○江戸東京博物館 NHK大河ドラマ50年特別展『平清盛』(2012年1月2日〜2月5日)
今日(1/8)から始まった大河ドラマ『平清盛』、初回はかなり好印象だった。今年は1年間、楽しめそうな予感がする。ドラマの感想は折りを見て書くことにして、まずは関連展から。
大河ドラマ関連展は、いつから始まったのだろう? 私は、2007年の『風林火山』以来、ドラマの評価とは無関係に、ほぼ皆勤している。私は戦国時代にも幕末にもあまり詳しくないので、この数年の展示は、それなりに新しい発見があって、面白かった。しかし『平清盛』の舞台となる時代は、逆に私には馴染みが深すぎて、いろいろと雑な展示だなーと感じてしまった。
「第1章 平氏隆盛の足跡」は、清盛の父・忠盛の時代に始まり、保元・平治の乱を経て、平氏が権力を掌握していく過程を時系列順に紹介する。基本は、奈良絵本の平家物語と古記録の江戸時代写本で(言葉は悪いが)誤魔化しているので、あ、なるほどねーと思っていると、突然、『平治物語絵巻断簡』(鎌倉時代、MIHOミュージアム)が紛れ込んでいたりする。あと、おや、ボストン美術館所蔵の『平治物語絵巻 三条殿焼討』だ?!と思ったら、東博が所蔵する模本だった(狩野栄信・狩野養信・養福筆。画像あり)。かなり質のいい模本だと思うのだが、あまり展示されないのは、やっぱり描写が残虐すぎるからだろうか。ついでに、国会図書館にも住吉広行筆の模本がある(画像あり)ことを知ったので、メモしておこう。
細かいことに文句を言っておくと、「中右記」保延元年8月19日〜21日条に、平忠盛の海賊追討の功によって清盛が従四位下に叙せられたという記事があり、わざわざパネルに書き下し文も掲げてあるのに、開いているページには、21日の最後の1行しか見えていなかった。確かに清盛の名前は最後の行にあるんだけどさ…。
古記録類は全部模本か、と思っていたら、突然、京都大学所蔵の『兵範記』(平信範の日記。重文)が現れたりするので、あなどれない。『天子摂関御影』もホンモノだった(南北朝時代、三の丸尚蔵館蔵、現在は「大臣巻」公開)。あわせて陽明文庫の『天子御影』(安土桃山時代の模本)も並んでいる。公開箇所は、鳥羽院、崇徳院、後白河院の3名。「大臣巻」の平清盛と、崇徳院、後白河院の顔立ちを、つい比べてしまう。
安楽寿院の鳥羽法皇・美福門院・八条院像の三幅対とか、法住寺跡(京博の近隣)から出土した武具の断片とか、京博の十二天図(「月天」1幅だけ)などが、京都から来ていたのは嬉しかった。東博の青磁の名品「銘:馬蝗絆」が出ていたのは、何故?と思ったが、そうか、平重盛所持という言い伝えがあるのか。
平家納経は、清盛願文のほか、3件(法華経巻四、巻十九、巻二十六)と模本1件。金色を基調とした「法師功徳品巻十九」がいちばんきれいだと思った。銀色は、残念ながら劣化が激しいのだ。でも、正月休みに本展を見に来た友人の話でも、平家納経のコーナーには、あまり人が留まらないのが不思議。いちばん人が溜まっているのが、年表や人物紹介のパネルの前だったりする。やっぱり、この時代って、現代人には馴染みが薄いのかな。
楽しかったのは、初めて見る絵巻や奈良絵本の中に、意外と魅力的な作品(素朴絵系の)があったこと。『滝口縁起絵巻』(室町時代、京都・清涼寺)かわいかったぞ。『奈良絵本「築島」貼交屏風』(17世紀、大阪青山歴史文学博物館)は、日本民藝館の『築嶋物語絵巻』と同系統の絵ではないかと思った。もうちょっと間近でよく見てみたい。
※常設展示会場では『絵で楽しむ忠臣蔵』『歴史の中の龍』(ともに、2011年12月3日〜2012年1月29日)開催中。前者は、歌川国芳描く義士シリーズが、やっぱりカッコいい!
