましたが、まさに『問題作にしておごそかな傑作』だと私も思いました。
ただし、英語は癖があり、読み辛いです。
アポーストロフィーを省いて「wont」「dont」などと綴るのはまだいいとして、ヴォキャブラリーがかなりjesterのそれから外れてまして、最初はてこずりました。
The Star-Ledgerの書評でも『MaCarthy possesses a massive, Biblical vocabulary』(マッカーシーの語彙は大量であり聖書風だ)とかかれてましたから、ネイティブにとっても難しい語彙で書かれた本といえるのだと思います。
そりゃあ、John Grisham だの Jeffery Deaver だのを読むようにサクサクは読めません。(最近jesterはこの二人の本を続けて読んでおります)
しかし、我慢して辞書を引き引き読み進むうちに、だんだんに彼の語彙に慣れてきて、途中からは楽に読めるようになりました。
残り少ない食料を生き残った人間たちが奪い合い、殺しあう殺伐とした世界で、主人公の父親が、『火を持ち続ける』事が出来るのは、深い愛ゆえです。
自分の遺伝子を継ぐ子どもを守るのは、『愛』とはいわず、単に自分の遺伝子を守ろうとする生命体の本能だ、という説もありますが、この本を読むと、そんな説を笑い飛ばしたい気分になります。
親の子に対する感情を「愛」という。
それがどんな本能に基づいているとしても、自らの命を投げ打っても子を守ろうとするその尊さには変わりがないし、その尊さが人間をして尊厳のあるものにしているのだ、という真実を知らされるから。
原作を読んだ後、英文が難解でよくわからなかった部分を確認したくて、友達に翻訳本を借りて目を通しましたが、翻訳は句読点を省いた文章でびっしりと訳されていて、単語と単語の間にスペースがある英文の感じより、かなり詰め込まれたような印象を受けました。
やはり原作と翻訳は似て非なるものだな~と感じました。
あ、それと、jesterがこの本をアマゾンでオーダーして手に入れたのは10日ほど前だったのですが、いまコレを書くために調べてみたら、その時のと同じ表紙の本がなぜかアマゾンから消えていて、その上500円近く安くなっておりました。シクシク。
それと、カートを押して歩いていく父親をヴィゴで脳内演技させつつ読んだのはいうまでもありません。
(サッカーボール柄のパジャマはさすがに着せませんでしたが・・・・)
映画も楽しみです!!!
以前、近未来を描いた作品で『ザ・ギバー 記憶を伝える者』や『森へ 少女ネルの日記』を読んでショックを受けたことがあります。
感情を抑制され管理された社会が描いてあったり、都市が破壊され自分だけが生き残った少女がどうやって生きていくのか、みたいな内容でしたが、とても衝撃的な作品で考えさせられました。
地球温暖化とか、核戦争とか、人類ってもう明るい未来を描くことはできませんよね。
でも、それでもひとすじの希望を見出したい。
そういう希望の持てる作品を読みたい。
この本、探してみます。
映画も楽しみですね~
>以前、近未来を描いた作品で『ザ・ギバー 記憶を伝える者』や『森へ 少女ネルの日記』を読んでショックを受けたことがあります。
両方とも良かったですよね。
くっちゃ寝さんが書いてくださったので、久しぶりに読み返してみたくなりました。
>感情を抑制され管理された社会が描いてあったり、都市が破壊され自分だけが生き残った少女がどうやって生きていくのか、みたいな内容でしたが、とても衝撃的な作品で考えさせられました。
この作品はJean Hegland の「Into the forest」のその後50年くらいかなって感じです。
やはり衝撃的です。
でも語られているのは結局『愛』なんですよ~
>地球温暖化とか、核戦争とか、人類ってもう明るい未来を描くことはできませんよね。
でも、それでもひとすじの希望を見出したい。
そういう希望の持てる作品を読みたい。
同じ著者の「No country for old men」は救いのない内容なんですが、こちらは・・・
これ以上はネタバレになっちゃうのでいいません。くっちゃ寝さんのご期待にそえると思います。ぜひ読んでみてくださいませ。
>映画も楽しみですね~
はい
なのでjesterさんの感想は今はまだ拝見してないのですが、うふふ、楽しみだなー。もちろんサッカーボール柄のパジャマは頭から追い出して、と(笑)。
アラトリステも12月公開が決まったとのことで、嬉しい限り。しかし私は赤子を置いてシャンテシネに行くのは多分無理に違いない…(泣)。
>私はこの本を、ビジネス雑誌の書評でものすごく褒められてるのを見て、読む決心をしました。
結構いろいろな書評でもほめられてるみたいですね。
ちょっと嬉しいです。
>なのでjesterさんの感想は今はまだ拝見してないのですが、うふふ、楽しみだなー。もちろんサッカーボール柄のパジャマは頭から追い出して、と(笑)。
はい~~ 読まれたら感想をお待ちしてますね。
しかし胎教には良くない部分もあるかもしれませんが・・・ま、その辺はさらっと読んでくださいませ。
>アラトリステも12月公開が決まったとのことで、嬉しい限り。しかし私は赤子を置いてシャンテシネに行くのは多分無理に違いない…(泣)。
そうなんですよ~~
おとうさんに赤ちゃんを預けていかれたらいかがでしょう? たまには気分転換もいいかも。
でもきっと日本版のDVDも出るかもしれません。
アラトリステは作品的にはそれほど・・という噂もあるので、DVDでもいいかもしれませんね。
・・・いろいろ考えさせられることが多かったです。
この作品を紹介していただいて、ありがとうございました。
映画もぜひ観てみたいです~
読んでくださったのですね~
>悲惨な描写に何度か中断しながらも、読み終えました。
途中にはとっても悲惨な場面がありましたよね~
ちょっと画像になったら耐えられないかも・・・
(また愛を試されてしまう)
>・・・いろいろ考えさせられることが多かったです。
私もすんごくいろいろかんがえさせられました。