今日(1/8)から始まった大河ドラマ『平清盛』、初回はかなり好印象だった。今年は1年間、楽しめそうな予感がする。ドラマの感想は折りを見て書くことにして、まずは関連展から。
大河ドラマ関連展は、いつから始まったのだろう? 私は、2007年の『風林火山』以来、ドラマの評価とは無関係に、ほぼ皆勤している。私は戦国時代にも幕末にもあまり詳しくないので、この数年の展示は、それなりに新しい発見があって、面白かった。しかし『平清盛』の舞台となる時代は、逆に私には馴染みが深すぎて、いろいろと雑な展示だなーと感じてしまった。
「第1章 平氏隆盛の足跡」は、清盛の父・忠盛の時代に始まり、保元・平治の乱を経て、平氏が権力を掌握していく過程を時系列順に紹介する。基本は、奈良絵本の平家物語と古記録の江戸時代写本で(言葉は悪いが)誤魔化しているので、あ、なるほどねーと思っていると、突然、『平治物語絵巻断簡』(鎌倉時代、MIHOミュージアム)が紛れ込んでいたりする。あと、おや、ボストン美術館所蔵の『平治物語絵巻 三条殿焼討』だ?!と思ったら、東博が所蔵する模本だった(狩野栄信・狩野養信・養福筆。画像あり)。かなり質のいい模本だと思うのだが、あまり展示されないのは、やっぱり描写が残虐すぎるからだろうか。ついでに、国会図書館にも住吉広行筆の模本がある(画像あり)ことを知ったので、メモしておこう。
細かいことに文句を言っておくと、「中右記」保延元年8月19日〜21日条に、平忠盛の海賊追討の功によって清盛が従四位下に叙せられたという記事があり、わざわざパネルに書き下し文も掲げてあるのに、開いているページには、21日の最後の1行しか見えていなかった。確かに清盛の名前は最後の行にあるんだけどさ…。
古記録類は全部模本か、と思っていたら、突然、京都大学所蔵の『兵範記』(平信範の日記。重文)が現れたりするので、あなどれない。『天子摂関御影』もホンモノだった(南北朝時代、三の丸尚蔵館蔵、現在は「大臣巻」公開)。あわせて陽明文庫の『天子御影』(安土桃山時代の模本)も並んでいる。公開箇所は、鳥羽院、崇徳院、後白河院の3名。「大臣巻」の平清盛と、崇徳院、後白河院の顔立ちを、つい比べてしまう。
安楽寿院の鳥羽法皇・美福門院・八条院像の三幅対とか、法住寺跡(京博の近隣)から出土した武具の断片とか、京博の十二天図(「月天」1幅だけ)などが、京都から来ていたのは嬉しかった。東博の青磁の名品「銘:馬蝗絆」が出ていたのは、何故?と思ったが、そうか、平重盛所持という言い伝えがあるのか。
平家納経は、清盛願文のほか、3件(法華経巻四、巻十九、巻二十六)と模本1件。金色を基調とした「法師功徳品巻十九」がいちばんきれいだと思った。銀色は、残念ながら劣化が激しいのだ。でも、正月休みに本展を見に来た友人の話でも、平家納経のコーナーには、あまり人が留まらないのが不思議。いちばん人が溜まっているのが、年表や人物紹介のパネルの前だったりする。やっぱり、この時代って、現代人には馴染みが薄いのかな。
楽しかったのは、初めて見る絵巻や奈良絵本の中に、意外と魅力的な作品(素朴絵系の)があったこと。『滝口縁起絵巻』(室町時代、京都・清涼寺)かわいかったぞ。『奈良絵本「築島」貼交屏風』(17世紀、大阪青山歴史文学博物館)は、日本民藝館の『築嶋物語絵巻』と同系統の絵ではないかと思った。もうちょっと間近でよく見てみたい。
※常設展示会場では『絵で楽しむ忠臣蔵』『歴史の中の龍』(ともに、2011年12月3日〜2012年1月29日)開催中。前者は、歌川国芳描く義士シリーズが、やっぱりカッコいい!











こちらのレポートを拝見してから出かけましたが、確かに作品を見るより説明を見ている方が多かったですね。
あの会場で、関連作品を目いっぱい詰め込んだ印象を受けました。
本来の鑑賞方法ではありませんが、巻子本を思いっきり広げてないのは、物足りなないです。
(巻き替えをしたのかなぁ?)
また、相変わらず巻子本を左から右に見せる展示は、すごく嫌だなあ。
私は、平家納経と平治物語絵巻(常盤巻)を目当てに出かけました。
しかし、常盤巻は来週からで、展示されていないのでがっかりしました(自分が、ちゃんと確認をしなかったのが悪いのです)。
これは、個人でお持ちなので、めったに拝見できないものです。
平家納経は、田中親美さん制作された複製も展示されていました。これをもとに昭和60年に美術公論社からその複製が刊行されました。
しかし、厳王品、序品、般若心経、観音品の4巻が刊行されたところで中断したようです。
(450部の少数印刷でしたが、原本からの複製でなかったためか、どうも売れなかったようです)
この複製を入手して扱ってみて分かったことは、八双金具と題箋金具がもうとにかく重くて料紙を傷めやすいということ。
桐箱に納めるときに箱の軸受けの高さをちゃんと確認しいないと、本体の重みで軸が弓なりに撓んでしまいます。
複製ですら、扱いがとにかく大変なのです。
原本は、もっと大変でしょうね。
今は、保存のために太い軸に巻かれて、当初の水晶金具ではなくなり、見栄えが良いものではありません。
昨年の東京古典会で、田中さん制作の平家納経の無量義経が出品されました(NO.2537)。
田中さんが制作したものは5部で、1部は厳島神社に奉納され、残り4部は田中さん、益田孝、大倉喜八郎、安田善次郎へ納まりまりました。
(複製の小松茂美先生の解説より)
今回展示されているの大倉集古館のものです。
益田家のものは、戦後東京国立博物館へ移動しましたので、巷間に出る可能性があるものは2部しかない稀覯本となります。
会場で実物を手に取って拝見しましたが、実にすばらしいものでした。
最低でも300万円以上しそうなので、入札はあきらめました。でも、札を入れておけばよかったかも…
とりとめのない話で失礼しました。